2009年10月24日

Mayer Hawthorne『A Strange Arrangement』

巷で話題沸騰中!白人シンガーによるレトロ・ソウルなデビュー作☆Mayer Hawthorne『A Strange Arrangement』
A Strange Arrangement
発表年:2009年
ez的ジャンル:レトロ・ソウル系白人シンガー
気分は... :徹底的に楽しむべし!

今日は各方面で話題の白人シンガーMayer Hawthorneによるレトロ・ソウルなデビュー・アルバム『A Strange Arrangement』です。

Curtis MayfieldSmokey Robinson 、Holland-Dozier-Holland、Gamble & Huff等60年代、70年代ソウルからの影響がモロに反映されたスウィート&グルーヴィーなブルーアイド・ソウル作品は、音楽好きの間で既にかなりの支持を得ていますね。

アングラHip-Hop好きにはお馴染みのL.A.のHip-HopレーベルStones Throw Recordsからリリースされ、Gilles Peterson等の人気DJがプレイしているということで、R&B/Soulファンに止まらず、Hip-Hop、クラブジャズ方面からも注目されています。

Mayer Hawthorneは1978年(あるいは1979年)ミシガン州アナーバー出身の白人シンガー/マルチ・ミュージシャン。

Stones Throw Recordsの総帥Peanut Butter Wolfに見出され、Stones Throwより2008年に可愛いハート型シングル「Just Ain't Gonna Work Out/When I Said Goodbye」でデビュー。同年、さらにシングル「Maybe So, Maybe No/I Wish It Would Rain」をリリースします。

Mayer Hawthorne「When I Said Goodbye」 ※本作には未収録です。
http://www.youtube.com/watch?v=TBbX9Hy3vDc

この2枚のシングルをリリースした時点で、一部ファンの間ではかなり話題になっていましたが、今回のデビュー・アルバムのリリースでその盛り上がりが一気に急拡大しそうですね。

いかにも音楽愛好家が作ったアルバム!って感じが好きですね。
正直、Mayerのファルセット・ヴォーカルはソウル・シンガーと呼ぶには笑っちゃうほど下手くそだし、サウンドにもオリジナリティを追求しようとする姿勢は微塵も感じられません。

でも、本作を60年代、70年代ソウルと比較して、ヴォーカルが下手とか!単なるソウルの焼き直し!みたいな批判をするは、あまり意味のないことでしょう。アーティスト本人やレーベルもそんなことは百も承知でやっているのでしょうから。

自分の好きな音楽をそのまま音にしました!って感じの徹底ぶりをニヤニヤしながら聴くというのが本作の楽しみ方でしょう。

全曲紹介しときやす。

「Prelude」
ア・カペラによるスウィートなプロローグ。

「A Strange Arrangement」
タイトル曲はスウィート・ソウルなスロウ・チューン。とろけるような甘さがたまりません!この1曲でつかみはO.K!といったところでしょうか。

「Just Ain't Gonna Work Out」
デビュー・シングルにもなった人気曲。この曲はStones ThrowらしくHip-Hop調のビートに、メロウなヴォーカル&ハーモニーが絡んできます。繰り返し聴いていると、下手くそファルセットが逆に心地よかったりします。
http://www.youtube.com/watch?v=pBKx8PyE5qQ

「Maybe So, Maybe No」
2ndシングルになった曲。60年代ソウル・グループThe New Holidaysによるグルーヴィー・ソウルのカヴァー。めくるめくエレガントなイントロもそのまま再現しています。
http://www.youtube.com/watch?v=mpfcydeSGeo

New Holidays「Maybe So, Maybe No」
 http://www.youtube.com/watch?v=3srBuOokag8

「Your Easy Lovin' Ain't Pleasin' Nothin'」
この曲はH-D-Hしていますね。(Supremesではなく)Phil Collinsヴァージョンの「You Can't Hurry Love」あたりと一緒に聴くとハマる感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=pm1_A8eZ6rc

「I Wish It Would Rain」
シングル「Maybe So, Maybe No」のB面曲としてお馴染みのスウィート・ソウル。切ないムードにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=gfpJmbF1NSc

「Make Her Mine」
少しイナたい雰囲気がたまらないグルーヴィー・ソウル。

「One Track Mind」
「Your Easy Lovin' Ain't Pleasin' Nothin'」同様、モータウン、H-D-Hしています。Supremes「Baby Love」あたりと一緒に聴きたくなりますね。

「The Ills」
Curtis Mayfield好きにはたまらないノーザン・ダンサー。何故かBeck>「Sexx Laws」と一緒に聴きたくなるのは僕だけでしょうか?
http://www.youtube.com/watch?v=EFHSHOwEEcQ

「Shiny & New」
ソウル・マナーの哀愁スロウ。上手くはないけど、実に雰囲気のあるヴォーカルですな。

「Let Me Know」
ノスタルジックな男の哀愁感にグッときます。

「Green Eyed Love」
この曲が一番ソウルっぽくないかも?少しヒネった哀愁ポップに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=0Ijx-YtbYLg

気難しく写ったジャケとのギャップも笑えます。
この人きっとお馬鹿なこと大好きだと思います(笑)
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2009年10月23日

Lord Sitar『Lord Sitar』

名セッション・ギタリストBig Jim Sullivanによるシタール作品☆Lord Sitar『Lord Sitar』
Lord Sitar
発表年:1968年
ez的ジャンル:エキゾチック・ラウンジ系シタール
気分は... :カレー大祭り!

今日は仕事でお疲れモードなので気軽に聴ける作品を!
ということで、先日チラッと紹介した、タワレコの輸入CDクリアランスセールでゲットした作品の中からLord Sitar『Lord Sitar』(1968年)です。

Lord Sitarは、UKを代表するセッション・ギタリストBig Jim Sullivanの変名。

Big Jim Sullivanは1941年生まれ。1950年代終わりからセッション・ギタリストとしてのキャリアをスタートさせています。人気セッション・マンとして、1,000曲以上のヒット曲のセッションに参加しているらしいです。また、Jimmy PageやRitchie Blackmoreといったスーパーギタリスト達の師匠としても有名ですね。

今日紹介する『Lord Sitar』(1968年)は、タイトル通り、全編シタールが演奏されているアルバムです。きっと当時シタールでのセッション参加が多かったのでしょうね。そんな流れで当時のSullivanは、本作以外にもM.Kansara名義の『Sounds of India』(1967年)や『Sitar Beat』(1968年)といったシタール作品をリリースしています。

本作『Lord Sitar』は、BeatlesThe Who、Monkees等の当時の人気曲をシタールで演奏したエキゾチック・ラウンジ作品といった印象です。良く悪くもB級感が漂いますが、その分気軽に楽しめる作品だと思います。

一口にシタール演奏と言っても、様々なバリエーションがあることを実感できるのが楽しいですね。

本格インド・カレーもあれば、欧風カレー。和風カレー、カレー・チャーハン、カレーパンもあるカレー祭りといったところでしょうか(笑)。

全曲紹介しときやす。

「If I Were a Rich Man」
ミュージカル『屋根の上のバイオリン弾き(Fiddler on the Roof)』のシタール・カヴァー(Sheldon Harnick/Jerry Bock)。最初は45秒は本格的なシタール演奏なのですが、それ以降はホンワカ・モードの演奏です。スーパーの食品売場のBGMとかで流れていそうな雰囲気です(笑)

「Emerald City」
オーストラリア出身のフォーク・グループThe Seekersのヒット曲をカヴァー。でもコレってベートーベンの第九のシタール演奏じゃないの?よくわかりません。

「Tomorrow's People」
リズムがクリスマスっぽいです。

「Daydream Believer」
Monkees、1967年の大ヒットのカヴァー。お馴染みの曲なので、分かりやすくて楽しめます。女声スキャットやリコーダーも入った素敵なカヴァーだと思います。

「Like Nobody Else」
スペインのビート・グループLos Bravosのカヴァー。楽曲自体はBee GeesのGibb兄弟によるものです。ラーガ・ロックな仕上がりはロック・ファンも満足するのでは?

Los Bravos「Like Nobody Else」
 http://www.youtube.com/watch?v=cxS4iGTzry4

「I Am the Walrus」
Beatlesカヴァー1曲目。この曲はシタールがマッチしますね。Beatles自身がこんなヴァージョンで演奏していてもおかしくなかったのでは?そう言えば、"Lord Sitarの正体はGeorge Harrisonである"なんて説も当時はあったらしいです。
http://www.youtube.com/watch?v=4mM6CdBeqZY

「In a Dream」
妖しげなフルート音色と共に始まります。疾走するシタールって感じがいいですね。演奏自体では一番好きかも?

「Eleanor Rigby」
Beatlesカヴァー2曲目。この演奏はスーパー食品売場のBGMパターンかもしれません(笑)

「I Can See for Miles」
The Whoのヒット曲「恋のマジック・アイ」のカヴァー。The Who大好きの僕としては、やはりこの曲をイチオシしたくなりますね。オリジナル以上に弾けている感じがグッド!ホーン隊も盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=122__aBqSvY

「Blue Jay Way」
Beatlesカヴァー3曲目。この曲のシタール演奏ってハマりすぎってイメージがあったのですが、多少僕のイメージとは異なる演奏でした。女声スキャットが印象的です。

「Black Is Black」
ラストは「Like Nobody Else」に続き、Los Bravosのカヴァーです。R&B調のシタール・チューンといった感じで、なかなかキマっています。
http://www.youtube.com/watch?v=mvXkT-1eQkw

Los Bravos「Black Is Black」
 http://www.youtube.com/watch?v=ntHVZdIZ7Vk

『Sitar Beat』(1968年)あたりも聴いてみたいですね。こちらもBeatles「She's Leaving Home」、「Within Without You」Donovan「Sunshine Superman」Procol Harum「A Whiter Shade Of Pale」のシタール演奏が聴けるようです。

Big Jim Sullivan『Sitar Beat』
Sitar Beat
posted by ez at 12:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月22日

Antonio Adolfo & A Brazuca『Antonio Adolfo E A Brazuca』

Antonio Adolfo率いるBrazucaの2作目☆Antonio Adolfo & A Brazuca『Antonio Adolfo E A Brazuca』
Antonio Adolfo & Brazuca
発表年:1971年
ez的ジャンル:トロピカリズモ系ブラジリアン・ソフト・ロック
気分は... :イメージとのギャップが面白い!

今回はAntonio Adolfo & A Brazuca『Antonio Adolfo E A Brazuca』(1971年)です。

Antonio Adolfoは、1947年リオ・デ・ジャネイロ生まれのピアニスト/コンポーザー/アレンジャー。音楽一家に生まれた幼少から音楽を学び、17歳でプロ・ミュージシャンとなりました。

1960年代半ば〜後半には、ジャズボッサなグループTrio 3DConjunto 3Dを率います。60年代終わりには、Elis Reginaのバックメンバーを務めた後、伝説のグループBrazukaを結成し、2枚のアルバムを残しています。

ソロ名義でも『Antonio Adolfo』(1972年)自ら立ち上げたレーベルArtezanalからリリースした『Feito em Casa』(1977年)、『Viralata』(1979年)等のアルバムをリリースしています。

また、彼の作品はNara LeaoSergio Mendes & Brasil '66等数多くのアーティストによってレコーディングされています。

当ブログでは、Elis Regina『Elis Regina in London』『Elis, Como e Porque』Birgit Lystager『Birgit Lystager』Joyce Cooling『Cameo』の記事でAdolfoの楽曲を紹介しています。

さて、今日紹介する『Antonio Adolfo E A Brazuca』(1971年)はAntonio Adolfo & A Brazucaの2作目となります。1作目(1969年)もグループ名を冠した同タイトルなので混同しないようにしましょう。ちなみにジャケ写真にリンクしているAmzonのページは、ジャケは本作ですが曲目リスト、解説は1作目のものになっているのでご留意下さい。

『Antonio Adolfo E A Brazuca』(1969年)※コチラが1st
アントニオ・アドルフォ&ブラズーカ(No.1)

"ブラジリアン・ソフト・ロック"として紹介されることが多いAntonio Adolfo & A Brazucaですが、今日初回する2ndはトロピカリズモ系のゴッタ煮感、毒気を持つバンドという印象を強く受けるのではないかと思います。僕自身も想像以上に退廃的で、ロックしている印象を受けました。

メンバーはAntonio Adolfo (el-p、p、arr)以下、Luiz Claudio Ramos(g)、Luizao Maia(b)、Paulo Braga(ds)、Bimba(vo)、Luiz Keller(vo)です。これだと6名ですがジャケ写真には7名が写っています。裏ジャケに小さく写っている演奏シーンでも6名なのですが、残りの1名は誰なのでしょうか?

個人的には以前に紹介したMichel Fugain Et Le Big Bazar『Fais Comme L'Oiseau』(1972年)あたりと一緒に聴きたくなります。得体の知れない面白さという点で2枚は共通している気がします。

全曲紹介しときやす。

「Panorama」
オープニングはメロウなボッサ・チューンに仕上がっています。このイメージが徐々に崩れていくのが本作の面白いところですが(笑)

「Claudia」
「Transamazonica」と並ぶ人気曲。ドリーミー&ボッサなソフト・ロックに仕上がっています。男女ヴォーカルのバランスが絶妙です。
http://www.youtube.com/watch?v=HOv5jnGfBJ0
※なぜか映像が女性のヌードのものですのでお気をつけください。

「Tributo a Victor Manga」
フレンチ・テイストの女声スキャット&サウンドをバックに、男性ヴォーカルが絶叫する変態チックな1曲。B級エロ映画のBGMにピッタリです!エロ・モードのプログレって雰囲気もある(笑)。トライアングルの音がおりんのように聴こえてしまうのは僕だけでしょうか?

「Pela Cidade」
フレンチ・テイストの哀愁ポップ。サビの盛り上がり方はなかなかグッときますね。

「Grilopus N.°1(1a Parte)」
Adolfoのピアノによるインタールード。

「Que Se Dane」
トロピカリズモなポップ・ロック。メロディアスな仕上がりがいいですね。「Pela Cidade」あたりもそうですが、コーラスの盛り上げ方が上手いです。

「Atencao! Atencao!」
個人的に一番好きなのがこの曲。女声コーラスがキュートなファンキー・グルーヴに仕上がっています。軽くサイケ・テイストなのも僕好みです。

「Cotidiano」
クセのある演奏が多い本作ですが、この曲はフツーにメロウなボッサ・チューンに仕上がっています。

「Transamazonica」
本作のハイライト。幻想的かつファンキーなブラジリアン・グルーヴ。必ずしも心地よいサウンドではありませんが、アマゾンの密林をイメージさせるジャングル・モードの毒々しさがクセになりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=zq8T1oIe87o

「Cortando Caminho」
哀愁モードメロウ・ロック。泣きの男性ヴォーカルがなかなかグッときます。

「Gril Opus N.°1(2a Parte)」
雄叫びによるインタールード。

「Caminhada」
ラストは爽快なブラジリアン・グルーヴ。コーラスは爽快ですが、リズムは土着っぽいのが印象的です。

他のAntonio Adolfo作品に興味がある方はコチラもどうぞ!

Trio 3D『Tema 3D』(1964年)
テマ

Trio 3D『Convida』(1965年)
O Trio 3-D Convida

Conjunto 3D『Muito Na Onda』(1967年)
ムイント・ナ・オンダ

Antonio Adolfo『Feito Em Casa』(1977年)
Feito Em Casa: 25 Años

Antonio Adolfo『Viralata』(1979年)
Viralata
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2009年10月21日

The Replacements『Don't Tell A Soul』

バンドの1つの到達点がここに!☆The Replacements『Don't Tell A Soul』
Don't Tell a Soul
発表年:1989年
ez的ジャンル:USオルタナ・ロック
気分は... :たまにはロックを!

最近、本格的なロック作品を取り上げていなかったですね...
ということでセレクトしたのがThe Replacements『Don't Tell A Soul』(1989年)です。

80年代半ばから後半にかけて、僕の全米Top40離れ、ロック離れが進み、特に売れ線USロックを殆ど聴かなくなりました。かろうじてオルタナ系USロックを少し聴いていた程度でしたね。例えば、R.E.M.The Smithereensとか...今日紹介するThe Replacements『Don't Tell A Soul』もそんな1枚です。

The Replacementsは、1979年にミネアポリスで結成されたロック・バンド。結成時のメンバーはPaul Westerberg(vo、g)、Bob Stinson(g)、Tommy Stinson(b)、Chris Mars(ds)の4名。

1981年にエネルギッシュでハードコアなデビュー・アルバム『Sorry Ma, Forgot to Take Out the Trash』をリリース。ミニ・アルバム『Stink』(1982年)を挟んで、『Hootenanny 』(1983年)、『Let It Be』(1984年)といったアルバムをリリースし、音楽的な幅を広げたロック・バンドへと成熟していきます。

ライブ・アルバム『The Shit Hits the Fans』を最後にレコード会社を移籍し(Twin/ToneからメジャーのSireへ)、『Tim』(1985年)をリリースしますが、グループの音楽性の変化に反対であったBob Stinsonがグループを脱退します。ギタリスト不在のまま『Pleased to Meet Me』(1987年)をリリースした後、新ギタリストSlim Dunlapが加入します。

ソングライティングも手掛けるフロントマンPaul Westerbergの存在が際立つようになってきたグループは『Don't Tell a Soul』(1989年)で音楽的ピークを迎え、『All Shook Down』(1990年)のリリースを最後に解散します。

最後まで商業的な成功は皆無でしたが、その後のシーンに与えた影響は相当大きいグループだったのでは?メインストリームなロックしか聴かない人にはあまり認知されていないが、インディーズ/オルタナ系を聴く人からは絶大な支持を得ていたのがMats(Replacementsの通称)だったのではないかと思います。

6枚目のスタジオ・アルバムとなる本作The Replacements『Don't Tell A Soul』(1989年)は、彼らの最高傑作との呼び声が高い一方、ハードなサウンドを好む初期ファンには物足りなさも残る賛否両論のアルバムかもしれません。

個人的にはジャケ写真のような枯れた成熟感にグッときます。
メンバー交代もあり、バンドの持つエネルギッシュな側面は影を潜めていますが、ソングライティング能力に磨きがかかったPaul Westerbergの歌を存分に堪能できます。

成熟していったグループの1つの到達点が本作だったのではと思います。

全曲紹介しときやす。

「Talent Show」
アコースティックで聴きやすいメロディのオープニング。業界を皮肉った歌詞は彼らの面目躍如といったところなのでは?

「Back to Back」
若さ故のエネルギッシュな疾走感ではなく、様々な人生経験を経てきた枯れた疾走感って感じがいいですね。

「We'll Inherit the Earth」
彼らにしては趣向を凝らした作りの仕上がりなのでは?このあたりはメジャー作品らしいですね(笑)

「Achin' to Be」
アメリカン・リリシズムが漂う仕上がりは僕好みです。きっと70年代ロック世代の人もグッとくると思います。

「They're Blind」
ロマンティックなバラード。とは言っても、決して甘すぎないビターな味わいです。

「Achin' to Be」、「They're Blind」、「Rock 'n' Roll Ghost」は、僕の中では以前に紹介したGraham Parker『The Mona Lisa's Sister』あたりと一緒に聴きたい気分ですね。変な組み合わせかもしれませんが、枯れ具合がたまらない大人のロックといった感じでしょうか。

「Anywhere's Better Than Here」
本作の中ではハードな部類の仕上がりです。このあたりを聴くと、エネルギッシュな昔のハードコアな音も聴きたくなりますが。

「Asking Me Lies」
アルバムの中でも上位を争うキャッチーな仕上がりだと思います。「Talent Show」同様、素直じゃないのが彼ららしいですが。
http://www.youtube.com/watch?v=4fHMwrDEqso

「I'll Be You」
グループにとって最大のヒット曲。とは言ってもUSチャート最高51位ですが。メロディアスな疾走感がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=VsjxdhwzemE

「I Won't」
どこか笑えるロックン・ロール・チューン。♪アワワ・ワ・ワ・ワ〜♪

「Rock 'n' Roll Ghost」
この曲もアメリカン・リリシズムが漂います。ジャケ写真の雰囲気を音にしたような大人の哀愁が...

「Darlin' One」
このラストのみメンバー全員の共作です。かろうじてグループとしての結束を保とうしたのでしょうか。それでも感動的な仕上がりにグッときます。

最近のCDにはさらにボーナス・トラックが追加されているようです。
posted by ez at 09:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月20日

Vivienne McKone『Vivienne McKone』

伸びやかな女性ヴォーカルによるUKソウル!Gota氏も参加☆Vivienne McKone『Vivienne McKone』
Vivienne McKone
発表年:1992年
ez的ジャンル:コンテンポラリーUKソウル
気分は... :Gotaサイコー!

今日は90年代のUKソウル作品からVivienne McKone『Vivienne McKone』(1992年)です。

リアルタイムで聴いていた人以外には全く引っ掛からない女性シンガーだと思いますが、当時僕のヘビロテだった1枚です。

Vivienne McKoneは、ロンドン出身の女性シンガー。
彼女のプロフィールについては詳しくありませんが、幼少からダンスを習い、タップ、ジャズダンス、バレエ等のスクールに通っていたようです。また、子役としてAlan Parker監督、Jodie Foster出演の映画『Bugsy Malone』に出演した経歴も持っています。

今日紹介する『Vivienne McKone』(1992年)は彼女のデビュー・アルバムです。きちんと確認していませんが、彼女の唯一のアルバムだと思います。

ジャケで(イナバウアー?)ポーズをとるVivianの姿からは、長年ダンスを学んできた自負のようなものが窺えますね。

プロデュースはCrusaders、Randy Crawford、Simply Red等のプロデュースで知られるStuart Levineが担当しています。

レコーディングにはGota YashikiQuincy JonesRonny Jordan、Larry Williams(Seawind)、Chuck Finley、 Dave Clayton(元ABC)等多彩な顔ぶれが参加しています。

記憶が定かではありませんが、僕が本作に興味を持ったきっかけはGota Yashiki(屋敷豪太)氏が参加していたアルバムだったからだと思います。

Soul II SoulSimply Red等を通じて、UK音楽シーンで存在感を示していたGota氏でしたが、本作でも約半数の曲に関与しています。本作がきっかけとなりVivienneは後にGota氏のアルバム『It's So Different Here』(1997年)に参加しています。

全体的にはコンテンポラリーな大人のUKソウルに仕上がっています。(UK版)クワイエット・ストームな楽曲とUKらしいグラウンド・ビート、ジャズ・ファンク等を取り入れた楽曲がバランス良く配分されています。クセがないVivienneの伸びやかなヴォーカルとサウンドがよくマッチしていますね。

再評価の気配も全くなく、殆ど忘れ去られたアルバムですが、僕の中では今でも良質なUKソウル・アルバムです。

UKソウルやGota氏に興味がある方はぜひ!

全曲紹介しときやす。

「Sing」
このオープニング曲はシングルにもなりました。ただし、シングルになったのは別バージョン(多分、アルバムに収録されているRemixヴァージョンのEdit)です。健康的で小気味良いアコースティック・ソウルに仕上がっているシングルに対して、アルバム・ヴァージョンはアコギ部分がなく、もう少しリズムが強調された雰囲気です。

「Sing(Remix)」
http://www.youtube.com/watch?v=fBGF-GqpUGA

「Beware」
クワイエット・ストームなミディアム・スロウ。クセのないVivienneの伸びやかなヴォーカルを堪能しましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=wng9gJTQOHg

「He's Not Here Anymore」
哀愁チューンですが、あまりジメジメしていないのがVivienneらしいのでは?

「Move On」
しっとりと落ち着きのあるバラード。秋空とマッチしそうな雰囲気がグッド!

「Heading Right Back to You」
Gota氏の本領発揮といった感じのグラウンド・ビート。本作を聴くと、この曲が一番好き!という人も多いのでは?Larry Williamsアレンジによるホーン隊も盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=WCO9W9DciCU

「A Little Self Control」
UKジャズ・ファンク・テイストの仕上がり。当時はアシッド・ジャズ全盛でしたからね。
http://www.youtube.com/watch?v=HpMa7EBmehc

「Don't Push Me to My Limit」
軽くラテン・フレイヴァーの効いたミッド・グルーヴ。なかなかキャッチーな仕上がりでグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=v7pkl3UGj9I

「There Is No Turning Back」
Gota氏のプログラミングをはじめとするバック陣の妙で楽曲の魅力を高めています。
http://www.youtube.com/watch?v=eBwOYBg7ltI

「Why」
クワイエット・ストームなバラード。面白みには欠けますが、彼女の素直なヴォーカルはこういう正統派バラードにハマりますね。

「Fly」
ダントツで好きな1曲。僕が本作を今でも聴くのは本曲が収録されているからと言っても過言ではありません。Vivienneの持つナチュラルな魅力とGota氏のセンスが見事にハマった名曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=utIYDn0q9dY

本曲とGota & The Heart of Gold「Someday」(ヴォーカルはCarroll Thompson)をセットで聴くのが、僕のお気に入りパターンです。

「Reaching Your Goals」
エレピの音色をバックに、問い掛けるように歌うVivienneのヴォーカルが感動的なバラード。

「I Wanna Get to Know You」
クワイエット・ストームな雰囲気ですが、Gota氏のビートでプラスαの魅力を引き出しています。

さらにアルバムには前述の「Sing(Remix)」「Zero」がボーナス・トラックとして収録されています。
posted by ez at 03:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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