2009年10月09日

Marvin Gaye『Trouble Man』

Marvinによるブラック・ムーヴィーのサントラ盤☆Marvin Gaye『Trouble Man』
Trouble Man
発表年:1972年
ez的ジャンル:ブラック・ムーヴィー系ニューソウル
気分は... :'M' Plays It Cool!

久々のMarvin Gayeです。
前回紹介した『Midnight Love』のエントリーが2007年01月15日だったので、2年半以上もMarvinを紹介していませんでした。反省!反省!

さて、『I Want You』(1976年)、『What's Going On』(1971年)、『Midnight Love』(1982年)に続き紹介する、4枚目のMarvin作品は『Trouble Man』(1972年)です。

この流れでいけば、『Let's Get It On』(1973年)あるいは『Here, My Dear』(1978年)あたりを紹介すべきなのでしょうが、素直ではない僕は少し外してみました(笑)

本作『Trouble Man』は、Isaac Hayes『Shaft』(1971年)やCurtis Mayfield『Superfly』(1972年)らと並び称されるブラック・ムーヴィーのサントラ盤です。

映画『Trouble Man(邦題:野獣戦争)』は、黒人ゲットー内のギャング抗争に巻き込まれた、主人公の私立探偵Mr.Tの活躍を描いたものです。監督はIvan Dixon、主演はMr.Tを演じるRobert Hooksです。邦題の『野獣戦争』は無いですよね。

サントラ盤ですので殆どがインスト曲であり、フツーのヴォーカル・チューンはシングルにもなったタイトル曲「Trouble Man」のみです。それ以外はブラック・ムーヴィーらしいジャズ・ファンク調の曲と、サントラらしいオーケストレーションが聴かれる曲で構成されています。

『What's Going On』の次の作品が殆どヴォーカルなしのサントラということで、当時は肩透かしを食った方も多かったのでは?

そんなことも含めて、『What's Going On』(1971年)、『Let's Get It On』(1973年)という2大名盤の間に挟まれ、しかも殆どインスト曲で占めれたアルバムということで、やや見劣りするアルバムという印象を抱かれてしまう作品かもしれませんね。

むしろ、本作に対する支持が高いのはHip-Hop世代の若いリスナーかもしれません。
オールド・ファンの方はご存知ないかもしれませんが、本作収録の「"T" Plays It Cool」「"T" Stands for Trouble」といったインスト曲は、Hip-Hop世代の人気曲になっています!

そうした新たな視点で聴くと、なかなか楽しめるアルバムです。
個人的にはやり過ぎ感さえある、Marvinのけばけばしいムーグの音色がたまらなく好きだったりします(笑)

全曲紹介しときやす。

「Main Theme from Trouble Man, Pt.2」
ブラック・ムーヴィーのサントラ独特の不穏な空気が溢れています。嵐の前の静けさといった感じですね。ここではDale Oehlerがアレンジを担当しています。Bobby Hutchersonをはじめとする70年代のジャズ作品でよく見かける人ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=7rJpAQF5UYY

「"T" Plays It Cool」
本作のハイライトその1。Hip-Hop世代の若いリスナーの方は冒頭のリズムを聴いただけでグッとくるジャズ・ファンク調のファンキー・グルーヴ!ドラムブレイクはカッチョ良すぎ!けばけばしいムーグプレイもハマるとクセになります。
http://www.youtube.com/watch?v=dZfCbOH9iZQ

DJ Jazzy Jeff & Fresh Prince「A Touch Of Jazz」、Gang Starr「Take A Rest」、Powerule「Smooth」等でサンプリングされています。

DJ Jazzy Jeff & Fresh Prince「A Touch Of Jazz」
 http://www.youtube.com/watch?v=iZyBDwmji_E
Gang Starr「Take A Rest」
 http://www.youtube.com/watch?v=RbllAQ4NZow
Powerule「Smooth」
 http://www.youtube.com/watch?v=kuTjPZvp6PY

「Poor Abbey Walsh」
サックスとストリングスによるサントラらしい仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=7l3nzKXegXw

「The Break In (Police Shoot Big) 」
不穏な前半と哀愁の後半といった感じでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=SilWViKqwHs

「Cleo's Apartment」
スキャットによるMarvinのコーラスが印象的な哀愁モードの仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=8SRpf4bIFaQ

「Trouble Man」
本作のハイライトその2。タイトル曲のみフツーのヴォーカル・チューンです。シングルとして全米シングル・チャート第7位、同R&Bチャート第4位のヒットとなりました。この曲だけは多くの方がご存知なのでは?Marvinらしい魅惑のファルセット・ヴォーカルとスウィンギーなリズムの組み合わせがカッチョ良いですな。ここでもDale Oehlerがアレンジを担当しています。
http://www.youtube.com/watch?v=NbHeNkqRWtI

多くのアーティストがカヴァーしていますが、ここではAngie Stone、Neneh Cherryのカヴァーを紹介しておきます。

Angie Stone「Trouble Man」
 http://www.youtube.com/watch?v=BhTf2EDNCr4
Neneh Cherry「Trouble Man」
 http://www.youtube.com/watch?v=twxEtfdw82Y

「Theme from Trouble Man」
似たようなタイトルの曲が多いのでややこしいです(笑)。サックスとストリングスによる黄昏モードな仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=WeNxm4iUh7M

「"T" Stands for Trouble」
本作のハイライトその3。パーカッシヴなリズムと不穏な空気を醸し出すムーグの音色にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=aHtlFK2x2ck

Ice Cube「Who's The Mack」、Brand Nubian「Meaning Of The 5%」等のサンプリング・ネタになっています。

Ice Cube「Who's The Mack」
 http://www.youtube.com/watch?v=_eiKTp3VdE0
Brand Nubian「Meaning Of The 5%」
 http://www.youtube.com/watch?v=YLAmKnCfAnw

「Main Theme from Trouble Man, Pt.1」
Pt.2同様、ブラック・ムーヴィーらしい不穏な空気感にグッときます。この曲ではGene Pageがストリングス・アレンジを担当しています。
http://www.youtube.com/watch?v=BsNJ76rZC5Y

「Life Is a Gamble」
タイトル曲以外でヴォーカル比重が最も高い曲。そう思うと貴重かも(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=W2CCXqBBGxw

「Deep-In-It」
やり過ぎ感のあるムーグ音ですが、僕は結構好きだったりします。
http://www.youtube.com/watch?v=RKi0p5xZ9rc

「Don't Mess with Mister "T"」
哀愁のジャズ・ファンク・チューンといった感じがいいですね。Stanley Turrentineがアルバム・タイトル曲としてカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=DMtJnTtuRu0

「There Goes Mister "T"」
ラストはサックスをフィーチャーし、Marvinのコーラスと共にハードボイルドな雰囲気で幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=dWbLqIGAZEE

映画を観たことがないので、機会があれば観てみたいですね。
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2009年10月08日

Los Brasilios『Brasilian Beat '67』

遂にCD化が実現したラテン・ラウンジの人気作☆Los Brasilios『Brasilian Beat '67』
ブラジリアン・ビート67
発表年:1967年
ez的ジャンル:セルメン・フォロワー系ラテン・ラウンジ
気分は... :エキゾチックなセルメン?

今日は遂にCD化が実現したLos Brasilios『Brasilian Beat '67』(1967年)です。

Los Brasiliosは(多分)メキシコ出身のグループ。正式なアーティスト表記に関して、US盤ではLos Brasilios Featuring Alberto on the Marimbas & The Juan Morales Singers、メキシコ盤にはLos Brasilios Y Los Cantantes de Juan Morales con Albeero en la Marimbaとなっています。

おそらく本作『Brasilian Beat '67』が唯一の作品だと思います。
サバービア、ムジカロコムンドに掲載されており、その方面では人気の高い1枚でした。その意味では初のCD化は嬉しい限りです。

Sergio Mendesフォロワー系のラテン・ラウンジということで人気の1枚だと思いますが、アルバムはオリジナルLPのA面とB面で大きく内容が異なります。

A面はエキゾチックな哀愁ムード・ラテン、B面が女性ヴォーカルをフィーチャーした小粋なラテン・ラウンジという構成です。正直、A面はどうでもいい内容で、B面5曲のために購入する作品といって過言ではありません。それでも「Brasilian Beat」「No Te Esconde」というハイライト2曲を含むB面5曲で十分元の取れる内容になっていると思います。

Sergio Mendesほど垢抜けていませんが、セルメンにはないエキゾチックな魅力に溢れています。

それでもセルメン好きは楽しめる1枚ですよ!

全曲紹介しときやす。

「Carol's Theme」
B級エレガント・ムードが逆にグッとくる???オープニング。

「What A Difference A Day Made」
1934年にメキシコ人作曲家Maria Greverが書いたポピュラー・ソング。「What a Difference a Day Makes」のタイトルで数多くのアーテイストが取り上げているスタンダードですね。有名なのはDinah WashingtonAretha Franklin、Esther Phillipsあたりでしょうか。ここではマッタリとしたスパニッシュ・ボレロ調に仕上がっています。

Dinah Washington「What a Difference a Day Makes」
 http://www.youtube.com/watch?v=OmBxVfQTuvI
Aretha Franklin「What a Difference a Day Makes」
 http://www.youtube.com/watch?v=mDTbwLvaA2I
Esther Phillips「What a Difference a Day Makes」
 http://www.youtube.com/watch?v=-6CAeDN9er8

「No Love,But Your Love」
哀愁のラテン・オルガン・ジャズ。場末の酒場のBGMに似合うのでは?

「Amorio Ambiguo」
お色気たっぷり女性コーラス入りのエキゾティックなムード・ラテン。B級映画のお色気シーンが浮かんできてしまいます(笑)

「Nightingale」
ラテン・バンド・リーダーの大物Xavier Cugatの作品をカヴァー。この曲に関しては、ノスタルジックな本ヴァージョンよりも次に述べるDee Felice Trioのカッチョ良いカヴァーを聴くべきでしょう(笑)。ここまでがオリジナルLPのA面です。

「Brasilian Beat」
(オリジナルLPの)B面トップを飾るタイトル曲が本作のハイライト。ファンク、レア・グルーヴ等の再発を数多くの手掛けるUKのレーベルJazzman Recordsから、JBのバック・バンドとしても知られるジャズ・コンボDee Felice Trio「Nightingale」とのカップリングで7”がリリースされています。エキゾチック・ムードのラテン・ラウンジは、セルメン・クローン+αの魅力に溢れています。
http://www.youtube.com/watch?v=KRdMZ4OGLSs

「Poinciana」
Nat Simon/Buddy Bernier作のスタンダード。ポピュラー歌手、ジャズ・アーティスト、ディスコまで数多くのアーティストが取り上げていますね。ここでは小粋なラウンジ・チューンに仕上がっています。ヘタウマの女性ヴォーカルが実にチャーミングです。

本作とは関係ありませんが、本ヴァージョン以外にオススメの「Poinciana」3選ということで3曲紹介しておきます。
Ahmad Jamal「Poinciana」
 http://www.youtube.com/watch?v=MMprn3uDAVI
Paradise Express「Poinciana」
 http://www.youtube.com/watch?v=5cHsoDZEsQA
Bobby Lyle「Poinciana」
 http://www.youtube.com/watch?v=VVwTDOKBBco

「Noche D'amor」
パーカッシヴなビートと郷愁感漂うオルガン〜フルート〜ヴァイヴが印象的な哀愁ラウンジ。

「No Te Esconde」
「Brasilian Beat」と並ぶ本作のハイライト。キュートなスキャットとグルーヴィーなバックの組み合わせがサイコー!のラテン・ポップ。セルメンやDaniela Und Annあたりの60年代ガールズ・ソフトロックと一緒に聴きたくなる曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=eLyZN_TMLkI

「Ritmo D'amor」
ラウンジ・ムード満点のラテン・オルガン・ジャズ。「Brasilian Beat」、「No Te Esconde」に続くオススメです。出だしのドラムブレイクを聴いただけでグッときますよ!

歓喜のCD化ですが、唯一の不満は解説。某音楽ライターによる解説付ですが、単に字数を埋めているだけで、リスナーに有益なアーティスト情報が殆どナシ。あまりに手抜きな内容にガッカリしました。
posted by ez at 07:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月07日

Cassandra Wilson『Traveling Miles』

Cassandraによる帝王Milesへのオマージュ☆Cassandra Wilson『Traveling Miles』
トラヴェリング・マイルス
発表年:1999年
ez的ジャンル:ミステリアス系女性ヴォーカル
気分は... :秋になるとこの低音ヴォーカルが聴きたくなる!

ジャズ界最高の女性シンガーの一人Cassandra Wilsonの3回目の登場です。

『New Moon Daughter』(1995年)、『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)に続いて紹介するのは、『Traveling Miles』(1999年)です。

秋になると、Cassandra Wilsonが聴きたくなります。
僕にとっては秋刀魚のようなアーティストなのかもしれません(って彼女に失礼ですが)。

いつも書いていますが、ジャズ・ヴォーカリストという狭い枠組みで捉えて欲しくないアーティストですね。ジャズ、ソウル、ブルース、カントリーといったジャンルの枠を超越した彼女の地を這うような低音ヴォーカルは唯一無二のものだと思います。

本作『Traveling Miles』は、タイトルの通りジャズ界の帝王、故Miles Davisに捧げられたアルバムです。Milesが演奏した名曲の数々にCassandraが詞をつけて歌う曲が数多く含まれ、単なるトリビュート・アルバムに終わらない、独自の歌世界を構築している点が素晴らしいと思います。

その意味ではCassandraの歌世界にMilesの音世界を上手く採りこんだアルバムと言えるかもしれませんね。彼女のディープ&ミステリアスな歌声は、クールなMilesワールドと実にマッチしていると思います。

レコーディング・メンバーはCassandra Wilson(vo、g)以下、Doug Wamble (g)、Marvin Sewell(g)、Kevin Breit(g、md)、Pat Metheny(g)、Eric Lewis(p)、Lonnie Plaxico(b)、Dave Holland(b)、Perry Wilson(ds)、Marcus Baylor(ds、per)、Jeffrey Haynes(per)、Mino Cinelu(per)、Olu Dara(cor)、Steve Coleman(as)、Vincent Henry(hca)、Regina Carter(vln)、Stefon Harris(vibe)、Angelique Kidjo(vo)といった布陣です。

Milesのオリジナルを知らない人でも十分に楽しめるし、オリジナルを知っている人は2倍楽しめます。

全曲紹介しときやす。

「Run the Voodoo Down」
オープニングはアルバム『Bitches Brew』収録の「Miles Runs the Voodoo Down」にCassandraが詞をつけたもの。

『Bitches Brew』の持つ呪術的ミステリアス感をオリジナルのようなエレクトリック・サウンドではなく、アコースティックな味わい(ギターのみエレクトリックですが)で再現しているのがお見事!そんなサウンドとCassandraの地を這う低音ヴォーカルがバッチリ融合しています。Milesのオリジナルと同じくDave Hollandがベースをプレイしている点が興味深いですね。また、ラッパーNasの父親Olu Daraのコルネットもグッド!このクールなグルーヴ感はR&B/Hip-Hop好きやクラブ・ジャズ好きもグッとくるはず!

Miles Davis「Miles Runs the Voodoo Down (1/2)」
 http://www.youtube.com/watch?v=xqWGu5ZaQuQ&feature=fvw
Miles Davis「Miles Runs the Voodoo Down (2/2)」
 http://www.youtube.com/watch?v=WLK94YUduAc

「Traveling Miles」
Cassandraのオリジナル。タイトルの通り、Milesへの想いが込められた1曲。Cassandraらしいブルージーな味わいを堪能できます。M-BASEの盟友Steve Colemanがアルト・ソロで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=uN4JAsdRgGc

「Right Here, Right Now」
この曲もオリジナル(Cassandra Wilson/Marvin Sewell作)。カラッとしたアーシー感がグッド!ミシシッピ出身のCassandraには、こういう雰囲気が似合いますね。作曲者でもあるMarvin SewellとDoug Wambleによるアコースティック・ギターがいい感じです。

「Time After Time」
ご存知Cyndi Lauperの1984年の大ヒット曲。何故ここでCyndi Lauper?と思われるかもしれませんが、Milesがアルバム『You're Under Arrest』(1985年)の中で本曲をカヴァーしており、その影響によるセレクトなのでは?Cyndi Lauperのオリジナルとは全く異なるテイストのカヴァーですが、個人的にはオリジナルを超えた絶品カヴァーだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=ySVWeao57m8

Miles Davis「Time After Time」
 http://www.youtube.com/watch?v=OddHP8_Em7s

「When The Sun Goes Down」
Cassandraのオリジナル。リラックスした開放感に溢れる仕上がりです。Milesへのオマージュ・アルバムという中では少し埋もれがちですが、なかなかの佳作だと思います。

「Seven Steps」
Milesのアルバム『Seven Steps to Heaven』(1963年)のタイトル曲(Victor Feldman/Miles Davis作)。ジャズ・ヴォーカリストらしいスウィンギーなヴォーカルを聴けます。Regina CarterのバイオリンとStefon Harrisのヴァイヴがいいアクセントになっています。

Miles Davis「Seven Steps to Heaven」
 http://www.youtube.com/watch?v=iBteygssDRo

「Someday My Prince Will Come」
邦題「いつか王子様が」。ディズニー映画『白雪姫』(1937年)の主題歌として説明不要の名曲(作詞Larry Morey/作曲Frank Churchill)。また、本作との関連で言えば、当ブログでも以前に紹介したMilesのアルバム『Someday My Prince Will Come』(1961年)の名演も忘れられませんね。

このロマンティックな名曲とCassandraの低音ヴォーカルの相性はどうなのかなぁ?なんて思ったりもしますが、ブルージー&ビターな味わいのCassandraらしい仕上がりになっています。コレはコレでアリかも!

Miles Davis「Someday My Prince Will Come」
 http://www.youtube.com/watch?v=fBq87dbKyHQ

「Never Broken」
Wayne Shorter作の「E.S.P.」にCassandraが詞をつけたもの。Milesヴァージョンは作者のWayne Shorterを含む第二期黄金クインテット時代のアルバム『E.S.P.』(1965年)に収録されています。ここではエキゾチック・ムードのアレンジが印象的です。

Miles Davis「E.S.P.」
 http://www.youtube.com/watch?v=UfjaMkxItLs

「Resurrection Blues」
アルバム『Tutu』(1986年)のタイトル曲にCassandraが詞をつけたもの(作曲はMarcus Miller)。個人的はオリジナルが大好きなのですが、オリジナルの雰囲気を上手く活かしつつ、気付けば完璧にCassandraワールドになっているのが流石です。

Miles Davis「Tutu」
 http://www.youtube.com/watch?v=00tzcnyDL68

「Sky & Sea」
名盤『Kind of Blue』(1959年)収録の「Blue in Green」にCassandraが詞をつけたもの。憂いを帯びたCassandraのヴォーカルにウットリですな。Pat Methenyが参加し、美しいソロを披露してくれます。

Miles Davis「Blue in Green」
 http://www.youtube.com/watch?v=PoPL7BExSQU

「Piper」
Cassandraのオリジナル。Cassandra本来の魅力を堪能するにはいい曲かも。ギリシャの伝統楽器ブズーキの音色がアクセントになっています。

「Voodoo Reprise」
オープニング「Run the Voodoo Down」のリプライズ。ここではアフリカ、ベナン出身の女性シンガーAngelique Kidjoが参加し、少し変化をつけています。ここでもDave HollandがベースとOlu Daraのコルネットがグッときます。

ちなみに僕が所有するCDはこちらのジャケのもの。
Traveling Miles
posted by ez at 06:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月06日

Throbbing Gristle『20 Jazz Funk Greats』

ポップなジャケ...でも自殺の名所☆Throbbing Gristle『20 Jazz Funk Greats』
20 Jazz Funk Greats
発表年:1979年
ez的ジャンル:元祖ノイズ/インダストリアル・ミュージック
気分は... :怖いもの見たさ、聴きたさ

Throbbing Gristle(略称:スログロ)は、リーダーのGenesis P-Orridge(本名:Neil Andrew Megson)が大学で行政学を学んだ後、前身のパフォーミング・アート集団Coum Transmissionを率い、音楽的な比重が多くなった結果としてロンドンで結成されたグループ。

自らのレーベル"Industrial Record"を立ち上げ、工業化社会に対するアンチテーゼとしてノイズ/インダストリアル・ミュージックを展開し、『The Second Annual Report』(1977年)、『D.o.A: The Third and Final Report』(1978年)、『20 Jazz Funk Greats 』(1979年)といったアルバムをリリースしています。

グループは1981年に解散していますが、Genesis P-Orridgeは新グループPsychic TVを結成し、音楽活動を続けています。

今日紹介する3rdアルバム『20 Jazz Funk Greats』はUKパンク/ニューウェイヴ・ファンにはマスト・アイテムの1枚ですね。

とにかく危ないアーティスト、音楽というのが僕のスログロに対する印象ですね。
決して僕の音楽嗜好とは合致しない音楽ですが、それでも怖いもの見たさ、聴きたさの衝動に駆られる作品です。

音楽好きの方はご存知のとおり、本作のタイトル、ジャケなどはポップ・ミュージックの大量生産を皮肉ったものであり、ジャケの撮影場所は自殺の名所です。そして、発禁になったオリジナル・ジャケ(現在のCDの裏ジャケ)にはメンバーの前に自殺した死体の一部(のようなもの)が写っています。

前述のように"Industrial Record"を立ち上げ、その後のノイズ/インダストリアル・ミュージックに大きな影響を与え、リーダーのGenesis P-Orridgeは宗教集団を設立し、性転換プロジェクトを展開するなど、常に危険な匂いのするグループという印象しかありません。

音的にはテクノ/エレクトロニカの要素が強いですが、そうしたサウンド以外の何かを感じるアルバムです。

曲ごとのコメントするのは、あまり意味の無い作品なので、曲目リストと音源があるもののみ紹介しておきます。

「20 Jazz Funk Greats」
 http://www.youtube.com/watch?v=FUME3qqR1MY
「Beachy Head」
「Still Walking」
 http://www.youtube.com/watch?v=mAeXhM0QWME
「Tanith」
「Convincing People」
「Exotica」
「Hot on the Heels of Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=fVtT6uTdkhQ
「Persuasion」
 http://www.youtube.com/watch?v=ECBBAz1e5Dk
「Walkabout」
 http://www.youtube.com/watch?v=iKId3RPPnqY
「What a Day!」
「Six Six Sixties」
 http://www.youtube.com/watch?v=SFakiZzn6rw
(以下ボーナス・トラック)
「Discipline (Berlin) 」
「Discipline (Manchester) 」

NFLで我がマイアミ・ドルフィンズが初勝利!
これで一安心!
posted by ez at 04:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月05日

Charlie Singleton『Nothing Ventured, Nothing Gained』

元Cameoのメンバーによる2ndソロ☆Charlie Singleton『Nothing Ventured, Nothing Gained』
Nothing Ventured, Nothing Gained
発表年:1986年
ez的ジャンル:Cameo系B級ファンク
気分は... :人懐こい雰囲気が好き!

今日は元CameoのメンバーCharlie Singletonの2ndソロ『Nothing Ventured, Nothing Gained』(1987年)です。

Charlie Singletonは1954年ニューオリンズ生まれのギタリスト/シンガー。

Larry Blackmon率いるCameoにアルバム『Knights of the Sound Table』(1981年)より参加します。

『Knights of the Sound Table』(1981年)のリリース直後にリストラを敢行し、大所帯から少数精鋭体制になったCameoですが、Larry BlackmonTomi JenkinsNathan Leftenantと共にメンバーとして残りました。

当ブログでも紹介した『She's Strange』(1984年)を最後に正式メンバーからは外れますが、その後も大ヒット作『Word Up!』(1986年)をはじめレコーディングには参加しています。

グループ脱退後は、『Modern Man』(1985年)、『Nothing Ventured Nothing Gained』(1987年)、『Man on A Mission』(1989年)という3枚のソロ(形式上はCharlie Singleton & Modern Man名義)をリリースしています。

今日紹介する『Nothing Ventured Nothing Gained』(1987年)は2ndソロ。リアルタイムで聴いた時には大学生でしたが、当時人気絶頂だったCameoの元メンバーの作品ということで興味を持ち、LPを購入した記憶があります。

当時から思い切りB級感が漂うアルバムでしたが、それが逆に魅力だと思います。

Larry BlackmonTomi JenkinsNathan LeftenantといったCameo勢がバックアップしています。あとは意外なゲストとしてPeabo Brysonがバック・ヴォーカルで参加しています。

決して名盤とは言いませんが、B級グルメ感覚で楽しめるアルバムだと思います。
ジャケ同様、サウンド、ヴォーカル、メロディも人懐こい雰囲気です。

全曲紹介しときやす。

「I Wanna Be with You」
オープニングはB級感覚溢れるポップな味わいのダンス・チューン。どこか憎めないヴォーカル&メロディなんですよね(笑)

「Nothing Ventured, Nothing Gained」
タイトル曲はアルバムからの1stシングルにもなりました。軽快なSingletonのギターを中心としたノリの良いファンク・チューン。Larry BlackmonをはじめとするCameo勢のヴォーカルが加わり、Cameoの別プロジェクトみたいな雰囲気もあります。
http://www.youtube.com/watch?v=uc7CXgsezck

僕の中では同じ年にリリースされたShalamar「Circumstantial Evidence」、Mico Wave「Misunderstood」あたりと一緒に聴いていました。個人的には1987年のB級3大ファンク・チューンといったところでしょうか(笑)

Shalamar「Circumstantial Evidence」
 http://www.youtube.com/watch?v=H-5KLK15vqE
Mico Wave「Misunderstood」
 http://www.youtube.com/watch?v=PGXUIkeaTsU

「Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin) 」
ご存知、Sly & the Family Stoneの大ヒット曲のカヴァー。良く悪くも80年代後半の「Thank You」のカヴァーといった感じで楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=lKapnYff4sA

「Spending Money」
ポップなダンス・チューン。バブリーな雰囲気が80年代後半らしいのでは(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=mAth1rrDMTE

「Over My Head」
Peabo Brysonがバック・ヴォーカルを務めるミディアム・スロウ。その後、某コンピ・アルバムにも収録されており、密かにいい曲だと思います。

「Love Machine」
Prince殿下からの影響も感じられるSingletonらしいファルセット・ヴォーカルを駆使したファンク・チューン。途中でCameoの大ヒット「Word Up!」でも聴かれた映画『夕陽のガンマン』の口笛フレーズが聴こえてくるのも嬉しいですね!
http://www.youtube.com/watch?v=HLFRNhwxGl0

「Vain」
グイグイ、ゴリゴリ突進するノリが魅力のファンク・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=kgOM_qgntGw

「Too Busy Thinking About My Baby」
Marvin Gaye、1969年のヒット・シングルのカヴァー(Norman Whitfield、Barrett Strong、Janie Bradford作品)。少し意外な選曲という気もしますが...微笑ましいカヴァーに仕上がっています。Singleton作品ではお馴染みの女性シンガーKathy Mathisがバック・コーラスで盛り上げてくれます。

Marvin Gaye「Too Busy Thinking About My Baby」
 http://www.youtube.com/watch?v=45Q7d85aCOI

「Almost over You」
ラストはなかなかグッとくるバラード。リアルタイムで聴いていた頃から大好きな曲。時々、本作を聴きたくなるのもこの曲が聴きたくなるからです。

今日はNFL第4週。我がドルフィンズの初勝利なるか!
posted by ez at 04:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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