2009年06月03日

4Hero『Parallel Universe』

ドラムンベースの金字塔☆4Hero『Parallel Universe』
Parallel Universe
発表年:1994年
ez的ジャンル:ドラムンベースのパイオニア
気分は... :手抜きコメントですがご勘弁を!

今回は4Heroの2ndアルバム『Parallel Universe』(1994年)です。

以前に紹介したGoldie『Timeless』と並ぶドラムンベースの名作ですね。

4Heroは、DegoMarc Macの2人によるユニット。グループ結成時には4名体制でしたが、2名は自身のレーベル運営に専念するためにグループを脱退します。

1991年にデビュー・アルバム『In Rough Territory』をリリース。2nd『Parallel Universe』(1994年)でドラムンベースのトップランナーとしての地位を確立し、2枚組の大作となった3rd『Two Pages』(1998年)ではより音楽性の幅を広げや完成度の高いサウンドを聴かせてくれました。1995年にはJacob's Optical Stairway名義でのアルバム『Jacob's Optical Stairway』もリリースしています。

2001年リリースの4thアルバム『Creating Patterns』以降はドラムンベースの枠を飛び越え、ジャズ/ソウル色を強めたクラブ・ミュージックを展開しています。

また、Degoは4Heroでの活動と並行して、2000Black(自身のレーベル名でもある)やDKDといったユニットでも作品をリリースしています。多分、昨日紹介したRoy Ayersの楽曲「2000Black」に由来していると思います。

僕の場合、『Creating Patterns』以降の4Heroを全くフォローしていなかったため、どうしても「4Hero=ドラムンベース」といったイメージを抱きがちでしたでしたが、昨年Degoの別ユニット2000Black『A Next Set A Rockers』を聴き、自分の誤った認識に気付いたと同時に、シーンにおける彼らの存在感の大きさを再認識した次第です。

久々に『Parallel Universe』『Two Pages』の2枚をまとめて聴き直してみましたが、比べてみると好対照の2枚ですね。

バラエティに富んだ構成の『Two Pages』と比較すると、『Parallel Universe』は良くも悪くも最初から最後までドラムンベースの洪水ですね。また、『Two Pages』は、Talkin' Loudからリリースされた作品らしく、オーガニックなサウンドが聴けるのに対して、『Parallel Universe』はデトロイト・テクノからの影響が色濃く反映されています。

現在の僕の音楽嗜好からすれば『Two Pages』が好みですが、たまに聴くならば『Parallel Universe』の方が刺激的かもしれません。

記事を書いて初めて気付いたのですが、本作って入手困難になっているんですね。しかも、ジャケが僕が保有しているものと異なっています。自分が持っているCD(1995年発売の国内盤)のジャケがオリジナルだと思っていたのですが、どうなんだろう?

全曲紹介しときやす。

「Universal Love(4 Hero Remix)」
Carol Crosbyの女性ヴォーカルとサックスをフィーチャーした名曲。いかにもドラムンベースを聴いた気分になれるのがいいですね。家で聴いても十分に楽しめるエレガントさがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=h5B6W5G4XCE

「No Imitation」
重心の低いベース音とパーカッシヴなビートがいい感じの1曲。聴いているうちにサウンドの中に吸い込まれそうな中毒性のある1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=8IjUdmvFt1I

「Parallel Universe」
タイトル曲はドラムンベースらしい忙しない清涼感(?)を堪能できます。僕にとっては冷却シートのような1曲(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=yUhzCUQJTe0

「Talk Around Town」
頭の中を空っぽにしたい時に聴きたい曲ですね。しかも大音量で!
http://www.youtube.com/watch?v=wjYnIS7swAw

「Follow Your Heart (Pt. 1) 」
「Wrinkles in Time」
「Terraforming」
http://www.youtube.com/watch?v=BFJIwg-Sdx8
夜中仕事しながら聴いていると、アドレナリン出まくりそうな3曲。これでもかというように畳み掛けてきます!

「People Always Criticize Us」
「Follow Your Heart (Pt. 2) 」
http://www.youtube.com/watch?v=f6Dq-7jrOwA
透明感のある仕上がりの2曲。家で聴くにはこのくらいの感じがちょうどいいかも?

「Shadow Run」
2分半に満たない曲ですが、アルバムの中でいいアクセントになっているのでは?

「Sunspots」
この曲はハウスっぽいですね。らしくはありませんが、これはこれで好き!

「Sounds from the Black Hole」
エレガントなピアノがフィーチャーされた1曲。忙しない美しさ(?)を堪能しましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=LE7SIKZ9R3Q

「Power to Move the Stars」
この曲はかなり僕好み。ヒンヤリ・モードの仕上がりがたまりません!
http://www.youtube.com/watch?v=nSDofaZ6laU

「Solar Emissions」
雄大な大自然の映像が連想されます。
http://www.youtube.com/watch?v=RvUDBRypYXo

「Universal Love」
オープニング「Universal Love(4 Hero Remix)」のオリジナル。こちらも素晴らしいです。

ドラムンベース・オンパレードのアルバムで1曲ごとにコメントするのは難しいですね(泣)手抜きコメントですが、頭も全然回転しないし...何卒ご勘弁を!
コメントはあてにせず、YouTube音源をお楽しみください。

そう言えば、2000Black『A Next Set A Rockers』の記事を投稿した時、前日はRoy Ayersの『Vibrations』を紹介していました。今回もRoy Ayersの『He's Coming』を紹介した翌日に4Heroの記事を投稿しています。僕の潜在意識の中で何かつながりがあるのかもしれませんね(笑)
posted by ez at 04:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月02日

Roy Ayers Ubiquity『He's Coming』

歓喜の初CD化!レア・グルーヴ・ファンは必聴の1枚☆Roy Ayers Ubiquity『He's Coming』
He's Coming
発表年:1972年
ez的ジャンル:ミステリアス&スピリチュアル系ブラック・グルーヴ
気分は... :ようやく全編通しで聴けた!

みんな大好き!ヴァイヴ奏者Roy Ayersの2回目の登場です。

『Vibrations』(1976年)に続いて紹介するのは、『He's Coming』(1972年)です。

本作『He's Coming』はUbiquity名義での第一作であると同時に、名作の呼び声が高い作品でしたが、なかなかCD化されず、長年CD化待ち望まれた1枚でした。

そんな入手困難な作品のCD化が遂に実現!
多くのファンが手頃な価格で本作をゲットでき、歓喜の雄叫びを上げているのでは?

僕も即CDをゲットし、ようやく初めて全編通しで聴くことができました。
名曲「We Live in Brooklyn Baby」が素晴らしいのは勿論のこと、評判通りの捨て曲ナシの充実作でした。全体的にはミステリアス&スピリチュアルなブラック・グルーヴといった印象ですね。

メンバーは、Roy Ayers(vib、org、vo)、Harry Whitaker(el-p、org、vo)、Sonny Fortune(ss、fl)、Bob Fusco(g)、Sam Brown(g)、John Williams(b)、Ron Carter(b)、Billy Cobham(ds、per)、David Lee, Jr.(ds)、Jumma Santos(conga)、Carol Smiley(back vo)、Gloria Jones(back vo)、Victoria Hospedale(back vo)、Selwart Clarke(strings)という布陣です。Roy Ayers以外では「We Live in Brooklyn Baby」の作者でもあるHarry Whitakerの貢献が大きいですね。

ブラックネスに充ちたジャケも秀逸ですね。
Hip-Hopファンは本作ジャケをモチーフにしたSmif-N-Wessun『Dah Shinin'』(1995年)のジャケと並べて眺めたいですよね。

Smif-N-Wessun『Dah Shinin'』(1995年)
ダ・シャイニン

未入手のレア・グルーヴ・ファンは即ゲットして、名作を存分に堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

「He's a Superstar」
クールなグルーヴ感がカッコ良いジャズ・ファンク。エレクトリック・マイルスにも通じる覚醒感があります。内に秘めたファンクネスって感じがグッド!DJ Shadow「Hindsight」でサンプリングされています。

DJ Shadow「Hindsight」
 http://www.youtube.com/watch?v=a-KwXqUyYmM

「He Ain't Heavy He's My Brother」
The Hollies、1969年のヒット・シングルをカヴァー。ヴァイヴ、エレピ、フルートが織り成す、少しミステリアスなメロウ・ワールドが心地よいですね。

The Hollies「He Ain't Heavy He's My Brother」
 http://www.youtube.com/watch?v=C1KtScrqtbc

「Ain't Got Time」
Royのポエトリー・リーディングに近いヴォーカルが印象的なメロウ・グルーヴ。アングラ・ジャジーHip-Hop好きの若いリスナーの方が聴くと、かなりグッとくるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=G-3-M9b7sX0

Pete Rock & C.L. Smooth「Carmel City」、Showbiz & A.G.「Hard To Kill」でサンプリングされています。

Pete Rock & C.L. Smooth「Carmel City」
 http://www.youtube.com/watch?v=dy8mu2_RbzA
Showbiz & A.G.「Hard To Kill」
 http://www.youtube.com/watch?v=A4BDb0ZoU1A

「I Don't Know How to Love Him」
ミュージカル『Jesus Christ Superstar』の挿入歌であり、Yvonne Elliman、Helen Reddy等多くのアーティストがカヴァーしています。ここではメロウ・ヴァイヴが響き渡るバラードで聴かせてくれます。

本作とは全く関係ありませんが、英オーディション番組『Britain's Got Talent』への出場で一躍時の人となった48歳のオバちゃんSusan Boyleさんが、若かりし頃に本曲を歌う映像をYouTubeで見つけたので紹介しておきます(笑)
Susan Boyle「I Don't Know How to Love Him」(1984年)
 http://www.youtube.com/watch?v=paHUToGP518

「He's Coming」
タイトル曲はラテン・テイストのオルガン・グルーヴ!Jimmy Smith『Root Down』あたりと一緒に聴きたくなります!Sonny Fortuneのフルート&サックスも盛り上げてくれます!

「We Live in Brooklyn Baby」
本作のハイライト。ミステリアス&スピリチュアルなブラック・グルーヴ。いつ聴いても心の奥まで入り込んでくる名曲ですね。本曲のみRon Carterがベースを弾いています。サンプリング・ネタとして大人気なのも頷けます!というか終盤の展開はHip-Hopの原型みたいな感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=ltcLQMz1myY

本曲をサンプリングした曲として、Blackmoon「Reality」、Chi-Ali「Age Ain't Nothin' But a #」、Digable Planets feat. Guru「Borough Check」、Galliano「Power And Glory」、Mos Def「Brooklyn」、Smif-N-Wessun「Home Sweet Home」、RBX「Our Time Is Now」等があります。

Blackmoon「Reality」
 http://www.youtube.com/watch?v=PbbZg--VwS0
Chi-Ali「Age Ain't Nothin' But a #」
 http://www.youtube.com/watch?v=cBYkWnHSA98
Digable Planets feat. Guru「Borough Check」
 http://www.youtube.com/watch?v=obOIA-zo1SI
Galliano「Power And Glory」
 http://www.youtube.com/watch?v=flUbQZOtq6E
Mos Def「Brooklyn」
 http://www.youtube.com/watch?v=ASLrnWoDEZI
Smif-N-Wessun「Home Sweet Home」
 http://www.youtube.com/watch?v=SWJ_LUbsAiQ
RBX「Our Time Is Now」
 http://www.youtube.com/watch?v=yne43PSd3v0

「Sweet Butterfly of Love」
Sandy Hewittによる女性ヴォーカルをフィーチャーしたスピリチュアル・チューン。深遠な雰囲気が印象的です。

「Sweet Tears」
Roy Ayers自身が参加したNuyorican Soulによるカヴァーでもお馴染みの1曲。クールな展開ながらもジワジワ高揚してくる不思議な魅力を持っていますね。
http://www.youtube.com/watch?v=EZiPitqcFfM

Nuyorican Soul「Sweet Tears」
 http://www.youtube.com/watch?v=MYyczmhdFJE

「Fire Weaver」
ラストはストリングスも加わったジャズ・ファンク・チューン。ヴァイヴの鳴り具合も軽やかです!今年惜しくも逝去したサックス奏者David "Fathead" Newmanがカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=cpFbLFLnEek

スピリチュアル・ジャズ/ファンク好きの方は、本作でも大活躍のHarry Whitakerによる『Black Renaissance』(1976年)もどうぞ!
Black Renaissance
Black Renaissance
posted by ez at 01:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月01日

Suely Mesquita『Microswing』

ブルージー感覚が魅力のブラジル人女性SSW☆Suely Mesquita『Microswing』
Suely Mesquita.jpg
発表年:2008年
ez的ジャンル:ブルージー・ブラジリアンSSW
気分は... :この雰囲気は実に新鮮...

個人的に今年は北欧、ブラジル等の非英語圏の女性シンガー・ソングライターの新作にグッとくるものが多いですね。

最近で言えば、"スウェーデンのNorah Jones"ことMarina Martenssonのデビュー作『Fences』がサイコーです。

今日紹介するブラジル人女性シンガー・ソングライターSuely Mesquitaの2ndアルバム『Microswing』(2008年)も今年のお気に入り女性SSWアルバムの1枚です。作品自体は昨年リリースされたものですが、購入したのが今年に入ってからなので、僕の中では今年の作品という扱いになっています。

Suely Mesquitaについて知っているのは、リオデジャネイロ出身のカリオカであり、2002年に1stアルバム『Sexo Puro』をリリースしているということくらいです。ちなみに『Sexo Puro』は先日紹介したばかりのCelso Fonsecaがプロデュースを手掛けたようです。

何の予備知識もなく、CDショップのブラジル音楽コーナーで魅惑のジャケに興味を持ち試聴したのが本作でした。そして、1曲目の「Zona E Progresso」を聴き終えた頃には、購入を決めていました。

「USルーツ・ミュージックとブラジル音楽が素敵な出会いをしたアルバム!」というのが僕の本作に対する印象です。「Zona E Progresso」に代表されるブルージーな感覚のブラジル音楽はかなり新鮮でした。新感覚のブラジル音楽として聴いても、英米にはないSSW作品として聴いてもフレッシュな印象を受けると思います。その意味では、ブラジル音楽ファンに止まらない広い間口を持ったアルバムだと思います。

プロデュースはリオ出身のギタリストJoao Gaspar。昨年ソロ・アルバムもリリースしており、日本のCDショップでも輸入盤をゲットできるはずだと思います。Joaoのギターも本作を魅力的な作品に押し上げている重要な要素だと思います。

国内盤が発売されることはないでしょうし、輸入盤もいつ入手困難になってもおかしくない作品だと思うので、気になる方は早めにゲットした方が良いと思います。

色気はあるけど甘くなりすぎない、キレとコクのある辛口のブラジル音楽を堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Zona E Progresso」
このオープニング曲を試聴して本作の購入を即決しました。こんなにもブルージーに洗練されたブラジル音楽に出会ったのは初めてであり、かなりグッときましたね!ボサノヴァの気だるさとは異なる、USルーツ・ミュージック的なユルさがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=6MY2NqSKX7Y

「Imenso」
個性豊かな女性MPBシンガーZelia Duncanがソングライティング&ヴォーカルで参加しています。シンプルながらも推進力のあるヴォーカル&バックがいいですね!Zelia Duncanのヴォーカルも迫力満点!
http://www.youtube.com/watch?v=X5mE6gqgwpA

「Realejo」
この曲はMPBらしい仕上がりです。ミステリアスな雰囲気がたまりません。

「John Wayne」
ハリウッドを代表する西部劇の大スターをタイトルに冠しています。サウンドもブルージー&レイジーにまとめられています。しかしながら、こうした雰囲気の曲でも決して土臭くなりすぎないのが本作の特徴かもしれません。

「Longe」
ブラジル音楽ファンにはお馴染みの男性アーティストZeca Baleiroとのデュエット(作詞もZeca Baleiro)。サウダージ気分を満喫できる素敵なデュエットです。

「On The Rocks」
哀愁のジャズ・サンバ。キレのある辛口な仕上がりがグッド!

「Catastrofe」
大人の子守唄といった趣の1曲。このゆったり感に癒されます!

「Quelquer Lugar」
Trash Pour 4のメンバーNatalia Malloがソロ・アルバムのタイトル曲にした楽曲をSuely自身がセルフカヴァーしています。Suelyのソングライティング能力の高さを証明する1曲なのでは?大人のウエット感がたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=z5urP3C5ZMM

Natalia Mallo「Qualquer Lugar」
 http://www.youtube.com/watch?v=9v0eYlRbAA0

「Vira Lixo」
「Zona E Progresso」と並ぶ僕のお気に入り。メランコリック・モードで一人感傷的になりたい気分の1曲。Joao Gasparのギターが素晴らしいの一言です。
http://www.youtube.com/watch?v=X0FfAO7dsgQ

「Mertiolate」
しみじみと胸に沁みてくるボッサ・チューン。こういった曲でも決して甘くなりすぎないのがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=K5Unn8wxufg

「Cancao Brega」
子供の声入りのラブリーな1曲。本曲に限らず何でブラジル音楽やボッサ・チューンって、こんなに子供の声とマッチするんですかね。

「Blues Pra Ryta」
最後はブルージーに決めてくれます。ブラジル音楽よりも、USルーツ音楽好きがグッとくる演奏なのでは?終盤でみんなで動物の雄叫びをしているのも楽しめます。

興味のある方は1st『Sexo Puro』もどうぞ!
Sexo Puro
Sexo Puro
posted by ez at 04:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする