発表年:1970年
ez的ジャンル:ポップ&キュート系ソウル・ディーヴァ
気分は... :華がありますな!
久々にDiana Rossのソロ作品です。
『Diana』(1980年)以来、2回目の紹介となる作品は『Diana Ross』(1970年)です。『Diana Ross』は、The Supremesを脱退したDiana Rossのソロ・デビュー・アルバムとなります。
ジャケ写真において、ラフな服装でかじりかけのリンゴ片手にイタズラっぽい表情でポーズを取るDianaの姿が実に印象的ですよね。このジャケだけで"買い"という気分になります。
プロデュースおよびソングライティングはAshford & Simpson(Nickolas Ashford & Valerie Simpson)が務めています(1曲のみJohnny Bristolがプロデュース)。本作はこのソウル界のおしどり夫婦が書く楽曲の素晴らしさを堪能できる作品でもありますね。
全10曲のうち、半数以上は他アーティストのカヴァーであり、多くはオリジナルとは異なる雰囲気なので聴き比べるのも楽しいかもしれませんね。
Marvin Gaye & Tammi Terrellのカヴァー2曲が興味深いですね。本作レコーディングと前後してTammi Terrellが他界しており、Tammiへの追悼の意も込められているのでしょう。
シンガーとしては"ソウルフル"より"ポップ"という形容詞が似合うDianaですが、彼女の持つ華やかでキュートな魅力が上手くパッケージされた作品だと思います。特にPaul Riserがアレンジを手掛けた曲が絶品ですな!
本作を皮切りに、ソロ・アーティストとしてもDianaはスター街道を歩み続けることになります。
全曲紹介しときやす。
「Reach Out And Touch (Somebody's Hand) 」
記念すべきDianaのソロ・デビュー・シングル。残念ながらチャート・アクションは振るいませんでしたが、ゴスペル・タッチな曲を高らかに歌い上げるDianaのヴォーカルはなかなか感動的だと思います。Paul Riserによるアレンジもグッド!Aretha Franklinもライブで歌っていましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=g-7qCG2_aaA
「Now That There's You」
ジワジワと盛り上がってくる感じがグッドなバラード。実に表情豊かなDianaのヴォーカルが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=MUNbx7TLA1c
「You're All I Need To Get By」
元々はMarvin Gaye & Tammi Terrellが1968年にレコーディングしている楽曲です。Aretha FranklinやDionne Warwickもカヴァーしています。キュートなDianaの声質とマッチした仕上がりが好きです。
「These Things Will Keep Me Loving You」
この曲のみJohnny Bristolがプロデュース&ソングライティング(Johnny Bristol/Harvey Fuqua作)を手掛けています。曲中の男性ヴォーカルもJohnny Bristolです。元々はThe Velvelettesの1966年のヒット・シングルです。この手の曲でもSupremesっぽくならないあたりに、ソロ・アーティストDiana Rossを実感できるのでは?
The Velvelettes「These Things Will Keep Me Loving You」
http://www.youtube.com/watch?v=yakxVC15A0c
「Ain't No Mountain High Enough」
見事全米No.1となった2ndシングル。元々は1967年のMarvin Gaye & Tammi Terrellのヒット・シングルとして知られている曲ですね。Marvin & Tammiヴァージョンとは異なる壮大なアレンジが絶品です(アレンジャーはPaul Riser)。コンサートでもハイライトとなる曲であり、Dianaファンは外せない1曲ですね。Grandmaster Slice & Izzy Chill「Slice, I Get Nice」でサンプリングされています。
http://www.youtube.com/watch?v=8mm_lnHVz4U
Marvin Gaye & Tammi Terrell「Ain't No Mountain High Enough」
http://www.youtube.com/watch?v=Xz-UvQYAmbg
「Something On My Mind」
元々はSyreeta Wright(Rita Wright名義)のシングル曲。曲自体がいいですね。さすがはAshford & Simpsonだと感心してしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=UBCHdrvsqEY
「I Wouldn't Change The Man He Is」
元々はBlinky(Saundra Williams)が1968年にリリースしたシングル曲です。60年代の匂いが漂うバラードに仕上がっています。
「Keep An Eye」
The Supremes時代の楽曲の再録(オリジナルはアルバム『Love Child』収録)。実に興味深い選曲ですね。こちらのヴァージョンの方が幾分大人びて聴こえるかも?
「Where There Was Darkness」
悪くはありませんが、アレンジがイマイチって気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=a77QBEUli1s
「Can't It Wait Until Tomorrow」
この曲はPaul Riserがアレンジを担当。そのおかげでエレガントなサウンドに包まれたDianaのヴォーカルが輝いています。
「Dark Side Of The World」
ラストは60年代にMarvin Gayeがレコーディングしていた楽曲。どちらかと言えば、DianaよりもMarvin向きの楽曲かもしれませんね。MarvinヴァージョンはLittle Brother「Extra Hard」でサンプリングされています。
http://www.youtube.com/watch?v=xL0u6Fym558
Marvin Gaye「Dark Side Of The World」
http://www.youtube.com/watch?v=eaaZO9sYE7U
僕が保有するCD(2002年再発)は、ボーナス・トラックとして未発表ヴァージョン、未発表曲が8曲追加されています。特に「Time And Love」、「Stoney End」という2曲のLaura Nyro作品にグッときます。「Stoney End」はBarbra Streisandのヒットでお馴染みですね。