録音年:1961年
ez的ジャンル:探求系ピアノ・トリオ
気分は... :"静"なるスリリング感...
偉大なるジャズ・ピアニストBill Evansの6回目の紹介です。
これまで紹介したEvans作品は以下の5枚。
『Portrait In Jazz』(1959年)
『Waltz For Debby』(1961年)
『Undercurrent』(1962年)
『Alone』(1968年)
『New Conversations』(1978年)
今回はRiverside四部作の1枚、『Explorations』(1961年)です。
Scott LaFaro(b)、Paul Motian(ds)とのトリオによる、『Portrait In Jazz』、本作『Explorations』、『Waltz For Debby』、『Sunday At The Village Vanguard』というRiverside四部作は人気の高い作品ですよね。
そんな人気の四部作の中でも地味な存在が『Explorations』かもしれませんね。
タイトルにもあるようなピアノ・トリオの可能性探求といった色彩が強い分、他の四部作と比較して、ロマンティック、エレガントな要素が少ないのが、そういった印象につながるのかもしれませんね。
僕の場合も一番最後にマイ・コレクションに加わった四部作でした。
確かに最初に聴いた時には地味な印象でしたね。しかしながら、何度も聴き返していくうちに、静寂の中のスリリング感が魅力的に聴こえるようになってきました。
静かなる探求の道へ....こんな演奏を聴きながら、自分を見つめ直すのもいいかもしれませんね。
全曲紹介しときやす。
「Israel」
オープニングはMiles Davis『Birth of the Cool』でも演奏されていたJohn Carisi作品。このトリオの美学が貫かれた演奏ですね。ピアノ、ベース、ドラムが三位一体となって生み出す静かなる緊張感がたまらりません。
「Haunted Heart」
ただただ美しいバラード(Carl Deitz/Howard Dietz/Arthur Schwartz作品)。リリカルなEvansのピアノ存分に堪能しましょう。LaFaroとMotianの控えめな演奏もグッド!
「Beautiful Love」
Victor Young等の共作によるスタンダード。当ブログでは以前にAnita O'Dayのヴァージョンを紹介しました(アルバム『This Is Anita』収録)。オリジナルはTake2が収録されていますが、Take1の出来の良さに気を良くしたハイテンションの三人の勢いが感じられるスウィンギーな演奏がグッときます。Take1もボーナス・トラックで収録されているので、聴き比べると楽しいですね。
「Elsa」
Earl Zindars作のバラード。EvansのピアノとLaFaroのベースの絡み合いが生み出すミステリアスな空気に吸い込まれそうです。
「Nardis」
Miles Davis作となっていますが真偽のほどは???いずれにしてもEvansの演奏が似合う曲ですよね。静寂の中から湧き出るパワーを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=K6ahRrYdTyE
「How Deep Is the Ocean?」
Evansの重要なレパートリーですね(Irving Berlin作)。落ち着いた雰囲気の中にも引き締まった感じがあっていいですね。
「I Wish I Knew」
当ブログではJohn Coltraneの演奏(アルバム『Ballads』収録)を紹介したことがあるHarry Warren/Mack Gordon作品。僕の場合、Coltraneのロマンティックの演奏に慣れているので、この演奏はかなりシブめの印象を受けます。
「Sweet and Lovely」
Gus Arnheim/Jules LeMare/Harry Tobias作のスタンダード。小粋なスウィンギー感がグッときます。三人それぞれの見せ場があるのもいいですね(特にMotian)。
さらにCDにはボーナストラックとして、前述の「Beautiful Love」のTake1と「The Boy Next Door」が収録されています。