2009年07月09日

Maxwell『Embyra』

Maxwellワールド全開!官能のスタジオ第2作☆Maxwell『Embyra』
Embrya
発表年:1998年
ez的ジャンル:孤高の官能R&Bシンガー
気分は... :新作を購入すべきか?

孤高の官能R&BシンガーMaxwellです。彼の紹介は2回目になります。

『Maxwell's Urban Hang Suite』(1996年)に続いて紹介するのは、2ndスタジオ作『Embrya』(1998年)です。

数日前に待望の新作『BLACKsummers'night』がリリースされました。
前作『Now』(2001年)以来、約8年ぶりの新作となります。

2007年頃から『BLACKsummers'night』のタイトルで新作が出ると言われていましたから、苦節3年ようやくリリースまで漕ぎ着けたといったところでしょうか。

『BLACKsummers'night』
BLACKsummers'night

その『BLACKsummers'night』ですが、購入するか否か迷っている状態です。

「Pretty Wings」(From『BLACKsummers'night』)
 http://www.youtube.com/watch?v=9RBfjHXfvrk

「Bad Habits」(From『BLACKsummers'night』)
 http://www.youtube.com/watch?v=iuzRtalasxQ

「Cold」(From『BLACKsummers'night』)
 http://www.youtube.com/watch?v=brnHRhHWcOw

良く言えば、R&Bシンガーとして成熟したMaxwellに出会えるアルバムという気もしますし、悪く言えば、昔のような圧倒的な個性が薄れてしまったような気がします。

そこで昔の作品を改めて聴いてみようと思い、CD棚から『Embrya』(1998年)を引っ張り出した次第です。

デビュー作『Maxwell's Urban Hang Suite』(1996年)の成功で、ネオ・ソウル世代の官能R&Bシンガーとして一躍注目の存在となったMaxwellが、スタジオ・ライブ『MTV's Unplugged』(1997年)を挟んでリリースしたスタジオ2作目が『Embrya』です。

『Maxwell's Urban Hang Suite』は、"男性版Sade"と称されたほど、アーバン&スタイリッシュなサウンドが印象的でした。

それと比較した場合、本作『Embrya』はサウンド面よりも、真実の愛を求めて、自らの内面を掘り下げていく、哲学的・内省的な世界観が大きく支配しているアルバムという印象が強いですね。サウンド面で言えば、ストリングスも含めた官能グルーヴが目立ちますね。官能グルーヴと言っても、何処か寂しげなのですが...

その意味でMarvin Gayeの持つ官能の世界と、Princeの持つ孤独かつ内省的な世界をネオ・ソウル感覚で仕上げたアルバムといったところでしょうか。

本作も『Maxwell's Urban Hang Suite』同様、全曲セルフ・プロデュースしています(Stuart Matthewmanとの共同プロデュースを含む)。

Maxwellの世界観が全面的に打ち出されたアルバムであり、好き/嫌いが明確に分かれる作品かもしれませんが、彼の持つ圧倒的な個性に出会うことができます。

全曲紹介しときやす。

「Gestation: Mythos」
オープニング曲に先立つ序章として、詩のみが示されています。

「Everwanting: To Want You To Want」
Maxwellのファルセットにグッとくる官能的なミッド・グルーヴ。単にセクシーというだけではなく、クールな雰囲気の中に内省的なものを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=MOF6RWKO6Og

「I'm You: You Are Me and We Are You (Pt. Me and You) 」
♪僕は君、君は僕♪僕達は二人で一つ♪と歌う、本作の世界観を象徴する哲学的なラブソング。サウンド的には重心の低いベースと優雅なオーケストレーションが印象的なミッド・ファンクに仕上がっています。美しくも何処か寂しげなのは何故?
http://www.youtube.com/watch?v=mdd63ga3NCw

「Luxury:Cococure」
アルバムからの1stシングル。真実の愛を探求する内省的なラブソング。どんどん内なる世界へと向かっていくのがMaxwellらしいかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=4YW-aqJZUNM

「Drowndeep: Hula」
ヘヴンリーな幸福感に包まれるラブソング。それまでの3曲に比べて、穏やかで安らいだ雰囲気があるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=DmLJQ7Leyc4

「Matrimony: Maybe You」
一番のお気に入り曲。2ndシングルにもなりました。美しく官能的なラブソングに仕上がっています。本作を支配する哲学的・内省的な雰囲気はあまり感じないので最も聴きやすいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=oukYoxmt2bE

「Arroz Con Pollo」
「Matrimony: Maybe You」からシームレスに続くインスト。官能的なギターがリードするファンク・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=WOlKerkyoeg

「Know These Things: Shouldn't You」
良くも悪くもヘヴィな雰囲気が支配するラブ・バラード。官能のファルセットで心の奥へと向かいます。
http://www.youtube.com/watch?v=fjaYL837reI

「Submerge: Til We Become the Sun」
静かなる疾走感が心地好い1曲。時計の秒針のように刻まれるリズムをバックに、官能のファルセット・ヴォーカルが波のように押し寄せてくる感じがたまりません!
http://www.youtube.com/watch?v=m5N8lh9Nm6g

「Gravity: Pushing to Pull」
哀愁モードのミッド・ファンク。オーケストレーションも含めて、なかなかスケール感の大きな1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Cr-m4ffKG08

「Each Hour Each Second Each Minute Each Day: Of My Life」
Maxwellのセクシーな魅力が存分に堪能できるミディアム・スロウ。クドいくらい長いタイトルがMaxwellらしい(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=RHQOu4xXiI4

「Embrya」
タイトル曲は不協和音のストリングスと逆回転テープのループによる実験的なインスト。この訳のわからない感じこそが本作の世界なのでしょう(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=myvm1HI-fVM

『BLACKsummers'night』の購入は...もう少しよく考えます。
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2009年07月08日

Jefferson Airplane『Volunteers』

混迷するアメリカへの痛烈なメッセージ☆Jefferson Airplane『Volunteers』
Volunteers
発表年:1969年
ez的ジャンル:反戦・反体制社会派ロック
気分は... :時代を動かそう!

シスコ・ロックを代表するグループJefferson Airplane(JA)の3回目の登場です。

『Bless It's Pointed Little Head』(1969年)、『Surrealistic Pillow』(1967年)に続いて紹介するのは『Volunteers』(1969年)です。

『After Bathing at Baxter's』(1967年)と並んでJA最高傑作の呼び声の高い作品ですね。個人的にも一番好きなJA作品が本作『Volunteers』です。

ジャケの雰囲気からして、反戦、反体制といった雰囲気が漂っていますよね。

本作におけるメンバーは、Marty Balin(vo)、Grace Slick(vo、p、recorder)、Paul Kantner(vo、g) 、Jorma Kaukonen(g)、Jack Casady(b)、Spencer Dryden(ds)という6名。このJA最強布陣6名が揃った最後のアルバムとなりました。

ベトナム戦争の泥沼化で混迷を深めていた社会状況下で、最強メンバー6名が最後に結束してクリエイトした渾身のメッセージ・アルバムなのでは?

サウンドは良くも悪くも60年代後半の音そのものですが、60年代の空気を感じ取るという意味では楽しめると思います。

さらに本作では、Nicky Hopkins(p)、Stephen Stills(org)、Jerry Garcia(g)、David Crosby(music、sailboat)等がゲスト参加しています。David Crosbyの"music、sailboat"というクレジットがよくわかりませんが(笑)

本作の持つメッセージは、政治が機能せず、ワーキング・プアが増え、貧困が切迫した社会問題となっている、どこかの島国の人々にもグッとくるのでは?

全曲紹介しときやす。

「We Can Be Together」
Paul Kantner作のオープニング。タイトルからもわかるように、愛と平和を訴えるメッセージ・ソングです。実は僕が一番好きなJAソングが本曲です。ヒッピー、フラワー・ムーヴメント、反戦、反体制...彼らの持つ様々な要素が本曲のメッセージ&サウンドに凝縮されている気がします。Nicky Hopkinsがピアノで参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=bWhWMYqDNtk

「Good Shepherd」
トラディショナル・ソングをJorma Kaukonenがアレンジしたもの。ブルージー&フォーキーな独特の雰囲気がたまりません。密かに好きな1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=lOWX2-l788A

「The Farm」
Paul Kantner/Gary Blackman作。Jerry Garciaがペダル・スティールで参加。正直、僕の苦手なイモ臭いカントリー調の仕上がりなのでパス(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=VI-h51hAsEA

「Hey Frederick」
Grace Slick作。Nicky Hopkinsがゲスト参加しています。8分超のドラマティックな展開の大作です。へヴィな前半から一気に弾けるスリリングな中盤、ブルージーな後半と様々な表情のサウンドを楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=w25xghugIdg

「Turn My Life Down」
Jorma Kaukonen作。Stephen Stillsがハモンド・オルガンで参加。コンガも加わわり、なかなかグルーヴィーで格好良い演奏を聴かせてくれます。Stephen Stills絡みで言えば、Manassasが好きな人は気に入ると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=13Di9Uld7jw

「Wooden Ships」
David Crosby/Paul Kantner/Stephen Stills作の話題曲。Crosby, Stills & Nashのヴァージョンでもお馴染みの曲ですね。Crosby所有のヨットが本作を生むきっかけとなったことから、Crosbyのクレジットにsailboatとあるのでしょうね。CS&Nヴァージョンと比較するとJAヴァージョンの方がサラっとした仕上がりですが、それでも味わい深いことには変わりありません。
http://www.youtube.com/watch?v=hIccZsURyLc

Crosby, Stills & Nash
 http://www.youtube.com/watch?v=SqLy-Ks8viw

「Eskimo Blue Day」
Grace Slick/Paul Kantner作。ドラマティックな演奏はJA流プログレといったところでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=d7epbdQ4YYI

「A Song For All Seasons」
Spencer Dryden作。「The Farm」同様、イモ臭いカントリー調の仕上がりなのでパス(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=sjaL_zU7buY

「Meadowlands」
ロシア民謡「Polyushko Pole」をGraceがオルガン・ソロで弾きます。続く「Volunteers」への流れを考えると意味深な構成ですな。
http://www.youtube.com/watch?v=vuG2Itxjl6U

「Volunteers」
タイトル曲は痛烈な反戦、反体制のメッセージ・ソング。シングルにもなりました。なかなかパンチの効いた仕上がりです。Nicky Hopkinsのピアノも冴えています。
http://www.youtube.com/watch?v=SboRijhWFDU

本当は今日はGrateful Deadの作品を取り上げようと思ったのですが、どうもDead作品って書きづらいんですよね。ということでJAへ変更してしまいました。CD所有枚数や聴く回数で言えば、Deadの方が多いのですが....Dead作品には近々再チャレンジしてみます、
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2009年07月07日

Swing Out Sister『Kaleidoscope World』

センス抜群のポップス感覚が開花した2nd☆Swing Out Sister『Kaleidoscope World』
Kaleidoscope World
発表年:1989年
ez的ジャンル:良質メロディ&アレンジ系UKポップス
気分は... :星に願いを...

今日は七夕ですね。

七夕気分に合う作品は?なんて思いながら、CD棚を眺めながら手にしたのが...
今日の1枚Swing Out Sister『Kaleidoscope World』(1989年)です。

なんでこの作品が七夕なの?と言う気もしますが...僕的には良質なポップスを聴きたい気分なので。

Swing Out Sister(SOS)の紹介は、『Shapes And Patterns』(1997年)に続き2回目となります。

日本での過剰な人気ぶりと大ヒット曲「Breakout」のイメージのせいで、洋楽ファンの方の中にはSwing Out Sisterを毛嫌いする方もいるようですが、なかなか侮れないと思います。と言いつつ、僕も昔はこっそりSOSを聴いていたのですが(笑)

そんなSOS作品の中でも、『Shapes And Patterns』と並んでお気に入りなのが、今日紹介する2ndアルバム『Kaleidoscope World』(1989年)です。

Martin Jacksonが脱退し、Corinne DreweryAndy Connellのデュオ体制となった最初の作品です。

SOS流ポップスを確立した作品として、サバービア・ファンにも人気の1枚ですね。
昔懐かしいポップスや映画音楽と80年代らしいスタイリッシュなサウンドを融合した、レトロだけど新しいポップスを聴かせてくれます。

プロデューサーはSOS作品でお馴染みのPaul O'Duffy。オーケストラ・アレンジでJimmy Webbが参加しているのも本作の話題かもしれません。

意外と王道ポップスしているのにグッときます!
良質なメロディ、アレンジ、サウンドと三拍子揃ってますよ!

全曲紹介しときやす。

「You on My Mind」
シングルにもなったオープニングは軽やかに!Burt Bacharach風ポップスをSOSらしいスタイリッシュな感覚で仕上げたって感じがサイコーですね!Corinneのヴォーカルも実に華やかな雰囲気が漂います。
http://www.youtube.com/watch?v=BcOkAXCZPA8

「Where in the World」
この曲もシングルにもなりました。 The 5th Dimensionのメロディ&コーラスと80年代サウンドが上手く融合しています。終盤のスパニッシュ・ギターとヴァイヴによる映画音楽風の展開もオシャレ!
http://www.youtube.com/watch?v=HLzWhHKlPwM

「Forever Blue」
Jimmy Webbがオーケストラ・アレンジで参加しています。ラブロマンス映画の主題歌にぴったりなロマンティック&エレガントな王道ポップスに仕上がっています。John Barry「The Midnight Cowboy Theme」(映画『真夜中のカーボーイ』のテーマ)をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=35S2Ox0SbCg

「Heart for Hire」
昔ながらの良質なポピュラー・ソングって感じにグッときます。エレガントな華やかさがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=4Q6Yy6idK9U

「Tainted」
この曲は80年代テイストが少し強調されたシンセ・ポップです。 頭のメロディを初めて聴いた時、一瞬Beatles「Ticket To Ride」のカヴァーかと思いました(笑)

「Waiting Game」
「Breakout」路線がお好きな人向けの1曲。そうは言っても、本作らしい良質なポップス感もきちんと盛り込まれています。
http://www.youtube.com/watch?v=bu3yrQ77E1Y

「Precious Words」
Jimmy Webbのオーケストラ・アレンジ2曲目。個人的には一番のお気に入り。60年代ポップスや映画音楽がお好きな方は気に入るであろう、レトロだけど新しい小粋なポップスに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=4YJ38h_jIAQ

「Masquerade」
メンバー本人が"この曲はEnnio Morriconeだね!"と語った1曲。まさにそんな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=qwXe4UQjp_0

「Between Strangers」
ホーン・アレンジが絶妙!と思ったら...Jerry Heyのアレンジでした。さすがですね。
http://www.youtube.com/watch?v=ULgMpzTOZG8

「Kaleidoscope Affair」
エンディングはストリングスを中心にした映画音楽風の仕上がり。アルバムの余韻を楽しむような1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=kKwyAzTvQ1I

その他CDには「Coney Island Man」「 Precious Words(Instrumental)」「Forever Blue(String Mix)」「Masquerade(Instrumental)」「Taxi Town」の5曲が追加収録されています。「Coney Island Man」あたりが小粋でグッドなのでは?

「Coney Island Man」
http://www.youtube.com/watch?v=KDIVA_p1F3w
posted by ez at 07:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月05日

Mongo Santamaria『Mongo '70』

古めかしさが魅力のラテン・ジャズ・ファンク☆Mongo Santamaria『Mongo '70』
Mongo '70
発表年:1970年
ez的ジャンル:ラウンジ系ラテン・ジャズ・ファンク
気分は... :古めかしさが逆に新鮮!

テニスのウィンブルドン女子決勝、ウィリアムス姉妹対決は妹のセレーナが去年の雪辱を果たし、3度目の女王に輝きました。ロシア勢、セルビア勢を中心に新旧交代が進んでいる印象を受ける女子テニスですが、ウィリアムス姉妹の今大会を観ると、そんな見方が誤りであることを痛感しました。

さて、今回はラテン/ジャズ・パーカッション奏者Mongo Santamariaのアルバム『Mongo '70』です。

日本人にはユースケ・サンタマリアの芸名の由来となったミュージシャンとしてもお馴染みですね。

Mongo Santamaria(1922-2003年)は、キューバ、ハバナ出身のパーカッション奏者。※出生年については諸説あるようです。

1950年にN.Y.へ進出し、Perez Prado楽団を経て、1951〜57年はTito Puente楽団、1957〜1960年はCal Tjaderのグループで活動していました。1959年にはJohn Coltraneの演奏でも有名なMongos作品「Afro Blue」を収録したアルバム『Mongo』をリリースしています。1960年代には自身のグループを率いるようになり、1962年にはHerbie Hancockの名曲カヴァー「Watermelon Man」をヒットさせて、一躍注目の存在となりました。

Mongo Santamaria『Watermelon Man』
Watermelon Man

その後もラテン、ジャズ、ソウル、ファンク等を融合したサウンドで人気を博し、コンスタントに活動を続けますが、2003年マイアミの病院にて死去しました。

Mongo Santamariaのように活動期間が長く、アルバムも数多くリリースしているアーティストって、どの作品から聴いたらいいのか悩みますよね(泣)

今日で言えば、『La Bamba』(1965年)、『Stone Soul』 (1969年) 、『All Strung Out』(1970年)、『Feelin' Alright』(1970年)、『Mongo '70』(1970年)、『Mongo's Way』(1971年)、『Up From the Roots』(1972年)、『Fuego』(1973年)あたりが良いのでは?と勝手に思っています。

そこで今回は『Mongo '70』(1970年)をセレクト。
ラテン/ジャズ/ファンクのラウンジ系クロスオーヴァー作として人気の作品です。

本作からバンドを再編し、Mongo Santamaria(conga、bongo)以下、Grant Reed(ts、fl)、Trevor Lawrence(bs)、Israel Gonzalez(tp)、Charles Williamson(cor)、Sonny Henry(g)、Neal Creque(p、el-p)、Roger Glenn(vib、fl)、Jon Hart(b)、Jimmy Johnson(ds)、Angel Allende(timbares、per)、Julio Colazzo(per)、Pelayo Diaz(per)、Osvaldo Martinez(per)というメンバーで構成される新バンドです。それ以外に人気ギタリスト Eric Gale (g)が2曲で客演しています。

全曲メンバーの作品です。特に半数以上の楽曲を提供し、アレンジも担当している新メンバー Neal Creque の貢献が大きいようです。

Mongo Santamaria未体験の方は、ラテンのイメージが強いかもしれませんが、本作などはむしろジャズ/ファンクの要素が強いファンキー・グルーヴがメインで、スパイス程度にラテンが効いているって感じです。

レトロな印象を受ける楽曲があるかもしれませんが、逆にその古めかしいサウンドが魅力になっている気がします。昔ながらの小汚い飲み屋が逆にオシャレみたいな.....

最近のモッドなUKジャズ・ファンクあたりがお好きな人が一番フィットする作品なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Windjammer」
ベースとエレピが生み出す黒いグルーヴ感がカッチョ良いファンク・チューン。ホーン隊も鳴り具合もファンキーでグッド!、

「Yesterday's Tomorrow」
本作のハイライト曲。Eric Galeのギターをフィーチャーしています。ストリングスも加わったキャッチー&ノスタルジックな哀愁グルーヴに仕上がっています。日本流に言えば、昭和の歌謡ムード満点って感じがたまりません。

「March of the Panther」
モロに古典マーチなイントロから一転、ご機嫌なファンキー・グルーヴを聴かせてくれます。ホーン隊がサイコーにキマっています!

「Look Away」
小気味良いボッサ・ビートが心地好い1曲。ラウンジ系の音がお好きな人には相当グッとくると思います。

「Night Crawler」
グルーヴィーなジャズ・ファンクという点ではこの曲が一番カッチョ良いと思います。パーカッションの鳴り具合もグッド!モッドなサウンドがお好きな人にオススメ!若いリスナーが一番グッとくる曲なのでは?

「The Whistler」
ノスタルジックな熱さを感じるファンキー・チューン。怪しく響くフルートが印象的です。

「Adobo Criollo」
本作唯一のモロにラテン/サルサな仕上がり。熱くならないクールな仕上がりがグッド!そのあたりがラウンジ系なんでしょうね。

「Mo' Do」
再びEric Galeをフィーチャーしたファンキー・グルーヴ。「Yesterday's Tomorrow」以上にEricのギターを堪能できます。

「Grass Roots」
「Night Crawler」と並ぶ僕のお気に入り。ラテンとファンクがいい感じでクロスオーヴァーしています。個人的にはこれ位ラテンのリズムが効いている方が好きです。トランペットがカッチョ良すぎ!

「Dedicated to Love」
ラストはレトロ・ムード満点なファンク・チューン。この古めかしさに何故かグッとくる!

ラテン音楽ファンには息子のMonguito Santamariaも外せないですね。特に2ndアルバム『Hey Sister』はラテン・グルーブ名盤として人気です。
Monguito Santamaria『Hey Sister』
Hey Sister
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2009年07月04日

Sa-Ra Creative Partners『Nuclear Evolution: The Age Of Love』

またまたヤバいものに出会ってしまったかも?☆Sa-Ra Creative Partners『Nuclear Evolution: The Age Of Love』
Nuclear Evolution: The Age of Love
発表年:2009年
ez的ジャンル:近未来&コズミック系ソウル/Hip-Hop
気分は... :BEPの新作とは月とすっぽん!

最近の各国チャートではBlack Eyed Peas(BEP)が売れているみたいですね。

その新作『The E.N.D.』ですが、僕は正直NGです。
Will.I.AmやFergieのソロも今一つの印象だったし、先行シングル「Boom Boom Pow」を聴いて不安が増大したのですが...やっぱりアルバムもダメでしたね!不安は的中してしまいまいました。ブックオフの250円コーナーに置かれるまで待ちます(笑)

彼らの持つユニークな個性は好きだったのですが、当ブログでも紹介した『Elephunk』の頃が懐かしい......

BEPが最近流行りのエレクトロ・サウンドへ大きくシフトしたこと自体は悪くはないと思いますが、出来上がりがアレじゃねぇ....

同じLA出身のHip-Hopユニットによるエレクトロ・サウンドでもSa-Ra Creative Partnersの新作『Nuclear Evolution: The Age Of Love』を聴くと、月とすっぽんという気がしてしまいます。

と言うことで今回はSa-Ra Creative Partnersの新作『Nuclear Evolution: The Age Of Love』です。

Taz ArnoldShafiq HusaynOm'Mas Keithの3人によるプロデューサー/クリエイター・ユニットSa-Ra Creative Partnersの紹介は、1stアルバム『The Hollywood Recordings』(2007年)に続き2回目となります。
※前作はSa-Ra名義で紹介していました。

一時は解散説も流れた彼らですが、2ndアルバムとなる本作『Nuclear Evolution: The Age Of Love』が無事リリースされて安堵のファンも多いのでは?

前作でも近未来&コズミックなHip-Hopを聴かせてくれた彼らですが、本作では更に進化した近未来&コズミック・ワールドを聴かせてくれます(タイトルにも反映されていますね)。もはやHip-Hopの枠組みには収まりきらない進化を遂げています。

前作『The Hollywood Recordings』を初めて聴いた時、"ヤバいものに出会ってしまったかも?"という印象を抱きましたが、今回は"更にヤバいものに出会ってしまったかも?"と思ってしまいます。

ゲストにはErykah Badu(当ブログでも紹介したErykahの『New Amerykah: Part One (4th World War)』でSa-Raが5曲プロデュース)、Gary Bartzといった有名どころから、前作から引き続き参加のRozzie Daime、Erika Roseといったキュートな女性ヴォーカル陣、J*DaVeY、Noni Lamar、Debi Nova、Stephen Bruner、Joseph Liemberg等が参加しています。

本作はDisc1に加えて、過去のシングルを収録したDisc2も付いたCD2枚組になっています。

Disc1、2合わせて全23曲という、ギャル曽根もびっくり(?)の特盛りですが、ボリュームだけではなく各曲の味も抜群!いろんな味を堪能できるので、あっという間に完食できるはずですよ!

全曲紹介しときやす。

「Spacefruit」
オープニングは近未来のカフェで流れていそうな心地好いボッサ・チューン。Debi Novaの女性ヴォーカルをフィーチャーしています。Hip-Hopのフィールドを軽々と飛び越えている感じがいいですね。英語に加えて、スペイン語でも歌われます。

「Dirty Beauty」
Erykah Baduをフィーチャー。レイジーなエレクトロ・チューンに仕上がっています。Erykahがこうしたアングラな仕上がりの曲に参加してくれるのが嬉しいですね!
http://www.youtube.com/watch?v=oZkjraPI7F8

ErykahとSa-Raと言えば、Erykahのシングル「Honey」のPVにSa-raのメンバーが出演していましたね(De La Soul『3 Feet High And Rising』のパロディ場面)。
Erykah Badu「Honey」
 http://www.youtube.com/watch?v=Jj4EdqY-IP0

「I Swear」
Noni Lamar、Rozzie Daimeという2人の女性ヴォーカリストをフィーチャー。ノスタルジックな浮遊感が漂うミステリアスな仕上がり。Rozzie Daimeは前作『The Hollywood Recordings』の人気メロウ・チューン「So Special」でもフィーチャーされていましたね。
Sa-Ra feat. Rozzi Daime「So Special」
 http://www.youtube.com/watch?v=UL1sQi74tQM

「Melodee N’mynor」
近未来ジャジーHip-Hopチューン。エレクトロとジャジーを違和感なく融合させてしまうあたりが素晴らしいです!
http://www.youtube.com/watch?v=ED-Ls2Dqtc8

「He Say She Say」
Sa-RaらしいコズミックなブラックホールHip-Hop。彼らの音世界にグイグイ吸い込まれていきます。

「Traffika」
不穏な空気と哀愁感が同居するダーク・チューン。いかにもアングラっぽい感じが好きです。

「Souls Brother」
フューチャー・ソウルなインスト。何気ないけどセンス抜群!

「Bitch Baby」
Sa-Raらしいヤバい感覚のフューチャー・ソウル。ヤバいけど結構キャッチーかも?

「Love Czars」
Noni Lamarの女性ヴォーカルをフィーチャー。Noni Lamarのソウルフルなヴォーカルとジャジーな生音バックにグッときます。

「Gemini's Rising」
Rozzie Daime & Noni Lamarの女性ヴォーカルをフィーチャーしたSa-Raらしいコズミック&フューチャーなエレクトロ・ソウル。こういうピコピコしている曲大好き!

「The Bone Song」
Brian Mcclendon & Rozzie Daimeの男女ヴォーカルをフィーチャーした大人のフューチャー・ソウル。近未来のアーバン・ナイトはこんな曲が流れているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=gEwIBjDMIVw

「White Cloud」
J*DaVeYのBrook D'Leauがシンセで参加。J*DaVeYはSa-Raと同じくLAを拠点に活躍する才能溢れるデュオですね。そんなBrook D'Leauのシンセ音が飛び交う、怪しい近未来サウンドを堪能できます。ヴォーカルはRozzi Daime & Lil' Kenny。

「Move Your Ass」
Stephen Brunerのベースが大活躍するインスト・チューン。シンプルながらもなかなか興味深く聴けます。

「Love Today」
何故かCurtis Mayfieldが思い浮かぶ近未来"ニューソウル"って感じですね。

「Can I Get You Hi」
淡々としたクールなソウル・チューン。近未来はこんな曲でマッタリするのでは(笑)

「My Star」
本作随一のメロウ・チューン。前作の人気メロウ・チューン「So Special」がお好きな人ならば絶対気に入るはず!Erika Roseのキュートな女性ヴォーカルに相当グッときます。ErikaはAlicia Keysと親しいSSWとしても知られていますね。
https://www.youtube.com/watch?v=AVpugxaEuA0

「Cosmic Ball」
Gary Bartzのカルテットをフィーチャーした話題曲。フューチャー感覚のジャジー・チューンに仕上がっています。Sister Mekeaの無邪気なヴォーカルもグッド!

ここでDisc1が終了。続くDisc2は過去のシングルをまとめた嬉しい1枚です。

「Spaceways Theme」
コズミック&ジャジーなインスト・チューン。そう言えば、Sa-Raに先んじてコズミックな音世界を創造してきた"ジャズ伝道師"Sun Raの曲にも「Spaceways」という楽曲があります。何か関係しているのでしょうか?

「Just Like A Baby」
Sly & The Family Stoneのカヴァー(オリジナルはアルバム『There's A Riot Goin' On』収録)。J*DaVeY(Jack Davey & Brook D'Leau)も参加し、懐かしくて新たらしいサウンドを聴かせてくれます。

「Double Dutch (Co Co Pops)」
エレクトロなHip-Hopチューン。Hip-Hopでは流行りのエレクトロ・サウンドですが、やはりSa-RaはBEPあたりとは明らかにセンスが違う気がしますね。

「Death Of A Star (Supernova)」
僕の一番のお気に入り曲。キャッチー&フューチャーなエレクトロ・ソウルに仕上がっています。聴いているだけでハイ・テンションになってしまう!
http://www.youtube.com/watch?v=IP_UJxnFzd0

「Powder Bump」
なかなか爽快なエレクトロ・サウンドが心地好いインスト。

「Hangin By A String」
最後はビシッと格好良いエレクトロHip-Hopなインスト・チューンで締め括ってくれます。

さすがに23曲分コメント書くと大変ですね(笑)
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