発表年:1967年
ez的ジャンル:セルメン・フォロワー系ラテン・ラウンジ
気分は... :エキゾチックなセルメン?
今日は遂にCD化が実現したLos Brasilios『Brasilian Beat '67』(1967年)です。
Los Brasiliosは(多分)メキシコ出身のグループ。正式なアーティスト表記に関して、US盤ではLos Brasilios Featuring Alberto on the Marimbas & The Juan Morales Singers、メキシコ盤にはLos Brasilios Y Los Cantantes de Juan Morales con Albeero en la Marimbaとなっています。
おそらく本作『Brasilian Beat '67』が唯一の作品だと思います。
サバービア、ムジカロコムンドに掲載されており、その方面では人気の高い1枚でした。その意味では初のCD化は嬉しい限りです。
Sergio Mendesフォロワー系のラテン・ラウンジということで人気の1枚だと思いますが、アルバムはオリジナルLPのA面とB面で大きく内容が異なります。
A面はエキゾチックな哀愁ムード・ラテン、B面が女性ヴォーカルをフィーチャーした小粋なラテン・ラウンジという構成です。正直、A面はどうでもいい内容で、B面5曲のために購入する作品といって過言ではありません。それでも「Brasilian Beat」、「No Te Esconde」というハイライト2曲を含むB面5曲で十分元の取れる内容になっていると思います。
Sergio Mendesほど垢抜けていませんが、セルメンにはないエキゾチックな魅力に溢れています。
それでもセルメン好きは楽しめる1枚ですよ!
全曲紹介しときやす。
「Carol's Theme」
B級エレガント・ムードが逆にグッとくる???オープニング。
「What A Difference A Day Made」
1934年にメキシコ人作曲家Maria Greverが書いたポピュラー・ソング。「What a Difference a Day Makes」のタイトルで数多くのアーテイストが取り上げているスタンダードですね。有名なのはDinah Washington、Aretha Franklin、Esther Phillipsあたりでしょうか。ここではマッタリとしたスパニッシュ・ボレロ調に仕上がっています。
Dinah Washington「What a Difference a Day Makes」
http://www.youtube.com/watch?v=OmBxVfQTuvI
Aretha Franklin「What a Difference a Day Makes」
http://www.youtube.com/watch?v=mDTbwLvaA2I
Esther Phillips「What a Difference a Day Makes」
http://www.youtube.com/watch?v=-6CAeDN9er8
「No Love,But Your Love」
哀愁のラテン・オルガン・ジャズ。場末の酒場のBGMに似合うのでは?
「Amorio Ambiguo」
お色気たっぷり女性コーラス入りのエキゾティックなムード・ラテン。B級映画のお色気シーンが浮かんできてしまいます(笑)
「Nightingale」
ラテン・バンド・リーダーの大物Xavier Cugatの作品をカヴァー。この曲に関しては、ノスタルジックな本ヴァージョンよりも次に述べるDee Felice Trioのカッチョ良いカヴァーを聴くべきでしょう(笑)。ここまでがオリジナルLPのA面です。
「Brasilian Beat」
(オリジナルLPの)B面トップを飾るタイトル曲が本作のハイライト。ファンク、レア・グルーヴ等の再発を数多くの手掛けるUKのレーベルJazzman Recordsから、JBのバック・バンドとしても知られるジャズ・コンボDee Felice Trioの「Nightingale」とのカップリングで7”がリリースされています。エキゾチック・ムードのラテン・ラウンジは、セルメン・クローン+αの魅力に溢れています。
http://www.youtube.com/watch?v=KRdMZ4OGLSs
「Poinciana」
Nat Simon/Buddy Bernier作のスタンダード。ポピュラー歌手、ジャズ・アーティスト、ディスコまで数多くのアーティストが取り上げていますね。ここでは小粋なラウンジ・チューンに仕上がっています。ヘタウマの女性ヴォーカルが実にチャーミングです。
本作とは関係ありませんが、本ヴァージョン以外にオススメの「Poinciana」3選ということで3曲紹介しておきます。
Ahmad Jamal「Poinciana」
http://www.youtube.com/watch?v=MMprn3uDAVI
Paradise Express「Poinciana」
http://www.youtube.com/watch?v=5cHsoDZEsQA
Bobby Lyle「Poinciana」
http://www.youtube.com/watch?v=VVwTDOKBBco
「Noche D'amor」
パーカッシヴなビートと郷愁感漂うオルガン〜フルート〜ヴァイヴが印象的な哀愁ラウンジ。
「No Te Esconde」
「Brasilian Beat」と並ぶ本作のハイライト。キュートなスキャットとグルーヴィーなバックの組み合わせがサイコー!のラテン・ポップ。セルメンやDaniela Und Annあたりの60年代ガールズ・ソフトロックと一緒に聴きたくなる曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=eLyZN_TMLkI
「Ritmo D'amor」
ラウンジ・ムード満点のラテン・オルガン・ジャズ。「Brasilian Beat」、「No Te Esconde」に続くオススメです。出だしのドラムブレイクを聴いただけでグッときますよ!
歓喜のCD化ですが、唯一の不満は解説。某音楽ライターによる解説付ですが、単に字数を埋めているだけで、リスナーに有益なアーティスト情報が殆どナシ。あまりに手抜きな内容にガッカリしました。