2009年09月24日

Maria Muldaur『Maria Muldaur』

「Midnight at the Oasis」収録の1stソロ☆Maria Muldaur『Maria Muldaur』
Maria Muldaur
発表年:1973年
ez的ジャンル:オールド・タイミー系女性シンガー
気分は... :少しのんびりと...

今日までコンスタントに作品をリリースし続ける女性シンガーMaria Muldaurのソロ1stアルバム『Maria Muldaur』です。

Maria Muldaurは1943年N.Y.生まれの女性シンガー。

1960年代前半、Even Dozen Jug BandのメンバーとしてJohn Sebastian、David Grisman、Stefan Grossmanらと活動した後、 Jim Kweskin & His Jug Bandへ加入します。ここでGeoff Muldaurと知り合い二人は結婚、Geoff & Maria Muldaurとして活動します(二人は1972年に離婚)。

1973年よりソロ活動を開始し、今日までコンスタントに作品をリリースしています。

Maria Muldaurと言えば、やはり本作収録のヒット曲「Midnight at the Oasis(邦題:真夜中のオアシス)」 のイメージが強いですよね。Maria Muldaurのようなフォーク/カントリー系作品を全く聴かない若いリスナーの方でも、フリーソウルなどを通じて「Midnight at the Oasis」だけは知っているのでは?

逆に「Midnight at the Oasis」の都会的で洗練されたサウンドをイメージすると、本来のMaria Muldaurの音楽性とギャップがありすぎて愕然としてしまうかもしれませんね。

今日紹介する『Maria Muldaur』(1973年)や、本作と並ぶ僕のお気に入り作『Waitress In A Donut Shop』(1974年)の印象を一言で表現すればフォーク、カントリー、ジャズ、R&Bといった古き良きアメリカン・ミュージックをする"オールド・タイミー"なアルバムって感じでしょうか。

プロデュースはLenny Waronker & Joe Boyd。レコーディングには、Amos Garrett(g)、David Nichtern(g)、Ry Cooder(g)、Clarence White(g)、Andrew Gold(g)、David Lyndley(g)、Bill Keith(g)、David Grissman(md)、Mark Jordan(p)、Spooner Oldham(p)、Dr. John(p、g)、Nick DeCaro(string arr)、Dave Holland(b)、Freebo(b)、Ray Brown(b)、Klaus Voorman(b)、Jim Gordon(ds)、Jim Keltner(ds)等多数のミュージシャンが参加しています。

「Midnight at the Oasis」のイメージをリセットして、オールド・タイミーなグッド・ミュージックを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Any Old Time」
オープニングは"The Singing Brakeman"と呼ばれた伝説のカントリー歌手Jimmie Rodgers(1897-1933年)の作品。実にオールド・タイミーな本作を象徴する演奏です。ニューオリンズ風のホーン隊を含むジャズ・テイストのバックとMariaの少しレイジーなヴォーカルが実にマッチしています。アルバム『Jazz』を予感させるフィンガー・ピッキングを聴かせるRy Cooder、ハワイアン・ギターをプレイするDavid Lyndleyというギタリストの共演にもグッときます。

「Midnight at the Oasis」
邦題「真夜中のオアシス」。Maria Muldaurのキャリアを代表する大ヒット曲(全米シングル・チャート第6位)。David Nichtern作です。キュートなMariaのヴォーカルとDavid Nichtern(g)、Amos Garrett(g)、Mark Jordan(p)、Freebo(b)、Jim Gordon(ds)といったバック陣の演奏、Nick DeCaroによるストリングス・アレンジは、まさにオアシスのような心地良さです。特にAmos Garrettのギターは特筆ものですね。ただし、前述のように本曲は彼女のキャリアの中でも異質な1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=4K-hF-Tlp0Y

アシッド・ジャズ好きの方はBrand New Heaviesによるカヴァー(アルバム『Brother Sister』収録)もチェックしてみては?
Brand New Heavies『Midnight at the Oasis』
 http://www.youtube.com/watch?v=zmzG8XK1qkQ

SWV「When This Feeling」(アルバム『New Beginning』収録)でサンプリングされています。
SWV「When This Feeling」
 http://eastzono.seesaa.net/article/8479413.html?1253691954

「My Tennessee Mountain Home」
「9 to 5」の大ヒットで知られるカントリー界の女王Dolly Partonのヒット曲カヴァー。Dolly自身のオリジナルは前年にシングル・リリースしています。典型的なブルーグラス風カントリー・フォークであり僕の苦手な曲調ですが、それほどアレルギー反応が出てきません。なぜだろう(笑)。Even Dozen Jug Band時代の仲間David Grissmanがマンドリンで参加しています。

曲紹介からは逸れますが、最近TVで本曲の作者Dolly PartonへのCBSによる取材番組を観ました。イメージそのままのオープンな人柄は、好き嫌いが分かれるでしょうが、なかなかおもろいオバちゃんという印象を受けました。

「I Never Did Sing You a Love Song」
邦題「ラヴ・ソングは歌わない」。「Midnight at the Oasis」と同じくDavid Nichtern作です。こちらは「Midnight at the Oasis」のような都会的なサウンドではなく、田舎モードの味わい深いカントリー・バラードに仕上がっています。Jim Kweskin & The Jug Band時代のMariaの同僚Bill Keithが素晴らしいスティール・ギターを聴かせてくれます。

「The Work Song」
カナダ人シンガーソングライターKate McGarrigle作品。妹Annaとのフォーク・デュオKate & Anna McGarrigleとして知られている人ですね。ニューオリンズ風のアレンジが実に小粋なオールド・タイミー気分を満喫できる1曲。Mark Jordanのピアノがいい味出しています。

「Don't You Make Me High (Don't You Feel My Leg) 」
女性R&BシンガーBlue Lu Barkerが1938年に作った作品のカヴァー。Mariaのお気に入り曲のようですね。確かに、Mariaのヴォーカルがよく似合う楽曲だと思います。「The Work Song」同様、ニューオリンズ風の仕上がりにグッときます。この曲ではDr. Johnがピアノ、ギター、アレンジと大活躍です。

「Walkin' One and Only」
日本にも熱心なファンが多い男性シンガー・ソングライターDan Hicksの作品。スウィンギーな演奏が素晴らしいです。ジャズ・ファンには大物ベース奏者Ray Brownの参加が嬉しいですね。Jim Kweskin & The Jug Band時代の同僚Richard Greeneのバイオリンも盛り上げてくれます。この曲を聴いていると、荒井由実「チャイニーズスープ」が聴きたくなるのは僕だけでしょうか?

「Long Hard Climb」
男性シンガー・ソングライターRon Daviesの作品。本曲と言えば、アルバムのタイトル曲にもなったHelen Reddyのヴァージョンの方が有名かもしれませんね。Nick DeCaroのストリングス・アレンジが冴え渡るロマンティックなバラードに

Helen Reddy「Long Hard Climb」
 http://www.youtube.com/watch?v=zc6FRU9MB5w

「Three Dollar Bill」
Mac Rebennack(Dr. John)作。アルバムの中で一番R&B色が強い仕上がりです。Dr. Johnらのバック陣によるニューオリンズR&Bサウンドに合わせて、Mariaのヴォーカルも幾分ソウルフルです。女性R&BシンガーBettye LaVetteがソウルフルなバック・コーラスが盛り上げてくれます。「Midnight at the Oasis」を除けば、一番好きな曲かも?

「Vaudeville Man」
「Mad Mad Me」
ラストはMariaと親交の深いシンガー・ソングライターWendy Waldmanの作品2曲。「Vaudeville Man」はクラリネットも入りヴォードヴィル風のテイストも聴かれます。「Mad Mad Me」は少しミステリアスなバラード。他の曲にはないシリアスな雰囲気が漂います。

本作を気に入った方は『Waitress In A Donut Shop』(1974年)もどうぞ!

『Waitress In A Donut Shop』(1974年)
ドーナッツ・ショップのウェイトレス
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2009年09月23日

D'Angelo『Brown Sugar』

新しいR&Bの流れを方向づけたデビュー作☆D'Angelo『Brown Sugar』
ブラウン・シュガー
発表年:1995年
ez的ジャンル:NCS系R&B
気分は... :ドルフィンズ連敗(泣)

アメフトのNFLは第2週が終了しました。
我がマイアミ・ドルフィンズは、ホームのマンデーナイト・ゲームで強豪コルツと対戦しました。

攻撃時間でコルツを大きく上回り、圧倒的なドルフィンズ・ペースでしたが...結果は23対27でコルツの勝利!

連敗スタートとなってしまいましたが、先週の体たらくから立ち直り、ドルフィンズらしい戦いぶりにホッとしました。
次週からの巻き返しに期待したいものです。

さて、90年代R&BのカリスマD'Angeloの久々の登場です。

『Voodoo』(2000年)、『Live At The Jazz Cafe, London』(1996年)に続いて紹介するのは、衝撃のデビューアルバム『Brown Sugar』(1995年)です。

"ニュー・クラシック・ソウル(NCS)"や"ネオ・ソウル"と呼ばれた、新しいR&Bの流れを方向づけた歴史的なアルバムです。90年代R&Bのマスト・アイテムですね。

プロデュースはD'Angelo、Bob Powerが中心。シーンに衝撃を与えた独特のサウンドはD'Angelo本人の才能もさることながら、辣腕エンジニアBob Powerの貢献もかなり大きいと思います。それ以外にAli Shaheed Muhammad(A Tribe Called Quest)Raphael Saadiq もプロデューサーとして参加しています。

サウンド的には70年代、80年代のクラシック・ソウルとHip-Hopを通過してきた90年代感覚のグルーヴを自然なかたちで融合させている感じですね。全体を流れる浮遊感、ジャジー感も特徴的ですね。

「Brown Sugar」「Cruisin'」「Lady」「Me and Those Dreamin' Eyes of Mine」というシングル曲をはじめ、妖しく、セクシー&ミステリアス、そしてメロウなD'Angeloワールドを堪能できます。

13年経った今でも色褪せない魅力を持った作品です。

全曲紹介しときやす。

「Brown Sugar」
ニュー・クラシカル・ソウル、ネオ・ソウルの到来を印象づけたタイトル曲。Ali Shaheed Muhammedとの共同プロデュース&共作。アルバムからの1stシングルとして全米R&Bシングル・チャート第5位となりました。歌の内容自体は今の日本ではタイミングが悪いですが、セクシー&ミステリアスで太いグルーヴ感がNCSを象徴するものとして今聴いてもグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=Iq_EfpGAH4o

Kool G RapをフィーチャーしたBeatminersによるリミックス等も楽しめます。
D'Angelo feat. Kool G Rap「Brown Sugar (Beatminers Remix)」
 http://www.youtube.com/watch?v=y_x1JF0tGY4
D'Angelo「Brown Sugar (Soul Inside 808 mix)」
 http://www.youtube.com/watch?v=16A-yyzboDE

「Alright」
うねるベースラインと浮遊するエレピにグッときますね。まさにオールライトな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=sPzy6b2k2dA

「Jonz in My Bonz」
当時のパートナーAngie Stoneとの共作です。シングル曲以外ではクールな浮遊感にグッとくる本曲が一番好きですね。
http://www.youtube.com/watch?v=aiubo1t8NW8

「Me and Those Dreamin' Eyes of Mine」
アルバムからの4thシングル。個人的にはアルバムで一番のお気に入りです。D'Angeloのセクシー&メロウな魅力を一番堪能できる楽曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=2848PMaJR_o

アルバムには未収録ですが、Erick Sermonがリミックスし、Redmanも参加しているDef Squad Remix、Common「I Used To Love H.E.R.」を使ったDreamy Remix、DJ PremierによるTwo Way Street Mix、Just Tha Beat Mix、さらにはJ Dilla(Jay Dee)によるDave Grusin「The Colorado Trail」ネタのJay Dee Remixリミックス等リミックスも充実しています。

「Me and Those Dreamin' Eyes of Mine(Def Squad Remix)」
 http://www.youtube.com/watch?v=Z2KQ3U45Vfs
「Me and Those Dreamin' Eyes of Mine(Jay Dee Remix)」
 http://www.youtube.com/watch?v=MtZV-CkqONg

「Sh*t, Damn, Motherf*cker」
そのままタイトル表示できなかったXXXな1曲。不倫がらみの修羅場を歌っています。その歌詞内容とは別に、ダークなグルーヴ感にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=JIy3Y_lESgE

「Smooth」
ミステリアスな雰囲気で浮遊するグルーヴ感が D'Angeloらしいですね。Princeに通じる妖しいセクシー感とアーバン・コンテンポラリーな雰囲気が絶妙なバランスで入り混ざっているのがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=8Qd89GWQgMo

「Cruisin'」
アルバムからの2ndシングルはSmokey Robinsonによる1979年のヒット・シングルをカヴァー。全米R&Bシングル・チャート第10位となりました。D'Angeloらしい浮遊感のある雰囲気がグッド!クラシック・ソウルを90年代感覚のヴォーカル&グルーヴで聴かせる、まさに"ニュー・クラシック"なソウル・チューン。Smokeyのオリジナルと聴き比べるのも楽しいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=JAfuUZRou7g

Smokey Robinson「Cruisin'」
 http://www.youtube.com/watch?v=fwiwEdTZ-7c

Dallas Austinによるリミックスもあります。
「Crusin(Dallas Austin Remix)」
 http://www.youtube.com/watch?v=rfFVO-zfnFE

「When We Get By」
ジャジーな味わいが前面に出た仕上がり。"ジャジー"というのも本作を特徴づける1つのキーワードかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=zmZJbCobM6k

「Lady」
アルバムからの3rdシングルはRaphael Saadiqとの共演(共同プロデュース&共作)。全米シングル・チャート第10位、同R&Bシングル・チャート第2位のヒットとなりました。D'AngeloとRaphaelのタッグらしく、D'Angeloのセクシーな魅力とRaphaelらしいヴィンテージ感が見事に融合したメロウ・スロウに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=3jUSTOplIzc

DJ Premierによるリミックス(AZのラップをフィーチャー)もあります。
D'Angelo feat. AZ「Lady(Remix)」
 http://www.youtube.com/watch?v=A8sZcxwinRw

「Higher」
ラストはゴスペル・テイストのソウル・チューン。ファルセット・ヴォイスによる高揚感はいかにもD'Angeloらしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=RgDzsy_IlYQ

本作の流れを受けて、Erykah BaduMaxwellEric BenetRahsaan Patterson等、才能あるR&Bアーティストが続々と登場することになります。
posted by ez at 00:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月21日

Larry Young『Unity』

オルガン・ジャズの魅力が広がります!☆Larry Young『Unity』
ユニティ
録音年:1965年
ez的ジャンル:モード系オルガン・ジャズ
気分は... :ソウルフルもいいけどモーダルもね!

ジャズ・オルガン奏者Larry Youngの登場です。

『Into Somethin'』(1964年)に続いて紹介するのは、Blue Note移籍第二弾アルバム『Unity』(1965年)です。

オルガンのColtrane”を代表する作品が本作『Unity』(1965年)かもしれませんね。

お馴染みReid Milesのデザインによるジャケがインパクトあります。
このタイポグラフィからも何か新しい流れを感じますよね!

レコーディング・メンバーは、Larry Young(org)、Woody Shaw(tp)、Joe Henderson(ts)、Elvin Jones(ds)の4名。

Elvin Jonesは前作『Into Somethin'』に続く参加となります。Woody ShawとJoe Hendersonの二管は当時Horace Silverのグループのフロントとして活躍していたコンビですね。特に本作に収録された6曲中3曲がWoody Shaw作品であり、Woody Shaw好きの方にも外せない作品かもしれませんね。

オルガン・ジャズなのに、ソウルフルではなくモーダルというのが魅力の作品です。

Jimmy SmithBrother Jack McDuffLonnie Smithらに代表されるソウルフルなオルガン・ジャズも大好きですが、そうした作品とは異なる魅力持つLarry Youngのモーダルな演奏は、オルガン・ジャズの楽しみ方を広げてくれる気がします。

たまにはこんなオルガン・ジャズでもいいのでは?

全曲紹介しときやす。

「Zoltan」
Woody Shaw作品。今回初めて知りましたが、本曲はハンガリーの作曲家Zoltan Kodalyの「Hary Janos」がモチーフになっているらしいですね。マーチ風のElvinのドラミングで始める出だしを聴くと"アレっ?"という気もしますが、その後はモーダルな演奏が展開されます。Shaw自身のリーダー作では『Love Dance』(1975年)等で本曲の演奏を聴くことができます。

「Monk's Dream」
Thelonious Monk作品を取り上げています(Monkのオリジナルはアルバム『Monk's Dream』収録)。個性派ピアニストMonkの作品を独自の音世界へ突き進むオルガン奏者Larry Youngが演奏するというのが楽しいですね。演奏もグッドですが、誰が演奏してもMonk作品はMonk色に染まるというのが実感できます(笑)

「If」
Joe Henderson作品。ジョー・ヘンらしいクールでカッチョ良い作品ですね。演奏面でもジョー・ヘンが目立っています。また、Youngによるモーダルなオルガンにもグッときます。ジョー・ヘン自身のリーダー作では『The Kicker』(1967年)で本曲の演奏を聴くことができます。

「The Moontrane」
Woody Shaw作の名曲。John Coltraneに捧げられた本曲を、"オルガンのColtrane"と形容されたLarry Youngのリーダー作で演奏されるというだけで期待感大ですよね。Shawのスピリチュアルとスキルが伝わってくるソロにグッときます。

Shaw自身のリーダー作では『Moontrane』(1974年)で本曲の演奏を聴くことができます。また、Jackie McLean『Demon’s Dance』でもShaw本人の演奏を聴くことができます。

「Softly, As in a Morning Sunrise」
Oscar HammersteinU作詞、Sigmund Ronberg作曲のスタンダード(ミュージカル『New Moon』の挿入歌)。当ブログでは、Wynton Kelly『Kelly Blue』Sonny Rollins『A Night At The Village Vanguard, Vol. 1』の演奏を紹介済みです。Sonny Rollinsの演奏では本作と同じくElvin Jonesがドラムでしたね。ここではオルガン・ジャズならではの「Softly, As in a Morning Sunrise」を堪能できます。

「Beyond All Limits」
ラストもWoody Shaw作品。個人的にも本作で一番のお気に入りの演奏です。実にスリリングでエキサイティングなモーダル・オルガン・ジャズを堪能できます。

今週はNFLの第2週。
開幕週、我がマイアミ・ドルフィンズはファルコンズ相手にターンオーバー連発の自滅で完敗でした。

今週の相手はQBマニング率いるコルツ。
厳しい対戦となることが予想されますが初勝利を願っています。
ワイルドキャット絡みのビッグプレイを連発して欲しいですね。
posted by ez at 11:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月20日

McDonald & Giles『McDonald And Giles』

元King Crimsonメンバーによるアナザー・クリムゾン?☆McDonald & Giles『McDonald & Giles』
Mcdonald & Giles [HDCD]
発表年:1970年
ez的ジャンル:元クリムゾン系ユニット
気分は... :案外フォーキーな味わいが魅力かも?

McDonald & Giles唯一のアルバム『McDonald & Giles』(1970年)です。

McDonald & Gilesは、King Crimsonを脱退したIan McDonaldMichael Gilesの二人が結成したユニット。

デビュー作『In The Court Of The Crimson King』(1969年)が大成功を収め、2nd『In The Wake Of Poseidon』のレコーディング終了後、Ian McDonald、Michael Gilesの二人はRobert Frippと袂を分かちました。実際には『In The Wake Of Poseidon』のレコーディング前に脱退の意思を伝えていたようですが...

レコーディングにはIan McDonald(g、key、sax、fl、vo)、Michael Giles(ds、per、vo)以外に、Michaelの弟Peter Giles(b)、Trafficを再編したSteve Winwood(p、org)等が参加しています。

特にGiles, Giles And Fripp(Michael Giles、Peter Giles、Robert Frippによるユニット)のメンバーであったPeter Gilesの参加はファンにとって嬉しいかもしれませんね。その意味で本作はGiles, Giles And FrippならぬGiles, Giles & McDonaldの名称でも良かったのでは?

熱心なKing Crimsonファン、プログレ愛好者ではない僕ですが、昔から本作は名盤であるというイメージが強いですね。

Ian McDonaldに関して言えば、King Crimsonのメンバーと言うよりも、リアルタイムで聴いていたForeignerのメンバーという印象が強かったですね。正直、『4』(1981年)以降のForeignerには興味がありませんが、『Double Vision』(1978年)、『Head Games』(1979年)の頃は好きだったもので...

プログレ・アルバムと言う印象で聴かない方が楽しめると思います。
意外とフォーキーな味わいが魅力かもしれませんので...

全5曲のうち、4曲がIan McDonald作品、残り1曲がMichael Giles作品です。

Ian McDonaldの才能とGiles兄弟の演奏力を堪能できるアルバムです。

全曲紹介しときやす。

「Suite in C」
邦題「組曲ハ長調」。「Turnham Green」「Here I Am」等から構成される11分を超える組曲。牧歌的なフォーキー・チューンから、King Crimsonファンが喜ぶインプロと壮大なメロディが交錯し、終盤はスワンピーな演奏も飛び出し...と目まぐるしい展開です。ギター、サックス、フルートをはじめとするIan McDonaldのマルチ・プレイヤーぶりと多様な音楽性を堪能できます。ゲストのSteve Winwoodがピアノ・ソロを聴かせてくれます。

「Flight of the Ibis」
邦題「アイビスの飛行」。King Crimson「Cadence And Cascade」(アルバム『In The Wake Of Poseidon』収録)の原曲です。詞の改作はBP Fallonによるものです。メロディアスなアコースティック・チューン。今回、本作を紹介したのも秋のイメージにピッタリな本曲を聴きたくなったからかもしれません。King Crimson「Cadence And Cascade」と聴き比べるのも楽しいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=BvvsK_V-5rw

King Crimson「Cadence And Cascade」
http://www.youtube.com/watch?v=b1tOP5lO24M

「Is She Waiting?」
哀愁ムードのフォーキー・チューン。この翳りがブリティッシュ・フォークらしいのでは?

「Tomorrow's People - The Children of Today」
邦題「明日への脈動」。この曲のみMichael Giles作です。そのせいかアルバムの中でも少し異質の雰囲気があります。R&Bテイストのリズムやサックスの雰囲気はTrafficをイメージしますね。ゲストのSteve Winwoodの影響かもしれませんね。Michael Gilesのドラムを堪能したい方は楽しめると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=1R-LQmxZSUg

「Birdman」
オリジナルLPのB面を占める21分を超える大作。作詞はInfiniti〜King CrimsonでIan McDonaldと一緒であったPeter Sinfield。本曲自体もInfiniti時代に書かれたものらしいです。

「The Inventor's Dream (O.U.A.T.)」「The Workshop」「Wishbone Ascension」「Birdman Flies!」「Wings in the Sunset」「Birdman - The Reflection」の6曲から構成されています。フォーク、ジャズ、クラシック、ロック、ポップスと様々な音楽のエッセンスを聴くことができます。その意味では意気込んで大作を聴くというよりも、6曲のメドレーを聴くというスタンスの方が楽しめるのでは?最後はプログレらしい感動的なフィナーレを迎えるのもグッド!

このジャケの色合いがUKらしくていいですね。
それにしても、アンタ、そんなに彼女とのツーショットをジャケにしたいんかい(笑)
(実際はカップル2組のフォーショットですが)
posted by ez at 03:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月19日

The Residents『Open House』

アングラ・ジャジーHip-Hopの超オススメ作☆The Residents『Open House』
Open House
発表年:2009年
ez的ジャンル:メロウ&ジャジー系アングラHip-Hop
気分は... :あのResidentsとは同名異グループです!

今月は全く新譜を紹介していなかったので、今日は絶対新作を紹介します!
ということでThe Residents『Open House』です。

The Residentsは、MuneshinSaintにより結成されたHip-Hopユニット。

この二人の名前を聞いてピンと来る方は、かなりのアングラ・ジャジーHip-Hop好きの方でしょうね。

Muneshinは、カナダ、トロント出身のプロデューサー/トラックメイカー/MC。ライナーノーツには、Pete Rock、DJ Spinna、Pharoahe Monch等とのコラボが記載されていますが、アングラ・ジャジーHip-Hopファンには人気ユニットLightheadedの元メンバー、プロデューサーとしてお馴染みなのでは?

当ブログでは、Lightheadedの盟友Othelloによる生音ジャジーHip-Hopの名作Othello & The Hipknotics『Classic』や後述するThe Good Peopleのデビュー作『The Good People』の記事の中でMuneshinの名前が出てきます。

もう一人の主役Saintは、N.Y.出身のトラックメイカー。当ブログでは同じくN.Y.出身のMCであるEmskeeと組んだユニットThe Good Peopleのメンバーとして、1st『The Good People』、2nd『Long Time Coming』の2枚を紹介済みです。特に『The Good People』『ezが選ぶ2006年の10枚』でもセレクトするほどのお気に入り作品でした。

The Good People『The Good People』
ザ・グッド・ピープル

また、ソロ名義でも『Grown Folk Music』『About Time』といった作品をリリースしています。

この強力メンバー二人が組んだThe Residents『Open House』ですが、アングラ・ジャジーHip-Hopファンが狂喜乱舞するくらいミラクルなメロウ&ジャジーHip-Hopアルバムに仕上がっています。

個人的には今年のNo.1アングラ・ジャジーHip-Hopアルバムは本作で決まり!と言いたくなるくらいの超お気に入りです。

全曲紹介しときやす。

「Intro」
「Something Like」
元The X-EcutionersのRob Swiftをフィーチャーしたジャジー・チューン。ヴァイヴの響きとスムース・ライミングの組み合わせがアングラ・ジャジーHip-Hop好きにはたまりません。

「Do Your Thing」
本トラックを聴いて、本作の購入を即決しました。The Good Peopleのデビュー作に通じる、メロディアスかつ躍動感のあるトラックがたまりません。

「Starting Monday」
出だしのソウルフルな女性ヴォーカルの早回しだけで期待が高まります。本編もその流れで暖かみのあるソウル・チューンに仕上がっています。

「What We've Got」
UKの女性ヴォーカリストShuaniseとカナダ人ラッパーShad K.をフィーチャー。アングラHip-Hop好きにはたまらないメロウ&ジャジー・チューン。華やかなShuaniseがグッド!

「Nocturnal」
Saintらしい浮遊感溢れるトラックが印象的です!A Tribe Called Quest(ATCQ)大好きの僕としては、このタイプのトラックには相当グッときます。

「Beneath the Surface」
70年代テイストの少しミステリアスなトラックがグッド。

「Here to There」
Understandingをフィーチャーしたメロウ&ジャジー・チューン。フェンダーローズの音色が心地よく響き渡ります。アングラ・ジャジーHip-Hop好きには鉄板でしょう!

「Forever Tonight」
女性ヴォーカルの早回しによる♪フォエヴァ〜♪フォエヴァ〜♪のフレーズが印象的です。

「Veterans」
ベテラン・ラッパーEdo.Gをフィーチャー。ボコーダー使いのトラックがグッときます。

「Keys to Life」
Cadence & Dminorをフィーチャー。CadenceはRaw Produceとしての活動で知られていますね。メロディアスなトラックとスムース・フロウが実に僕好みです。

「Anybody」
ヴァイヴが心地よく響くメロウ&ジャジー・チューン。こういったジャジーHip-Hop好きが歓喜するトラックを連発してくれるからSaintって大好き!

「Love of My Night」
ラブリー・モードのジャジー・チューン。アングラHip-Hopの醍醐味を堪能できる絶品トラックです。

「Reach」
当ブログではお馴染みLightheadedのOhmega Wattsをフィーチャー。Lightheaded人脈を持つMuneshineですから、こういう客演は期待しちゃいますよね。S.O.S Band「Just Be Good To Me」のメロディも聴かれるMuneshineによるトラックとOhmega Wattsのフロウの相性は当然ながらバッチリです。

「Diss One」
ラストはSaintによるダーク&レイジーなトラックで締めくくってくれます。カッチョ良さで言えば、アルバム随一かも!

国内盤にはボーナス・トラックとして「What We've Got(Hidetake Takayama Remix)」が収録されています。

オールド・ファンの中にはThe Residentsと聞いて、70年代から活躍する前衛音楽集団The Residentsを思い浮かべた方もいたかもしれませんね。同名異グループなのでお間違いなく!

The Residents『Eskimo』(1979年)
Eskimo
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
このResidentsではありません(笑)
posted by ez at 01:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする