発表年:2009年
ez的ジャンル:アングラ・ジャジーHip-Hopバンド
気分は... :音楽なんて自分の流儀で楽しめばいい!
今日は"Hip-Hop界のCCR"、Crown City Rockersの新作『The Day After Forever』です。
カリフォルニア州オークランドを拠点とするHip-HopバンドCrown City Rockers(以下CCR)の紹介は『Earthtones』(2004年)に続き2回目になります。
CCRと言えば、ちょうど先週に東京、大阪で来日公演を行っていましたね。
そんな来日公演の少し前に『Earthtones』以来5年ぶりの新作となる『The Day After Forever』がリリースされました。
本作もメンバーは、Raashan Ahmad(MC)、Kat Ouano(key)、Headnodic(b)、Max MacVeety(ds)、Woodstock(beats)という不動の5人。Kat Ouanoは本作ではKat 010と表記されています。
今年の春に紹介したKero Oneの最新作『Early Believers』にKat Ouanoが参加しており、"CCRは新作出さないのかなぁ"なんて思っていたので、嬉しい新作リリースとなりました。
The Roots以降の世代を代表するHip-HopバンドであるCCRですが、本作では従来路線のエレピを中心としたソウルフル&メロウな楽曲に加えて、最近の流れを受けたエレクトロ路線の楽曲も含まれます。
このあたりは賛否が分かれるかもしれませんが、今年に入り、Kero One『Early Believers』、Sa-Ra Creative Partners『Nuclear Evolution: The Age Of Love』といったアルバムを愛聴している僕はスンナリ聴くことができました。エレクトロ路線を違和感なく、自分達のサウンドとして上手に取り入れている印象を受けます。
今年後半に聴いたアングラ・ジャジーHip-Hopの中ではThe Residents『Open House』と並ぶイチオシです!
上記のジャケは国内盤ですが、輸入盤はジャケが異なるのでご注意を!
『The Day After Forever』 ※輸入盤
全曲紹介しときやす。
「Intro」
時報、目覚まし時計のベルによるイントロ。
「Break」
アルバム中最も攻撃的なトラックがズシリと腹に響いてきます。Max MacVeetyによるブレイクにグッときます。
「Soul」
本作のキラー・チューンとして人気が出そうなのがこの曲。浮遊感漂うシンセの音色が心地良いですね。Raashan Ahmadのソウルフルなフロウにもグッときます。従来のCCRらしさは薄れていますが、アングラ・ジャジーHip-Hop好きならば気に入るはずだと思います。The Brothers Johnson「Q」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=wHX1-bTHI5I
「Kiss」
僕の一番のお気に入りはコレ。Silyaの女声ヴォーカルをフィーチャーしています。この曲も全然CCRっぽくないエレクトロ路線ですが、キラキラした80年代感覚のシンセ・サウンドとSilyaのヴォーカル、Raashan Ahmadのフロウが実に調和しています。
「Go On」
Solas B. Lalgeeをフィーチャー。CCRらしい臨場感のあるアーバン・メロウな仕上がりがたまりません。Kat 010がエレピ、シンセ、ピアノと大活躍です。
「Astroshocks」
畳み掛けるようなRaashan Ahmadのライムと、音空間を回遊するKat 010のシンセが印象的です。
「Go Away」
Headnodicが大活躍の1曲。暖かみのあるソウルフルな仕上がりがいいですね。優しく包み込むようなギターがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=kBCGsQgveOk
「Cruisin'」
Destani Wolfの女声ヴォーカルをフィーチャー。エレクトロ路線の仕上がりです。Sa-Ra Creative PartnersSa-Ra Creative Partnersあたりと一緒に聴きたくなるスペイシー感がグッド!
「Let's Love」
キャッチーなギター・ジャジーHip-Hopに仕上がっています。バーで一杯やりながら聴きたい気分の1曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=x6XMFkj-oQQ
「Clap Your Hands」
Aimaの女声ラップをフィーチャー。スペイシー&ラテン・フレイヴァーの楽しげな1曲。みんな聴くと大盛り上がりになるのでは?
「Make It Hotter」
バカンス・モードといった雰囲気の涼しげなメロウ・チューン。Headnodicの巧みなトラック作りが光ります。
「That's Live」
Jason Jasperのソウルフルな女声ヴォーカルをフィーチャー。哀愁モードのソウル・フィーリング溢れる仕上がりです。
「Forever Song」
Aimaの女声ラップをフィーチャー。ミステリアスな黄昏メロウ・サウンドをバックにしたRaashan AhmadとAimaのフロウにグッときます。
国内盤にはボーナス・トラック「Fairy Tale」が収録されています。
国内盤の解説に"ジャジーHip-Hop"という括りについて、あれこれ大層なご意見が書かれていますが、個人的には「こう聴かねばいけない」みたいな音楽の押し付けは大嫌いです。音楽は楽しむためのものだし、初心者・上級者に関わらず各自が自分の流儀で、自分の好きな楽曲・作品を楽しめばいいものだと思います。