
発表年:1976年
ez的ジャンル:西海岸SSW
気分は... :4年が経ちました...
今日でブログ開設(2005年9月7日開設)からちょうど4年が経ちました。
その間に投稿した記事数1,347本、紹介したCD数1,299枚。
毎平均324〜5枚のCDを紹介している計算になります。
自分自身では、「年代、ジャンル問わず」というコンセプトを開設以来維持できているのが嬉しいですね。
当初は継続できるように、曲紹介も数曲に止め、記事ボリュームも多くならないようにしていたのですが、今では全曲紹介が当たり前になってしまい、記事ボリュームも開設時の数倍になってしまいました。これには自分でも驚きです。まぁ、それだけブログにハマったのでしょうね。
これからも自分のスタイルで続けていきたいと思います。
さて4周年の記念すべきエントリーに選んだ作品はJackson Browne『The Pretender』(1976年)です。
今後も初心を忘れずという意味で、僕の音楽ライフの原点と呼べるアーティストJackson Browneをセレクトしてみました。
これまで当ブログで紹介してきたJackson Browneは以下の3枚。
『Late For The Sky』(1974年)
『Running On Empty』(1977年)
『Hold Out』(1980年)
以前にも書いたように上記3枚と今日紹介する『The Pretender』(1976年)の4枚は僕が墓場まで持っていきたいアルバムです。
『The Pretender』(1976年)は、Jackson Browneの最高傑作との呼び声が高いアルバムです。その一方で、本作にはレコーディング中にJacksonの妻Phyllisが自殺してしまうという悲劇を乗り越えて制作されたアルバムという経緯があります。
Phyllisが突然亡くなった時点で大半のレコーディングは終了しており、必ずしも妻の自殺の影響が前面に出ているわけではありません。それでも家族や人生への苦悩を歌うJacksonのヴォーカルは、涙無しには聴くことができません。
プロデュースはBruce Springsteenでお馴染みのJon Landau。参加ミュージシャンは David Lindley(g)以外は前作 『Late For The Sky』からは大幅にメンバー・チェンジしています。
Little FeatのLowell George(g)、Bill Payne(p、key)はじめ、John Hall(g)、Albert Lee(g)、Waddy Wachtel(g)、Fred Tackett(g)、Roy Bittan(p)、Craig Doerge(p、key)、Gary Coleman(per)、Chuck Rainey(b)、Bob Glaub(b)、Leland Sklar(b)、Jim Gordon(ds)、Russ Kunkel(ds)、 Jeff Porcaro(ds)、Don Henley(vo)、David Crosby(vo)、Graham Nash(vo)、J.D. Souther(vo)、Bonnie Raitt(vo)、Rosemary Butler(vo)等の豪華な顔ぶれが揃いました。
いつ聴いても自分自身と素直に向き合える作品ですね。
落ち込んだ時には優しく慰められ..
不安に陥って入る時には迷いを吹き飛ばし...
気持ちが高ぶっている時には落ち着きを取り戻し...
傲慢になっている時には自分を戒め...
本作を初めて聴いてから30年以上が経ちますが何度救われたことか数えきれないかもしれません。そしてこれからも僕は本作に何度も救われるのかもしれません。
偽らずに自分らしく生きることができるように祈りながら...
普段は心地よい音を欲している僕ですが、今日は感傷的な歌世界に浸りたいと思います。
全曲紹介しときやす。
「The Fuse」
重々しくスタートするオープニング。人生への苦悩、焦りのようなものをさらけ出す歌詞がズシリと胸に響きます。決して明るい歌ではありませんが、誰もが抱える人生への不安を代弁してくれているようで救われます。この歌に込めたJacksonの強い思いが音にしたような終盤のCraig Doergeのピアノがグッドです。
http://www.youtube.com/watch?v=jRa52kuyEsQ
「Your Bright Baby Blues」
放浪しながらも人生の安らぎを求める若者について歌った作品。僕も青春時代には悩める若者として、この曲を繰り返し聴いたものです。聴いていると何処かに旅がしたくなる曲ですね。Lowell George、Billy PayneのLittle Featの好サポートが光ります。特にLowell Georgeのスライド&バック・ヴォーカルにグッときます。昔ながらのJacksonがお好きな人はグッとくる曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=RSBWEjHDMH0
「Linda Paloma」
"メキシコの鳩"と呼ばれた歌姫について歌った作品。タイトルも含めて、Linda Ronstadtのことを歌った曲なのでは?という解説を昔読んだことがありますが、どうなんですかね。Arthur Gerstのハープを大きくフィーチャーしたメキシカン&ノスタルジックな仕上がりはアルバムの中でも異色です。
「Here Come Those Tears Again」
邦題「あふれ出る涙」。この曲は妻Phyllisの自殺後に書かれた曲です。歌詞自体は失恋ソングですが、切々と歌うJacksonのヴォーカルは、あふれ出る涙ナシには聴くことができません。本作はJacksonとNancy Farnsworthの共作ですが、この女性は亡くなった妻Phyllisの母親です。余計に涙が込み上げてきてしまいますね。歌詞抜きでもキャッチーなメロディの佳作としてグッとくると思います。シングルにもなりました。Bonnie Raitt、Rosemary Butlerによる素晴らしい女性バック・ヴォーカルがより感動を高めてくれます。ここまではオリジナルLPのA面です。
http://www.youtube.com/watch?v=V05shTgDV_M
「The Only Child」
邦題「我が息子よ」。裏ジャケにも写っている(当時の一人息子である)息子Ethanについて歌ったもの。「母さんを大切にするんだよ」という歌詞が痛々しいですね。メロディ的には「Here Come Those Tears Again」と並ぶ素晴らしい出来栄えだと思います。Don Henley、J.D. Southerのバック・ヴォーカル、David Lindleyのバイオリンが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=uyfcsjWfBvw
「Daddy's Tune」
邦題「愚かなる父の歌」。タイトルの通り、若き日折り合いの悪かったJacksonの父親について歌ったもの。前曲「The Only Child」とセットで聴くと感慨深いですね。かつて父親と衝突した自分が、父親となり息子に語りかける立場になり、初めて父の思いを知る...多くの方がこのようなプロセスを経ていくのかもしれませんね。サウンド的にはホーン隊の入った中盤以降が盛り上がります。
「Sleep's Dark And Silent Gate」
邦題「暗涙」。個人的には本作で最も多く聴いてきた曲。
♪(ハイウェイに腰をおろして)道を眺めている
♪(誰かが乗せてくれるのを持ちながら)
一体今まで自分がどこにいたのかも知らないまま
♪(飛んでいけたらと思っている)自分がどこへ行くのかも知らずに
この歌詞を聴くたびに、自分自身の人生はどこへ向かっているのだろうと考えてしまいます。きっと僕はJacksonの歌を聴きながら、死ぬまでこんな事を考え続けるのでしょう(笑)
「The Pretender」
タイトル曲はJacksonのキャリアを代表する名曲。いつ聴いても胸の奥に突き刺さる歌ですね。我々は人生を重ねるほど、"本当の自分を偽らずに生きること"がいかに難しいかを痛感します。でも現実を知りながらも、偽らずに自分らしく生きることを諦めたくはない...だからこそ、この歌のように祈りたくなるのかもしれませんね。アーメン。
http://www.youtube.com/watch?v=ikm9hn_xy9Y
ジャケ写真の真っ白なTシャツを街を歩くJacksonの姿には、苦難を乗り越えて前へ歩んでいこうとする決意を感じます。久々に聴き終えて、僕の目は"あふれ出る涙"状態です(笑)