2009年09月03日

Average White Band『Feel No Fret』

アヴェレージ以上の出来栄えのセルフプロデュース作☆Average White Band『Feel No Fret』
Feel No Fret
発表年:1979年
ez的ジャンル:メロウ&ファンキーUK白人ファンク
気分は... :過渡期だからこその面白さ!

UKを代表する白人ファンク・グループAverage White Band(AWB)の久々の登場です。

『Soul Searching』(1976年)、『Cut The Cake』(1975年)に続いて紹介するには、1979年リリースの『Feel No Fret』(1979年)です。

『Cut The Cake』の記事エントリー日が2007年06月19日ですから2年以上紹介し忘れていました(笑)

一方でThe Baker Brothers『Transition Transmission』(2008年)、The Allstars Collective『All About the Music』(2007年)といった作品でのHamish Stuartの活躍ぶりに、AWBの存在の大きさを再認識することができました。

本作『Feel No Fret』(1979年)の最大の特徴は、2ndアルバム『AWB』(1974年)以来タッグを組んできたプロデューサーArif Mardinを起用せずにセルフプロデュースで制作に臨んでいる点です。グループとして何か変化を求めていたのでしょうね。そんな過渡期ならではのAWBを楽しむアルバムだと思います。

本作におけるメンバーは、Hamish Stuart(g、vo、b)、Alan Gorrie(b、vo、g)、Roger Ball(key、syn、as)、Malcolm Duncan(ts)、Steve Ferrone(ds、per)、Onnie McIntyre(g、vo)の6名。それ以外にMichael Brecker(tp)、Randy Brecker(ts)、Lew Delgatto(bs)、Airto Moreira(per)、Luther Vandross(vo)等がゲストとして参加しています。

CDは『Feel No Fret...And More』というかたちで、オリジナルLPの9曲に加えてボーナス・トラック4曲が追加収録されています。これらはベスト盤『Volume VIII』(1980年)に収録されたDavid Fosterプロデュースの新録4曲です。

David Fosterプロデュースの人気作『Shine』(1980年)がお好きな方は、このボートラ目当てに本作を購入したのでは?個人的にはボートラ無しのオリジナル9曲のみで十分楽しめると思いますが...

オリジナルLPとは別の楽しみ方もできる、なかなかお得な1枚です。

全曲紹介しときやす。

「When Will You Be Mine」
シングルにもなったオープニング。いつもながらのファンキーなAWBです。ファンキーながらも爽快モードなのがいいですね。Mark Ronson feat. Daniel Merriweather「She's Got Me」のネタにもなっています。

Mark Ronson feat. Daniel Merriweather「She's Got Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=-OD9PAxfmS8

「Please Don't Fall In Love」
僕が好きなメロウ&ファンキーなAWBに出会うことができるアーバン・モードの仕上がりです。

「Walk On By」
Hal David/Burt Bacharachによるお馴染みの名曲。オリジナルDionne Warwick以外にも様々なアーティストがカヴァーしていますね。当ブログでも約2ヶ月前にCal Tjaderのカヴァーを紹介しました。

そんな名曲をここではレゲエ調のファンキー・チューンで聴かせてくれます。数ある本曲のカヴァーの中でも大胆なアレンジが光るユニークなものなのでは?シングルにもなりました。
http://www.youtube.com/watch?v=S3XmVfix2aM

「Feel No Fret」
タイトル曲はファンキーな味わいの中にも洗練された雰囲気が漂います。過渡期のAWBらしい演奏なのでは?この微妙な塩梅が逆に楽しかったりします。

「Stop The Rain」
若いリスナーの方、Hip-Hopファンにとっての目玉はサンプリング・ネタとしてお馴染みの本曲かもしれませんね。Gang Starr「Gotta Get Over」、Pete Rock「Play Dis Only At Night」、Detroit's Most Wanted「Backstabbers」、Leena Conquest「Boundaries」、Willie D「My Alibi」等でサンプリングされています。

サンプリング・ネタ云々を抜きにしても、都会的でクールなファンキー・チューンはなかなかグッドです。

Gang Starr「Gotta Get Over」
 http://www.youtube.com/watch?v=UAu3cuBIGPo
Pete Rock「Play Dis Only At Night」
 http://www.youtube.com/watch?v=739sGJ7w3MI
Detroit's Most Wanted「Backstabbers」
 http://www.youtube.com/watch?v=GazhdFRyYgo
Leena Conquest「Boundaries」
 http://www.youtube.com/watch?v=_bcV4e4fne8
Willie D「My Alibi」
 http://www.youtube.com/watch?v=eyaVP7H7-l8

「Atlantic Avenue」
「Please Don't Fall In Love」、「Ace Of Hearts」と並ぶ僕のお気に入り。よりブラジリアン・フレイヴァーになったEarth Wind & Fire「Fantasy」みたいな印象を受けるのは僕だけしょうか?Airto Moreira等のゲスト・ミュージシャンたちも加わり、盛り上げてくれます。

「Ace Of Hearts」
本曲のみArif Mardinがストリングス・アレンジで参加しています。皮肉にもその巧みなストリングス・アレンジが光る、完成度の高いメロウ・チューンに仕上がっています。この曲を聴くと、Arif Mardinと組んでいた方が良かったのでは?と思ってしまいます...

「Too Late To Cry」
哀愁モードのアーバンなメロウ・チューン。バック・コーラスでLuther Vandrossが参加しています。

「Fire Burning」
ラストはど派手なファンキー・チューン。Brecker兄弟らゲスト参加のホーン隊も盛り上げてくれます。

ここまでがオリジナルの9曲です。

「Kiss Me」
ここからがDavid Fosterプロデュースのボーナス・トラック4曲です。本曲「Kiss Me」は80年代産業ロックと同じ臭いの暑苦しさを感じるので僕的にはNGです。

「Love Won't Get in the Way」
同じDavid Fosterプロデュースでも前曲とは異なるアーバン・メロウな魅力が上手く引き出された仕上がり。この演奏は大好きです。

「Love Gives, Love Takes Away」
AOR路線のABW好きの方は間違いなく気に入る仕上がりだと思います。

「Growing Pains」
AOR路線の壮大なスケールのスロウ。僕には少し仰々しい印象を受けますが...

ということでボーナス・トラック4曲は、僕的には2勝2敗の五分といった印象です。
posted by ez at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする