2009年05月31日

Squeeze『Cosi Fan Tutti Frutti』

UKらしいシニカルなポップセンスを堪能あれ!☆Squeeze『Cosi Fan Tutti Frutti』
Cosi Fan Tutti Frutti
発表年:1985年
ez的ジャンル:UKシニカル・ポップ/ロック
気分は... :誰が何と言おうと...

今回はUKのロック・グループSqueezeの登場です。
セレクトしたのは1985年のアルバム『Cosi Fan Tutti Frutti』

Squeezeは、1974年にChris DiffordGlenn Tilbrookを中心にロンドンで結成されました。

1978年に1stアルバム『Squeeze』(1978年)をリリース。この時のメンバーは、Chris Difford(g、vo)、Glenn Tilbrook(vo、g、key)、Julian Holland(key、vo)、Harry Kakoulli(b)、Gilson Lavis(ds、per)の5名。

続く2nd『Cool for Cats』(1979年)からは、「Cool for Cats」「Up the Junction」という2曲のUKチャートTop3入りシングルが生まれます。4thアルバム『East Side Story』(1981年)では、ソロ・アーティストとしても活躍しているPaul Carrackもメンバーとして参加していました。

5th『Sweets from a Stranger』(1982年)を最後にグループは一度解散し、中心メンバーのChris Difford、Glenn TilbrookはDifford & Tilbrook名義でアルバム『Difford & Tilbrook』(1984年)をリリースしています。

しかし、『Cosi Fan Tutti Frutti』(1985年)で再結成し、その後もコンスタントにアルバムをリリースしますが1999年に解散します。

いかにもUKらしいポップセンス溢れるロック・グループですよね。
USチャートでのヒットが少ないので、一般的には地味な存在ですが、コアなファンも相当いたグループだったのでは?

僕の中ではXTCPrefab Sproutらと並ぶ、UKポップの継承者という印象です。コアなファンというほどではありませんでしたが、彼らのシニカルなポップセンスが大好きでした。

おそらくSqueezeがお好きな方は、『Cool for Cats』(1979年)、『East Side Story』(1981年)あたりを推す前期派と、『Frank』(1989年)、『Some Fantastic Place』(1993年)あたりがお好きな後期派に分かれるのでは?

しかしながら僕が最も好きなSqueezeのアルバムは、LP時代から愛聴している1985年の再結成アルバム『Cosi Fan Tutti Frutti』です。

おそらくSqueezeファンの中でも本作を最高傑作として推す人は少ないと思います(笑)。良くも悪くも80年代らしい硬質サウンドが、今日ではあまり評価されていないようですね。

個人的には彼らのシニカルなポップセンスとダイナミックな80年代サウンドの組み合わせはバッチリだと思います。また全体を貫くダークなテイストが本作の魅力なのでは?

本作におけるメンバーはChris Difford(g、vo)、Glenn Tilbrook(vo、g、key)、Julian Holland(key、vo)、Keith Wilkinson(b)、Gilson Lavis(ds、per)。Julian Hollandの復帰が目を引きますね。

タイトルの"Cosi Fan Tutti Frutti"とは、Mozartのオペラ「Cosi Fan Tutte」とLittle Richardのデビュー曲「Tutti Frutti」を掛け合わせたものです。このあたりのセンスもSqueezeらしいですね。

名盤としても扱われることは少ない作品ですが、個人的には文句ナシの名盤だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Big Beng」
硬質でダイナミックなサウンドが印象的なオープニング。いかにも80年代なドラム音ですが、陳腐に聴こえないのはドラムだけが突出していないからかもしれませんね。

「By Your Side」
レゲエ調の哀愁ポップ。この曲を聴いていたら何故かGazebo「I Like Chopin」が聴きたくなり、YouTubeで聴いてしまいました(笑)

「King George Street」
シングルにもなったSqueeze流ポップ・センス全開の1曲。硬質なサウンドとSqueezeらしいキャッチーだけど少しヒネリの効いたメロディの組み合わせがグッド!タイトルからも連想されように中東的なテイストも随所に聴かれます。

「I Learnt How to Pray」
メロディ・メイカーとしてのDifford & Tilbrookの魅力を堪能できる1曲。本作を過小評価する人も、この曲に限っては納得なのでは?

「Last Time Forever」
ダントツで一番のお気に入り曲。シングルにもなりました。Stanley Kubrick監督、Jack Nicholson主演の映画『The Shining』の叫び声がサンプリングされている、ダークな哀愁ポップ。嫉妬心から妻を殺害してしまった男の実話がモチーフになっている物騒なテーマの歌ですが、この美しく悲しいダークなポップ・テイストは本作におけるSqueezeでなければ表現できないのでは?個人的にはElvis Costello「I Wanna Be Loved」と一緒に聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=GBfBhOxfTdY

「No Place Like Home」
夫婦喧嘩について歌ったものですが、タイトルは「我が家は素晴らしきかな」...Squeezeらしいですね。XTCにつながるシニカル・ワールドがたまりません。

「Heartbreaking World」
80年代らしいピコピコ・サウンドのミッド・グルーヴ。本曲ではHollandがリード・ヴォーカルをとっています。曲もDiffordとHollandの共作です。そのせいか他の曲と多少異なる印象を受けるかも?

「Hits of the Year」
派手なギター・ソロも聴けて、アルバムの中で一番華やかな曲かもしれませんね。とは言ってもダークな味付けも忘れていません。

「Break My Heart」
リアルタイムで聴いた時から大好きな1曲。今回久しぶりに聴いてもグッときますね。本作でしか聴けないダークなカッコ良さに満ちています。

「I Won't Ever Go Drinking Again (?)」
ラストは酔っ払いの心情がそのままメロディになったような曲。トロピカル・テイストのコミカルな仕上がりが楽しいですね。"もう二度と酒を飲みには行かない"...僕も年中言っているセリフです(笑)

CDにはボーナス・トラックとして「Loves Crashing Waves (Live) 」が収録されています。『Difford & Tilbrook』(1984年)からのシングル曲のライブ・ヴァージョンであり、シングル「King George Street」のB面だったものです。

リアルタイムで聴いていた頃はDifford & Tilbrook名義の『Difford & Tilbrook』(1984年)の評価も高かったですね(Tony Viscontiプロデュース)。興味がある方は是非どうぞ!

Difford & Tilbrook
Difford & Tilbrook
posted by ez at 03:47| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする