2009年08月05日

Gloria Estefan『Mi Tierra』

全編スペイン語アルバム!祖国への熱い想いを胸に...☆Gloria Estefan『Mi Tierra』
Mi Tierra
発表年:1993年
ez的ジャンル:望郷系キューバ音楽
気分は... :遥かなる情熱...

今日はGloria Estefanの全編スペイン語アルバム『Mi Tierra』(1993年)です。

Gloria Estefanの紹介は、Gloria Estefan & Miami Sound Machine『Let It Loose』(1987年)に続き2回目になります。

2日前に投稿したRy Cooderの記事の中で『Buena Vista Social Club』について書いていたら、キューバ音楽が聴きたくなりました。

その中で紹介したAfro-Cuban All Stars『A Toda Cuba Le Gusta』(1997年)、『Distinto Diferente』(1999年)、Ibrahim Ferrer『Buena Vista Social Club Presents Ibrahim Ferrer 』(1999年)あたりを取り上げようとも思ったのですが、キューバ音楽を聴いたことがない人でもスンナリ聴けるGloria Estefan『Mi Tierra』にしました。

Miami Sound Machine時代もスペイン語アルバムを発表していましたが、ソロになってからは初のスペイン語アルバムです。

"私の祖国"を意味するタイトルのように、約30年前に離れた祖国キューバへの想いを伝統的なキューバ音楽のスタイルで歌い上げたアルバムです。その意味では亡命キューバ人、ラテン人として自身のアイデンティティを確認しているアルバムという印象を受けます。

ソン、ボレロといった伝統的なキューバ音楽やチャランガ・スタイル(フルート&ヴァイオリンを特徴とした楽団編成)を取り入れた作品ですが、とっつきの悪さや古臭さはなく、洗練されたノスタルジーに満ちた内容に仕上がっています。

レコーディングには、旦那様のEmilio EstefanをはじめとするMiami Sound Machine関連メンバー、アレンジも担当するJuanito Marquez(g)、パーカッションで参加の人気サルサ歌手Luis Enrique、サルサ・ファンにはお馴染みのNelson Gonzalez(per、b)、NYラテンの帝王Tito Puente(timbales、conga)、Sheila E.(per)、アフロ・キューバン音楽の大物Israel "Cachao" Lopez(b)等が参加しています。 僕の場合、Juanito(Juan) Marquezと聞くとメキシコのボクサー、Luis Enriqueと聞くと元スペイン代表のサッカー選手を思い浮かべてしまいますが(笑)

僕自身は、ソロ時代のGloria Estefanに特別思い入れがあるわけではありませんが、本作だけは例外的によく聴いています。キューバ音楽の魅力を、これだけ多くの人に親しみやすく伝えた作品は無いからかもしれませんね。

前述のように本作はキューバ人、ラテン人としてのアイデンティティを強く意識した作品であり、その意味では先週紹介したRuben Blades『Buscando America』に通じる壮大なスケール感を持っている気がします。そのあたりもボクを惹きつけるのでしょう。

ブラジル音楽、サルサ、レゲエもいいですが、夏のキューバン・ミュージックもグッド!

全曲紹介しときやす。

「Con Los Anos Que Me Quedan」
英語タイトル「With the Years That I Have Left」。オープニングは、ロマンティックなギターやストリングスをバックに、Gloriaの甘く熱い歌声を堪能できるボレロ。キューバ音楽ならではのロマンティックな雰囲気にうっとりする一方で、英語タイトルから想像できるように、祖国に想いを馳せるGloriaの歌に胸が締め付けられます。
この1曲のためだけでも本作をゲットする価値があると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=g6jSXz3NINs

「Mi Tierra」
英語タイトル「My Homeland」。このタイトル曲ではさらに祖国キューバへの熱い想いが爆発します。ソンの伝統を踏まえつつも、90年代を意識したパーカッシヴな仕上がりがいいですね。N.Y.サルサあたりとも異なる独特の雰囲気がありますね。PVの中で生き生きと歌うGloriaの姿を観ていると、これが彼女本来の姿なのかもしれない!と思ってしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=otvIkvUNpwE

「Ayer」
英語タイトル「Yesterday」。この曲も望郷の思いが伝わってきますね。キューバ音楽ならではの哀愁感にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=CTImAgVy27g

「Mi Buen Amor」
英語タイトル「My True Love」。エレガントなストリングスが印象的です。ノスタルジックな雰囲気にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=8pv38hf6vNU

「Tus Ojos」
英語タイトル「Your Eyes」。歯切れの良いリズムと哀愁のメロディがいいですね。密かなお気に入り曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=mskbBSLmtO4

「No Hay Mal Que por Bien No Venga」
英語タイトル「Out of All Bad, Some Good Things Come」。チャランガ・スタイルでのエレガントな演奏がいいですね。バックの男性コーラスはJon Secada。
http://www.youtube.com/watch?v=7yFtZkcY-2E

「Si Senor!...」
英語タイトル「Yes Sir, It's My "S-O-N"」。明るく楽しい雰囲気のソンに仕上がっています。ライブで聴いたら盛り上がりそうですね。Juan Marquezのギターも聴きものです。

「Volveras」
英語タイトル「You'll Be Back」。メランコリックな雰囲気にグッとくるボレロです。
http://www.youtube.com/watch?v=xZ3De1zMjC4

「Montuno」
親しみやすいソンに仕上がっています。昔の歌謡ショーのような映像もピッタリ!(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=wCmtQBpG0Nc

「Hablemos el Mismo Idioma」
英語タイトル「Let's Speak the Same Language」。この曲もチャランガ・スタイルで演奏されています。フルートが入ることでエレガントな雰囲気が出てきますね。ラテンの結束を呼びかける、彼女のアイデンティティを強く感じる1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=G5QacBVeDak

「Hablas De Mi」
英語タイトル「You're Talking About Me」。「Con Los Anos Que Me Quedan」と同タイプのロマンティックなボレロに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=IYD0cgGN7lE

「Tradicion」
英語タイトル「Traditional」。ラストはTito Puenteらのパーカッション隊や、Arturo Sandoval(tp)、Paquito D'rivera(s)といった亡命キューバ人ミュージシャンを含むホーン隊が派手に鳴り響きます。

Gloria Estefanは、本作以降も『Abriendo Puertas』(1995年)、『Alma Caribena』(2000年)といったスペイン語アルバムをリリースしています。
posted by ez at 00:23| Comment(0) | TrackBack(1) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする