発表年:1971年
ez的ジャンル:トロピカリズモ系ブラジリアン・ソフト・ロック
気分は... :イメージとのギャップが面白い!
今回はAntonio Adolfo & A Brazuca『Antonio Adolfo E A Brazuca』(1971年)です。
Antonio Adolfoは、1947年リオ・デ・ジャネイロ生まれのピアニスト/コンポーザー/アレンジャー。音楽一家に生まれた幼少から音楽を学び、17歳でプロ・ミュージシャンとなりました。
1960年代半ば〜後半には、ジャズボッサなグループTrio 3D、Conjunto 3Dを率います。60年代終わりには、Elis Reginaのバックメンバーを務めた後、伝説のグループBrazukaを結成し、2枚のアルバムを残しています。
ソロ名義でも『Antonio Adolfo』(1972年)自ら立ち上げたレーベルArtezanalからリリースした『Feito em Casa』(1977年)、『Viralata』(1979年)等のアルバムをリリースしています。
また、彼の作品はNara Leao、Sergio Mendes & Brasil '66等数多くのアーティストによってレコーディングされています。
当ブログでは、Elis Regina『Elis Regina in London』、『Elis, Como e Porque』、Birgit Lystager『Birgit Lystager』、Joyce Cooling『Cameo』の記事でAdolfoの楽曲を紹介しています。
さて、今日紹介する『Antonio Adolfo E A Brazuca』(1971年)はAntonio Adolfo & A Brazucaの2作目となります。1作目(1969年)もグループ名を冠した同タイトルなので混同しないようにしましょう。ちなみにジャケ写真にリンクしているAmzonのページは、ジャケは本作ですが曲目リスト、解説は1作目のものになっているのでご留意下さい。
『Antonio Adolfo E A Brazuca』(1969年)※コチラが1st
"ブラジリアン・ソフト・ロック"として紹介されることが多いAntonio Adolfo & A Brazucaですが、今日初回する2ndはトロピカリズモ系のゴッタ煮感、毒気を持つバンドという印象を強く受けるのではないかと思います。僕自身も想像以上に退廃的で、ロックしている印象を受けました。
メンバーはAntonio Adolfo (el-p、p、arr)以下、Luiz Claudio Ramos(g)、Luizao Maia(b)、Paulo Braga(ds)、Bimba(vo)、Luiz Keller(vo)です。これだと6名ですがジャケ写真には7名が写っています。裏ジャケに小さく写っている演奏シーンでも6名なのですが、残りの1名は誰なのでしょうか?
個人的には以前に紹介したMichel Fugain Et Le Big Bazar『Fais Comme L'Oiseau』(1972年)あたりと一緒に聴きたくなります。得体の知れない面白さという点で2枚は共通している気がします。
全曲紹介しときやす。
「Panorama」
オープニングはメロウなボッサ・チューンに仕上がっています。このイメージが徐々に崩れていくのが本作の面白いところですが(笑)
「Claudia」
「Transamazonica」と並ぶ人気曲。ドリーミー&ボッサなソフト・ロックに仕上がっています。男女ヴォーカルのバランスが絶妙です。
http://www.youtube.com/watch?v=HOv5jnGfBJ0
※なぜか映像が女性のヌードのものですのでお気をつけください。
「Tributo a Victor Manga」
フレンチ・テイストの女声スキャット&サウンドをバックに、男性ヴォーカルが絶叫する変態チックな1曲。B級エロ映画のBGMにピッタリです!エロ・モードのプログレって雰囲気もある(笑)。トライアングルの音がおりんのように聴こえてしまうのは僕だけでしょうか?
「Pela Cidade」
フレンチ・テイストの哀愁ポップ。サビの盛り上がり方はなかなかグッときますね。
「Grilopus N.°1(1a Parte)」
Adolfoのピアノによるインタールード。
「Que Se Dane」
トロピカリズモなポップ・ロック。メロディアスな仕上がりがいいですね。「Pela Cidade」あたりもそうですが、コーラスの盛り上げ方が上手いです。
「Atencao! Atencao!」
個人的に一番好きなのがこの曲。女声コーラスがキュートなファンキー・グルーヴに仕上がっています。軽くサイケ・テイストなのも僕好みです。
「Cotidiano」
クセのある演奏が多い本作ですが、この曲はフツーにメロウなボッサ・チューンに仕上がっています。
「Transamazonica」
本作のハイライト。幻想的かつファンキーなブラジリアン・グルーヴ。必ずしも心地よいサウンドではありませんが、アマゾンの密林をイメージさせるジャングル・モードの毒々しさがクセになりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=zq8T1oIe87o
「Cortando Caminho」
哀愁モードメロウ・ロック。泣きの男性ヴォーカルがなかなかグッときます。
「Gril Opus N.°1(2a Parte)」
雄叫びによるインタールード。
「Caminhada」
ラストは爽快なブラジリアン・グルーヴ。コーラスは爽快ですが、リズムは土着っぽいのが印象的です。
他のAntonio Adolfo作品に興味がある方はコチラもどうぞ!
Trio 3D『Tema 3D』(1964年)
Trio 3D『Convida』(1965年)
Conjunto 3D『Muito Na Onda』(1967年)
Antonio Adolfo『Feito Em Casa』(1977年)
Antonio Adolfo『Viralata』(1979年)