2009年07月28日

Ruben Blades『Buscando America』

これほど熱いものが込み上げてくるサルサ・アルバムはない!☆Ruben Blades『Buscando America』
Buscando America
発表年:1984年
ez的ジャンル:アイデンティティ探求系サルサ
気分は... :感動できるサルサ・アルバム!

夏にはサルサ作品が聴きたくなりますね!
パナマ出身のサルサ・シンガーRuben Bladesの3回目の登場です。

『Agua de Luna』(1987年)、Willie Colon との共演作『Siembra』(1978年)に続いて紹介するのは、『Buscando America』(1984年)です。

Willie Colon との共演・サポートでサルサ界のスーパースターとなったRubenですが、Ruben単独でのメジャー契約に成功し、Willieの元から巣立ったアルバムが本作『Buscando America』です。

『Buscando America』は、Rubenの最高傑作であると同時に、サルサの金字塔的なアルバムの1つに数えられる歴史的な名作だと思っています。

スペイン語で「アメリカを探して」を意味するアルバムタイトルが示すとおり、白人社会であるアメリカ合衆国で中南米系移民としての自らのアイデンティティを探求した作品となっています。

サルサ=踊るための音楽といったイメージが強いかもしれませんが、ラテン人の団結、アイデンティティの追求というメッセージに主眼を置いた社会派サルサ・アルバムに仕上がっています。黒人音楽におけるニューソウル作品のような位置づけのアルバムかもしれませんね。

サウンド的にもホーン無しのスモールコンボで、キーボード・サウンドを全面に押し出しているのが特徴的です。ホーンレスにしたのは、メッセージをしっかり聴いて欲しいというRubenの想いかもしれませんね。また、サルサの枠に囚われず、ドゥワップ、ア・カペラ、レゲエ、ロックなどを取り入れているあたりも"開かれた"サルサ作品という気がします。

聴き終わった後に、これほど熱いものが込み上げてくるサルサ・アルバムは滅多にないと思います。

全曲紹介しときやす。

「Decisiones」
ドゥワップ調のコーラスから始めるオープニング。サウンド的には軽快なサルサ・チューンに仕上がっていますが、行方不明となった家族を探すラテン・コミュニティの苦悩を歌った社会派ソングです。
http://www.youtube.com/watch?v=GyhwmZAQB-Y

「GDBD」
この曲は何とア・カペラ!リズムが命のサルサ作品で、こうした曲を持ってくるあたりにRubenの柔軟性・新しさがあるのだと思います。

「Desapariciones」
ドゥワップ、ア・カペラの次はレゲエ!ラテン・コミュニティに止まらない、汎アメリカ的なスタンスにRubenのスケールの大きさを感じます。スパニッシュで歌われるレゲエがなかなか興味深いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=wGl-fQxMY9E

「Todos Vuelven」
ホーンレスのスモールコンボのカッチョ良さを堪能できる1曲。心地よく響くヴァイヴの音色をはじめ、実にスタイリッシュな印象を受けます。
http://www.youtube.com/watch?v=uMW28fQYdVA

「Caminos Verdes」
社会派サルサらしい1曲。重厚なリズムとヴォーカル・アレンジの素晴らしさが光ります。重々しいけど、希望に満ちた雰囲気がたまりません。

「El Padre Antonio y su Monaguillo Andres」
本作のハイライト。と言うよりも全てのサルサ作品の中で一番好きな楽曲です。こんなに感動するサルサに出会ったことがありません。この1曲にRuben Bladesの魅力、彼の目指すサルサの魅力が凝縮されているミラクルな1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=1wo_TzWdwy8

「Buscando America」
「El Padre Antonio y su Monaguillo Andres」同様、スケールの大きさを感じるドラマティックなタイトル曲。映画の感動大作を観終わったような感動に包まれます。
http://www.youtube.com/watch?v=nAe23aK6ipU

本作を聴けば、後にRubenがパナマの大統領選挙にも出馬したことも頷けます。
posted by ez at 01:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする