2009年10月14日

Saint Etienne『Foxbase Alpha』

ダンス・カルチャーを通過してきたスタイリッシュなUKポップ☆Saint Etienne『Foxbase Alpha』
フォックスベース・アルファ
発表年:1991年
ez的ジャンル:ポップ・オタク系UKガールズ・ポップ/ダンス・ミュージック
気分は... :秋の曇り空の下で...

今日は秋らしい90年代UKポップが聴きたい気分...
ということでセレクトしたのはSaint Etienne

紅一点のヴォーカルSarah Cracknellと2人のポップ・オタクBob StanleyPete Wiggsから成るロンドン出身の3人組Saint Etienneは2回目の登場となります。

『Good Humor』(1998年)に続いて紹介するのは、デビュー・アルバム『Foxbase Alpha』(1991年)です。

『Good Humor』のエントリーを読み返してみたら、"秋の曇り空の下でふと聴きたくなったアルバム"と書いてありました。きっと僕の中でSaint EtienneのメランコリックなUKポップと秋の郷愁感が繋がっているのでしょうね。

そんなメランコリックなUKポップを展開するSaint Etienneのオリジナル・アルバムの中でも最もダンス・ミュージック色が強いのが、今日紹介するビュー・アルバム『Foxbase Alpha』(1991年)だと思います。

セカンド・サマー・オブ・ラヴ/アシッドハウス等のダンス・カルチャーを通過してきたUKポップ/ダンス・ミュージックというのが当時の印象でしたね。僕の中で(当時の)最新型UKポップ/ダンス・ミュージックって感覚で聴いていました。

特に、「Only Love Can Break Your Heart」「Kiss and Make Up」「Nothing Can Stop Us」というシングル3枚は、それぞれインパクトがありましたね。「Only Love Can Break Your Heart」「Nothing Can Stop Us」はUSダンス・チャートNo.1になっています。
※本作収録の「Kiss and Make Up」はシングルとは別ヴァージョン

個人的には、60年代ガールズ・ポップと90年代ダンス・ミュージックを上手く融合しているところが魅力だと思います。

オリジナル・アルバム以上に編集アルバムが多く、ディスコグラフィがわかりづらいグループですが、1st『Foxbase Alpha』(1991年)、2nd『So Tough』(1993年)といった初期作品は、オリジナルで聴いた方が楽しめると思います。

今日紹介するのは、僕が保有しているUS盤CDです。UK盤CDには「Kiss and Make Up」「People Get Real」の2曲が未収録です。

全曲紹介しときやす。※US盤

「This Is Radio Etienne」
(多分)グループ名の由来になっているフランスのサッカー・チーム、サンテチエンヌの試合入場の様子だと思います

「Only Love Can Break Your Heart」
記念すべきデビュー・シングル。Neil Youngのカヴァーです(オリジナルはアルバム『After the Gold Rush』収録)。オリジナルをご存知の方は、アノ曲がこんなポップ&スタイリッシュなグラウンド・ビート調のダンス・チューンに生まれ変わるなんて驚きだったのでは?それだけでも大きなインパクトを持ったデビュー・シングルだと思います。本曲のリード・ヴォーカルはFaith Over ReasonのMoira Lambertが起用されています。録音時点でSarahがパーマネント・メンバーになっていなかったようです。
http://www.youtube.com/watch?v=OVdS6pPVCMU

Neil Young「Only Love Can Break Your Heart」
http://www.youtube.com/watch?v=n4IDexjh-QE

「Wilson」
インタールド的な小曲。でも雰囲気もバッチリ!

「Carnt Sleep」
メランコリックなメロディ&ヴォーカルとダビーなリズムが印象的な哀愁ポップ。

「Girl VII」
この曲は思い切りハウスしています。スパニッシュなテイストがイビザっぽくていい感じです。

「Spring」
実はアルバムで一番好きな曲はコレ。Saint Etienneらしい60年代感覚のポップ・センス溢れるダンサブルな1曲です。タイトルからすると春っぽいですが、僕には紅葉が似合うポップ・チューンって気がします。

「She's the One」
この曲も60年代ポップと90年代ダンス・カルチャーが上手く調和した仕上がりです。

「People Get Real」
ヒンヤリ&キラキラなシンセ・サウンドとキュートなSarahのヴォーカルがグッとくるダンサブルなポップ・チューン。

「Stoned to Say the Least」
The Orbあたりが好きな人向けのアンビエント・ハウス調の仕上がりです。

「Nothing Can Stop Us」
3rdシングル。Sarah Cracknellがリード・ヴォーカルを務めた最初のシングルです。当ブログでも紹介したDusty Springfield「I Can't Wait Until I See My Baby's Face」をサンプリングした、彼らの60年代ポップへの深い愛着を感じる仕上がりになっています。彼らによるDusty Springfieldのサンプリングは妙に納得してしまいます。

僕は未聴ですが、Masters At Workがリミックスしたヴァージョンもあるみたいですね。また、Kylie Minogueがオリジナルに忠実なカヴァーをリリースしています。

Kylie Minogue「Nothing Can Stop Us」
http://www.youtube.com/watch?v=Xa64fdz2pAU

「Etienne Gonna Die」
「Wilson」同様、雰囲気のあるインタールド的な小曲。

「London Belongs to Me」
癒し系ポップ・チューン。このキラキラしたポップ感覚はポップ・オタクの本領発揮といったとことでしょうか(笑)

「Kiss and Make Up」
彼らの2ndシングル。UKのバンドField Miceのカヴァー(オリジナル・タイトルは「Let's Kiss and Make Up」)。「Only Love Can Break Your Heart」同様、リード・ヴォーカルはSarahではなく、本曲では Donna Savageが起用されています。オリジナル・シングルはレゲエ調のダンス・チューンですが、僕が保有するUS盤CDにはバレアリックな仕上がりなヴァージョンが収録されています。どちらも

「Kiss and Make Up(Single Version)」※CD未収録
http://www.youtube.com/watch?v=4UZyfEl4fF4

Field Mice「Let's Kiss and Make Up」
http://www.youtube.com/watch?v=R5CUQQees94

「Like the Swallow」
アンビエントな前半から中盤以降は重厚かつメランコリックな流れへ展開していきます。

「Dilworth's Theme」
アルバムの余韻を感じる小曲。

本作を聴いたら、その流れで2nd『So Tough』(1993年)もどうぞ!
次回Saint Etienneを紹介する時には『So Tough』にしたいと思います。

『So Tough』
So Tough
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2009年10月13日

Tamba Trio『Avanco』

「Mas Que Nada」を含む2nd☆Tamba Trio『Avanco』
アヴァンソ
発表年:1963年
ez的ジャンル:小粋なジャズ・サンバ/ボサノヴァ
気分は... :ロマーリオ、デニウソン、ロベカル!

今日はTamba Trioの2ndアルバム『Avanco』(1963年)です。

Tamba Trio(Tamba 4)の紹介は、Tamba 4としての1st『We And The Sea』に続き2回目となります。

当ブログではTamba 4を先に紹介してしまいましたが、このジャズ・サンバ/ボサノヴァの最高峰コンボを堪能するには、Luiz Eca(p)、Bebeto(b)、Helcio Milito(ds)というオリジナル・メンバーによるTamba Trio時代の作品を最初に聴くべきかもしれませんね。

まずは、デビュー作『Tamba Trio』(1962年)、2nd『Avanco』(1963年)、3rd『Tempo』(1964年)という初期三作を堪能し、続いて70年代にオリジナル・メンバー三人が再結集した『Tamba Trio』(1974年)(通称「ブラック・タンバ」Luis Eca-Bebeto-Helcio Milito名義)、『Tamba Trio』(1975年)(通称「ブルー・タンバ」)あたりを楽しむといったところでしょうか。

ということで今回は2nd『Avanco』(1963年)をセレクトしました。
Jorge Ben作の名曲「Mas Que Nada」が収録されていることで知られている作品です。Tamba Trio(Tamba 4)入門編として最適な1枚だと思います。

「Garota de Ipanema(The Girl from Ipanema)(イパネマの娘)」「So Danco Samba(Jazz 'N' Samba)」といった他アーティストのヴァージョンでお馴染みの楽曲も収録されており、それらと比較しながら聴くことでTamba Trioの魅力を実感できるのではと思います。

メンバー三人にギターのDurval Ferreiraを加わえた4人でレコーディングは行われました。Luiz Ecaのアレンジによる小粋な演奏が素晴らしいのは勿論ですが、Bebetoと中心とするヴォーカル&コーラスもなかなかグッとくるものがあります。

全曲紹介しときやす。

「Garota de Ipanema」
オープニングは名曲「イパネマの娘」(Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作)。Astrud Gilbertoが歌う大ヒットした『Getz/Gilberto』ヴァージョンよりもコチラの方が断然好きです。ライトで軽快な雰囲気が実も気持ちいいですね。Bebetoのフルートも涼しげ!
http://www.youtube.com/watch?v=u9FCtH6J8zs

「Mas Que Nada」
本作のハイライトと言えば、本曲「マシュ・ケ・ナダ」でしょう。Jorge Ben作のこの名曲に関しては、以前に紹介したSergio Mendes & Brasil'66のヴァージョンが有名ですが、Tamba Trioヴァージョンも以前ナイキのCM曲に使われておりお馴染みですね。どちらのヴァージョンもサイコー!♪Oaria raio〜♪Oba Oba Oba〜♪
http://www.youtube.com/watch?v=v1XXL1Onq20

Tamba Trioヴァージョンを聴いていると、CMで流れていた当時のサッカー・ブラジル代表の姿が浮かんできます。特にデニウソンが懐かしいですね。
Nike CM
http://www.youtube.com/watch?v=munMGzeqCQE

「Negro」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作品。冒頭の少しミステリアスなコーラスに続き、フルートが涼しげなジャズ・サンバをリードします。

「Mania de Maria」
邦題「マリアに夢中」。当ブログでもお馴染みのLuiz Bonfa & Maria Toledo作品です。粋なタイトルに負けじと、サウンドも実に小粋で洗練されています!

「Vento Do Mar」
邦題「海からの風」。Durval Ferreira/Luis Fernando Freire作。Bebetoを中心としたヴォーカル&コーラスワークも絶好調です。

「Sonho de Maria」
邦題「マリアの夢」。Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作品です。貧しい生活を送るマリアの儚い夢を歌った曲ですが、本ヴァージョンはヴォーカル&演奏共に実に素晴らしい出来栄えだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=xOGFdvGb8sg
※音質悪いですが、彼らの演奏シーンを観ることができます。

「So Danco Samba」
「Jazz 'N' Samba」のタイトルでもお馴染みのAntonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作品。当ブログではこれまでWanda Sa(Wanda De Sah)Sergio Mendes & Brasil '66のヴァージョンを紹介しています。セルメンのヴァージョンもお洒落で大好きですが、セルメンとは異なる洗練がある本ヴァージョンも相当グッときます。

「O Samba da Minha Terra」
Dorival Caymmi作品。クラブ世代リスナーにはグッとくるノリの良さなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=xOGFdvGb8sg

「Moca Flor」
Durval Ferreira/Luis Fernando Freire作品。愁いを帯びたBebetoのヴォーカルとエレガントなバックが実にマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=dW9LscxQb80

「Rio」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作品。Tamba Trioならではのコーラスワークを堪能できます。

「Tristeza de Nos Dois」
Durval Ferreira/Mauricio Einhorn/Bebeto作品。Luiz Ecaのアレンジ・センスが光るインスト。様々な表情のサウンドを楽しむことができます。

「Esperanca」
Durval Ferreira/Luis Fernando Freire/Mauricio Einhorn作品。ストリングスも加わったエレガントなエンディング。

現在では『マシュ・ケ・ナーダ』(国内盤)のタイトルで2nd『Avanco』(1963年)と3rd『Tempo』(1964年)の2in1CDがリリースされているので、そちらをゲットするのがお得だと思います。

『マシュ・ケ・ナーダ(2in1CD)』(国内盤)
マシュ・ケ・ナーダ(2 in
※ジャケは『Tempo』のもの

「Mas Que Nada」を聴くと、W杯サッカーを思い出してしまう僕ですが、いよいよ各大陸の南アW杯予選も大詰めですね。

アルゼンチンは残り一戦を残してようやく出場圏内を確保し、ポルトガルも何とかプレーオフ進出は確保できそうですね。

僕が一番気になるのはアフリカ最終予選。
既に出場を決めているコートジボワールとガーナ以外に、出来ればカメルーンとナイジェリアは本大会で観たいですね。でもナイジェリアは現在チュニジアに次ぐグループ2位であり、最終戦でチュニジアが敗れない限り、出場は無理という絶体絶命の状況です。

最後に波乱は起きるのか?
posted by ez at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月12日

Joni Mitchell『For The Roses』

Asylum移籍第一弾アルバム☆Joni Mitchell『For The Roses』
バラにおくる
発表年:1972年
ez的ジャンル:迷える女性SSW
気分は... :迷えるJoniに思いを巡らせて

恋多き女性シンガー・ソングライターJoni Mitchellの5回目の登場です。

これまで紹介してきたJoni作品は以下の4枚(発売順)。

 『Blue』(1971年)
 『Court and Spark』(1974年)
 『Hejira』(1976年)
 『Don Juan's Reckless Daughter』(1977年)

5枚目に紹介するのは5thアルバムJoni Mitchell『For The Roses』(1972年)。
レコード会社や私生活の面で転機を迎えて制作されたのが、本作『For The Roses』です。

レコード会社の面では、以前よりJoniのマネジメントを担当していたElliot RobertsとDavid Geffenが設立したAsylum Recordsへ移籍しています。

また、私生活の面では、前作『Blue』の頃はラブラブであったJames Taylorとの破局を迎えました。その影響でハリウッドの家を売却し、自然に囲まれたカナダのバンクーバーの新居へ移ってしまいます。

その間にJTCarly Simonと深い仲になり、本作がリリースされる1972年11月に二人は結婚しました。

そんな経緯で、JTとの破局へのさまざまな思いが交錯するアルバムとなっています。

レコーディングにはJoni Mitchell(vo、g、p)以下、Tom Scott(reeds)、Wilton Felder(b)、Russ Kunkel(ds)、Bobby Hall(per)、Bobby Notkoff(strings)、Graham Nash(hca)、Stephen Stills、James Burton(g)が参加しています。Tom ScottWilton Felder等ジャズ/クロスオーヴァー系のミュージシャンの参加が目立ちますね。また、Stephen Stillsは"Rock 'n' Roll Band"というクレジットで参加しています。

こうした参加メンバーから予想されるように、『Blue』までのフォーク路線に加えて、『Court and Spark』以降のジャズ/クロスオーヴァー路線を予感させる楽曲が数曲含まれています。

どうしても過渡期のアルバムという印象で、数あるJoniのアルバムの中でもあまりスポットライトの当らないアルバムかもしれません。

『Blue』に代表される初期のアルバムと、『Court and Spark』に代表される中期のアルバムをある程度聴いてから聴くと楽しめるアルバムだと思います。

いろいろな意味でJoniの迷いが見え隠れするアルバムですが、そうした部分をそのまま作品してしまうあたりが、アーティストJoni Mitchellの魅力なのでしょうね。

全曲紹介しときやす。

「Banquet」
邦題「宴」。『Blue』路線のピアノの弾き語りによるJoniらしい1曲。L.A.の音楽業界の喧騒から逃れたJoniの心情に思いを巡らせながら聴くと、さらにグッとくるのでは?Lani Hall(Herb Alpertの奥方でもある女性シンガー)がカヴァーしています。

Lani Hall「Banquet」
 http://www.youtube.com/watch?v=8J00rD7GaAM

「Cold Blue Steel and Sweet Fire」
従来のフォーク路線と『Court and Spark』以降のジャズ/クロスオーヴァー路線が融合した仕上がり。Tom Scottのサックス、James Burtonのエレクトリック・ギターがいい味を出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=y1QNetpN5oc

「Barangrill」
この曲も『Court and Spark』を予感させます。ストリングスやTom Scottののフルートが曲の表情を豊かなものにしてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=H-zSeDn9Y-k

「Lesson in Survival」
ピアノの弾き語りによるJoni節を堪能できる曲。僕は高音部でファルセットに切り替わる時のJoniがたまらなく好きなのですが、この曲でもそんな歌い回しを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=4CFksy54n1w

「Let the Wind Carry Me」
落ち着いた家庭生活と自由な放浪生活という2つのライフスタイルの狭間で揺れる気持ちを歌った作品。Tom Scottのサックスはまるで風のようですね。。

「For the Roses」
タイトル曲はJTとの幸せな日々を歌ったフォーキーな作品。特に♪Remember the days when you used to sit♪And make up your tunes for love♪といったあたりは実にリアルですね。Joniの歌声もどこか寂しげです。

先日紹介したばかりのCassandra WilsonがJoniのトリビュート・アルバム 『A Tribute to Joni Mitchell』 の中で本曲をカヴァーしています。Cassandraの低音ヴォーカルで歌われる本曲は迫力があります。

Cassandra Wilson「For the Roses」
 http://www.youtube.com/watch?v=SIelPzQ-pOs

「See You Sometime」
まだ残るJTへの思いが♪I'd just like to see you sometime♪という歌詞に反映されていますね。前曲の「For the Roses」とセットで聴くと、Joniの揺れる女心が伝わってきますね。
http://www.youtube.com/watch?v=lvUQk6tq_yw

「Electricity」
Bobby Hallのパーカッションが心地良いフォーキー・チューン。サウンド的には一番好みかも。
http://www.youtube.com/watch?v=5KBCGDYIfEw&

「You Turn Me on I'm a Radio」
シングルにもなったポップなカントリー・ロック(邦題「恋するラジオ」)。ハーモニカはかつての恋人Graham Nashです。本作がお好きな方の中には本曲をイチオシする人も多いのでは?僕自身は出来栄えの良さは認めるものの、"Joniがこういう曲をやらなくてもいいんじゃない?"という気もします。

「Blonde in the Bleachers」
後半の疾走感にグッときます。Stephen Stillsが"Rock 'n' Roll Band"というクレジットで参加しています。少なくともギターとベースはStillsのようです。
http://www.youtube.com/watch?v=Eh9Z8OsfxEo

「Woman of Heart and Mind」
曲としては一番好き。(歌詞は置いておいて)傷ついた心を癒すような穏やかな曲調にホッとします。
http://www.youtube.com/watch?v=OZ-GM8Q7q60

「Judgement of the Moon and Stars (Ludwig's Tune) 」
邦題「月と星の審判」。サブ・タイトルに「Ludwig's Tune」とあるようにベートーヴェン(Ludwig van Beethoven)に捧げられた歌です。ストリングスを含めたアレンジがいいですね。

本作と言えば、見開きジャケの内側に(後姿ですが)ヌードのJoniの写真が掲載されたことでも当時話題になったようですね。現在のCDでも確認できますが、写真があまりに小さいし、後姿なのでJoni本人なのか全くわかりませんね(笑)
posted by ez at 02:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月11日

Darien『If These Walls Could Talk』

天性の才能を感じる、期待の男性R&Bシンガー☆Darien『If These Walls Could Talk』
If These Walls Could Talk
発表年:2009年
ez的ジャンル:インディー男性R&B
気分は... :かなりグッときますよ!

今日はインディー男性R&Bの新作より、Darien『If These Walls Could Talk』です。

以前より輸入盤がR&Bファンの間で評判になっていましたが、今月初めに国内盤もリリースされ再プッシュといったところですね。

Darienはニューヨーク州マウント・バーノン生まれの男性R&Bシンガー。

独学で歌や音楽制作を学び、大学卒業後は働きながらシンガーとしての活動を続けていました。そして、ローカル・レーベルから『The Last Demo』と題したCDをリリースしています。(本人曰く、これがデビュー作とのこと)。

2005年にはサウンドトラック『25 Strong』に参加(本人曰く、これがインターナショナル・デビューとのこと)。このサントラにはDJ Spinna、Jigmastasや当ブログでも紹介したTortured SoulCooly's Hot BoxPeven Everettといったアーティストも参加しており、要チェックかもしれません。

『25 Strong』(2005年)
25 Strong  The Soundtrack [Import]

話をDarienに戻すと、2007年にはウエスト・ロンドンのクラブ・シーンで活躍するUKのユニットReel Peopleのアルバム『Seven Ways To Wonder』に参加し、「Alibi」「Upside」の2曲でフィーチャーされています。

Reel People『Seven Ways To Wonder』(2007年)
Seven Ways To Wonder

Reel People feat. Darien「Alibi」
http://www.youtube.com/watch?v=3joMq0awZ8g

そんなキャリアを経てきたDarienが、インターナショナル・デビュー盤として制作したのが本作『If These Walls Could Talk』です。

インターナショナル・デビューとは言っても、インディーR&Bなのでサウンド・プロダクションの弱さが目立つのも事実ですが、その分気の合うプロデューサー、ミュージシャン達と自分の作りたい音楽を創った、Darien本来の姿を反映した作品になっている気がします。

全体としては、Donny HathawayStevie Wonderといった70年代ニューソウルの影響を受ける一方で、Hip-HopやUKクラブミュージックも通過してきた2000年代ならではのソウル・ミュージックに仕上がっています。

Musiq Soulchildあたりがお好きな人ならば気に入るインディーR&Bだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Just Can't Wait」
ハンドクラップ調のビートが印象的なアーバン・ダンサーなミッド・チューン。個人的には、CDショップで本曲を聴いて"このアルバムはイケる!"と確信しました。Rahsaan Pattersonあたりがお好きな人も気に入るはず!
http://www.youtube.com/watch?v=aFOJKtyxLGQ

「The Road」
前述のサントラ『25 Strong』に収録されていたのが本曲。Darienのメロディ・センスとソウルフルなヴォーカルを堪能できます。何気ないけど実にいい味わいの仕上がりです。

「Nowhere」
ナチュラルなアーバン・テイストが実にいい雰囲気のミッド・チューン。ソウルフルなバックもキマっています。

「Sail Thru」
歌、メロディ、サウンド共に三部作の頃のStevieモードな仕上がり。純粋にStevieフォロワーな雰囲気ですが、こういう曲大好きです(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=zHqul6ZsnXE

「Composure」
軽くStevieモードのアーバン・チューン。Darienの持つ天性のセンスを感じる1曲ですね。Musiq Soulchildあたりと一緒に聴きたいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=wxBmsTqkkFM

「My Door」
哀愁のメロディ&サウンドが今の季節にピッタリですね。ヴォーカル・プロダクションがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=oGQyoP9o61E

「Where It's At」
オールド・ソウルとネオ・ソウルがいい感じで融合しています。こういう曲を創れるのはインディーならではかもしれませんね。

「Love Revolution」
Darien本人がプロデュースしているミッド・チューン。後半にはラップもフィーチャーされています。Darienは普段Hip-Hopクラシックをよく聴いているとのこと。

「WSRD 33.3 FM」
インタールード。

「Gone」
躍動するトラックにグッときます。前述のように普段Hip-Hopクラシックをよく聴いているのが納得できる仕上がりですね。

「Showya」
UKのアーティストSoulpersonaがプロデュースしており、UKらしいエレクトリック・サウンドが聴かれます。

「Saturday」
最も今時R&Bらしい仕上がりかもしれませんね。「Gone」と本曲はNoel Zancanellaがプロデュースを手掛けており、なかなか魅力的で重厚なトラックを聴かせてくれます。要注目の人かもしれません。

「All Kinds Of Things」
オーガニック・ソウルしているグルーヴ・チューン。Musiq Soulchild好きの人ならば気に入るはず!

「If These Walls Could Talk」
シンプルなギターのバックにグッとくるタイトル曲。こういうシブめの曲をタイトル曲に持ってくるあたりが心憎いですな。
http://www.youtube.com/watch?v=krgpHQqI0AY

「Seasons」
ラストはJohn Legend調のピアノ・バラード。

国内盤は「Can't Hide」「Magic」の2曲がボーナス・トラックで収録されています。
前者は「Showya」と同じくSoulpersonaとのコラボであり、UKソウル・テイストの仕上がりになっています。後者は何とReel PeopleのMike Pattoがプロデュースし、カッチョ良いUKクラブ・ミュージックに仕上がっています。

フツーのR&Bファンは輸入盤で構わないかもしれませんが、DarienとUKミュージックとの繋がりに興味がある方は国内盤をゲットした方がいいかもしれません。

ちなみに本エントリーのジャケは輸入盤のものです。
国内盤はジャケが異なるのでご注意を!
(Amazonに国内盤ジャケの画像ないので掲載できません。ゴメンナサイ!)
posted by ez at 02:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月10日

Joyce Cooling『Cameo』

人気曲「It's You」収録。バックはViva Brasil!☆Joyce Cooling『Cameo』
キャメオ
発表年:1988年
ez的ジャンル:ブラジリアン・メロウ系ジャズ/フュージョン
気分は... :この透明感がたまりません!

今日はJoyce Coolingのデビュー作『Cameo』(1988年)です。
サバービア・ファンには人気の1枚ですね。

Joyce Coolingはニュー・ジャージー出身のジャズ・ギタリスト。
ベイエリアを中心に活動しているようです。

これまで『Cameo』(1988年)、『Playing It Cool』(1997年)、『Keeping Cool』(1999年)、『Third Wish 』(2001年)、『This Girl's Got To Play』(2004年)、『Revolving Door』(2006年)といった作品をリリースしています。

日本でも大人気のブラジル人女性シンガー・ソングライターJoyceと混同しやすいですが、Joyce Coolingはブラジル人ではなくアメリカ人であり、MPBではなくコンテンポラリー・ジャズ分野で活躍するのギタリストです。ちなみにブラジル人女性SSWのJoyceの方はJoyce Morenoさんです。

でも、本作のハイライト曲である至極のブラジリアン・グルーヴ「It's You」を聴くと、そのような錯覚に陥ってしまうかもしれませんね。

それも無理はありません。本作『Cameo』では、アメリカ在住のブラジル人が結成したフュージョン・グループViva Brasilのメンバーが大挙して参加しています。具体的にはJay Wagner(key)、Claudio Amaral(vo)、Kent Middleton(per)、Rubens Moura Jr.(ds)の4名。それ以外にベースで参加のHelio Garciasもブラジル出身です。特にJay WagnerJoyce Coolingと共にプロデュースも手掛けています。

ベイエリアには南米出身のミュージシャンが数多く住んでおり、そうしたミュージシャンとの交流の中でJoyce Coolingはラテン音楽やブラジル音楽から影響を受け、こうしたブラジル色の強いデビュー作のレコーディングとなったようです。

基本はコンテンポラリーなジャズ/フュージョン・アルバムです。
その意味では「It's You」のイメージでMPB寄りの内容を期待するのではなく、ブラジル・フレイヴァーのジャズ/フュージョン・アルバムとして聴いた方が本作の魅力を堪能できるはずです。

ブラジル音楽好きの人であれば、むしろViva Brasilのアルバムを聴いた方が楽しめると思います。彼らのデビュー作『Viva Brasil』(1980年)も近々紹介したいと思っていますのでお楽しみに!

全曲紹介しときやす。

「It's You」
サバービア・ファン歓喜のブラジリアン・メロウ。リード・ヴォーカルはViva BrasilのClaudio Amaralです。透明感のある仕上がりがたまりませんね。Joyceのスキャット&アコースティック・ギターも実に爽やか!
http://www.youtube.com/watch?v=TmMOyVRm1rE

本曲と言えば、須永辰緒氏のSunaga t Experienceによるカヴァーも外せませんね。下部にimeem音源を用意しましたので、そちらもどうぞ!

「The Way Out」
アーバンなメロウ・フュージョン。80年代前半の落ち着いた大人のメロウ・フュージョンがお好きな人ならば気に入ります。

「Voo Doo Chicken」
Jay Wagnerのアコーディオンをフィーチャー(曲もJay Wagner)。全体的にはライトなブラジリアン・フュージョンに仕上がっています。

「Ve」
ブラジル音楽ファンにはお馴染みAntonio Adolfoの作品をカヴァー。彼自身のヴァージョンはアルバム『Feito Em Casa』(1977年)に収録されています。Joyceがポルトガル語で歌っています。優しく清らかなヴォーカル&サウンドに癒されていまします。「It's You」と同じ位グッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=jvgp8D7er2w

話が逸れますが、Antonio Adolfoの名盤『Antonio Adolfo E A Brazuca』(1971年)も近々紹介する予定です。

「Glad Rap」
フュージョン・ファンの方が一番楽しめるのはこの曲なのでは?80年代フュージョンの諸作を思い出してしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=DfncJwlkm78

「It's Time I Go」
本作唯一のバラード。ロマンティックなJoyceのギター&Jay Wagnerのピアノを堪能しましょう。

「It's On You」
ラストは「It's You」に続いてClaudio Amaralのヴォーカルをフィーチャー。アーバン・メロウなブラジリアンAORといった仕上がりでしょうか。Joyceと素敵なデュエットを聴かせてくれます。AORファンは「It's You」以上に気に入るはず!

どうしても『Cameo』ばかりが注目されてしまう彼女ですが、他のアルバムもコンテンポラリーなジャズ/フュージョン・アルバムとして楽しめそうですね。僕も財布と相談しながら、ぜひゲットしたいですね。

『Playing It Cool』(1997年)
Playing It Cool [Enhanced CD]
「Firefly」(From 『Playing It Cool』)
 http://www.youtube.com/watch?v=LYDSjD9U0Eo
「Imagine That」(From 『Playing It Cool』)
 http://www.youtube.com/watch?v=zGXpMPcYHsQ

『This Girl's Got To Play』(2004年)
This Girl's Got to Play
 「Expression」(From 『This Girl's Got To Play』)
http://www.youtube.com/watch?v=xUQCHypx-xQ

『Revolving Door』(2006年)
Revolving Door
「Cool Of The Night」(From 『Revolving Door』)
 http://www.youtube.com/watch?v=lUgwdBchL7U
posted by ez at 02:08| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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