発表年:1997年
ez的ジャンル:ブラジル音楽+アヴァンギャルド・サウンド
気分は... :夏休みの海水浴デス...
早朝の地震には驚きましたね。
大きな被害が出ていないことを祈るばかりです。
僕は徹夜で仕事をしていましたが、TVで緊急地震速報が流れ、一瞬でしたが頭上に物が落ちてこない場所へ移動した直後に揺れが来ました。都内なので大したことはありませんでしたが、緊急地震速報の有用性を改めて実感した次第です。
さて、今回はArto Lindsayの『Noon Chill』(1997年)です。
Arto Lindsayの紹介は、『Prize』(1999年)に続いて2回目になります。また、Arto LindsayとPeter Schererの双頭ユニットAmbitious Loversの作品については、『Greed』(1988年)、『Lust』(1991年)の2枚を紹介しています。
本作『Noon Chill』は、『The Subtle Body (O Corpo Sutil)』(1995年)、『Mundo Civilizado』(1996年)に続くソロ作品です。
先日紹介したMarcos Valle『Previsao Do Tempo』と同じくらい、イケてないマリン・ジャケですよね(笑)。特に無惨な頭髪部に目が行ってしまいます...
でも、中身はArto Lindsayらしいアヴァンギャルド・サウンドとブラジル音楽の融合が聴かれます。特に本作は贅肉を削ぎ落としたサウンドのため、結果的にプログラミング+パーカッションによるリズムが強調されている気がします。
Artoと共同プロデュースを務めるAndres Levin(g、key)、Melvin Gibbs(b、g、key)の3人を中心に、Arto作品ではお馴染みのDavi Moraes(g)、Ambitious Loversの盟友Peter Scherer、そしてArtoと親交の深いの坂本龍一(p、key)、Nana Vasconcelos(per)等がレコーディングに参加しています。
こんなに気持ちの良い"陰"モードの音楽はないと思います(笑)
全曲紹介しときやす。 ※国内盤
「Noon Chill」
まさにヒンヤリ・モードのタイトル曲。この空虚で"陰"な雰囲気のサウンドこそがArto Lindsayだと思います。サスペンス映画の不穏なオープニング曲にピッタリなのでは?
「Whirlwind」
サンバのリズムとArtoの線細いヴォーカルとアヴァンギャルド・サウンドが織り成す美しく儚い雰囲気の音空間がたまりません。
「Simply Are」
MPBの歌姫Marisa Monte、Davi Moraesも曲作りに参加。エッジの効いたMPBとして聴くと楽しめます。
「Blue Eye Shadow」
哀愁モードのサマー・チューンに仕上がっています。アルバムの中では一番聴きやすい曲かもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=cKSSWZrT4lE
「Mulata Fuzarqueira」
本作唯一のカヴァーは1930年代に活躍したサンバ詩人Noel Rosa作品。この曲はフツーにブラジル音楽しています。
「Anything」
この曲では何とドラムン・ベースしています。ノイジーなギターあり、Nana Vasconcelosのパーカッションあり、エスニックな女性コーラスありと個人的には一番楽しめました。
「Gods Are Weak」
やるせないムードに包まれます。哀愁漂うホーンがいいアクセントになっていますね。
「Take My Place」
Artoらしい格好良いアヴァンギャルド・サウンドを堪能できる1曲。
「Daily Life」
1分半足らずの哀愁アコギ・チューン。
「Light Moves Away」
この曲も僕のお気に入り。アヴァンギャルド・サンバ・チューンといった仕上がりです。贅肉を削ぎ落としたサウンドの中で繰り返されるサンバのリズムには中毒性があります。
「Why Compare」
なぜ比べる?とArtoが歌うと何故か説得力があります(笑)
「Auguri」
エンディングは優しくエレガントに締めてくれます。微かに希望の光が差し込んでくるような仕上がりにグッときます。Art/Marisa Monte/Davi Moraesの共作。
輸入盤には、さらに「Ridiculously Deep」 、「Reentry」の2曲が収録されています。