
発表年:1971年
ez的ジャンル:ブラック・ロック系P-Funk
気分は... :脳ミソが腐ってくるー!
George Clinton率いるFunkadelicの2回目の登場です。
これまで当ブログで紹介してきたFunkadelic/Parliament作品は以下の3枚。
Funkadelic『Uncle Jam Wants You』(1979年)
Parliament『Mothership Connection』(1975年)
Parliament『Funkentelechy Vs. The Placebo Syndrome』(1977年)
今日紹介するのは初期Funkadelicを代表する作品『Maggot Brain』(1971年)です。
前回紹介した『Uncle Jam Wants You』(1979年)の頃は、FunkadelicとParliamentの違いが殆ど無くなっていますが、本作『Maggot Brain』はギター中心のブラック・ロック的アプローチが特徴的であり、Funkadelicらしさを堪能できる1枚になっています。その意味では、ソウル/ファンク好き以上にロック・ファンの支持が高いのかもしれませんね。
かつてVernon Reid率いるLiving Colourの『Vivid』(1988年)がヒットした頃、"黒いLed Zeppelin"と形容されましたが、本作のハイライト曲「Super Stupid」を聴くと、まさに黒いLed Zeppelinって感じです。
本作でGeorge Clinton総帥以上に目立っているのはギターのEddie Hazel。ロック・ファンにとっては、Jimi Hendrixを意志を受け継いだかのようなHazelのギター・プレイこそ最大の聴きどころでしょう。ギター・フリークではない僕がこんな事を書いても全く説得力がありませんが。
個人的には、ブラック・ロック的なアルバムと言っても、フォーク、ゴスペル、ドゥーワップ、ファンク、スカ等の要素も上手く取り入れており、手探りで自分達のスタイルを模索している雑多な構成が好きです。
何かわからないけど、凄いものが生まれてきそうな雰囲気は十分感じ取ることができる点がいいですね。
Eddie Hazelばかり目立っていますが、Bernie Worrellも頑張っています(笑)
全曲紹介しときやす。
「Maggot Brain」
Eddie Hazelのギターがひたすら咽び泣くスロー・チューン。10分を越える曲ですが、聴いているうちトリップ・モードになってくる中毒的な演奏です。Mike Watt等がカヴァーしています。Pearl Jamもライブで演奏したことがあるみたいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=dh3bleXWaCk
「Can You Get to That」
アコギによるフォーキー感覚のサウンドとゴスペル&ドゥーワップ調のヴォーカルの組み合わせが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=8rrOdcnFbAY
「Hit It and Quit It」
この曲ではBernie Worrellのオルガン&ヴォーカルがフィーチャーされたブルージーな仕上がり。オルガン・グルーヴ好きの人はグッときますよ!ラストはEddie Hazelのギターが唸りを上げます。Ant Banks「Hit It」のサンプリング・ネタにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=EBXU2t4hodo
Ant Banks「Hit It」
http://www.youtube.com/watch?v=UOjjYRc55QE
「You and Your Folks, Me and My Folks」
「Super Stupid」、「Wars of Armageddon」と並ぶ僕のお気に入り。ダーク&へヴィなグルーヴがグッとくるファンク・チューン。Billy Bass Nelsonのヴォーカルと女性コーラスとの絡みもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=vl1-yfL_SKg
Insane Poetry「Manic Depressive」、Chris Rock「Your Mother Got A Big Head」、Havoc & Prodeje「Poot Butt Gangsta」等で使われている人気サンプリング・ソースでもあります。
Havoc & Prodeje「Poot Butt Gangsta」
http://www.youtube.com/watch?v=rQR4tjajs0g
「Super Stupid」
本作のハイライトとしてこの曲を挙げる方は多いのでは?ブラック・ロックとしてのFunkadelicを最も堪能できる1曲です。よく言われるように、Led Zeppelin+Jimi Hendrixって感じですね。当然ながらEddie Hazelが暴れまくります。
http://www.youtube.com/watch?v=oVHrvx-Ua68
僕の場合、ハードロック/へヴィメタルの類は殆ど聴きません。でもLed Zeppelinだけ例外的にたまに聴きたくなり、数えるほどですがCDも保有しています。なぜZeppelinだけはO.K.なのか?自分でも理由がよくわかりませんでしたが、Funkadelic版Zeppelinって雰囲気の本曲を聴いていたら何となく納得できてしまいました。
「Back in Our Minds」
「Super Stupid」のハイテンションから一変して、ルーズでゆる〜い感じの仕上がりです。この曲はFunkadelicというよりもParliamentっぽいですね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=81o_migAagY
「Wars of Armageddon」
僕の中ではコレが本作のハイライト。まさにハルマゲドン状態の混沌としたファンク・チューンにアドレナリンが出まくります。軽くスカっぽいテイストが入っているのも面白いですね。本曲を聴いて真っ先に連想したのは、当ブログでも紹介した『Agharta』、『Pangaea』といったエレクトリック・マイルス作品ですね。呪術的で危険な香りのするダーク&へヴィな雰囲気は両者に共通すると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=ddgAnzKdB4Y
最近のCDにはボーナス・トラックとして「Whole Lot of BS」、「I Miss My Baby」、「Maggot Brain(Alternative Mix)」が追加収録されているようです。
Redman『Dare Iz A Darkside』のジャケは本作へのトリビュートですね。
Redman『Dare Iz A Darkside』
