2009年10月04日

Q-Tip『Kamaal The Abstract』

7年の歳月を経て、遂に正規リリース!☆Q-Tip『Kamaal The Abstract』
カマール・ジ・アブストラクト
発表年:2009年
ez的ジャンル:幻の名盤系Hip-Hop
気分は... :やはり2002年に聴きたかった!

今回はA Tribe Called Quest(ATCQ)の中心人物Q-Tipによる幻の2ndソロの正規リリース『Kamaal The Abstract』です。

昨年、8年ぶりの新作『The Renaissance』をリリースし、僕も含めて多くのファンを歓喜させてくれたQ-Tipですが、本作『Kamaal The Abstract』の正規リリースも涙モノですね。

本作『Kamaal The Abstract』は、『Amplified』(1999年)に続く2ndアルバムとして、2001年にレコーディングを済ませ、本来は2002年にリリースされるはずの作品でした。しかしながら、諸事情によりお蔵入りとなっていたアルバムです。

未発表にも関わらず、故J Dilla等に衝撃を与えた作品として評判になっていた作品であり、今回の正規リリースはATCQQ-Tipファンのみならず、多くのHip-Hopファンにとって朗報だと思います。

内容の方は、ATCQ時代や1stソロ『Amplified』(1999年)から大きく変化し、ジャズ系ミュージシャンも参加した全編生音によるサウンド・プロダクションとなっています。Hip-Hopをネクスト・レベルに引き上げようとするQ-Tipの心意気が伝わってくる内容です。

それだけに『The Renaissance』を聴く前に本作を聴きたかったですね。きっと予定通り2002年にリリースされていたら、J Dillaのみならず多くのファンに衝撃を与えていたでしょう。その部分はとても残念です。

2001年というレコーディング時期を考えると、D'Angelo『Voodoo』(2000年)、Erykah Badu『Mama's Gun』(2000年)といったSoulquarians系の作品との関連も気になりますね。個人的にはそれらの作品と同じ空気を本作にも感じます。

2009年時点で衝撃はありませんが、それでもグッとくる内容であることには変わりありません。『The Renaissance』と一緒に聴くと、Q-Tipのブレない音作りが実感できると思います。

生音Hip-Hopの臨場感がお好きな人はぜひどうぞ!

全曲紹介しときやす。

「Feelin'」
生音、生バンド感がビシビシ伝わってくるオープニング。良質の生音ジャジーHip-Hopに耳が慣れている現在ではなく、2002年時点で聴いていたら、もっとインパクトがあったような気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=kvZRZQk74R0

「Do You Dig U?」
"生音ATCQ"って雰囲気で独特の浮遊感を楽しめる仕上がり。Kurt Rosenwinkel & Gary Thomasというジャズ・ミュージシャンをフィーチャー。Kurt Rosenwinkelは『The Renaissance』にも参加していたギタリスト。サックス奏者Gary Thomasはここではミステリアスなフルートで盛り上げてくれます、
http://www.youtube.com/watch?v=2UxapohixAo

「A Million Times」
少しダークな仕上がりがグッド!2000年前半のSoulquarians系作品と同じ空気感がありますね。
http://www.youtube.com/watch?v=3qygfv9pSd4

「Blue Girl」
どこか寂しげな雰囲気が秋らしい仕上がりなのでは(笑)。本作らしい生音らしいグルーヴ感を堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=V1xT_iP4DrY

「Barley In Love」
セッションの臨場感がよく伝わってきます。キャッチーなリズムがいいですね。60年代、70年代の感覚と2000年代の感覚がうまく融合している仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=f4_EbXRUBhY

「Heels」
Q-Tip独特のフロウがお好きな方は楽しめる曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=GAilRSPzmu0

「Abstractionisms」
この曲も"生音ATCQ"って雰囲気ですね。Kenny Garrettのサックスをフィーチャーし、ジャジーではなく、しっかりジャズしています。
http://www.youtube.com/watch?v=ttQQf81W1Vg

「Caring」
独特の雰囲気を持った曲ですね。女性ヴォーカルとQ-Tipのヴォーカルのコントラストがありすぎ(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=q2FCdBsbNb0

「Even If It Is So」
2009年時点に生音ジャジーHip-Hopとして聴いてフツーに一番いいなぁ!と思えるのがこの曲。少しスパニッシュ・テイストのアコースティック感が僕好みです。
http://www.youtube.com/watch?v=yk7-qObc11s

「Make it Work」
ボーナス・トラックとして収録された曲。みんなが好きなQ-Tipらしい浮遊感を堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=bIIjXWA3ezE

僕が持っているのは輸入盤ですが、国内盤には「Barley In Love」のMUROによるリミックスが追加収録されているようです。
posted by ez at 07:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月03日

The Oscar Peterson Trio + The Singers Unlimited『In Tune』

小粋で美しいピアノ・トリオとジャズ・コーラスの共演☆The Oscar Peterson Trio + The Singers Unlimited『In Tune』
In Tune
発表年:1971年
ez的ジャンル:小粋ピアノ・トリオ+ビューティフル・コーラス
気分は... :限界ギリギリなのですっ...

ここ数日は仕事の納品でバタバタ状態...ブログどころではありませんでした(泣)
殆ど寝ていないので目はウトウト、体はボロボロで限界ギリギリといったところです。

それでもヤマ場は乗り切ったので少しホッとしています。

今回はThe Oscar Peterson Trio + The Singers Unlimited『In Tune』(1971年)です。ここ数日たまらなく本作が聴きたくなり、仕事を小休止している間はずっと聴いていました。

親しみやすく、落ち着いた開放感とウットリする美しさが同居している構成が、今週の僕のマインドにマッチしていたのかもしれません。

本作は一昨年に亡くなったジャズ界の大物ピアニストOscar Petersonのトリオと、1970年代に活躍したジャズ・コーラス・グループThe Singers Unlimitedの共演作です。というかSingers Unlimitedは本作がデビュー作なんですね。

Oscar Peterson(1925〜2007年)は、Bud PowellThelonious MonkHorace SilverBill Evansらと並ぶ大物ジャズ・ピアニストですが、何故か僕とはあまり縁のない人でした。別に嫌いとかではなく、あまり聴く機会がないまま今日を迎えてしまったといったところでしょうか。

多分、Oscar Petersonの作品群や代表作というのが僕の頭の中にあまりインプットされておらず、CDショップ等でもスルーしてしまうことが多いからだと思います。

もう一方の主役、Singers Unlimitedに関しても本作しか持っていません。
Gene Puerling、Don Shelton、Len Dresslerという男性3人と紅一点のBonnie Hermanの4人で結成されたシカゴ出身のコーラス・グループ。ア・カペラ・コーラスを代表するグループですよね。『A Capella』(1971年)、『Christmas』(1972年)、『A Capella II』(1975年)等が人気作でしょうか。

Singers Unlimitedは、学生時代に知人がよく聴いており、その影響で多少は聴いていたのですが、お行儀の良いア・カペラばかりで飽きてくる印象がありましたね。

そんな僕とはあまり縁がないアーティスト同士の共演盤『In Tune』ですが、お互いの魅力を高め合っている好盤に仕上がっています。

通常の両者の作品に対して、少し単調な印象を持っていた僕ですが、そんなマイナスの印象を本作では全く感じません。むしろ、Singers Unlimitedの美しいコーラスワークが、小粋なOscar Peterson Trioの演奏で魅力倍増になっている気がします。

本作はドイツの名門ジャズ・レーベルMPSからのリリースです。本作に関して僕が一番スッキリするのがこの点なのですが(笑)

Petersonのトリオは、Oscar Peterson(p)、George Mraz(b)、Louis Hayes(ds)という布陣です。

ジャズ・ファンでない方にも親しみやすい、秋らしいジャズ・アルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Sesame Street」
僕が今回本作を取り上げたのは、この演奏が聴きたかったから。ご存知「セサミストリート」の主題歌です。。この1曲のみでも本作を購入する価値があるのでは?Singers Unlimitedの美しいコーラスとOscar Peterson Trioの小粋な演奏が相乗効果でお互いの魅力を高めています。

「It Never Entered My Mind」
1940年のミュージカル『Higher and Higher 』のために書かれた Lorenz Hart/Richard Rodgers作によるスタンダード。Singers Unlimitedの魅力全開のスタンダードらしい仕上がり。

「Children's Game」
Antonio Carlos Jobimのカヴァー。このボッサな名曲をここではワルツで聴かせてくれます。これが実にお洒落なんですっ!オリジナルとは異なる魅力で輝きを放っています。「Sesame Street」同様、Singers UnlimitedとOscar Peterson Trioの相性の良さを実感できる1曲。

Antonio Carlos Jobim「Children's Game」
http://www.youtube.com/watch?v=Ty9mQSGnqe8

「The Gentle Rain」
Jobimに続き、Luiz Bonfa作品Lとブラジル音楽の巨匠カヴァーが続きます。本曲が少し前にDiana Krallのカヴァーを紹介しましたね。本ヴァージョンはPetersonらの抑えた演奏とSingers Unlimitedの哀愁コーラスが秋に聴くジャズとしてはハマりすぎです!

「A Child Is Born」
Thad Jones作品のカヴァー。Singers Unlimitedの優しいコーラスにウットリですね。子守唄に最高ですな。

「The Shadow of Your Smile」
アカデミー賞歌曲賞も受賞した映画「いそしぎ」の主題歌のカヴァー(Johnny Mandel作品)。当ブログでの本曲のジャズ・カヴァーを紹介するのは、John PattonLou DonaldsonJohnny Lytleに続き4回目となります。「The Gentle Rain」と同じく、Singers Unlimitedにハマりすぎですね。ある意味オリジナル以上に曲の魅力を引き出しているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=9R_riOcfWpU

「Catherine」
Patrick Williams作品。密かに気に入っているのがこの曲。Oscar Petersonのピアノタッチに引き込まれてしまいます。この曲ってTV番組のBGMで使われていたはずなんですが思い出せません...

「Once Upon a Summertime」
Michel Legrandらによるスタンダード。正統派スタンダード・ヴォーカル・チューンに仕上がっています。

「Here's That Rainy Day」
ラストはミュージカル『Carnival in Flanders』のために書かれたスタンダード(Jimmy Van Heusen作品)。この曲と言えば、Bill Evans『Alone』収録の演奏がダントツで好きなのですが....ついつい比べてしまいます。

ようやくまともに数時間寝ることができます。
とは言っても、数時間後には残りの仕事をやっつけなくては...
まぁ、あと数日の辛抱ということで気合いで乗り切ります!
posted by ez at 04:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月01日

『音楽の園』2009年7月-9月アクセス数Top10

いよいよ10月突入!
恒例の四半期アクセス数Top10っす。今回は2009年7月1日から9月30日までのアクセス数が多かったエントリー10本をご紹介します。

第1位:Diane Birch『Bible Belt』(2009年)
Bible Belt

第2位:Sa-Ra Creative Partners『Nuclear Evolution: The Age Of Love』 (2009年)
Nuclear Evolution: The Age of Love

第3位:Lee Morgan『Cornbread』(1965年)
Cornbread

第4位:Nas『Illmatic』(1994年)
Illmatic

第5位:DeBarge『Ultimate Collection』(1997年)
Ultimate Collection

第6位:Ocean Colour Scene『Marchin' Already』(1997年)
Marchin' Already

第7位:Deodato『Love Island』(1978年)
Love Island

第8位:Miles Davis『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
Get Up with It

第9位:Bill Withers『Still Bill』(1972年)
スティル・ビル

第10位:Mario Castro-Neves & Samba S.A.『Mario Castro-Neves & Samba S.A.』(1967年)
マリオ・カストロ・ネヴィス&サンバ・SA(紙ジャケット仕様)

久々に当ブログらしい年代、ジャンルのバラツキのある10枚になった気がします。
もっと夏らしい作品が多数Top10入りしていると思っていたのですが、そうでも無かったですね(笑)

第1位のDiane Birchはダントツでした。
当ブログで彼女のデビュー作を紹介したのは6月初旬ですが現在でも相当数のアクセスがあります。さまざまな音楽ブログでも本作を取り上げている記事に数多く出会いました。僕が記事をエントリーした頃には想像できなかった盛り上がりを見せているようですね。

それ以外ではLee Morgan、Nasの上位は意外でした。
Miles、Coltrane、Bill Evansのようなジャズ・ファン以外にも馴染みが深い大物を除けば、ジャズが上位に入るには珍しいですね。まぁ、Morganも前述の3人と肩を並べるジャズ・ジャイアントではありますが。また、Nasに関しては約1年半前のエントリーであり、突然のTop10入りは不思議ですね。結構、気合入れたエントリーだったので、そのかいあって検索で引っ掛かるのかもしれません。

Top10入り一歩手前だったのが、Maxwell『Embyra』Pigbag『Dr. Heckle and Mr. Jive』Cal Tjader『Sounds Out Burt Bacharach』Dave Mason『Let It Flow』De La Soul『Buhloone Mindstate』といった作品です。

今週はある成果物の納品に追われており、最後の産みの苦しみと戦っています。
何とか明日までにケリをつけたいのですが...
posted by ez at 06:24| Comment(2) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。