2009年11月24日

Paul Haig『Coincidence vs. Fate』

Lil' Louis、Mantronikを迎えたハウス色の強い作品☆Paul Haig『Coincidence vs. Fate』
Coincidence vs. Fate
発表年:1993年
ez的ジャンル:ハウス系ダンサブル・シンセポップ
気分は... :いつも通り過ぎていましたが...

今日は"クレプスキュールの伊達男"Paul Haigの1993年リリース作品『Coincidence vs. Fate』です。

Paul Haigは1960年スコットランド、エジンバラ生まれ。

1970代後半からポスト・パンク・バンドJosef KのメンバーとしてMalcolm Rossらと共に活動し、1979年にはデビュー・シングル「Romance/Chance Meeting」をリリース。1980年にはPostcardレーベルと契約し、Orange Juiceと共にPostcardレーベルの主要アーティストとして、数枚のシングルとアルバム『The Only Fun In Town』(1981年)をリリースしています。PostcardレーベルにはGo Betweens、Aztec Cameraも所属していましたね。

グループ解散後はソロ活動を開始し、1982年にクレプスキュール(Crepuscule)よりシングル「Running Away」Sly & The Family Stoneのカヴァー)をリリースします。

その後もクレプスキュールより勢力的に作品をリリースし、ダンサブルなエレポップ・サウンドで一部ファンから高い支持を得ていました。

Paul Haig「Running Away」(1982年)
 http://www.youtube.com/watch?v=1Ew7rtY22TQ
Paul Haig「Justice」(1983年)
 http://www.youtube.com/watch?v=Q_3Eim_JiF8

僕の場合、いつもすぐそばに居たのに、いつも通り過ぎていたのがPaul Haigだったかもしれません。

Orange JuiceAztec Cameraを聴きながら、Josef Kは素通りしてしまい、Antenaを聴きながら、同じクレプスキュールのPaul Haigは名前だけしかインプットされずといった状態でした。ちなみに前述のシングル「Running Away」のバック・ヴォーカルはIsabelle Antenaでした。

さらに「Running Away」に関しては、以前に記事投稿したNorman Cook率いるFreak Powerのカヴァーが僕のお気に入りなのですが、今振り返るとSlyのオリジナル以上にPaul Haigヴァージョンの影響が大きいカヴァーであったように感じます。

さて、今日紹介する『Coincidence vs. Fate』ですが、最初に紹介するPaul Haig作品としては???かもしれません。

本来Paul Haigのアルバムを紹介するのであれば、『Rhythm Of Life』(1983年)、『The Warp Of Pure Fun』(1985年)といったダンサブルなエレポップ・サウンドを楽しめるソロ初期作からセレクトすべきなのでしょうが...

本作はLil' LouisMantronikThe Chimesといったプロデューサーを迎え、ハウス色の濃い作品となっています。Paul Haigらしいポップなダンサブル・サウンドとハウスの融合といった感じでしょうか。

なお、今回示しているジャケは再発仕様のものです。
オリジナル・ジャケは以下のものです。
Paul Haig Coincidence vs Fate.jpg
僕が所有しているのもオリジナル・ジャケの方です。
こちらの方がPaul Haigおよびクレプスキュールらしいですよね。
でも、このジャケからはハウス系の音はイメージできませんが(笑)

80年代のPaul Haig作品に思い入れがある方にはビミョーな作品かもしれませんが、これはこれでなかなか楽しめると思います。

全曲紹介しときやす。 ※オリジナルの11曲構成

「I Believe in You」
The ChimesのJames Locke/Michael Pedenプロデュース。ヴォーカルとしてLyn Geraldes、Mykaell Riley(元Steel Pulse、Reggae Philharmonic Orchestra)という男女ヴォーカリスト2名がフィーチャーされています。エレガントなUKクラブ・ミュージックに仕上がっています。グラウンドビートなんかが好きだった人は気に入ると思います。

話は逸れますが、The Chimesにはパワフルな黒人女性ヴォーカリストPauline Henryも在籍していましたね。機会があれば、Pauline Henryのソロも紹介しますね。

「Flight X」
Mantronikプロデュース。ポップながらも無機質なダンス・チューンに仕上がっています。Paul HaigというよりMantronik作品という感じですね。

「Born Innocence」
この曲ではMantronikがリミックスしています。前曲の「Flight X」とは異なり、この曲はPaul HaigとMantronikのコラボって雰囲気ですね。Paul Haigらしいダンディズム溢れるシンセポップがMantronikのリミックスで90年代らしいダンス・チューンに仕上がっています。スピード感がいいですね。

「My Kind」
Lil' Louisプロデュース。Lil' Louisらしいシカゴ・ハウス調の哀愁チューンです。Lil' Louisプロデュース3曲の中では一番好きですね。意外とPaul Haigの低音ヴォーカルと哀愁ピアノが鳴り響くハウス・サウンドがマッチしています。

「Si Senorita」
この曲もLil' Louisプロデュース。妖しく官能的な雰囲気が漂うハウス・チューンですが、これもLil' Louisらしいですね。Pater Blackによるギターも印象的です。

「Right on Line」
Mantronikプロデュース。Cece Cambellによる女声ヴォーカルをフィーチャー。Mantronikらしいポップかつダンス・チューンです。

「Out of Mind」
「Right on Line」同様、Mantronikプロデュース、Cece Cambell参加曲です。Mantronikプロデュース4曲の中では一番好きですね。Paul Haigらしいダンディズムが最も感じられるダンス・チューンだと思います。

「Surrender」
Paul Haig自身のプロデュース。それまでのダンス・サウンドのオンパレードからは一変し、メロディアスかつエレガントな仕上がりです。オリジナル・ジャケのシネマティックなイメージに最も合致するのでは?

「Stop and Stare」
Lil' Louisプロデュースですが、全くそんな感じがしないメロディアスな仕上がりです。それでも妖しい雰囲気が漂うサウンドはLil' Louisらしいのかも?

「The Originator」
Paul Haigプロデュース。無機質に反復するシンセがダークな雰囲気を作り出します。

「1959」
Paul Haigプロデュース。ラストはノスタルジックな雰囲気が漂うPaul Haigらしいシンセ・ポップに仕上がっています。

再発作品には4曲のボーナス・トラックが追加されています。

初期作品に興味がある方は下記の作品をどうぞ!

『Rhythm Of Life』(1983年)
Rhythm of Life

『The Warp Of Pure Fun』(1985年)
The Warp of Pure Fun
posted by ez at 01:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする