発表年:1998年
ez的ジャンル:ブルックリン系コンシャスHip-Hop
気分は... :立ち上がった二つのブラック・スター☆
今回はBlack StarによるHip-Hop史上に輝く名盤『Mos Def & Talib Kweli are Black Star』(1998年)です。
Black StarはMos DefとTalib Kweliというブルックリン出身の二人のラッパーによるユニット。二人ともBlack Starのメンバーという肩書き抜きでも、ソロ作や他アーティストとの共演でお馴染みの二人ですね。
Mos Def(1973年生まれ)は、『Black on Both Sides』(1999年)、『The New Danger 』(2004年)、『True Magic』(2006年)、『The Ecstatic 』(2009年)といったソロ・アルバムでもお馴染みですね。今年リリースしたばかりの『The Ecstatic 』は賛否両論分かれていますが、僕はなかなかいいアルバムだと思います。
Mos Def『The Ecstatic』(2009年)
Mos Def「Casa Bey」
http://www.youtube.com/watch?v=95YNQrEVmYg
一方のTalib Kweli(1975年生まれ)も、『Quality』(2002年)、『The Beautiful Struggle』(2004年)、『Eardrum』(2007年)といったソロ・アルバムをリリースしています。当ブログではMadlibとの共演アルバム『Liberation』(2007年)を紹介しています。
Talib Kweli & Madlib「Soul Music」
http://www.youtube.com/watch?v=W8B7PJSP8eI
そんな二人が組んだBlack Starのデビュー・シングル「Definition」1998年)は、ビーフ(中傷合戦)が横行し、襲撃、発砲事件などにも発展するなど暴力的なイメージが増大していったHip-Hopシーンに対して、Stop The Violence !を強く呼びかけたものであり、シーン再生への強力なメッセージとして多くの関係者、リスナーから賞賛されました。
そんな「Definition」を含むデビュー・アルバム『Mos Def & Talib Kweli are Black Star』も、沈滞ムードのHip-Hopシーンに渇を入れた傑作アルバムに仕上がっています。
プロデュースはHi-Tekを中心にTalib Kweli、Da Beatminerz、J. Rawls、Ge-ology、88-Keysが起用されています。特にHi-Tekの素晴らしい仕事ぶりが光ります。
本作のヒットはBlack Starのみならず、Hip-HopレーベルRawkus Recordsの名も一躍有名にしました。
骨のあるHip-Hopを聴きたい方はぜひお試しを!
全曲紹介しときやす。
「Intro」
傑作アルバムはジャジー&ダークに幕を開けます。
「Astronomy (8th Light) 」
ミステリアスなキーボード・サウンドを聴かせてくれるのはレア・グルーヴ・ファンにはお馴染みのキーボード奏者Weldon Irvineです。そんな浮遊感のあるトラックをバックにTalib Kweli、Mos Defがスムースなフロウを聴かせてくれます。Da Beatminerzプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=4-hVkorqicw
「Definition」
前述ように本作のハイライト。Boogie Down Productions「The P Is Free」のビートと「Stop The Violence」のメッセージを用いて、当時のHip-Hopシーンへ警鐘を鳴らしたこのヒット・シングルであり、Hip-Hop史に残るクラシック。サウンド的にはラガ・テイストのトラックがクセになります。Hi-Tekプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=Rx5aVI2zsFE
本曲を気に入った方は元ネタのBoogie Down Productions「The P Is Free」、さらに「The P Is Free」の元ネタYellowman「Zungguzungguguzungguzeng」もチェックすると3倍楽しめると思います。
Boogie Down Productions「Remix For P Is Free」
http://www.youtube.com/watch?v=GoJeThDfdzk
Yellowman「Zungguzungguguzungguzeng」
http://www.youtube.com/watch?v=tUjIl4_DYiU
「RE: DEFinition」
「Definition」からの流れにグッときます。彼らがHip-Hopシーン再生の救世主であったことを実感できる力強い1曲ですね。Hi-Tekプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=fr6SrRQnZv4
「Children's Story」
タイトルの通り、当ブログでも紹介したSlick RickのHip-Hop史に残るクラシック「Children's Story」へのリスペクトを感じる1曲です。Shawn J. Periodプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=ivzGnHtN8Mk
Slick Rick「Children's Story」
http://www.youtube.com/watch?v=eRC4ziQpb5I
「Brown Skin Lady」
Common「The People」と同じくGil Scott-Heron & Brian Jackson「We Almost Lost Detroit」ネタのソウルフルなトラックがリリックを際立たせます。J. Rawlsプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=qTR-9VuwVjo
「B Boys Will B Boys」
B boysへのメッセージ!Ge-ologyによるリズミックなトラックにグッときます。
「K. O. S. (Determination) 」
De La Soulのクラシック「A Roller Skating Jam Named "Saturdays"」等でお馴染みの女性シンガーVinia Mojicaをフィーチャー。Minnie Riperton「Baby, This Love I Have」ネタのメロウ・チューンに仕上がっています。Hi-Tekプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=gwTHVE_wrco
「Hater Players」
Shawn J. Periodプロデュース。チープ&エレクトリックなトラックが印象的です。
「Yo Yeah」
1分強の短い曲ながらも、J. Rawlsプロデュースのトラックにグッとくきます。Scientifik「Downlo Ho」ネタ。
Scientifik「Downlo Ho」
http://www.youtube.com/watch?v=0rhGjLCp36M
「Respiration」
「Definition」と並ぶクラシック。Commonをフィーチャーしています。 Mos Def & Talib KweliにCommonが加わるなんて、まさに最強トリオの共演という気がします。言霊のように三人のリリックが突き刺さってきます。Hi-Tekプロデュース。Don Randi「The Fox」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=a468KFhbhXQ
オリジナル・ヴァージョンと並んで要チェックなのが、Black Star、Commonに加えてThe RootsのBlack Thoughtが参加し、Pete RocKがプロデュースを務めたFlying High Remixです。メンツを見ただけで鼻血ブーですね(笑)
Black Star, Common & Black Thought「Respiration (Flying High Remix) 」
http://www.youtube.com/watch?v=bJ8sz1KLJP4
「Thieves in the Night」
88-Keysプロデュース。ジャジーなトラックをバックを二人の力強いフロウを聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=_LQiuQ1xIBM
「Twice Inna Lifetime」
Hip-HopクルーeMCのWordsworth、 Punchlineらをフィーチャー。ダークな雰囲気が漂うトラックが不気味です。Hi-Tekプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=uukITnI9Dq8
wikiを見ると来年12年ぶりとなるBlack Starの2ndアルバムがリリースされる予定のようですね。本当かなぁ???