発表年:1988年
ez的ジャンル:ブラジリアン・メロウ系ジャズ/フュージョン
気分は... :この透明感がたまりません!
今日はJoyce Coolingのデビュー作『Cameo』(1988年)です。
サバービア・ファンには人気の1枚ですね。
Joyce Coolingはニュー・ジャージー出身のジャズ・ギタリスト。
ベイエリアを中心に活動しているようです。
これまで『Cameo』(1988年)、『Playing It Cool』(1997年)、『Keeping Cool』(1999年)、『Third Wish 』(2001年)、『This Girl's Got To Play』(2004年)、『Revolving Door』(2006年)といった作品をリリースしています。
日本でも大人気のブラジル人女性シンガー・ソングライターJoyceと混同しやすいですが、Joyce Coolingはブラジル人ではなくアメリカ人であり、MPBではなくコンテンポラリー・ジャズ分野で活躍するのギタリストです。ちなみにブラジル人女性SSWのJoyceの方はJoyce Morenoさんです。
でも、本作のハイライト曲である至極のブラジリアン・グルーヴ「It's You」を聴くと、そのような錯覚に陥ってしまうかもしれませんね。
それも無理はありません。本作『Cameo』では、アメリカ在住のブラジル人が結成したフュージョン・グループViva Brasilのメンバーが大挙して参加しています。具体的にはJay Wagner(key)、Claudio Amaral(vo)、Kent Middleton(per)、Rubens Moura Jr.(ds)の4名。それ以外にベースで参加のHelio Garciasもブラジル出身です。特にJay WagnerはJoyce Coolingと共にプロデュースも手掛けています。
ベイエリアには南米出身のミュージシャンが数多く住んでおり、そうしたミュージシャンとの交流の中でJoyce Coolingはラテン音楽やブラジル音楽から影響を受け、こうしたブラジル色の強いデビュー作のレコーディングとなったようです。
基本はコンテンポラリーなジャズ/フュージョン・アルバムです。
その意味では「It's You」のイメージでMPB寄りの内容を期待するのではなく、ブラジル・フレイヴァーのジャズ/フュージョン・アルバムとして聴いた方が本作の魅力を堪能できるはずです。
ブラジル音楽好きの人であれば、むしろViva Brasilのアルバムを聴いた方が楽しめると思います。彼らのデビュー作『Viva Brasil』(1980年)も近々紹介したいと思っていますのでお楽しみに!
全曲紹介しときやす。
「It's You」
サバービア・ファン歓喜のブラジリアン・メロウ。リード・ヴォーカルはViva BrasilのClaudio Amaralです。透明感のある仕上がりがたまりませんね。Joyceのスキャット&アコースティック・ギターも実に爽やか!
http://www.youtube.com/watch?v=TmMOyVRm1rE
本曲と言えば、須永辰緒氏のSunaga t Experienceによるカヴァーも外せませんね。下部にimeem音源を用意しましたので、そちらもどうぞ!
「The Way Out」
アーバンなメロウ・フュージョン。80年代前半の落ち着いた大人のメロウ・フュージョンがお好きな人ならば気に入ります。
「Voo Doo Chicken」
Jay Wagnerのアコーディオンをフィーチャー(曲もJay Wagner)。全体的にはライトなブラジリアン・フュージョンに仕上がっています。
「Ve」
ブラジル音楽ファンにはお馴染みAntonio Adolfoの作品をカヴァー。彼自身のヴァージョンはアルバム『Feito Em Casa』(1977年)に収録されています。Joyceがポルトガル語で歌っています。優しく清らかなヴォーカル&サウンドに癒されていまします。「It's You」と同じ位グッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=jvgp8D7er2w
話が逸れますが、Antonio Adolfoの名盤『Antonio Adolfo E A Brazuca』(1971年)も近々紹介する予定です。
「Glad Rap」
フュージョン・ファンの方が一番楽しめるのはこの曲なのでは?80年代フュージョンの諸作を思い出してしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=DfncJwlkm78
「It's Time I Go」
本作唯一のバラード。ロマンティックなJoyceのギター&Jay Wagnerのピアノを堪能しましょう。
「It's On You」
ラストは「It's You」に続いてClaudio Amaralのヴォーカルをフィーチャー。アーバン・メロウなブラジリアンAORといった仕上がりでしょうか。Joyceと素敵なデュエットを聴かせてくれます。AORファンは「It's You」以上に気に入るはず!
どうしても『Cameo』ばかりが注目されてしまう彼女ですが、他のアルバムもコンテンポラリーなジャズ/フュージョン・アルバムとして楽しめそうですね。僕も財布と相談しながら、ぜひゲットしたいですね。
『Playing It Cool』(1997年)
「Firefly」(From 『Playing It Cool』)
http://www.youtube.com/watch?v=LYDSjD9U0Eo
「Imagine That」(From 『Playing It Cool』)
http://www.youtube.com/watch?v=zGXpMPcYHsQ
『This Girl's Got To Play』(2004年)
「Expression」(From 『This Girl's Got To Play』)
http://www.youtube.com/watch?v=xUQCHypx-xQ
『Revolving Door』(2006年)
「Cool Of The Night」(From 『Revolving Door』)
http://www.youtube.com/watch?v=lUgwdBchL7U