2009年12月25日

Bette Midler『The Divine Miss M』

グラミー賞の最優秀新人賞を獲得したデビュー作☆Bette Midler『The Divine Miss M』
The Divine Miss M
発表年:1972年
ez的ジャンル:エンターテイナー系女性ヴォーカル
気分は... :ラブ&ピース

今回は多彩な才能を持つ女優/女性シンガーBette Midlerの紹介です。

Bette Midlerは1945年ハワイ生まれ。ハワイ大学で演劇を学んだ後、N.Y.へ移りブロードウェイの舞台に出演する機会を得ました。その後ナイトクラブで歌うようになり、そこで後の大スターBarry Manilowと出会います。

そして、そのBarry Manilowらのサポートにより、1972年に今回紹介するデビュー・アルバム『The Divine Miss M』をリリースし、いきなりグラミー賞の最優秀新人賞を獲得します。1979年にはJanis Joplinのモデルにした映画『The Rose』の主演を務め、アカデミー賞の最優秀女優賞にノミネートされました。それ以外にもエミー賞、トニー賞も受賞しており、まさにアメリカが誇る偉大なエンターテイナーの一人と呼べるでしょう。

僕の場合、『The Rose』『Ruthless People(邦題:殺したい女)』(1986年)、『Beaches(邦題:フォーエバー・フレンズ)』(1988年)、『For the Boys』(1991年)といった映画のイメージが強いですね。

決して美人ではないけれども、実にチャーミングな人だと思います。
演技にしても、歌にしても、様々な感情・表情を自由に操れるところがスゴいですね。

そんな彼女のエンターテイナーとしての確かな実力を確認できるのが、今回紹介するデビュー・アルバム『The Divine Miss M』(1972年)です。

とてもデビュー・アルバムと思えない、Midlerの実力にただただ驚くばかりです。
殆どがスタンダード、有名ヒット曲のカヴァーですが、それをBette Midlerの歌として堂々と歌いきってしまうところがスゴすぎ!デビュー前にナイトクラブで自分のスタイルを確立し、それに確固たる自信を持っていたのでしょうね。

レコーディングには、Barry Manilow(p、rhythm track)をはじめ、David Spinozza(g)、Ron Carter(b)、Ralph MacDonald(per)、Cissy Houston(back vo)、Melissa Manchester(back vo)、Thom Bell(horn & strings arr)、Arif Mardin(arr)等が参加しています。

プロデュースはJoel Dornが5曲、Barry Manilow/Geoffrey Haslam/Ahmet Ertegunが6曲を手掛けています。Barry Manilowのいい仕事ぶりが目立つアルバムでもあります。

全体として、盛り上げる曲とじっくり聴かせる曲のメリハリがあるのがいいですね。
曲調やポップス、ソウル、ジャズなど音楽スタイルに合わせて、様々なスタイルのヴォーカルを聴かせてくれるのも楽しいです。

才能豊かなエンターテイナーでクリスマスを盛り上げるのも楽しいのでは?

全曲紹介しときやす。

「Do You Want to Dance?」
邦題「踊ろよベイビー」。アルバムからの1stシングルとして、全米チャート17位のヒットとなりました。オリジナルは作者Bobby Freemanのヴァージョン(1958年)。それ以降数多くのアーティストがカヴァーしているスタンダードです。有名なのはBeach Boysヴァージョンですかね。僕の場合、John Lennonヴァージョン(『Rock 'n' Roll』収録)を一番聴いた気がします。

軽快なアップテンポの印象が強い曲ですが、本ヴァージョンはテンポを落としたメロウな仕上がりが秀逸です。Midlerのデビュー作とは思えない余裕の歌いっぷりに魅了されます。Ralph MacDonaldのパーカッション、Cissy Houstonらのバック・ヴォーカル、Thom Bellのホーン&ストリングス・アレンジもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=nV5KGvQGaMY

「Chapel of Love」
The Dixie Cups、1964年の全米No.1ヒットのカヴァー。Ronettes、Beach Boys等もカヴァーしています。YouTubeにデビュー前ライブ映像が残されており、Midler、Barry Manilowにとって以前からライブ・レパートリーであったことが確認できます。本ヴァージョンも歌い慣れた楽曲のせいか、ハマりすぎと思えるノリの良さで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=WqewZ_9QWhY

「Superstar」
1971年のCarpentersの大ヒットでお馴染み、Bonnie Bramlett/Leon Russell作の名曲。どうしてもCarpentersのイメージが強い曲ですが、Midlerヴァージョンも情感たっぷりでグッときますよ。
http://www.youtube.com/watch?v=8XkTfOMDINQ

「Daytime Hustler」
個人的には一番のお気に入り曲。ソウル・テイストのグルーヴィーな仕上がりがカッチョ良すぎです。Midlerの歌が素晴らしいのは勿論ですが、リズム・セクションおよびMelissa ManchesterをはじめとするMiss M's choirのコーラスがサイコー。特に中盤のブレイクはサンプリング・ネタになるほど人気ぶりでこの部分だけでも相当グッときます。Jeff Kent作。
「Daytime Hustler」※Drum Breakのみ
 http://www.youtube.com/watch?v=RW0DpUHko2E

Young MC「Bust A Move」
 http://www.youtube.com/watch?v=xy4FXhkm6Nw

「Am I Blue」
Harry Akst/Grant Clarke作のスタンダード。Barbra Streisand等もカヴァーしています。「Daytime Hustler」から一転、雰囲気たっぷりにジャジーなヴォーカルを披露してくれます。Midlerの引き出しの多さを実感できます。

「Friends」
Mark Klingman/Buzzy Linhart作品。キャッチーなメロディとパーカッシヴなライト・グルーヴ感が僕好み。

「Hello in There」
カントリー/フォーク・シンガーJohn Prine作品。朝鮮戦争で戦死した若者を歌ったシリアスな仕上がり。『For the Boys』と一緒に聴きたくなります。

「Leader of the Pack」
The Shangri-Las、1964年の全米No.1ヒットのカヴァー。キュート&キャッチーなオリジナルは今聴いても実に魅力的ですよね。それに負けじとMidlerもMiss M's choirと息の合ったヴォーカル&コーラスを聴かせてくれます。変幻自在に緩急を操るところにグッときます。

「Delta Dawn」
Tanya Tucker、Helen Reddyのヴァージョンで知られる Larry Collins/Alex Harvey作品。Tanya Tucker、Helen Reddyらと比べると、よりじっくり聴かせる仕上がりが印象的です。シンガーとしての器の大きさをまざまざと感じます。

Tanya Tucker「Delta Dawn」
 http://www.youtube.com/watch?v=zxRYMiitmho
Helen Reddy「Delta Dawn」
 http://www.youtube.com/watch?v=JQpvbTHkJXg

「Boogie Woogie Bugle Boy」
Andrews Sistersが映画『Buck Privates』(1941年)の中で歌っていたブギウギ・スタンダード。今時の音楽ファンであれば、Andrews SistersヴァージョンがPVも含めてChristina Aguilera「Candyman」にインスパイアを与えたことはお馴染みですね。

Midlerヴァージョンはアルバムからのシングルとして全米第8位のヒットとなりました。小西康陽氏のお気に入り曲ということで本曲をチェックされている方も多いのでは?勿論のコチラもノリノリのブギウギ状態です。
http://www.youtube.com/watch?v=CUxUbYUHExs

「Friends(Reprise)」
ラストは「Friends」のリプライズ。

記事を書いていたら、『Beaches(邦題:フォーエバー・フレンズ)』『For the Boys』が観たくなりました。『For the Boys』「In My Life」Beatlesカヴァー)を歌うシーンは、いつ観ても感動的ですね。最後のピース・サインのところでいつも涙腺が決壊してしまいます。

Bette Midler「In My Life」(From 『For the Boys』)
http://www.youtube.com/watch?v=bhyST3UGCag
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2009年12月24日

Kirk Franklin & The Family『Kirk Franklin & The Family Christmas』

イヴの夜はゴスペルのクリスマス・アルバムで!☆Kirk Franklin & The Family『Kirk Franklin & The Family Christmas』
クリスマス
発表年:1995年
ez的ジャンル:コンテンポラリー・ゴスペル
気分は... :There's no Christmas without you...

今夜はクリスマス・イヴですね。

今日はクリスマス・アルバムKirk Franklin & The Family『Kirk Franklin & The Family Christmas』(1995年)をセレクト。

以前に紹介したSounds Of Blackness『The Night Before Christmas: A Musical Fantasy』(1992年)と並ぶ、僕の定番クリスマス・アルバムです。

コンテンポラリー・ゴスペルのトップランナーKirk Franklinの紹介は、Kirk Franklin's Nu Nation名義の『God's Property』(1997年)に続いて2回目になります。

クリスマス・アルバムと言うと、企画物の色合いが強い作品も多いですが、本作『Kirk Franklin & The Family Christmas』は全11曲中、定番クリスマス・ソングは3曲のみで、残り9曲はオリジナルという本格的なクリスマス・アルバムに仕上がっています。

前回紹介した『God's Property』では、R&B、ファンク、Hip-Hop等を導入した新しい新しいゴスペル・サウンドが特徴でしたが、本作はそこまで大胆なものにはなっていません。Kirk Franklin以下の魅力的なリード・ヴォーカル、大迫力のコーラス、スタイリッシュなアレンジにグッとくるコンテンポラリー・ゴスペルに仕上がっています。

「Silent Night」「Go Tell It on the Mountain」「O Come All Ye Faithful」といったお馴染みのクリスマス・ソングのコンテンポラリーな仕上がりもいいですが、今やゴスペル・スタンダードとして定着している名曲「Now Behold the Lamb」をはじめとするオリジナルが魅力です。

クリスマスの時以外にも聴きたくなる、聴き応えのあるアルバムです。

全曲紹介しときやす。

「Silent Night」
お馴染みの定番クリスマス・ソングを、スティール・ドラムも取り入れたコンテンポラリーなアレンジで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=4O4Szr7Pvp0

「Now Behold the Lamb」
Kirk Franklinのオリジナルですが、現在ではゴスペル・スタンダードとして定着している名曲です。本作のハイライトかもしれません。聴いているだけで心が神聖となり、胸にこみ上げてくるものがあります。Tamela MannとDalon Collinsによるリード・ヴォーカルが素晴らしすぎ!特にTamela Mannのヴォーカルはど迫力ですな。
YouTubeにはKirk Franklin & NU Nationでの演奏しか無かったので、そちらを紹介しておきます。
Kirk Franklin & NU Nation「Now Behold the Lamb」
http://www.youtube.com/watch?v=zXzfhG9NvFw

Kirk Franklin自身もカメオ出演していた映画『The Gospel』のラストシーンでも使われていました。
Tamyra Gray feat. Idris Elba Serman & Clifton Powell Parable「Now Behold the Lamb」(From 『The Gospel』)
http://www.youtube.com/watch?v=fLPeRXkB2j0

「Jesus Is the Reason for the Season」
コンテンポラリー・ゴスペルらしいR&Bノリの仕上がりです。Sounds Of Blacknessがお好きな方であれば絶対に気に入ると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=7Leeda9X17Y

「Go Tell It on the Mountain」
クリスマス定番ソング「山に登りて告げよ」をゴスペルらしいど迫力のヴォーカルで聴かせてくれます。ここではオーソドックスなスタイルに仕上げています。

「They Need to Know」
この曲の主役はリード・ヴォーカル&ソングライティングのDavid Mann(Tamela Mannの旦那)です。ジワジワ盛り上がってくる感じがいいですね。♪They need to know that Christ is Christmas♪

「There's No Christmas Without You」
個人的にはアルバムで一番のお気に入り。自然とやさしい気持ちになり、相手を思い遣る心が湧き上がってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=qAmni-ceYsU

「O Come All Ye Faithful」
クリスマス定番ソング「神の御子は今宵しも」を実にコンテンポラリーなアレンジで聴かせてくれます。厚みのあるクワイアにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=IH-aztPZRr0

「The Night That Christ Was Born」
「Now Behold the Lamb」と並び名曲の風格が漂うKirk Franklinのオリジナル。ゴスペルらしいヴォーカル&コーラスによるクリスマス気分を存分に満喫できる仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=JfBM9WNiO9s

「Thank You for Your Child」
「There's No Christmas Without You」と並ぶ僕のお気に入り。素晴らしいコーラスワークにウットリします。中盤以降の小粋なピアノ&サックスもグッド!

「Love Song」
ラストはグレイテストなラブソングで厳かに締めくくってくれます。

「Silver and Gold(Remix)」
ボーナス・トラックとして前作『Kirk Franklin & the Family』に収録されていた「Silver and Gold」のリミックスが収録されています。YouTubeには別ヴァージョンのリミックスしか無かったので、そちらを紹介しておきます。
http://www.youtube.com/watch?v=ITToAHxFR4Y

皆さん、素敵なイヴをお過ごし下さい。
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2009年12月23日

年末特別企画『10作品で振り返る2000年代音楽ライフ』

完璧二日酔い状態で、頭ガンガン痛いです(泣)

さて、2009年も残すところ僅か。
当ブログではカテゴリーを10年刻みの年代で設定しているので、年が明けると新カテゴリー"2010年代"を設定することになります。そこで自分なりに2000年代(2000-2009年)の音楽ライフを振り返り、この10年を象徴する10枚を選んでみました。

最初は2000年から各年1枚ずつセレクトしようと思ったのですが、そのような選び方だと自分らしいセレクトにならないので止めました。

ただし、この10枚は"2000年代のマイ・ベスト10"というセレクトではありません。
あくまで僕の音楽ライフを象徴する10枚という点をご理解下さい。

※全て過去記事で紹介済の10枚なので、興味がある作品は過去記事もご参照下さい。

Common『Like Water For Chocolate』(2000年)
Like Water For Chocolate
「The Light」
http://www.youtube.com/watch?v=W_-qRcHAhzk

Angie Stone『Mahogany Soul』(2001年)
Mahogany Soul
「Wish I Didn't Miss You」
http://www.youtube.com/watch?v=J7PgJbCfTZQ

Musiq『Soulstar』(2003年)
Soulstar
「Forthenight」
http://www.youtube.com/watch?v=8fPlFxnIlSQ

Steve Winwood『About Time』(2003年)
About Time
「Different Light」
http://www.youtube.com/watch?v=lsQsfTVQ_L0

Alicia Keys『Diary Of Alicia Keys』(2003年)
The Diary of Alicia Keys
「If I Ain't Got You」
http://www.youtube.com/watch?v=fDcISV0NEJI

Raw Artistic Soul『What About Love』(2005年)
What About Love
「Corazon」
http://www.youtube.com/watch?v=beyFhD4vfxw

Mario Biondi & The High Five Quintet『A Handful Of Soul』(2006年)
Handful Of Soul
「This Is What You Are」
http://www.youtube.com/watch?v=5IzccDy94Zg

Maria Rita『Samba Meu』(2007年)
Samba Meu
「Ta Perdoado」
http://www.youtube.com/watch?v=Zap_txvFTGg

Various Artists『Kero One Presents:Plug Label』(2007年)
プリゼンツ・プラグ・レーベル
「In All The Wrong Places」
http://www.youtube.com/watch?v=O9UDTOveUyk

Marina Martensson『Fences』(2009年)
フェンシズ
「Coffee Everyday」
http://www.youtube.com/watch?v=D-2L32GweUQ

2000年代前半(2000-2004年)はR&B/Hip-Hop中心の音楽ライフでした。

僕の2000年代音楽ライフは、D'Angelo『Voodoo』Erykah Badu『Mama's Gun』Common『Like Water For Chocolate』というSoulquariansが届けてくれた3枚のアルバムでスタートした印象が強いですね。今聴いてもこの3枚の素晴らしさには魅了されます。

2000年代を通じて僕を楽しませてくれたR&Bシンガーが男性Musiq Soulchild(Musiq)、女性Angie Stoneの2人です。2000年代ならではのソウル・スタイルで、いつ聴いても安心できます。

90年代の音楽ライフと比較した場合、最大の変化はロック離れに拍車がかかり、ロックの新譜を殆ど聴かなくなった点かもしれません。多分、2000年代前半は年10〜20枚、2000年代後半は年5枚程度しかロック新譜を購入していません。そんな中で最もグッときたロック・アルバムはSteve Winwood『About Time』(2003年)でした。

また、大ヒットしたメジャー・アルバムでは、Norah Jones『Come Away With Me』(2002年)、Alicia Keys『Diary Of Alicia Keys』(2003年)の2枚が印象に残っています。両者とも最近新作をリリースしたばかりですが、過去の自分を乗り越えようと悪戦苦闘しているようですね。

2000年代後半(2005-2009年)の音楽ライフは、当ブログのスタート(2005年9月)も大きく影響していると思います。2000年代前半との大きいな違いは、R&B/Hip-Hop以外のジャンルを聴く比重が年々高まったことでしょうね。

ハウス/クラブ・ミュージックについては以前も今も細々と聴いている程度ですが、Raw Artistic Soul『What About Love』(2005年)のような作品に出会えることを常に期待しています。

当ブログの過去記事を見てもわかるように、2007年頃からクラブジャズとブラジル音楽にハマっていきました。そのきっかけとなった作品がクラブジャズではMario Biondi & The High Five Quintet『A Handful Of Soul』(2006年)、ブラジル音楽ではMaria Rita『Samba Meu』(2007年)でした。

また、Hip-Hopでもアングラ・ジャジーHip-Hopを好んで聴くようになりました。Various Artists『Kero One Presents:Plug Label』(2007年)あたりがジャジーHip-Hopの魅力を堪能するには最適なアルバムかもしれません。

こうして振り返ると、2007年が大きなターニング・ポイントとなり、クラブジャズ、ブラジル、ジャジーHip-Hopという現在の僕の音楽ライフ新三本柱が形成された気がします。

そして、現時点(2009年)の僕はMarina Martensson『Fences』に代表される英米以外の女性SSWに魅了されています。

次の10年で僕の音楽ライフはどの方向に向かうのか?自分でも楽しみにしています。
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2009年12月22日

Wayne Shorter『Schizophrenia』

クラブ方面で人気の「Tom Thumb」収録☆Wayne Shorter『Schizophrenia』
スキッツォフリーニア
録音年:1967年
ez的ジャンル:新主流派Jazz
気分は... :案外聴きやすい作品です!

ジャズ界のスーパー・ノヴァ、サックス奏者Wayne Shorterの3回目の登場です。

『Night Dreamer』(1964年)、『Adam's Apple』(1966年)に続いて紹介するのは、1967年録音の『Schizophrenia』です。

当初はShorterの代表作の1枚である革新的作品『Super Nova』(1969年)を紹介しようと思ったのですが、数ヶ月前に購入したばかりの『Schizophrenia』を最近よく聴いているので、こちらへ変更しました。

本作『Schizophrenia』は、『Super Nova』の1つ前の作品であり、Wayne Shorterのソロ作の中でも比較的地味な存在かもしれません。

"精神分裂病(Schizophrenia)"というタイトルやジャケのイメージからは、前衛的な演奏の作品をイメージするかもしれませんね。

しかしながら、聴いてみると案外聴きやすく、Shorterらしいアンサンブルと各メンバーのソロをバランス良く堪能できます。クラブ・ジャズ好きの人が気に入りそうな格好良い演奏も多いと思います。

メンバーはWayne Shorter(ts)、James Spaulding(as、fl) 、Curtis Fuller(tb)、Herbie Hancock(p)、Ron Carter(b) Joe Chambers(ds)という3管のセクステット編成です。トランペット無しの3管というのが特徴かもしれませんね。

全6曲中、James Spaulding作の「Kryptonite」以外は全てWayne Shorterのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Tom Thumb」
クラブ方面からも人気のオープニング。元々はBobby Timmons『The Soul Man!』(1966年)に参加した際に提供した曲です。ラテン・テイストかつスタイリッシュなジャズ・ロックに仕上がっています。。Spauldingが短いフレーズで先導し、それに呼応しShorter、Fullerの2管がメロディを奏でる3管編成を生かしたアレンジにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=14zuK_Oqpy8

「Go」
哀愁のメロディと3管の美しいハーモニーにグッときます。Hancock〜Spaulding(ここではフルートを演奏)〜Shorterと続くソロもそれぞれ印象的です。

「Schizophrenia」
「精神分裂病」と題されたタイトル曲は、かなり前衛的な演奏をイメージしてしまいますが、スリリングかつスピーディーなハードバップ・チューンに仕上がっています。直感的に格好良い!と思える演奏が好きです。

「Kryptonite」
この曲のみJames Spaulding作です。新主流派らしい洗練された疾走感がいいですね。作者Spauldingのフルートと変幻自在なHancockのピアノが印象的です。

「Miyako」
タイトルのMiyakoとはShorterの最初の妻Teruka Nakagamiとの間に生まれた娘Miyakoさんのことです。ただただ美しいバラードです。

「Playground」
独特の雰囲気があるテーマが印象的です。タイトルの通り、Jazzという"遊び場"でメンバーが奔放に演奏を楽しんでいるという趣の演奏がいいですね。

今月に入り毎週のように気になるのがNFLの試合結果です。
我がマイアミ・ドルフィンズは終盤猛烈な追い上げでOTに持ち込んだもの、結局タイタンズに惜敗し、7勝7敗のタイへ逆戻りしてしまいました。まだ、首の皮一枚でプレーオフ争いに踏み止まっていますが、かなり厳しい状況ですね。最後にミラクルが起こるのを祈るばかりです。

最近5連敗を喫し、どん底状態であった昨シーズンの王者スティーラーズがようやく連敗をストップしました。第4Qの最終プレーでの決勝TDパスは、今シーズンの最も劇的なシーンの1つでした。ロスリスバーガーは、やはり何かを持っているQBですね。

また、AFC西地区首位のチャージャース、同北地区首位のベンガルズの激突も見応えがありましたが、結局チャージャースが勝利し、地区優勝を決めました。ポストシーズンでも躍進する予感がします。

レギュラー・シーズンは残り2週!
最後の最後までもつれそうで目が離せません!
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2009年12月21日

SWV『Release Some Tension』

再結成し、来年1月に来日公演するSWVの3rd☆SWV『Release Some Tension』
Release Some Tension
発表年:1997年
ez的ジャンル:ストリート系女性R&Bグループ
気分は... :ちょっとケバケバしいですが...

TLCと並ぶ90年代を代表する女性R&BグループSWVの3回目の登場です。

1st『It's About Time』(1992年)、『New Beginning』(1996年)に続いて紹介するのは、3rdアルバム『Release Some Tension』(1997年)です。

1997年にクリスマス・アルバム『A Special Christmas』をリリースした直後に解散してしまったSWVですが、ファンの方はご存知の通り、Cheryl "Coko" GambleTamara "Taj" JohnsonLeanne "Lelee" Lyonsというオリジナル・メンバー3人で再結成し、来年1月に来日公演を行う予定です。

2005年にも再結成の動きがあり、来日公演も行いましたが、結局は途中で頓挫してしまった経緯があります。今回はそうならないことを願っています。

SWV大好き!な僕ですが、3枚のオリジナル・アルバムの中では本作『Release Some Tension』が一番ビミョーなアルバムかもしれません。『New Beginning』が大好きな僕としては、本作『Release Some Tension』は本来のSWVの姿ではないような気がしてなりません。

ケバケバしいバッド・ガールなジャケからして、品良く清純なイメージの『New Beginning』のジャケとは大違いですよね。

そんなジャケのイメージそのままに、本作では全12曲中8曲でラッパーがフィーチャーされており、よりストリートを意識した仕上がりになっています。具体的にはPuff Daddy、Foxy Brown、Redman、Lil' Ceasar、Missy Elliott、Lil' Kim、E-40、Snoop Doggy Doggをフィーチャーされています。

プロデューサー陣も一新され、前作からの継続はBrian Alexander Morganのみ。それ以外はPuff Daddy(Diddy)、Roderick Wiggins、Malik Pendleton、The Characters(Charles Farrar/Troy Taylor)、Timbaland、Deric "D-Dot" Angelettie/Lantz Mitchell、Marc Kinchen、K. Perez/A.D. Perez、Kevin Evansが起用されています。

そんな作りのせいで、前作『New Beginning』で確立した成熟したヴォーカル・グループというイメージが一変してしまい、当時かなり戸惑いながら聴いていた記憶があります。

まぁ、当時の僕のように『New Beginning』のイメージに固執しなければ、それなりに楽しめるアルバムだと思います。

全曲を紹介しときやす。

「Someone」
Puff Daddy(Diddy)プロデュース。自身のラップをフィーチャーしています。The Notorious B.I.G.「Ten Crack Commandments」(アルバム『Life After Death』収録、DJ Premierプロデュース)をそのまま利用している反則トラックです。商魂たくましいDiddyらしいですね(笑)。Diddy嫌いの僕ですが、それ以上にPrimo大先生のトラックとSWVの歌が大好きなので許しちゃいます。キャッチー&クールなミッド・グルーヴに仕上がっており、シングルとして全米チャート第19位、同R&Bチャート第5位のヒットとなりました。
http://www.youtube.com/watch?v=_SDDZwug_N8

The Notorious B.I.G.「Ten Crack Commandments」
 http://www.youtube.com/watch?v=bmqLHWJsv18

「Release Some Tension」
タイトル曲はFoxy Brownのラップをフィーチャー。Ramsey Lewis Trio「Collage」ネタのクールなトラックとKelly Priceのヴォーカル・プロダクションによるヴォーカル&コーラスがマッチしています。Roderick Wigginsプロデュース、共同プロデュースとしてCoko『Hot Coko』でも起用されていたJohn Danielsの名前もクレジットされています。
http://www.youtube.com/watch?v=TUjZYY8FWMo

「Lose My Cool」
Redmanをフィーチャーしたミディアム・チューン。Malik Pendletonプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=wLCxveiawnU

「Love Like This」
The Charactersプロデュース。Lil' Ceasarのラップをフィーチャー。Jeff Lorber Fusion「Rain Dance」ネタのキャッチーなミッド・グルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=7cuP2fgStIk

「Can We」
Timbalandプロデュース。Missy Elliottをフィーチャー。Timbaland & Missy Elliottの勢いを感じるキャッチーな仕上がりがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=bf3vlOAc71o

「Rain」
Brian Alexander Morganプロデュース。シングルとして全米チャート第25位、同R&Bチャート第7位のヒットとなりました。雨が滴り落ちるリズムと切ないヴォーカル&コーラスにグッとくるミディアム・スロウに仕上がっています。当ブログでも紹介したJaco Pastorius「Portrait Of Tracy」ネタ。『It's About Time』『New Beginning』でもいい仕事ぶりが目立ったBrian Alexander Morganですが、本作では本曲のみの関与です。個人的にはあと2〜3曲はプロデュースして欲しかった気がしますが。
http://www.youtube.com/watch?v=hY7UG3BFilA

本曲をネタにしたChingy feat. Tyrese「Pullin' Me Back」とセットで聴くのも楽しいですね。
Chingy feat. Tyrese「Pullin' Me Back」
 http://www.youtube.com/watch?v=j8Ykkc3HXSE

「Give It Up」
Lil' Kimをフィーチャー。Latee「No Tricks」ネタのトラックが印象的なミッド・チューン。Deric "D-Dot" Angelettie/Lantz Mitchellプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=KCI6MqETPF8

「Come and Get Some」
E-40のラップをフィーチャー。Marc Kinchenプロデュース。決してSWVらしいとは思いませんが、なかなかキャッチーな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=2-qQAIBQFwY

「When U Cry」
K. Perez/A.D. Perezプロデュース。個人的にはこの手の切ないミッド・チューンがSWVに一番合っている気がします。。ラッパーの参加なしの曲を聴くとホッとしますね(笑)。Tyrone Davis「In The Mood」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=mXQY-PZ4CR0

「Lose Myself」
The Charactersプロデュース。彼らのいい仕事ぶりを聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=flA5AWU8abg

「Here for You」
The Charactersプロデュース。哀愁モードのミディアム・スロウ。こうした3人のヴォーカル&コーラスを生かした曲をもっと聴きたかったですね。
http://www.youtube.com/watch?v=qO77nxa7S28

「Gettin' Funky」
ラストはSnoop Doggy Doggをフィーチャー。キャッチーな仕上がりで悪くはありませんが、主役はSnoopでSWVは完全に脇役になってしまっています。Kevin Evans/Marc Kinchenプロデュース。 Foster Sylvers「Misdemeanor」ネタ。

新作スタジオ・アルバムの噂もあるようですね。
どうなることやら...
posted by ez at 09:04| Comment(2) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする