発表年:1977年
ez的ジャンル:ニューオリンズ系ファンキー・ロック
気分は... :酔いどれ気分で....
男が惚れる男性シンガーVan Morrisonの5回目の登場です。
これまで当ブログで紹介してきたVan Morrison作品は以下の4枚(発売年順)。
『Astral Weeks』(1968年)
『Tupelo Honey』(1971年)
『Saint Dominic's Preview』(1972年)
『Avalon Sunset』(1989年)
5枚目の紹介となるのは、『A Period Of Transition』(1977年)です。
『A Period Of Transition』は、前作『Veedon Fleece』(1974年)から約3年という異例の沈黙期間を保っていたVan Morrisonが、その沈黙を破ってリリースしたアルバムです。そのあたりはアルバム・タイトルにも反映されています。沈黙の背景には、妻Janetとの離婚、ヒット曲を求めるレコード会社との軋轢など音楽創作に集中できる環境では無かったことがあるようですね。
本作では、ニューオリンズを代表するミュージシャンである、お馴染みDr. Johnを共同プロデューサーに迎えています。
レコーディング・メンバーも一新し、Dr. John(Mac Rebennack)(p、el-p、g)以下、Marlo Henderson(g)、Reggie McBride(b)、Ollie E. Brown(ds)、Jerry Jumonville(ts、as)、Joel Peskin(ba)、Mark Underwood(tp)という名うてのミュージシャンが集いました。特に、Reggie McBride(b)とOllie E. Brown(ds)のファンキーなリズム隊が本作の魅力アップに大きく貢献していると思います。
内容としては、南部サウンド、ニューオリンズ・サウンドを反映した、アーシー&ブルージー&ファンキーな仕上がりです。きっと、Little Featあたりがお好きな人は気に入る作品なのでは?
それにしても、本作がアメリカではなく、イギリス録音というのが意外ですね。
このメンツ、サウンドならば、アメリカ南部で録音すればいいのに!なんて素人は思ってしまうのですが...
何故かVan Morrison作品の中では、あまり注目されることがないアルバムですね。本作収録曲をYouTubeやimeemで探したのですが1曲も無かった事実が象徴的かもしれません。
そんなアルバムですが、Dr. Johnとの出会いをきっかけに、Van Morrisonが次なるステージへ進んだ、隠れ名盤という気がします。
Van Morrisonのアルバムを聴くと酒が飲みたくなる僕ですが、本作は他の作品以上に酒が進む、酔いどれ気分の1枚です。
ジャケもいいですね。個人的には『Saint Dominic's Preview』と並び、Morrison作品の中でも一、二を争う格好良さだと思います。
全曲紹介しときやす。
「You Gotta Make It Through the World」
泥臭く、ブルージーかつファンキーな南部サウンドを堪能できるオープニング。メンバー全体がセッションを楽しんでいる感じがサイコーです。前述のReggie McBrideとOllie E. Brownのリズム隊がカッチョ良すぎです。Dr. Johnのエレピもいい味出しています。
「It Fills You Up」
ニューオリンズの香りがプンプンする1曲。酔いどれのヘロヘロ状態だけど、ご機嫌だぜ!って雰囲気のタルさがサイコー!Dr. Johnのピアノも冴えまくり(本作ではギターもプレイ)!ニューオリンズ好きの方はぜひ!
「Eternal Kansas City」
Morrisonのディープなソウル魂を堪能できる1曲。ソウルフルなコーラス隊、ジャズ的なイントロ、Morrisonのヴォーカルを盛り上げるホーン隊など聴きどころ満載の1曲。
「Joyous Sound」
タイトルの通り、陽気なヴォーカル&サウンドが聴けます。こういった楽曲を歌うこと自体、Morrisonの復調を印象づけてくれます。
「Flamingos Fly」
一瞬、「Crazy Love」を思わせるイントロにゾクっとするファンキー・チューン。気負わず、リラックスしたMorrisonのヴォーカルを堪能できます。
「Heavy Connection」
個人的には一番のお気に入り。数あるVan Morrisonソングの中でもマイベスト10に入る感動バラード。これぞVan Morrison!って気がします。聴いていると何か熱いものが胸に込み上げてきます。♪ラララァ・ララララァ〜ラ♪の部分は思わず、一緒に歌ってしまいます。この1曲を聴くことができるだけで、本作は買いだと思います。
「Cold Wind in August」
男の色気が漂うアーシーなバラード。男が惚れる男性シンガーVan Morrisonらしいエンディングです。
Van Morrisonを聴くと、いつでも男気と信念と優しさを同時に感じることができます。
「男気」「信念」「優しさ」、僕自身生きている限り、常に心の中で留め置きたいキーワードですね。