2009年07月12日

Cal Tjader『Sounds Out Burt Bacharach』

ラウンジ気分のBacharach作品カヴァー集☆Cal Tjader『Sounds Out Burt Bacharach』
サウンズ・アウト・バート・バカラック(紙ジャケット仕様)
録音年:1968年
ez的ジャンル:ラウンジ系ライト・ジャズ
気分は... :まるで温泉気分!

人気ヴァイブ奏者Cal Tjader(1925-1982年)の2回目の登場です。

『The Prophet』(1968年)に続いて紹介するのは、『Sounds Out Burt Bacharach』(1968年)です。

50年代から70年代まで聴くべき作品が多く、何処から聴くべきか迷うアーティストですが、90年代以降の再評価という点では、前回紹介した『The Prophet』や本作Cal Tjader『Sounds Out Burt Bacharach』のような洒落たラウンジ感覚を堪能できる作品が良いのかもしれません。

本作『Sounds Out Burt Bacharach』は、タイトル通りBurt Bacharach作品のカヴァー集です。お馴染みのBacharach作品をCal Tjaderの魅惑のヴァイヴを中心としたラウンジ感覚の小粋なジャズとして堪能できます。

本作は同じくヴァイヴ奏者のGary McFarland、ギタリストのGabor Szaboと立ち上げたSkyeレコードで制作されたものです。

Skyeレコードと言えば、Creed TaylorのCTIほど有名ではありませんが、CTIと同じくポップス/イージーリスニングに接近したジャズ作品のリリースで知られているようです。僕はあまり詳しくありませんが...

本作では、Skyeの総帥であるGary McFarlandがプロデューサーを務め、アレンジも担当しています。McFarland以外にもMike AbeneAlan Foustという2人のアレンジャーが起用されています。このアレンジャー3人体制がサウンドの幅を広げ、本作の魅力アップに大きく貢献している気がします。メランコリックなGary McFarland、ヒップなMike Abene、上品なAlan Foustといった印象ですかね。

参加ミュージシャンはCal Tjader(vib)以下、Mike Melvoin(org)、Jim Keltner(ds)、James Helms(g)、Harvey Newmark(el-p)、Ray Alongee(frh)、Marvin Stamm(flh)、Garnett Brown(tb)、Albert Wagner(vl)、Henri Aubert(vl)、George Marge(reeds)、Jerome Richardson(reeds)、Jerry Dodgion(reeds)、Walter Kane(reeds)、Lew Del Gatto(oboe)、George Berg(bassoon)、Joseph Grinaldi (bassoon)という顔ぶれです。ドラムがJim Keltnerというのが意外ですね。

とにかく今聴いても約40年前の作品とは思えない、モダンな感覚がたまりませんね。

サバービア系リスナーに人気の「What the World Needs Now Is Love」「I Say a Little Prayer」やHip-Hopファン必聴の「Walk on By」など聴き所満載です。

意外とインパクトのある顔アップ・ジャケもお気に入りです。

ゆったり、マッタリ、まるで温泉気分のような心地好さを持った1枚ですよ!

全曲紹介しときやす。

「Moneypenny Goes for Broke」
オリジナルは映画『007/カジノ・ロワイヤル(Casino Royale)』(1967年)の挿入歌です(邦題「マニーペニーは破れかぶれ」)。本ヴァージョンはMike Abeneのアレンジによるマッタリ感がグッドな仕上がり。ラウンジ気分を味わいたい方はぜひ!

「What the World Needs Now Is Love」
邦題「世界は愛を求めてる」。オリジナルはJackie De Shannonのヴァージョンであり、1965年にUSシングル・チャート第7位のヒットとなっています。本ヴァージョンはGary McFarlandの素晴らしいアレンジが光る哀愁メロウ・チューンに仕上がっています。優しく切ないサウンドにグッときます。サバービア・ファンは外せない1曲。

「Anyone Who Had a Heart」
邦題「恋するハート」。オリジナルはUSシングル・チャート第8位となった1963年のDionne Warwickヴァージョン。同年にリリースされたCilla BlackのヴァージョンがUKシングル・チャートNo.1に輝いています。本ヴァージョンは、Alan Foustのアレンジによる映画音楽のような仕上がりがいいですね。

「Don't Make Me Over」
オリジナルは1962年のDionne Warwickヴァージョン。本ヴァージョンは、寂しげなオルガンの音色と、そこに絡むTjaderのヴァイヴの響きが心に刺さります。
http://www.youtube.com/watch?v=xaY0C2Og7ZE

「A Message to Michael」
多分、オリジナルは1964年のLou Johnson「Kentucky Bluebird (Send A Message To Martha)」。後年、男性シンガーが歌う場合には「Message To Martha」、女性シンガーの場合には「Message To Michael」というタイトルが使われるようになりました。本ヴァージョンは全体的に抑えた雰囲気のポップな仕上がりが印象的です。フォーキーなギターの響きもいいですね。(関連のない曲ですが)MJが亡くなった直後だけに、このタイトルは感慨深いですね。

Scientifik「Yeah Daddy」のサンプリング・ネタにもなっています。
Scientifik「Yeah Daddy」
 http://www.youtube.com/watch?v=qwciwLqE3VY

「My Little Red Book」
オリジナルは映画『何かいいことないか仔猫チャン?(What's New Pussycat?)』(1965年)のサントラ収録のManfred Mannヴァージョン。本ヴァージョンは小気味良いテンポがいいですね。60年代ポップス好きの方は気に入る仕上がりなのでは?Tjaderのヴァイヴも快調です!

サントラ『What's New Pussycat?』は改めて当ブログでも紹介したいと思います。

「I Say a Little Prayer」
USシングル・チャート第4位となったDionne Warwickのオリジナル(1967年)、同第10位となったAretha Franklinのヴァージョン(1967年)でお馴染みの名曲。聴き慣れた楽曲だけに、本ヴァージョンではMike Abeneのヒップなアレンジ・センスが実感できるのではと思います。「What the World Needs Now Is Love」同様、サバービア・ファンは必聴の1曲です。

「Walk on By」
USシングル・チャート第6位となったDionne Warwickのオリジナル(1964年)をはじめ、様々なアーティストがカヴァーしている名曲。「I Say a Little Prayer」同様、お馴染みの楽曲だけにアレンジャーのセンスを堪能できます。本ヴァージョンではAlan Foustによる上品なアレンジを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=-cOKgZfzURY

前述のようにGang Starr「Full Clip」、当ブログでも紹介したジャジー&メロウHip-Hopの名曲Time Machine「Reststop Sweetheart」といった有名Hip-Hopチューンのサンプリング・ネタにもなっています。

Gang Starr「Full Clip」
 http://www.youtube.com/watch?v=U76Nde6rMTw

Time Machine「Reststop Sweetheart」
 http://www.youtube.com/watch?v=vOPhDMtJSTA

「You'll Never Get to Heaven (If You Break My Heart) 」
オリジナルは1964年のDionne Warwickヴァージョン。 Mike Abeneによるグルーヴ感溢れるアレンジがグッド!若いリスナーの方はこういう曲にグッとくるのでは?

さぁ、今日は都議会選挙の投票日。
都民の義務として、しっかり自分の意思表示を行いたいと思います。
本作のように、ゆったり、心地好く、安心して暮らせる東京にするためには...

来週は政局が相当動きそうですな...音楽ばかり聴いているわけにはいけませんね!
と言いつつ、変わらず記事投稿し続けるつもりですが(笑)
posted by ez at 02:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする