2009年05月22日

Jorge Dalto『Chevere』

ひたすら気持ち良い!至福のメロウ・フュージョン☆Jorge Dalto『Chevere』
CHEVERE
発表年:1976年
ez的ジャンル:ブラジリアン・メロウ・フュージョン
気分は... :都会の喧騒を忘れて...

今回はアルゼンチン出身のジャズ・キーボード奏者Jorge Daltoのアルバム『Chevere』(1976年)です。

Jorge Daltoは1948年生まれ。幼少よりピアノを習い始め、10代半ばから本格的に音楽活動をスタートします。70年代に入り渡米し、N.Y.ではTito Puente、Machitoといったラテン系ミュージシャン、アルゼンチン出身のサックス奏者Gato Barbieriらと演奏していました。

名作『Breezin'』へのレコーディング参加を皮切りに、約4年間George Bensonのサポートを務めました。その後も様々なセッションに参加すると同時に、妻Adelaのヴォーカルをフィーチャーしたグループを率いていましたが、癌に蝕まれ1987年に39歳の若さで死去しています。

ソロとしては、『Chevere』(1976年)、『Rendezvous』(1983年)、『New York Nightline』(1984年)、『Urban Oasis』(1985年)等の作品を発表しています。

その中でも初のソロ作となる本作『Chevere』(1976年)は、フュージョン・ファンのみならずクラブ系リスナーからも注目されている作品ですね。今回遂に世界初CD化が実現し、歓喜している方も多いのでは?

前述のGeorge Benson『Breezin'』の前後にレコーディングされた作品であり、そんな流れも汲んだ爽快なメロウ・フュージョン作品となっています。アルゼンチン出身のJorgeですが、全体的にはブラジリアン・フレイヴァーが目立ちます。

レコーディングには、Bernard Purdie(ds)、Rahsan Jemmott(Jerry Jemmott)(b)、Carlos Martin(conga)、Ronnie Foster(syn)、Tom Malone(tb)、Sheldon Powell(ts)、Jerry Dodgion(as、f)、Ernie Royal(tp)、Victor Paz(tp)、Tony Jiminez(per)、Adela(vo)、Ruben Blades(vo)といったメンバーが参加しています。Bernard Purdie、Ronnie Fosterの参加が目を引きますね。個人的には当ブログでも紹介したサルサ歌手Ruben Bladesの参加が興味深いです。

全8曲中、Jorgeのオリジナルが5曲。残り3曲がスタンダードです。

素晴らしすぎるオリジナル「I've Got You On My Mind」「I Only Care For You」の2曲だけでも購入する価値のあるアルバムだと思いますが、それ以外の曲も粒ぞろいです。特に有名スタンダードのフュージョン・カヴァーは新鮮な印象を受けました。

至福のメロウ・フュージョンと呼びたくなる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Stella by Starlight」
「星影のステラ」という邦題でお馴染みのスタンダード(Ned Washington/Victor Young作品)。この曲と言えば、ジャズ・スタンダード然とした演奏をイメージしがちなので、爽快かつスペイシーなフュージョン・カヴァーは実に新鮮です。

「I've Got You On My Mind」
本作のハイライト。DJのミックスCD等でもお馴染みの人気曲ですね。いつ聴いても幸せな気分になれるブラジリアン・フレイヴァーのメロウ・フュージョン。都会の喧騒をしばし忘れてバカンス気分になれる感じがサイコーですね。妻Adelaらの爽快なヴォーカルもグッド!

Hip-Hopファンの方は本曲をモロ使いしたStreet Smartz「Problemz」でお聴きかもしれませんね。

Street Smartz「Problemz」
 http://www.youtube.com/watch?v=uLgLTvopC-U

「For Openers」
ピアノ、フェンダー、シンセと鍵盤楽器の魅力を堪能しまくれるフュージョン・チューン。ホーン隊も大活躍です。

「Dolphin Dance」
Herbie Hancockの名曲をカヴァー。このスタンダードもひたすら心地よいメロウ・フュージョンで聴かせてくれます。

「Time For Some Changes」
かなり僕好みの1曲。長年、ラテン・アーティストのバックを務めたJorgeらしいラテン・フレイヴァーな仕上がりは"サルサ・フュージョン"とでも命名したくなります。

「I Only Care For You」
「I've Got You On My Mind」同様、一瞬にしてバカンス気分にさせてくれる至福のメロウ・チューン。こういう曲を聴きながら、何も考えずボーッと過ごせたらサイコーですね。

「Theme In Berlin」
タイトルからは重々しいですが、疾走するスペイシー・フュージョンです。

「Love For Sale」
ラストはCole Porterのスタンダード。この曲もスタンダード然とした演奏のイメージが強いので、フュージョンとして聴くと実に新鮮です。言われなければ、「Love For Sale」だと気づかないかも?

アルゼンチンの音楽事情については全く明るくないので、機会があれば調べてみたいですね。
posted by ez at 06:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする