2009年06月24日

Nara Leao『Vento De Maio』

梅雨の雨模様の中でふと聴きたくなった1枚☆Nara Leao『Vento De Maio』
5月の風+1
発表年:1967年
ez的ジャンル:MPB黎明期
気分は... :梅雨の雨模様で聴きたいのは...

都内は昨日の快晴から一転して梅雨の雨ですね。
こんな日に聴きたくなったのが今日紹介するNara Leao『Vento De Maio』(1967年)です。

ジャケからして雨の日にピッタリな気がしませんか?

Nara Leaoの紹介は『Dez Anos Depois』に続き2回目になります。

僕のように『Dez Anos Depois』から入ると、"ボサノヴァのミューズ"というイメージが強いNara Leaoですが、60年代半ばの彼女はボサノヴァと決別し、プロテスト・ソングやサンバを歌っていました。

本作も『Vento De Maio』もそんな時期にリリースされた作品ですが、それなりにボッサな雰囲気を味わえるアルバムだと思います。ボッサな雰囲気のNaraに出会いたい人にはグッとくるアルバムだと思います。

本作でNaraはサンバ、マルシャ、ショーロ等様々なタイプの楽曲を歌いますが、中でもChico Buarque(4曲)とSidney Miller(5曲)というNaraとは縁が深い2人のソングライターの作品を数多く取り上げています。

サンバ、マルシャ、ショーロ、ボサノヴァとバラエティに富んだ楽曲を小粋なアレンジで聴かせてくれるのがいいですね(アレンジはMaestro GayaとDorival Caymmiが担当)。アルバム全体のメリハリがあるので、ブラジル音楽やNara Leao入門編としても聴きやすい1枚なのでは?

翳りと爽快感が同居する感じがたまりません!

全曲紹介しときやす。

「Quem Te Viu, Quem Te Ve」
このオープニングから3曲目まではChico Buarque作品が続きます。本曲は哀愁のメロディとコーラスも入るサンバらしいパートが交互します。2つのパートのコントラストがあっていいですね。テンポも程好く、かなりグッときます。

YouTubeで作者のChico Buarqueのヴァージョン(MPB 4との共演)があってので紹介しておきます。
Chico Buarque e MPB 4「Quem Te Viu, Quem Te Ve」
 http://www.youtube.com/watch?v=pFU_WteHiZc

「Com Acucar E Com Afeto」
邦題「思いやりの優しさ」。微妙な女心が歌われます。終盤のストリングスが盛り上げてくれます。

「Noite Dos Mascarados」
邦題「仮面の夜」。ここではGilberto Gilとのデュエット。男女のやりとりにグッとくるマルシャ(マーチ)です。YouTubeに作者のChico、Nara、MPB 4が共演したヴァージョンがありました。
Chico, Nara e MPB 4「Noite Dos Mascarados」
 http://www.youtube.com/watch?v=n72vD9Wtt8Y

1967年の映画『Garota de Ipanema(イパネマの娘)』にChicoとElis Reginaの共演が収録されています。さらにElisはPierre Barouhとの共演でも本曲をレコーディングしています。
Elis Regina e Pierre Barouh「La Nuit Des Masques」
 http://www.youtube.com/watch?v=-d-GWUZ7SMc

「Vento De Maio」
邦題「5月の風」。タイトル曲は前曲でデュエットしていたGilberto Gilの作品です(作詞はTorquato Neto)。途中でテンポアップするパートにグッときます。

「Maria Joana」
この曲からSidney Miller作品が3曲続きます。この作品はGal Costa e Caetano Veloso『Domingo』でも歌われていますね。Naraヴァージョンは爽快なボッサ・チューンに仕上がっています。単純ですが、僕などはやはりこの手のボッサ・チューンには相当グッときてしまいます。

「A Praca」
邦題「弱い女」。哀愁ボッサですが、Naraの歌声はこうした哀愁モードの曲がハマりますね。

「O Circo」
邦題「サーカス」。楽しく軽快な雰囲気がいいですね。本作と同じ1967年にQuarteto Em Cyもレコーディングしています。
http://www.youtube.com/watch?v=CFKtWFodjqY

「Morena Do Mar」
本作のアレンジを担当しているDorival Caymmiの作品。Naraの翳りのある歌声がたまりません。今日のような雨降りの日に聴くと相当グッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=uqpcdjoQKpU

「Fui Bem Feliz」
邦題「幸多かりし日々」(Jorginho/Sidney Miller作)。サンバのリズムをバックにハッピー・ソングと思いきや、♪私はとっても幸せだったの...でも今は違う♪と寂しげなサンバに仕上がっています。

「Rancho Das Namoradas」
邦題「恋人たちの小屋」(Ary Barroso/Vinicius de Moraes作)。素敵な歌詞にグッとくるマルシャ。ストリングスが盛り上げてくれます。

「Um Chorinho」
Chico Buarque作のショーロ。フルートが印象的なメランコリックな仕上がり。

「Passa Passa Gaviao」
邦題「鷹よ、飛べ」(Sidney Miller作)。平和への願いを込めたメッセージ・ソング。素敵なアレンジも含めて、心に染み入るエンディング。

CDにはボーナス・トラックとして「A Estrada E O Violeiro」が収録されています。Sidney Millerとのデュエットであり、リズミカルな仕上がりがグッド!Sidney Millerの1stアルバム『Sidney Miller』に収録されていた曲のようです。
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2009年06月23日

King Crimson『Discipline』

僕が一番好きなKing Crimson作品☆King Crimson『Discipline』
Discipline
発表年:1981年
ez的ジャンル:非プログレKing Crimson
気分は... :♪パォ〜(エレファント・トーク)♪

今日は久々にKing Crimsonです。

『In The Court Of The Crimson King』(1969年)に続いて紹介するのは、僕が一番好きなKing Crimson作品『Discipline』(1981年)です。

『Discipline』は、『Red』(1974年)を最後に解散していたKing Crimsonが7年ぶりに再結成されたアルバムです。

Robert Frippが新生King Crimsonのメンバーとして選んだのは、Robert Fripp(g)、Adrian Belew(g、vo)、Tony Levin(b)、Bill Bruford(ds)の3名。当初グループはは本作のタイトルにもなっているDisciplineを名乗っていましたが、最終的にはKing Crimsonとして作品をリリースしました。

後日Robert Fripp自身が『In The Court Of The Crimson King』『Red』と並ぶ傑作と評したのが本作『Discipline』です。

リアルタイムで聴いた最初のKing Crimson作品が本作『Discipline』でした。その前に『In The Court Of The Crimson King』等は聴いていたので、殆ど"プログレ"していない本作サウンドとの間に大きなギャップを感じたものです。

今でこそ一定の評価がなされていますが、当時はファン、評論家ともにアフリカン&ニューウェイヴな本作をボロクソにけなしていた記憶があります。確かに、昔からのプログレ・ファンからは受け入れがたいアルバムかもしれませんね。もし、Disciplineのグループ名でリリースしていれば、あれほどの低評価ではなかったのでは?

僕の場合、King Crimson自体に思い入れがあったわけではないので、当時は本作にさほど興味がありませんでした。それがリリースから数年が経ち、自分の音楽嗜好がダンス・ミュージックに向かうようになってから、本作のアフロなダンサブル・サウンドが意外とカッチョ良いなぁ!と思うようになりました。King Sunny Ade『Synchro System』でアフリカン・リズムの虜になったのが大きかったかもしれません。

本作『Discipline』Talking Heads『Remain in Light』(1980年)をセットで楽しんでいましたね。Robert FrippはTalking Heads初のアフロ・ファンク・チューン「I Zimbra」(アルバム『Fear Of Music』収録)に参加していますし、『Remain in Light』ではAdrian Belewが大活躍していました。その意味で、本作と『Remain in Light』の共通点は多いと思います。

King Crimsonの作品って、理屈っぽい聴き方をしないといけないようなところがありますよね。本作『Discipline』にも"訓練・規律"という小難しいお題が設定されていますが、直感的に格好良いリズムに体が高揚する作品に仕上がっています。

やはり音楽は理論・知識ではなく感性で楽しみたいですよね!

全曲紹介しときやす。

「Elephant Talk」
新生King Crimsonを象徴する1曲。特に新メンバーの二人、Adrian Belewによる象の鳴き声を♪パォ〜♪を模したエレファント・ギター、見た目もサウンドもインパクト大!スキンヘッドTony Levinのスティックが印象に残ります。全体的にはアフリカンなニューウェイヴ・サウンドに仕上がっています。従来のKing Crimsonでは"あり得ない"1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=76eoyyem2K8

「Frame by Frame」
本作をアルバムのハイライトに推す人は多いのでは?本作の持つアフリカンな雰囲気とメンバーのDiscipline(訓練・規律)が生み出すスリリングなカッチョ良さを存分に堪能できる1曲。特にRobert FrippとAdrian Belewのギターの絡み合いがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=fjTxM1FiTzU

「Matte Kudasai」
日本人にとっては気になる1曲ですね。浮遊感漂うバラードに仕上がっているサウンド自体はさほどインパクトはありませんが、Adrian Belewの♪マッテ、クダサ〜イ♪と歌う箇所はついついしっかり聴いてしまいます(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=7ZyysKcJLmM

「Indiscipline」
この曲が唯一"プログレ"しているKing Crimsonを聴くことができる曲なのでは?僕自身は本作にこういう演奏を期待しているわけではないので...
http://www.youtube.com/watch?v=DoVOY9XGDBI

「The Hun Ginjeet」
僕の一番のお気に入り曲。「Heat In The Jungle」の綴りを入れ替えたタイトル通り、ヒートアップしたジャングル・ビートが炸裂するダンサブルな1曲。小難しいことは考えずに踊る狂うことができるような高揚感がたまりません!
http://www.youtube.com/watch?v=gQOGPCK1WaA

「The Sheltering Sky」
アフリカン・リズムにギター・シンセが絡む、ジャズ/フュージョン的な雰囲気の仕上がり。スピリチュアル・ジャズなんかが好きな人はグッとくる1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=yzWmavPd0a0

「Discipline」
タイトル曲は中毒性を持った仕上がり。反復するリフを何度も聴いているうちに、脳内が覚醒してきます。King Crimson流ミニマル・ミュージックといったところでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=1WSNraCN5Zg

この後、新生King Crimsonは『Beat』(1982年)、『Three of a Perfect Pair』(1984年)というアルバムを残し、解散します。さらに1994年には"ダブルトリオ"による再々結成がなされました。

個人的には本作でも大活躍のAdrian Belewのソロも愛聴していました。機会があれば、そちらも紹介しますね。
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2009年06月22日

TLC『Ooooooohhh...On The TLC Tip』

90年代の女性R&Bグループの方向性を示したデビュー作☆TLC『Ooooooohhh...On The TLC Tip』
Ooooooohhh...On the TLC Tip
発表年:1992年
ez的ジャンル:ストリート感覚女性R&Bグループ
気分は... :僕はキャンディーズ・ファンでした!

久々にTLCです。今日紹介するのはデビュー作『Ooooooohhh...On The TLC Tip』(1992年)です。

アトランタで結成されたT-BozLeft EyeChilliのおてんばレディ3人組TLCの紹介は、『CrazySexyCool』(1994年)に続き2回目になります。

Pebblesによる発掘され、彼女の公私に渡るパートナーL.A. ReidBabyfaceが主宰するLAFaceとの契約に成功したTLCの3人が、その輝かしい第一歩を踏み出したデビュー・アルバムが本作『Ooooooohhh - On The TLC Tip』(1992年)です。

プロデュースはLAFaceのトップL.A. Reid & BabyfaceDallas AustinJermaine Dupriのアトランタ勢、Hip-Hopの人気プロデューサーMarley Marlなど錚々たる名前が並んでいます。特にDallas Austinの貢献が大きいですね。Marley Marlプロデュースの2曲もかなりきてます!

Mary J. Blige『What's The 411?』(1992年)、SWV『It's About Time』(1992年)と共に、R&BとHip-Hopが融合した90年代以降のR&Bの新しい流れを決定付けた作品ですね。

Mary J. Blige『What's The 411?』あたりと比較して、大きくラップがフィーチャーされているのが特徴ですね。

若いリスナーの方にはR&BとHip-Hopの融合なんて当たり前のように思われるかもしれませんが、これを受け入れることができず、リアルタイムR&Bから離れていったオールド・ファンも多いはず!基本的にはラップやサンプリングという手法に抵抗感があるのでしょうね。

僕の場合、当時の新世代女性R&Bグループでは、前年にデビューしたEx-GirlfriendやTLCと同じく1992年にデビューしたSWVにお熱だったので、TLCはSWVのライバル!という印象でしたね。昔で言えば、キャンディーズ・ファンにとってのピンクレディーといった位置づけです(わかります?)。

なので、それほどリアルタイムでは熱心に聴いていたわけではありません。またTLC作品で言えば、『CrazySexyCool』を聴く頻度が圧倒的に多かったので、後追いでも頻繁に聴き直していたわけではありませんでしたね。

今回久々にじっくり聴き直してみました。
元気に弾けたストリート感覚のアップ・チューン満載という印象が強かったのですが、今回聴き直してみて、ダークなフレイヴァーも感じられ、認識を新たにした次第です。

何となく『CrazySexyCool』『FanMail』(1999年)あたりと比較して、軽く見られがちな作品ですが、その後の女性R&Bグループを方向付けた重要作だと思います。

「Ain't 2 Proud 2 Beg」「Baby-Baby-Baby」「What About Your Friends」といったヒット・シングル以外にも、グッとくる曲が満載です。

R&Bファンの方は、当時のアトランタR&Bの勢いを示した作品として聴くのも楽しいと思います。

全曲紹介しときやす。
※「Intro」、「Intermission I」、「Intermission II」は除く

「Ain't 2 Proud 2 Beg」
記念すべきTLCのデビュー・シングル。Dallas Austinプロデュースによるストリート感覚のHip-Hop Soulは、全米シングルチャート第6位、同R&Bチャート第2位の大ヒットを記録しました。新人らしく元気に弾けつつ、新時代のR&Bの方向性をしっかり示しています。Left Eyeがコンドームをアイパッチ代わりに装着したPVも話題になりましたね。

Average White Band「School Boy Crush」をはじめ、James Brown「Escape-ism」、Kool & The Gang「Jungle Boogie」、Silver Convention「Fly Robbin Fly」、Bob James「Take Me To The Mardi Gras」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=AlOsU8_Rzsk

「Shock Dat Monkey」
L.A. Reid & Babyfaceプロデュース。ダークな雰囲気が格好良いHip-Hop Soulに仕上がっています。このあたりは共同プロデューサーとして名を連ねるDaryl Simmonsあたりの貢献も大きいのでは?Wilson Pickett「Get Me Back On Time」、James Brown 「Funky Drummer」、「Funky President」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=W4hvRp_dSxM

「Hat 2 da Back」
アルバムからの4thシングル。Dallas Austinプロデュースの。ガールズ・ファッションについて歌うTLCらしい、楽しく弾けた1曲です。PVにはKris KrossやJermaine Dupriも登場します。LL Cool J「Big Ole Butt」、KC & The Sunshine Band「What Makes You Happy」、Funk, Inc.「Kool Is Back」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=eo-TrSQ7QZc

「Das Da Way We Like 'Em」
Marley Marlプロデュース1曲目。Hip-Hopファンは注目の1曲ですね。Left Eyeのラップが冴えまくります。キャッチーなフックにもグッときます。James Brown「Think (About It)」、ESG「UFO」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=3qBvTOWgvuw

ESG「UFO」
 http://www.youtube.com/watch?v=zqCNSPnP6y0

「What About Your Friends」
アルバムからの3rdシングルであり、全米シングルチャート第7位、同R&Bチャート第2位のヒットとなりました。Dallas Austinプロデュースのストリート感溢れる仕上がりです。ガールグループらしいキャッチーさとガールグループらしからぬダークネスが同居している感じが大好きです!James Brown「Blues & Pants」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=ZVJBhDoGapM

また、本曲のリミックスにはデビュー前のOutKastがフィーチャーされています。このあたりはアトランタ勢を総動員しているのが窺えます。
TLC feat.OutKast「What About Your Friend(Extended Remix)」
 http://www.youtube.com/watch?v=Kaeiwmja-50

「His Story」
Dallas Austinプロデュースのフレッシュな躍動感で弾けるアップ・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=IBdohg10Fvg

「Bad by Myself」
Jermaine Dupriプロデュース曲。Esther Williams「Last Night Changed It All」ネタのNJSテイストのアップ・チューン。Public Enemy「Welcome To The Terrordome」、Run-D.M.C「Peter Piper」、Main Source「Peace Is Not the Word to Play」といったHip-Hopクラシック・ネタが聴けるのも楽しいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=jdPT7gkugxA

Esther Williams「Last Night Changed It All」
 http://www.youtube.com/watch?v=uz9zkEYXabU

「Somethin' You Wanna Know」
Daryl Simmons & Kayoプロデュース。『CrazySexyCool』がお好きな方は、本作の大半を占めるアップ・チューンよりも、この位のミッド・グルーヴの方がしっくりくるかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=4-zpgZ0qZAw

「Baby-Baby-Baby」
2ndシングルとして、全米シングルチャート第2位、同R&Bチャート第1位の大ヒットとなりました。L.A. Reid & Babyface、Daryl Simmonsプロデュース。メロウなミッド・グルーヴは今でもファンの支持が高いのでは?TLCらしさに溢れたクラシックですね!
http://www.youtube.com/watch?v=VrnBBNY5PuM

Bow Wowの最新シングル「You Can Get It All」でサンプリングされていますね。ちなみにJermaine Dupriがプロデュースしています。
Bow Wow「You Can Get It All」
 http://www.youtube.com/watch?v=uo0joYNV9F8

「This Is How It Should Be Done」
Marley Marlプロデュースの2曲目。The Impressions「We're a Winner」ネタのトラックが心地好いですね。TLCのキュートな魅力を堪能できる相当好きな1曲!Eric B. & Rakim「I Know You Got Soul」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=DX81UYG1ejE

「Depend on Myself」
Dallas Austinプロデュース。ダークなストリート感覚がグッド!Bar-Kays「Son Of Shaft」、「Humpin'」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=5HmrPNA9esA

「Conclusion」
アルバムの余韻に浸るエンディング。

良く悪くも90年代前半らしいポップなジャケはご愛嬌ですな(笑)
posted by ez at 01:43| Comment(4) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月21日

Jon Lucien『Mind's Eye』

魅惑のバリトン・ヴォーカル&スキャット☆Jon Lucien『Mind's Eye』
マインズ・アイ(紙ジャケット仕様)
発表年:1974年
ez的ジャンル:ソウル&ジャズ&ブラジル系カリビアン男性シンガー
気分は... :心の眼を輝かせて!

今日はJon Lucien『Mind's Eye』(1974年)です。

Jon Lucien(1942-2007年)は、カリブ海ヴァージン諸島のトルトラ島生まれのシンガー/ソングライター。

1960年代半ばからN.Y.でミュージシャンとして活動するようになり、1970年に1stアルバム『I Am Now』をリリース。続く『Rashida』(1973年)、『Mind's Eye』(1974年)、『Song For My Lady』(1975年)といった作品では、Larry Rosen & Dave Grusinの強力コンビが制作を手掛けています。

1980年代後半のUKクラブシーンで再評価が高まり、日本でも『Rashida』『Mind's Eye』の2枚はフリーソウル・ファンで人気の作品となりました。2007年8月に惜しくも逝去。

ジャズとソウルとブラジル音楽が融合した独自のサウンドと、 Nat King ColeやLou Rawlsを彷彿させるバリトン・ヴォーカル&スキャットは、1990年代にクラブジャズ/レア・グルーヴ/フリーソウルの流れと見事にリンクしました。よくやく時代がJon Lucienの音に追いついたのかもしれませんね。

僕もフリーソウルのコンピでJon Lucienの名を知り、その後『Rashida』『Mind's Eye』の2枚をゲットしました。そのブラジリアン・フレイヴァーのサウンドから、てっきりブラジル人だと思い込んで聴いていました(笑)

今回、『Rashida』『Mind's Eye』のどちらにするか迷いましたが、人気曲「Listen Love」 が聴きたかったので『Mind's Eye』をセレクト。

『Mind's Eye』(1974年)は、グラミー賞にノミネートされた『Rashida』(1973年)に続く3rdアルバムです。『Rashida』よりも開放的な仕上がりが特徴ですね。

全曲Jon Lucienのオリジナルです。Larry Rosenがプロデュースし、Dave Grusinがストリングス等を手掛けています。Jon Lucien(vo、b、g)以下、Cameron Brown(b)、 Steve Thornton(conga)、Richard Harrigan(ds)、 Mitch Kerper(p)というメンバーを中心に、Billy Butler(g)、John Tropea(g)、Ralph MacDonald(per)等もレコーディングに参加しています。

クラブジャズ・ファンも、ソウル・ファンも、ブラジル音楽ファンも魅惑のバリトン・ヴォーカル&スキャットを堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「A Sunny Day」
爽快なブラジリアン・グルーヴ。お得意のスキャットも存分に堪能できます!本作の持つ開放的なイメージを象徴する1曲なのでは?

「A Prayer for Peace」
ラブ&ピースなブラジリアン・フレイヴァーのアコースティック・ソウル。ブラジル音楽とニューソウルの素敵な融合ですね。ソウルフルな女性コーラス陣の絡みがグッド!

印象的なイントロはアシッド・ジャズの人気グループGalliano「Earth Boots」のネタにもなっています。
Galliano「Earth Boots」
 http://www.youtube.com/watch?v=EstWQQukPLk

「Adoration」
Jonのバリトン・ヴォーカル&スキャットとアコースティック・ギターの響きがよくマッチしたフォーキー・チューン。Dave Grusinによるストリングスがニューソウル的なムードを醸し出します。

「So Little Time」
『Rashida』収録の人気曲「Would You Believe in Me」と一緒に聴きたくなるグルーヴィーなソウル・チューン。かなりグッとくる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=0Yvqq2zaJX4

「Listen Love」
本作のハイライト。パーカッシヴなサンバのリズムが洪水のように押し寄せる、スピード感溢れるブラジリアン・フュージョン。クラブジャズ好きの人にはたまらない人気曲ですね。Jonの魅惑のスキャットを堪能しましょう!
http://www.youtube.com/watch?v=WT2ZTNjtZ24

この曲と言えば、United Future Organizationによるカヴァーも忘れちゃいけません!UFOらしく格好良くキメてくれます。
United Future Organization「Listen Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=-rMAM9ilhCA

「The Pleasure of Your Garden」
楽園モードの爽快なサンバ・チューン。アコースティック・ギターの優しいグルーヴ感がたまりません。ブラジル音楽好きの人はグッとくる 1曲だと思います。

「World of Joy」
憂いのあるアコースティック・ソウル。このミステリアスな雰囲気はDave Grusinによるものでしょうね。

「The Ghetto Song」
「Listen Love」、「So Little Time」と並ぶ人気曲。Curtis Mayfield的なカッチョ良さを持つリズミックなファンキー・ソウル。ソウル・ファンならば、この曲が一番グッとくるのでは?

「Soul Chant」
『Rashida』収録の人気曲「Kuenda」がお好きな人ならば気に入るであろうアコースティックなスキャット・チューン。

「When the Morning Comes」
だたただ美しいエンディング。Jonのバリトン・ヴォーカルとDave Grusinによるストリングスが素晴らしい朝の訪れを演出してくれます。

『Rashida』(1973年)もそのうち紹介したいと思います。

この魅惑のバリトン・ヴォイスでナレーションとかやると相当ハマったでしょうね。
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2009年06月20日

Marina Martensson『Fences』

スウェーデンのNorah Jones!ピュアなデビュー作☆Marina Martensson『Fences』
フェンシズ
発表年:2009年
ez的ジャンル:スウェディッシュSSW
気分は... :心に微風を!

今回はスウェーデンの新鋭シンガー・ソングライターMarina Martenssonのデビュー作『Fences』です。以前にも少し触れた最近のお気に入り新作の1枚です。

今月に入って、ブラジル人SSWのSuely Mesquita『Microswing』、アメリカ人SSWのDiane Birch『Bible Belt』、そしてスウェーデン人SSWのMarina Martensson『Fences』と3枚の女性SSWの新作アルバムを紹介していますが、三者三様の魅力があります。

本当に今年は女性SSWの当たり年だと思います。

Marina Martenssonはスウェーデン出身の女性シンガー・ソングライター。2003年、16歳の時にスウェーデン最大の音楽コンテストで優勝し、注目を集めるようになったようです。

このデビュー作ではPatrik BomanMax Schultzといったストックホルムの実力派ジャズ・ミュージシャンが、若き才能をサポートしています。プロデュースを手掛けたPatrik Bomanは、ダブルベース奏者、作曲・編曲家として活躍すると同時に、ジャズ・レーベルArietta Discsを主宰しています。Max Schultzもジャズ・ファンにはお馴染みの人気ギタリストですね。

そんな制作陣の関係もあり、SSWの作品と言いながら、非常にジャジーな仕上がりです。僕もCDショップのジャズ売場で本作に出会いました。なので、購入者もジャズ系リスナーが多いのでは?

"スウェーデンのNorah Jones"と形容されることが多いMarina ですが、少しハスキーなMarinaのなナチュラル・ヴォーカルとジャジーなバックのサウンドはNorah Jonesを彷彿させるものがあります。

あとはジャケ写真そのままのピュアな感じがヴォーカル&サウンドにも反映されています。聴いているだけで心が浄化されていきますね。

梅雨のジメジメ感を吹き飛ばす爽やかな1枚です。
心に微風が欲しい方はぜひお試しあれ!

全曲紹介しときやす。

「Coffee Everyday」
このオープニングを聴けば、何故彼女が"スウェーデンのNorah Jones"と形容されるのか、一発でわかると思います。Norah Jones「Don't Know Why」と一緒に聴きたくなる、安らぎを与えてくれる名曲。
http://www.youtube.com/watch?v=D-2L32GweUQ
http://www.myspace.com/marinamartensson

「One Hit」
この曲はMax Schultz作。70年代SSWの雰囲気を上手く受け継いだキャッチーな仕上がり。Max Schultzはギターでも大活躍です。

「Ticket To Ride」
ご存知Beatlesの名曲カヴァー。アーシーな味わいの絶品カヴァーに仕上がっています。アコギのみのシンプルな演奏がグッド!

「Falling in Love」
Tommy Berndtssonのピアノが光る、ジャズ寄りの仕上がり。落ち着いた雰囲気にジャズ・ファンにはグッとくるのでは?

「To Let You Go」
Marinaのピュアな魅力が全開の1曲。胸にグッとくるものがあります。
http://www.myspace.com/marinamartensson

「Sing A Lullaby」
「It Ain´t Much」
共にPatrik Boman作。「Sing A Lullaby」はジャジーに、「It Ain´t Much」はブルージーに...Bomanのノスタルジック・ムードのアレンジ・センスが光ります。

「Fences」
タイトル曲はSSWらしいアコギによる弾き語り。透明感溢れるピュアな仕上がりに心が浄化されます。
http://www.myspace.com/marinamartensson

「Show Me Who You Are」
「Coffee Everyday」と並ぶ僕のお気に入り。ポスト・ノラ・ジョーンズらしい仕上がりの1曲。聴いていると、胸が締めつけられるような思いになるのは何故?

「You Little Deceitful You」
トラディショナルな雰囲気の1曲。デモ・テープのような仕上がりがグッド!

「I Do Care」
ラストはジャジーな雰囲気でしっとりと締めくくります。Tommy Berndtssonのピアノが実にロマンティック! Patrik Boman作。

The Quiet Nights Orchestra『Chapter One』Ingela『All These Choices』、そして本作とスウェーデン人アーティストの新作はいいですね。北欧アーティストの持つジャジー感覚は、僕の嗜好のど真ん中なのかもしれません。
posted by ez at 03:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする