2009年08月06日

Marcos Valle『Previsao Do Tempo』

Marcosにしか生み出せないポップ・ワールド☆Marcos Valle『Previsao Do Tempo』
Previsao Do Tempo
発表年:1973年
ez的ジャンル:ポスト・ボサノヴァ系MPB
気分は... :実に面白い!

今日はブラジルを代表するシンガーソングライターMarcos Valleの2回目の登場です。

『Vontade De Rever Voce』(1981年)に続いて紹介するのは『Previsao Do Tempo』(1973年)です。数多あるMarcos Valle作品の中でも、かなり人気の高い1枚なのでは?

"天気予報"を意味するタイトルの本作『Previsao Do Tempo』は、Marcosにとって10枚目のオリジナル・アルバムとなります。

本作の話題はAzymuthとの共演です。後に人気グループとなるAzymuthですが、当時はMarcosのバック・バンドだったんですね。

Azymuthはブラジル、リオ・デ・ジャネイロで結成されたクロスオーヴァー/フュージョン・グループです。メンバーはメンバーはJose Roberto Bertrami(key)、Alex Malheiros(b)、Ivan Conti(ds)の3人。

当初はAzimuthというスペルでしたが、1977年よりAzymuthと表記するようになりました。グループ名は、本作の主役Marcos ValleがNovelliと共作したインスト曲「Azimuth」に由来しています。

そんなAzymuthをバックに、Marcos Valleにしか生み出せない独自ポップを存分に聴かせてくれます。60年代の終わりからポスト・ボサノヴァ的なアプローチを続けてきたMarcosですが、本作を聴けばその完成度の高さにビックリしてしまいます。

国内盤には、"サンバとエクスペリメンタル・ポップが完璧に溶け合う、未来派ブラジリアン・グラフィティ"という説明があります。エクスペリメンタル・ポップという形容が本作に相応しいかは別として、StereolabHigh Llamasあたりがお好きな人にもグッとくるアルバムだと思います。

ボサノヴァだけではない、ブラジル音楽の魅力を存分に堪能できる1枚だと思います。
こういったサウンドが真のクロスオーヴァーなのでは?

全曲紹介しときやす。

「Flamengo Ate Morrer」
邦題「死ぬまでフラメンゴ」。この曲はAzymuth不参加のようですが、サンバとポップが融合した独自サウンドを聴かせてくれます。途中の哀愁メロディにもグッときます。兄Paulo Sergio Valleによる詞はジーコも在籍したリオの人気サッカー・チーム、フラメンゴへの愛情を歌ったものであり、サッカー・ファンには楽しい内容ですね。でも、同じリオを本拠地とするライバル・チームであるフルミネンセ、ヴァスコ・ダ・ガマ、ボタフォゴ等のファンは聴きたくない曲なんでしょうね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=OpJGBzz9B8g

「Nem Paleto, Nem Gravata」
邦題「背広もネクタイもなしに」。サウンドも歌詞も軽快でいいですね。モヤモヤ気分の時にこんな曲を聴くと、スカッとしそうです!

「Tira a Mao」
邦題「手をどけろ」。シンセの音色が印象的ですね。Marcosのポップ感覚とAzymuthによるクロスオーヴァー・サウンドが上手く結びついていますね。

「Mentira」
邦題「うそ」。クラブ系リスナーにとってのキラー・チューン。ファンキー&メロウな仕上がりは今聴いても新鮮ですね。軽くエロい雰囲気が漂っているのもグッド(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=zTx-M3JCfEQ

「Previsao Do Tempo」
邦題「天気予報」。タイトル曲は哀愁モードのインスト・チューン。前半はイージーリスニング風ですが、後半は近未来的な雰囲気で相当グッときます。

「Mais Do Que Valsa」
邦題「ワルツ以上に」。僕の一番のお気に入り曲。メロウ&レイジー&エクスペリメンタルな雰囲気がサイコー!High Llamas好きの人は歓喜するのでは!これが1973年の作品とは信じられません。20年先を行っている仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=VgJT2c8-1tU

「Os Ossos Do Barao」
邦題「男爵の骨」。「Nem Paleto, Nem Gravata」同様、軽妙な感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=-VSSbeiRAyw

「Nao Tem Nada Nao」
邦題「なんにもないよ」。Marcos Valle、Joao Donato、Eumir Deodatoの3人による共作。この曲も人気曲ですね。ブラジル音楽好きの人ならば鉄板な仕上がりだと思います。約1分半のインスト・ヴァージョンも続けて収録されています。
http://www.youtube.com/watch?v=WUAqZVknghQ

「Samba Fatal」
邦題「運命のサンバ」。哀愁のサンバ・チューンに仕上がっています。いい曲ですが、本作の中では異質の雰囲気かも?

「Tiu-Ba-La-Quieba」
この曲も僕のお気に入り。夏のリゾート気分を楽しむにはいいのでは?サマーモードのAORとセットで聴きたいですね!
http://www.youtube.com/watch?v=kGwdaCYrc4M

「De Repente, Moca Flor」
邦題「唐突な花」。ラストはロマンティックにキメてくれます。ひと夏の思い出...って趣の仕上がりです。夏の夕暮れ時にどうぞ!

ジャケについては賛否両論あるかもしれませんが、肝試しっぽくていいのでは?(笑)
posted by ez at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする