発表年:1992年
ez的ジャンル:USオルタナ・ロック
気分は... :この退廃的な空気が好き!
USオルタナ・シーンの重要ロック・バンドSonic Youthの2回目の紹介です。
『Goo』(1990年)に続いて紹介するのは『Dirty』(1992年)です。
『Dirty』は、『Goo』に続くGeffenからのメジャー2作目です。
メンバーは前作同様Thurston Moore(g、vo)、Kim Gordon(b、vo)、Lee Ranaldo(g、vo)、Steve Shelley(ds)の4名。
本作の話題と言えば、プロデューサーButch Vig、エンジニアAndy Wallaceの起用ですね。前年にグランジ・ロックの金字塔Nirvana『Nevermind』(1991年)を制作したButch Vig/Andy Wallaceのコンビを迎え、グランジ色を強めた作品に仕上がっています。
バンドのスケール感が大きくなり、激しさと骨太感が増した印象を受けますね。
インディーズ時代からの熱心なSonic Youthファンの中には、このグランジ路線まっしぐらの方向性に複雑な思い抱かれる方もいるかもしれませんね。
僕の場合、90年代に入りロック離れがかなり進行していましたが、Nirvana『Nevermind』(1991年)や本作が持つ、へヴィで退廃的な雰囲気には惹かれるものがありましたね。80年代のアメリカン・ハード・ロック/LAメタルのような音楽には全く身体が拒否反応を示していたので、そうした音楽を凌駕するグランジ/オルタナ・バンドの登場にスカッとした思いがあったのかもしれません。
僕にとってSonic Youth最大の魅力は、紅一点Kim Gordonの存在なのですが、本作でもKimがヴォーカルをとる曲にグッときてしまいますね。本作の持つノイジー&退廃的なサウンドとKimのヴォーカルが実にマッチしています。
たまに聴くなら、こんなロックがいいかな。
全曲紹介しときやす。
「100%」
お気に入りその1。オープニングはアルバムからの1stシングル。退廃的かつへヴィなリフが本作らしいですね。本曲はRollins Bandのローディーで前年末に射殺されたJoe Coleに捧げられたもの。
http://www.youtube.com/watch?v=iva_Y9W3hJ0
「Swimsuit Issue」
ノイジーなギターと性急なビートの中をKimのヴォーカルが突き抜けます。。
http://www.youtube.com/watch?v=ANWAHZU-tMc
「Theresa's Sound World」
メロディアスな「静」とノイジーに荒れ狂う「動」の部分のコントラストが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=6bIGrK3aOEw
「Drunken Butterfly」
お気に入りその2。アルバムからの3rdシングル。タイトルからしてKimにピッタリの曲ですね。本作らしいへヴィな雰囲気がグッド!酔っ払った蝶が迷走しながら舞います?
http://www.youtube.com/watch?v=jhsT0sp0rqs
「Shoot」
お気に入りその3。不穏な空気が支配するダーク&へヴィな仕上がり。Kimの退廃的なヴォーカルにもグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=WndSxMrr6rg
「Wish Fulfillment」
Lee Ranaldo作&ヴォーカルのメロディアス&ハードな1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=WlTTTE9GKMc
「Sugar Kane」
アルバムからの3rdシングル。シングルにするのも納得のキャッチーな仕上がり。中盤のノイジーな展開もグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=O-pNpBopxYw
「Orange Rolls, Angel's Spit」
お気に入りその4。Kimがシャウトするハード・チューン。サビ部分のキュートな感じも好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=vnVoLHlyI-U
「Youth Against Fascism」
お気に入りその5。アルバムからの2ndシングル。吐き捨てるようなThurstonのヴォーカルとハードなリフが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=04fAzuS04R0
「Nic Fit」
ハードコア・パンクバンドUntouchablesのカヴァー。1分と短い曲ですが、アルバムのいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=0VnZvmzhZ_A
「On the Strip」
この曲も退廃的な雰囲気が試合します。
http://www.youtube.com/watch?v=fACJcJNuMCQ
「Chapel Hill」
メロディアス&ハードな仕上がり。中盤のエキサイティングな展開で盛り上がります。
http://www.youtube.com/watch?v=CBivMTOOZFo
「JC」
まるでラップのようなKimのヴォーカルが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=Dubt7roEtSM
「Purr」
お気に入りその6。僕的にはこれがベスト・ソング。このハードに突き抜ける疾走感がたまりません。この1曲を聴いただけで相当スカッとしますね。
http://www.youtube.com/watch?v=SlFonz3djuc
「Creme Brulee」
退廃的なのにのんびり感のあるKimのヴォーカルでアルバムは幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=Gel19InCJm8
今回、Nirvana『Nevermind』(1991年)を取り上げようとも思ったのですが、書く勇気がありませんでした。Sex Pistols『Never Mind the Bollocks』(1977年)とNirvana『Nevermind』は記事したいのに、いざ書こうとすると躊躇してしまいます。きっとこれらの作品について書くほど、僕自身がパンク野郎、グランジ野郎に成りきれていないせいかもしれませんね。