発表年:1988年
ez的ジャンル:ジャジー&アンティーク系アコースティック・サウンド
気分は... :百万回のキスのうちの●●回目?
今日はFairground Attraction唯一のオリジナル・スタジオ作『The First Of A Million Kisses』(1988年)です。
Fairground Attractionは、Eddi Reader(vo)、Mark E. Nevin(g)、Simon Edwards(guitarron)、Ray Dodds(ds、per)の4人により結成されたグループ。
※guitarron(ギタロン)はベースの役割を果たすメキシコの民族楽器
セッション・ヴォーカリストであった紅一点Eddi Readerが旧友のMark E. Nevinにコンタクトを取ったことがグループ結成のきっかけとなったようです。
1988年にデビュー・シングル「Perfect」をリリース。いきなりUKシングル・チャートNo.1に輝きます。続いて、今日紹介するデビュー・アルバム『The First Of A Million Kisses』をリリースし、こちらもUKアルバム・チャートNo.1に輝きます。
こうして瞬く間にUKのシングルおよびアルバム・チャートを制覇してしまった彼らでしたが、その反動も大きかったようで2ndアルバムがリリースされることがないまま、1990年にグループは解散しています。
Eddi Readerはその後ソロ・シンガーとしてコンスタントに活動を続けています。
Eddi Readerの素晴らしいヴォーカルと優しく小粋なアコースティック・サウンドは、UKのみならず日本でも大人気となりましたね。
きっとフォトグラファーElliot Erwittの作品を使ったジャケに惹かれて、ジャケ買いした人も多いアルバムだと思います。タイトルは邦題『ファースト・キッス』よりも、原題『The First Of A Million Kisses(百万回のキスのうちの最初のキス)』の方が素敵ですよね。
こうしたジャケやタイトルと中身が一致しているのが本作の魅力ですよね。
僕の場合、日本でのあまりの人気ぶりに少し冷めた目で眺めているフリをして、密かに聴いていました。当時は今ほど素直では無かったので(笑)
今回久々に聴きましたが、昔聴いていた時以上に新鮮でしたね。
本作のようなアコースティック・サウンドは時間経過しても、音が古臭くならないのが魅力かもしれませんね。むしろ、芳醇な味わいが増すといった感じでしょうか。
(本来の意味は別として)"ヴィンテージ"というより"アンティーク"という言葉が似合う80年代作品という気がします。
全曲紹介しときやす。
「A Smile in a Whisper」
このオープニングを聴けば、彼らの音楽のピュアな魅力が伝わってきますね。歌・メロディ・サウンド全てに魅了され、少しだけセンチメンタルな気分になってしまいます。特にグロッケンシュピール(鉄琴の一種)の音色にグッときてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=Ye4Kp7xDc3M
「Perfect」
前述のようにUKチャート第1位となった大ヒット・シングル。グループの代名詞のような曲ですね。「二番目は嫌、パーフェクトじゃなきゃ嫌なの」と軽快なテンポで歌われるスウィンギーなネオアコ・チューン。Eddiのキュートな歌声とオールディーズを聴いているかのような懐かしくキャッチーなメロディがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=_OWzDP5cnE0
Cubismo Grafico Five、羊毛とおはな、元ちとせ、Bonnie Pink、といった日本人アーティストが数多くカヴァーしていますね。個人的にはイチローが出演していたENEOSのCMで流れていた羊毛とおはなのカヴァーがオススメ。
羊毛とおはな「Perfect」
http://www.youtube.com/watch?v=_ONivFkLT1s
「Moon on the Rain」
素朴でナチュラルな雰囲気が魅力のフォーキー・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=wTKa946fwVc&feature=fvw
「Find My Love」
「Perfect」に続きシングル・カットされ、UKチャート第7位となったヒット曲。メキシカン・フレイヴァーのノスタルジックな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=InNMprncrTs
「Fairground Attraction」
グループ名を冠した曲は、ノスタルジック&哀愁モードの仕上がりです。シニカルなドラマのBGMにマッチしそう。
「The Wind Knows My Name」
Markの書く素晴らしい楽曲と、表情豊かなEddiのヴォーカルが見事にマッチした感動的な仕上がり。一人でぼんやりと聴いていたい曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=OXvUpp2eq_k
「Clare」
実に洗練された小粋なジャジー・チューン。トーキーの映像あたりとマッチしそうなサウンドですね。クラリネットが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=4569luyzLSY
「Comedy Waltz」
少し寂しげな雰囲気にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=s5T5wJ7ZCrQ
「The Moon Is Mine」
サバービア好きの人は「Perfect」以上にパーフェクトな魅力を感じる曲なのでは?僕も一番好きな曲。ジャジーなアレンジ、キュートなヴォーカル、キャッチーなメロディが上手く調和した小粋な名曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=TKH3evjgkBc
「Station Street」
スタンダードのカヴァーのような雰囲気の仕上がりです。アコーディオンの音色がノスタルジック・ムードを盛り上げます。
「Whispers」
密かに気に入っているのが本曲。この曲のみEddi Readerが曲を書いています。70年代の女性SSW的な魅力に溢れているのがグッド!
「Allelujah」
今の時期にしみじみと聴きたくなる1曲。♪冬はもう遠くない♪
「Falling Backwards」
本作の持つジャジーな雰囲気がお好きな人ならば気に入るのでは?
「Mythology」
ラストは少しスパニッシュっぽい哀愁チューン。
僕の場合、Eddi Readerのソロは殆どフォローできていないのですが、機会があればちゃんと聴いてみたいですね。