2009年11月27日

Public Enemy『Yo! Bum Rush The Show』

Hip-Hop史に大きな足跡を残したデビュー作☆Public Enemy『Yo! Bum Rush The Show』
Yo! Bum Rush the Show
発表年:1987年
ez的ジャンル:反体制Hip-Hop
気分は... :Public Enemy No.1!

社会派Hip-HopユニットPublic Enemyの2回目の登場です。

『Fear of a Black Planet』(1990年)に続いて紹介するのは、デビュー・アルバム『Yo! Bum Rush The Show』(1987年)です。

『Fear of a Black Planet』の記事でも書きましたが、僕の中でPublic Enemy(PE)は好きなHip-Hopユニットと言うよりも、シーンを牽引する最重要Hip-Hopアーティストとして聴かなければならない存在という位置づけでした。

僕の場合、基本的にはDe La SoulJungle BrothersA Tribe Called QuestといったNative Tongues一派に代表されるユルいHip-Hopが好みでしたが、Hank Shockleeを中心としたBomb Squadによる攻撃的なトラック、野太いラップでアジテートするChuck D、見るからに個性的なFlavor Flavを伴うPublic Enemyの存在は、好み云々を越えたインパクトがありましたね。

本来であれば、歴史的名盤との誉れが高い2nd『It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back』(1988年)を紹介したいのですが、紹介するのが大変なアルバムなので、デビュー・アルバム『Yo! Bum Rush The Show』(1987年)の紹介を先行しました。

このデビュー作の時点でChuck DFlavor FlavTerminator X、(Professor Griff率いる)Security of the First World(S1W)というメンバーは揃っています。

エグゼクティブ・プロデューサーにはRick Rubin、プロデューサーにはBill Stephneyの名がクレジットされており、Hank ShockleeChuck D(Carl Ryder)の二人も共同プロデューサーとして名を連ねています。

僕は本作をリアルタイムで聴き逃し、『It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back』『Fear of a Black Planet』を聴いた後に後追いしました。

後のPE作品で聴かれるBomb Squadサウンドと比較すると、まだまだ完成度が低いのは否めませんが、それでもP.E.の初期衝動を十分感じ取ることはできます。完成度が低い分、逆に剥き出しのPEに出会える楽しさがありますね。

この不穏な重量感は今聴いてもゾクゾクします。
当時のHip-Hopシーンを激震させた衝撃のデビュー作を堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「You're Gonna Get Yours」
シングルにもなったクラシック。格好良すぎるオープニングです。Dennis Coffey「Getting It On」のギター・ネタを使った攻撃的トラックに、Chuck Dが扇動的なラップを叩きつけ、PE独特の不穏な空気感がプンプン漂います。アルバムで一番のお気に入りです。MARRS「Pump Up the Volume」でサンプリングされていましたね。
http://www.youtube.com/watch?v=vYblg4i2HD8

「Sophisticated Bitch」
ブラック・ロック・バンドLiving ColourのリーダーVernon Reidがギターで参加しています。ロック色の強いトラックが印象的です。Heatwave「Groove Line」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=V_pRTW6n5_o

「Miuzi Weighs A Ton」
Melvin Bliss「Synthetic Substitution」、Uncle Louie「I Like Funky Music」ネタのトラックですが、PEっぽく感じないのは1stアルバムならではかもしれませんね。Aretha Franklin「Rock Steady」ネタも使われています。Naughty by Nature「On the Run」の元ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=qRtrL7Nf1xc

「Timebomb」
The Meters「Just Kissed My Baby」ネタのファンキーなトラックがなかなかグッときます。後のBomb Squadによる圧倒的なトラックのような複雑な完成度はありませんが、シンプルさ故の魅力があります。
http://www.youtube.com/watch?v=-VM4GQH8UIA

「Too Much Posse」
Flavor Flavが喋くりまくります(笑)。Flavor Flavの存在はPEに欠かせませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=lGtOIL2vgbs

「Rightstarter (Message to a Black Man) 」
後のBomb Squadサウンドを予感させるトラックですね(Trouble Funk「Grip It」ネタ)。力強く攻撃的な彼らのラップとトラックがマッチしていますね。スクラッチもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=zf6hg7T-Dmk

「Public Enemy No.1」
シングルにもなったクラシック。Fred Wesley & The JB's「Blow Your Head」ネタの不気味なトラックにのって、Chuck DがPE No.1を高らかに宣言します。
http://www.youtube.com/watch?v=VN4zb4LBNqk

「M.P.E.」
「Public Enemy No.1」の流れを受け継ぎ、不気味な雰囲気が漂います。
http://www.youtube.com/watch?v=Fwq3K6wDA6A

「Yo! Bum Rush the Snow」
タイトル曲はPEらしい重量感のある仕上がりです。Banbarra「Shack Up」ネタ。

「Raise the Roof」
Chuck DとFlavor Flavが煽ってくれます。スクラッチもかなり格好良いですな!
http://www.youtube.com/watch?v=RtWx4uYqFvM

「Megablast」
PEらしくないユルイ雰囲気ですね。Funk, Inc.「Kool Is Back」ネタ。

「Terminator X Speaks With His Hands」
ラストは「Timebomb」と「M.P.E.」をつないだトラックです。

PEを聴いて自分を鼓舞しようっと!
posted by ez at 03:17| Comment(3) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする