発表年:1988年
ez的ジャンル:ミナス系ブラジリアン・フュージョン
気分は... :ジワジワとミナスが伝わってきます...
今日はToninho Horta『Diamond Land』(1988年)の紹介です。
ブラジル、ミナス出身のギタリストToninho Horta『Diamond Land』の紹介は『Moonstone』(1989年)に続き2回目となります。
ジャズ/フュージョン・ファン及びブラジル音楽ファンから人気の高いToninho Hortaですが、本作『Diamond Land』は、Toninhoのワールド・デビュー作となります。
ワールド・デビューということで、アメリカ市場を意識したメロウなフュージョン・アルバムという印象が強いかもしれませんが、繰り返し聴くとToninhoの故郷ミナスジェライスを反映したブラジル色がジワジワ伝わってきます。
ジャズ/フュージョン・ファンはWayne Shorterの参加に興味を惹かれるのでは?
僕が感じるToninho Hortaの最大の魅力は、Pat Methenyに通じるピュアなサウンドなのですが、本作でもそれを存分に堪能できます。
また、ブラジル音楽ファンにとっては、Joyceの参加が嬉しいですね。また、Milton Nascimento作品のカヴァーや、Milton Nascimentoが歌ったToninho作品「Beijo Partido」をセルフ・カヴァーするなど要所にミナス色がよく出ているのが楽しいですね。
Wayne Shorter(ss)、Joyce(vo)以外には、Toninhoの妹Lena Horta(fl)、Hugo Fattoruso(key)、Flavio Venturini(key)、Iuri Popoff(b)、Robertinho Silva(ds)、Wanderly Silva(per)、Ronaldo Silva(per)、Marssal(per)、Nivaldo Ornellas(ts)等が参加しています。
メロウなフュージョン作品が好きで、Pat Methenyが好きで、ブラジル音楽が好きな人には1枚で3種類の楽しみ方ができる美味しい作品だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Mountain Flight」
僕の一番のお気に入り。美しいメロディ・ラインにグッとくるボッサ・フュージョン。Toninhoの奏でるギターと男女スキャットの絡みを聴いていると、幸せホルモンが大量分泌してきます。エレガントなオーケストレーションが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=VWBzEx-PyQo
「Ballad for Zawinul」
Wayne Shorter参加曲。ToninhoとWayneはMilton Nascimentoのアルバム『Milton』(1977年)以来の共演となります。Toninhoの妹Lena Hortaの夫であるベース奏者Iuri Popoffの作品です。Joe Zawinulに捧げられたバラードですが、どうせなら「Ballad for Shorter」にすれば良かったのに(笑)。Shorterの素晴らしいソプラノを聴いていると、気分はWeather Reportモードになってしまいます。
「Raul」
Joyce参加のアーバンなブラジリアン・フュージョン。タイトルはブラジル出身の名トロンボーン奏者Raul De Souzaに捧げられた作品です。Joyceの爽快なスキャットとHugo Fattoruso小粋なキーボード・ソロがサイコーです。ブラジル音楽ファン、フュージョン・ファン双方が納得できる仕上がりなのでは?
「Sunflower」
Lo Borges作品のカヴァー。原題は「Um Girassol da Cor de Seu Cabelo 」。Toninhoの美しいギター&スキャットに幻想的なFlavio Venturiniのキーボードが絡みます。Pat Methenyと一緒に聴きたくなる曲です。
Lo Borges「Um Girassol da Cor de Seu Cabelo」
http://www.youtube.com/watch?v=tW0oVxWYOA8
「Luisa」
タイトルはToninhoの娘の名前です。アーバンな雰囲気のメロウ・フュージョンに仕上がっています。サックスのNivaldo OrnelasがWayne Shorterばりのテナーを聴かせてくれます。
「From the Lonely Afternoons」
Milton Nascimento作品のカヴァー。Wayne ShorterとMiltonの共演作『Native Dancer』収録曲としてお馴染みですね。Marcalが叩き出すブラジリアン・リズムにToninhoのギターとNivaldo Ornelasのテナーが絡む軽快なブラジリアン・フュージョンです。
Wayne Shorter feat. Milton Nascimento「From the Lonely Afternoons」
http://www.youtube.com/watch?v=Ks3QPNDC5rw
「Pilar」
Toninhoのギターと妹Lena Hortaのフルートという兄妹の共演が聴きどころです。瞑想しながら聴きたくなる厳粛な雰囲気を持った仕上がりです。
「Waiting for Angela」
原題「Esperando Anginha」。妻Angelaに捧げられた曲です。軽々しくない、ずっしりとした感触のある美しさがいいですね。Flavio Venturiniのキーボードの幻想的な広がりが、素晴らしいToninhoのプレイをさらに盛り上げてくれます。
「Diamond Land」
原題「Diamantina」。タイトル曲はToninhoと親交のあるギタリストJuarez Moraira作品。いきなりティンパニの連打で始まり面食らいましたが、爽快なメロウ・フュージョンに仕上がっています。最後はミナスらしいマーチング・バンド風に終了します。
「Broken Kiss」
原題「Beijo Partido」。Horta自身のヴァージョンは『Terra Dos Passaros』(1979年)にも収録されています。Milton Nascimento『Minas』(1975年)収録曲としてお馴染みですね。Joyceが参加し、前半はToninhoがポルトガル語で、後半はJoyceが英語で歌っています。Joyceの透明感溢れるヴォーカルにグッときます。
Milton Nascimento「Beijo Partido」
http://www.youtube.com/watch?v=emc9GhtVg0Y
Pat Methenyと並んでデトックス効果のある音楽だと思います。