2009年12月15日

Brothers Like Outlaw『The Oneness Of II Minds In Unison』

グッド・ヴァイヴレーションなUK Hip-Hop☆Brothers Like Outlaw『The Oneness Of II Minds In Unison』
Brothers Like Outlaw.jpg
発表年:1992年
ez的ジャンル:UK Hip-Hop
気分は... :記憶が全くありません(泣)

昨晩は忘年会でした。3次会まで参加し、帰宅したのは午前様だったのですが、帰りの記憶が全くありません(泣)方向が同じ3人でタクシーに乗り、一番遠い僕が最後に降りたはずなのですが、気付いたら自宅のベッドで...

忘年会シーズン真っ只中ですが、皆さん、記憶を失わない程度に飲みましょうね。
と言いつつ、僕の場合、朝までコースの忘年会が多いのですが(笑)

今回はUKのHip-HopユニットBrothers Like Outlawが1992年にリリースしたアルバム『The Oneness Of II Minds In Unison』です。

Brothers Like Outlawは、Bello BK-Gee(Karl Gordon)という学生時代の友人2人がロンドンで結成したHip-Hopユニット。Outlaw Posseの名前でも活動していました。1990年にOutlaw Posse名義の『My Afro's On Fire』、1992年にBrothers Like Outlaw名義の『The Oneness Of II Minds In Unison』という2枚のアルバムを発表しています。

おそらくリアルタイムで聴いていた人以外は馴染みが少ないHip-Hopユニットだと思います。しかしながら、今日紹介する『The Oneness Of II Minds In Unison』は、僕にとってのHip-Hop黄金期である90年代前半にクラシック作品と共に頻繁に聴いていたHip-Hopアルバムの1枚です。

僕が本作を気に入った要因は、彼らの浮遊感溢れるメロウ・トラックと脱力系ラップに、UKのユニットながらDe La SoulA Tribe Called QuestJungle BrothersといったNative Tongues勢、Pete Rock & C.L.SmoothThe Pharcydeといった、お気に入りのUS Hip-Hopと共通するものを感じたからかもしれません。

トラック作りの中心は主に大半の曲でプロデュースを担当するメンバーのK-Gee(Karl Gordon)です。当時は今日のように作品に関する情報が殆どなく、恥ずかしながらNaughty By NatureKay Geeがプロデュースしているものだと勘違いしていました(笑)

また、当時のUKアシッド・ジャズ・ブームを反映して、Young DisciplesのFami Femがプロデューサーとして参加したり、GallianoのCrispin Taylor(ds)、Freak PowerのCyril McCammon(Key)、Junior Nelson(b)、Martin Virgo(Key)といったアシッド・ジャズ系ミュージシャンがバックを務めていたりします。また、Masters At WorkLouie Vegaが1曲プロデュースで参加しています。その意味でアシッド・ジャズ好きの方にも興味深い作品なのでは?

今日では語られることの少ない作品ですが、90年代前半のHip-Hopに愛着がある人はかなりグッとくる作品だと思います。

全曲を紹介しときやす。

「Trapped into Darkness(Enlightenment Mix)」
オススメその1。オープニング曲は、Young DisciplesのFami Femプロデュース。Steely Dan「The Fez」ネタをベースに、Young DisciplesらしいAcid Jazzテイストの仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=t0LBIrdHvnw

「The Real McKoy」
オススメその2。Freddie Hubbard「Keep Your Soul Together」ネタのジャジー・トラックが印象的です。個人的には中盤でのFaze-O「Riding High」ネタの浮遊感にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=EeczOhHSQuI

「Camouflage」
アシッド・ジャズ+Hip-Hopな仕上がり。歯切れの良さがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=e1cPD3b9TjE

「Partytime」
オススメその3。当時一番よく聴いていたのがこの曲。Hip-Hopというよりダンス・チューンに近いノリなのですが、Freeez「Flying High」ネタのトラックに思わず盛り上がってしまいます。

「Good Vibrations」
オススメその4。個人的には本作のハイライト。生音ベース&ドラムにDelegation「Oh Honey」ネタの浮遊感溢れる上モノが重なるトラックがモロに僕好み。まさにグッド・ヴァイヴレーションな1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=36cfckG18Aw

「Deja Vu」
オススメその5。この曲はUS Hip-Hop寄りですね。Chakachas「Jungle Fever」ネタの危険な香りのするセクシー・トラックが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=M-jfBDR0WWc

「System Booms」
オススメその6。Crusaders「In The Middle Of The River」ネタのトラックでグイグイ突き進みます。そんなトラックに負けない畳み掛けるフロウもいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=lgV101yTjx8

「Wordz of Danger」
オススメその7。Louie Vegaプロデュース。ここでは"Hip-Hopプロデューサー"としていい仕事しています。
http://www.youtube.com/watch?v=XKKojinyF_c

「Full Essence」
僕が大好きなNative Tonguesに共通する脱力系フロウがいいですね。Billy Cobham「Red Baron」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=xWSpNsbrmQM

「The Struggle Continues」
Jeff Lorber Fusion「Curtains」ネタのメロウ・トラックが心地よいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=7xXiAZQfdj8

「Settle the Score」
クールなトラックがキマっています。Leon Ware「Rockin' You Eternally」ネタ。

「Kickin' Jazz(K-Gee Mix)」
Nite-Liters「Bakers Instant」ネタのドラムブレイクが印象的なファンキー・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=3tjiZIPmKAM

「Hidden Jewels of Rap」
ファンキーな疾走感がいいですね。Jeremy Steig「Hopscotch」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=lcigvLAwsuw

それにしても気だるい朝...熱い風呂にでも入ってスッキリしようっと...
posted by ez at 06:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月13日

Bev Kelly『Love Locked Out』

ジャケも中身も実にスタイリッシュ!☆Bev Kelly『Love Locked Out』
ラヴ・ロックト・アウト
録音年:1959年
ez的ジャンル:女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :ジャケ買い大正解でした!

今回は女性ジャズ・シンガーBev Kellyのアルバム『Love Locked Out』(1959年)です。

Bev Kelly(Beverly Kelly)は、1934年オハイオ州生まれの女性ジャズ・シンガー。

1954年にピアニストPat Moranのグループに参加し、『The Pat Moran Quartet』(1956年)等のレコーディングに参加しています。1957年にはPat Moranのトリオをバックに初リーダー作『Beverly Kelly Sings』をレコーディングしています。ちなみに『Beverly Kelly Sings』でベースを弾いていたのは、後にBill Evans Trioで活躍するScott LaFaroです。

その後Pat Moranから独立し、Riversideでレコーディングの機会を得ます。これを機にBeverly KellyではなくBev Kellyと表記するようになりました。同時代に活躍していた女性ジャズ・シンガーBeverly Kenney(1932-1960年)と名前が似ていたため、混同されないようにこのような表記になったようです。

Riversideから『Love Locked Out』(1959年)、『In Person』(1960年)という2枚のアルバムをリリースしたものの、これを最後にシーンから突如消えてしまいました。前述のBeverly Kenneyも1960年に死去しており、二人のBeverlyが同時期にジャズ・シーンから居なくなったというのは奇妙な運命ですね。

後年、1959年にレコーディングされた『You Go To My Head』というアルバムもリリースされています。

正直、本作を購入するまでBev Kelly(Beverly Kelly)というシンガーについて全く知りませんでした。本作を購入したのも印象的なジャケに魅了されゲットしたものでした。

上記のジャケ写真では帯があるのでわかりづらいですが、50年代のアルバムでこれほどスタイリッシュなジャケってなかなか無いですよね。

帯のないジャケのイメージはこんな感じです。
Love Locked Out

レコーディングにはBev Kelly(vo)以下、Jimmy Jones(p)、Kenny Burrell(g)、Milt Hinton(b)、Roy Haynes(ds)、Jerome Richardson(fl、ts)、Osie Johnson(ds)、Harry Edison(tp)、Johnny Cresci(ds)というメンバーが参加しています。有名どころではKenny Burrellの参加が目立ちますね。

ジャケに負けず中身もスタイリッシュです。何よりBev Kellyがジャズ・ヴォーカリストとして魅力的なのがいいですね。曲ごとに様々な表情のBevのヴォーカルに出会うことができます。

メジャーなジャズ・ヴォーカリストではありませんが、ジャズ初心者の方でも十分楽しめるジャズ・ヴォーカル・アルバムです。

全曲を紹介しときやす。

「My Ship」
Ira Gershwin作詞、Kurt Weill作曲のスタンダード。元々はミュージカル『Lady In The Dark』の挿入歌です。当ブログでは以前にMiles Davisのカヴァーを紹介しています(アルバム『Miles Ahead』収録)。

このムーディーなバラードを聴いて、"ジャケ買い大正解!"と確信した次第です。レイジー&キュートなBevのヴォーカルとそれを優しく包み込むバックが実に調和しています。

「Lost April」
Nat King Coleなどが取り上げたEddie DeLange/Hubert Spencer/Emil Newman作品。実に表情豊かなヴォーカルを聴かせてくれます。セクシー・ムードがムンムンなのもいいですね。Harry Edisonのトランペットが盛り上げてくれます。

「Lonelyville」
Hal Hackaday/Walter Marks作品。哀愁モードの曲ですが、ジャズ・ヴォーカルらしくカラっとした感じがいいですね。

「I'm Gonna Laugh You Right out of My Life」
Nat King Coleなどが取り上げたJoseph Allan McCarthy/Cy Coleman作品。Milt HintonのベースがBevのヴォーカルを先導する感じがいいですね。淡々とした中にもジャズ・ヴォーカルらしい味わいを堪能できます。

「Weak for the Man」
Jeanie Burns作品。思わせぶりなBevのヴォーカルのメロメロです。こんな雰囲気で女性に甘えられたら、何でも言う事きいてあげちゃいそうです(笑)

「Love, Look Away」
Richard Rodgers/Oscar Hammerstein IIの名コンビによるミュージカル『Flower Drum Song』(1958年)挿入歌のカヴァー。ここではロマンティック&プリティな雰囲気が相当グッときます。特に女性が気に入るカヴァーという気がします。

「Thursday's Child」
Elisse Boyd/Murray Grand作品。タイトルはマザーグースからとったものらしいです。落ち着いた中にもドリーミーな雰囲気が漂います。

「Love Locked Out」
タイトル曲はMax Kester Dodgson/Ray Noble作品。Bevのキュートな魅力を堪能できるバラードです。

「Away from Me」
David Ward作品。哀愁モードの絶品バラード。純粋にジャズ・ヴォーカリストとしてのBevを堪能するのであればこの曲が一番かも?リリカルなJimmy JonesのピアノやKenny Burrellのギターによるサポートもバッチリです。

「Fool That I Am」
1946年に作られたFloyd Hunt作品。Etta Jamesのカヴァーで有名ですね。若いリスナーの方はAdeleのライブ・カヴァーを聴いた方もいるのでは?表情豊かなヴォーカルを楽しめるのが僕好みです。

Adele「Fool That I Am」
http://www.youtube.com/watch?v=xgrL5P-DaiM

「Gloomy Sunday」
「暗い日曜日」という邦題で知られる1933年にハンガリーで発表された楽曲です。ハンガリーや世界中で本作を聴いて数百人が自殺したと言われ、自殺ソングとして有名な曲です。Bevのヴァージョンは哀愁感は漂いますが、自殺ソングという雰囲気ではありませんね。

「Gloomy Sunday」は自殺ソングと呼ばれているにも関わらず、1936年の発表されたフランスのシャンソン歌手Damiaのカヴァーで世界中に広まったのをはじめ、数多くのアーティストがカヴァーしています。当ブログで紹介したアーティストだけで見ても、Sarah VaughanElvis CostelloSerge GainsbourgBjorkPortisheadがカヴァーしています。

Billie Holiday「Gloomy Sunday」
 http://www.youtube.com/watch?v=48cTUnUtzx4
Portishead「Gloomy Sunday」
 http://www.youtube.com/watch?v=iyKXEdnN8b4
Sarah McLachlan「Gloomy Sunday」
 http://www.youtube.com/watch?v=sjWMtQcNJXI

YouTubeに本作の音源は全くアップされていないのですが、唯一あった他作品の音源でBevの歌声をご確認下さい。

Beverly Kelly「Lover Come Back To Me」(From 『Beverly Kelly Sings』)
 http://www.youtube.com/watch?v=AdY-LEE7Kt4
posted by ez at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月12日

Angie Stone『Unexpected』

まさに予期せぬ新作リリース☆Angie Stone『Unexpected』
Unexpected
発表年:2009年
ez的ジャンル:姉御系ダイアモンド・ソウル
気分は... :今年のNo.1R&Bアルバムはコレで決まり!

今回は大好きなAngie Stoneの"予期せぬ(Unexpected)"新作『Unexpected』です。

当ブログでこれまで紹介したAngie Stone作品は以下の3枚(発売順)。

 『Mahogany Soul』(2001年)
 『Stone Love』(2004年)
 『The Art Of Love & War』(2007年)

5thアルバムとなる新作『Unexpected』は、『The Art Of Love & War』以来約2年ぶりとなるStax移籍第2弾アルバムです。

Stax移籍第1弾となった前作『The Art Of Love & War』(2007年)は、Angie自身初となる全米R&Bアルバム・チャートNo.1に輝くなど商業的な成功を収め、彼女の最高傑作と評する評論家もいました。しかしながら、個人的には"悪くはないけど何処かで何か足りない"というモヤモヤ感が残る作品でした。完成度は高いけれど少しまとまりすぎた印象を受けたのかも?

それから2年、本作をリリースするまでにAngie姉さんにはプライベートで2つの大きな悲劇があったようです。

最初の悲劇は、『The Art Of Love & War』にも参加していた男性シンガーChinoと恋仲となり、婚約までしたものの、実はChinoが既婚者であった!というスポーツ新聞芸能欄のトップ記事になりそうなトラブルに見舞われたようです。『The Art Of Love & War』の記事でChinoのことを"期待のシンガー"なんて書いてしまいましたが、Angie姉さんを泣かすなんて許せない野郎ですな!

2つ目の悲劇は、最愛の父Bobby Williamを亡くしたことです(詳細はわかりませんが、国内盤CDの帯にそう書いてあります)。Angieの父はゴスペル・グループのシンガーだったようですね。

そんな悲劇を乗り越えて制作された本作『Unexpected』ですが、何かが吹っ切れたようにAngie Stoneらしい輝きを放っています。前作と同じような商業的成功を収めるかは不明ですが、前作のようなモヤモヤした思いを抱かせない大満足な1枚に仕上がっています。ジャケのド派手な衣装でバイクにまたがる、若々しいAngie姉さんの姿が全てを物語っているようです。

Angie本人は"クラシックなAngie Stoneの中に、少し冒険したAngie Stoneもいるアルバム"と本作を評しているようです。

CDショップのサイトを見ると、"予期せぬ"新しいアプローチという説明が強調されていますが、そうした曲はせいぜい全12曲中2曲程度であり、残りはファンが期待するクラシックなAngie Stoneを存分に堪能できます。しかも前作のようにおとなしくまとまらず、ギラギラと輝くAngie 姉さんに出会えると思いますよ!

プロデュースはAngie Stone本人に加えて、Steven"Supe" White、Jazze Pha、Jonathan Richmond、Sly Williams、Willie "Chuck" Shivers、Karrim "Ikon" King and Fitzroy "The Art Teacher" Reidが起用されています。Angie作品ではお馴染みのJonathan Richmond、『Stone Love』以来となるJazze Phaを除くと新顔ですね。特にSly Williamsプロデュースの4曲が充実していますね。

また、前作『The Art Of Love & War』に続き参加のJuanita Wynnがバック・ヴォーカル/ソングライティングの両面で大きく貢献しているのが目立ちます。

これから年末にかけて大物R&Bシンガーたちが新作をリリースしますが、僕の中で今年のNo.1R&Bアルバムは本作で確定です。

全曲を紹介しときやす。

「Unexpected」
いきなり♪I got this from Sly Stone♪とスタートするオープニング。そのフレーズの通り、Sly & the Family「Family Affair」ネタのトラックになっています。♪こんなの予想できない〜♪とアルバム全体への期待が高まるプロローグです。

「I Ain't Hearin' U」
アルバムからの1stシングル。ファンは大満足のソウルフル&グルーヴィーな仕上がりです。Angie姉さんにはこういうノリの良い曲が似合います。この1曲を聴いて、前作以上に僕の好きなAngie姉さんが戻ってきたと確信できました。Steven"Supe" Whiteプロデュース、Steven"Supe" White/Juanita Wynn作。
http://www.youtube.com/watch?v=XmcRHn7qPZo

プロデューサーのSteven"Supe" Whiteは、当ブログでも紹介したLeela James『Let's Do It Again』ではドラマーとして、いい仕事ぶりを聴かせてくれましたが、ここではサウンドクリエーターとしてAngie姉さんの個性にマッチしたトラックを提供してくれています。

「Free」
Jazze Phaプロデュース。また、T.I.等ラップ作品のフィーチャリング・ヴォーカルでお馴染みのRicco Barrinoがソングライティング&ヴォーカルで参加しています。Jazze Phaプロデュースと言えば、『Stone Love』からシングル・カットされた「I Wanna Thank Ya」(feat. Snoop Dogg)のイメージが今でも印象に残っています。ここではエレクトロ・サウンドを駆使した今時のR&BサウンドでAngie姉さんの新たな魅力を引き出していますね。
http://www.youtube.com/watch?v=0xLYFGfju9I

「Maybe」
Jonathan Richmondプロデュース、Jonathan Richmond/Juanita Wynn作。♪"多分"を頼って生きられるの?♪プライベートでショックな出来事が続いたAngieの揺れ動く心を代弁しているかのような歌詞にグッときます。"
http://www.youtube.com/watch?v=JIX8vR5r6kE

「Hey Mr. DJ」
Sly Williamsプロデュース。クレジットにはありませんが、いきなりMichael Jackson「Rock With You」の冒頭のドラムでスタートします。Angie姉さんのソウルフルな魅力をストレートに堪能できる味わい深いミッド・チューン。Minnie Riperton「Here We Go」もサンプリングしています。
http://www.youtube.com/watch?v=Auoc8hxbHQU

「Kiss All Over Your Body」
Sly Williamsプロデュース。Sly Williams/Angie Stone作。ミディアム〜スロウ系では一番のお気に入り!美メロ好きはグッとくること間違いナシ!の絶品スロウです。
http://www.youtube.com/watch?v=RS7YACltco0

「I Don't Care」
Willie "Chuck" Shiversプロデュース。いきなりプリティなヴォーカルを聴かせてくれるのは(多分)娘Diamond Stoneだと思います。Diamondの参加はAngie作品では恒例になってきましたね。♪人にどう言われようと気にしない!♪と歌うAngie姉さんはらしくていいですよね。

「Why Is It」
Sly Williamsプロデュース。Sly Williams/Juanita Wynn/Angie Stone作。「Kiss All Over Your Body」同様美メロ好きのハートをトキメかせます。こちらの方がよりナチュラルな仕上がりです。別れた恋人との揺れる女心を歌った歌詞もグッときます。、女性の方は涙ウルウルになりますよ!と言う僕もウルウルですが(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=gVGAyClAMK8

「Tell Me」
サウンド面でのインパクトはが良くも悪くもアルバムで一番でしょう(Karrim "Ikon" King and Fitzroy "The Art Teacher" Reidプロデュース)。オートチューン・ヴォーカルにエレクトロ・サウンドは今時のR&Bらしいですが、ファンは賛否両論分かれるでしょうね。僕の感想は、このタイプをアルバムに1曲だけ収録するのであればOK!2曲以上は必要ナシ!といったところでしょうか。

「Think Sometimes」
Willie "Chuck" Shiversプロデュース。亡き父に捧げたバラードのようです。落ち込んでいるときに聴くと前向きなれそうな歌詞ですね。人生たまには考えないとね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=myWRVEzx3cQ

「I Found A Keeper」
Sly Williamsプロデュース。Sly Williams/Dolton P.Smith/Angie Stone作。ハッピーなラブソングで締めてくれるのが嬉しいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=HxcXmJ8y3kQ

「Unexpected (Reprise)」
ラストは「Unexpected」のリプライズ。大満足のアルバムの余韻に浸ってアルバムは幕を閉じます。

ファンの予想を上回る充実ぶりで"驚き"をもたらす作品だと思います。
個人的には前作のモヤモヤ感が晴れてスッキリしたのが嬉しいですね。
posted by ez at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月11日

Fania All-Stars『Rhythm Machine』

Bob James、Eric Galeも参加したクロスオーヴァー色の強い作品☆Fania All-Stars『Rhythm Machine』
Rhythm Machine
発表年:1977年
ez的ジャンル:クロスオーヴァー系N.Y.ラテン/サルサ
気分は... :冬でもラテン!

今日は気分がラテン・モード!

N.Y.のラテン専門レーベルFniaのオールスター・グループFania All-Starsの2回目の登場です。

『Live At The Cheetah Vol.1/Vol.2』(1972年)に続いて紹介するには、1977年リリースの『Rhythm Machine』(1977年)です。

N.Y.サルサの熱狂ぶりを収めた伝説のライブ・アルバム『Live At The Cheetah Vol.1/Vol.2』のイメージが強いFania All-Starsですが、70年代後半はラテン/サルサをベースとしつつも、フュージョン、ディスコ、ソウル、ロックの要素を取り入れたクロスオーヴァー色の強い作品をリリースしています。

その路線のアルバムが、Columbiaよりリリースした『Delicate and Jumpy』(1976年)、『Rhythm Machine』(1977年)、『Spanish Fever』(1978年)、『Cross Over』(1979年)という4枚です。

これらのアルバムには、サルサ/ラテンの枠を超えたゲスト・ミュージシャンの参加が目立ちます。例えば、昨日紹介したSteve Winwood『Delicate and Jumpy』に参加しています。

Columbiaリリースの4枚のうち、今日最も人気の高い作品であろう本作『Rhythm Machine』(1977年)では、スペシャルゲストとしてBob James(key)Eric Gale(g)というフュージョン系の人気ミュージシャンが参加しています。Bob Jamesはエグゼクティブ・プロデューサーとしてもクレジットされています。

作品ごとにメンバーが異なるFania All-Starsですが、本作でメンバーとしてクレジットされているのは、Johnny Pacheco(fl、per、vo)、Papo Lucca(p)、Nicky Marrero(timbales)、Roberto Roena(bongo、per)、Mongo Santamaria(congas)、Bobby Valentin(b)です。

前述の2人のスペシャルゲスト以外ではRuben Blades(vo)、Louis "Perico" Ortiz(tp)、Louie Ramirez(vib)がフィーチャーされ、それ以外にAdalberto Santiago(vo)、Hector Casanova(vo)、Ada Chabral(vo)、Nancy O'Neill(vo)、Luis Angel Silva "Melon"(vo)、John Tropea(g)、Lance Quinn(g)、Gary King(b)、Allan Schwartzberg(ds)、Rick Marotta(ds)、Joe Farrell(fl)等がレコーディングに参加しています。また、プロデュース/アレンジ/指揮はJay Chattawayが担当しています。

全体的にはフュージョン色が強いですが、ラテンロック、ラテン・ブギー、ラテン・ディスコ、アフロ・キューバン・スタンダード、Elis Reginaのカヴァー、正統派サルサといったように、多くの人が楽しめる間口の広いアルバムに仕上がっています。

ラテン=夏のイメージが強いですが、冬のラテンもなかなかいいですよ!

全曲を紹介しときやす。

「Ella Fue (She Was the One) 」
Eric Galeのギター・ソロを大きくフィーチャーしたラテン・ロック(Eric Gale/Johnny Pacheco作)。大人のメロウネスが漂う感じが大好きです。SantanaMalo
Aztecaあたりがお好きな人は気に入ると思います。コーラス部分が「Twist and Shout」っぽいですよね。
http://www.youtube.com/watch?v=wH0wLZHik08

Eric Galeは次作『Spanish Fever』(1978年)でも哀愁ラテン・ソウル「Donde」を楽曲提供しています。
Fania All Stars「Donde」(From 『Spanish Fever』)
 http://www.youtube.com/watch?v=Jhvvwfmumgc

「En Orbita」
Johny Pacheco/Ray Berretto/Ricardo Marrero/Bobby Valentin作。 正統派サルサ・チューン。エネルギッシュなサルサを楽しみ方には本曲が一番ですね。Louis "Perico" Ortizがご機嫌なトランペット・ソロを聴かせてくれます。終始ベースがブイブイ唸っています。

「Awake」
ベースで本作に参加しているGary King作。Bob Jamesのキーボードをフィーチャーした爽快なメロウ・チューン。フュージョン/AOR系の音がお好きな方向けの仕上がり。♪パッパヤー♪の女性コーラスに癒されます。

「Peanuts(The Peanut Vendor)」
Moises Simon Rodriguez作のアフロ・キューバン・スタンダード。ザ・ピーナッツのカヴァー(邦題「南京豆売り」)でお馴染みかもしれませんね。フュージョン・テイストの爽快なアレンジで聴かせてくれます。

「Jubileo」
本作のハイライトといえば、この哀愁モードのラテン・ブギーでしょうね(Jay Chattaway作)。哀愁スキャットと切ない疾走感が何とも魅力です。Papo Luccaの美しいピアノ・ソロもグッド!若いリスナーの方はDJ Kawasakiによるカヴァーあたりもグッとくるのでは?

DJ Kawasaki「Jubileo」
 http://www.youtube.com/watch?v=L6uakNeWscE

「Verao Vermelho」
Nonato Buzar作。オリジナルは当ブログでも紹介したElis Reginaのヴァージョンです(アルバム『Em Pleno Verao』収録)。オリジナルが大好きな僕としては本カヴァーにもグッときます。オリジナルのミステリアスな雰囲気が残っているのがいいですね。

「Steady (Fijo) 」
「Jubileo」と並ぶハイライト曲(Gary King作)。ノリの良いラテン・ロック/ディスコ・チューンです。♪フィイオ〜♪の部分はみんなで一斉に叫びたくなりますね!もっと長尺で聴きたいご機嫌な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=fPZAjxFxfSo

「Juan Pachanga(Daylight)」
ラストは哀愁サルサ・チューン(Ruben Blades/Louie Ramirez作)。Ruben Bladesがリード・ヴォーカルをとり、Louie Ramirezのヴァイヴ・ソロがフィーチャーされています。RubenのFania音源のベスト盤『Bohemio Y Poeta』(1979年)にも収録されている名曲です。Ruben Blades好きの僕としては一番のお気に入りです。Rubenらしいダンディズム溢れるメロディ&ヴォーカルを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=pXOVuCe38AY

興味がある方は他のColumbia作品、『Delicate and Jumpy』(1976年)、『Spanish Fever』(1978年)、『Cross Over』(1979年)もチェックしてみては?

『Delicate and Jumpy』(1976年)
Delicate and Jumpy

『Spanish Fever』(1978年)
Spanish Fever

『Cross Over』(1979年)
Cross Over
posted by ez at 02:47| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月10日

Steve Winwood『Arc Of A Diver』

ソロ・アーティストとして存在感を示した2nd☆Steve Winwood『Arc Of A Diver』
アーク・オブ・ア・ダイバー
発表年:1980年
ez的ジャンル:ワンマン・レコーディング系ブリティッシュ・ロック
気分は... :こんな終わり方されてもね...

ネット上で音楽を楽しむ方は既にご存知かもしれませんが、音楽コミュニティ・サイトimeemが突如昨日でサービスを終了しました。

一昨日まで利用できたのに、昨日アクセスしようとするとMySpaceサイトへジャンプし、そこに英語で"MySpaceがimeemを買収したので、今後はMySpaceに登録して利用してください!"といった趣旨の説明がなされていました。imeem利用者が作成していたplaylistはMySpace内に移行されるらしいですが、作業は完了していない模様です。

それにしても何の予告もなしに、いきなりサービス終了とはMySpaceもひどいですな。

僕の場合、imeem内で音楽を聴くことよりも、imeem音源をブログ記事に活用することが主な利用目的だったので、playlistがMySpace内に移行されてもplaylistのソースを外部利用できなければ意味がありません。

当ブログへの影響としては、過去記事に貼り付けた当方のplaylistが全てリンク切れで表示されず、その部分にポッカリと間抜けな空白エリアができて見苦しい状態になっています。面倒ですがimeem関連のソースを順次削除していく予定ですので、それまでご容赦願います。
《追記》
何とか2時間程度でimeem関連ソースの削除が完了しました。
一気に約200本近い記事を修正したので疲れました(泣)

さて、今日はSteve Winwoodの2ndソロ『Arc Of A Diver』です。

Steve Winwoodのソロ作の紹介は『About Time』(2003年)に続き2回目となります。気付くと久しくWinwoodのソロ作を紹介していませんでした(泣)

僕の場合、Winwoodのソロで一番のお気に入りは前回紹介した『About Time』なのですが、思い入れが強いのは中学〜高校の頃に聴いた2nd『Arc Of A Diver』(1980年)、3rd『Talking Back To The Night』(1982年)の2枚ですね。今でも聴くWinwoodのソロはこの3枚です。

逆に大ヒットした『Back In The High Life』(1986年)、『Roll With It』(1988年)の2枚は、ここ10年ほど殆ど聴いていないかもしれません。

さて、今日紹介する『Arc Of A Diver』(1980年)は、全米Top10ヒットとなったシングル「While You See A Chance」と共に、ソロ・アーティストSteve Winwoodの存在を世界中に知らしめたアルバムですね。

1stソロ『Steve Winwood』(1977年)ではJim Capaldi、Rebop Kwaku BaahといったTraffic時代の盟友が参加し、サウンドにもTrafficの香りを残していたのに対して、本作『Arc Of A Diver』では、作詞の Will Jennings、 Vivian Stanshall(元Bonzo Dog Band)、George Fleming以外はプロデュース、エンジニアリング、ソングライティング、演奏全てをWinwood一人でこなしています。

今聴き直してもヒューマンなシンセ・サウンドは『Back In The High Life』のようなやり過ぎ感がなくてグッときます。勿論、Winwood最大の魅力であるソウルフルなヴォーカルは健在です。

当時は「While You See A Chance」ばかり良く聴いていましたが、それ以外の楽曲も粒揃いです。改めて聴くと、ソウルフルな魅力が格別な「Arc of a Diver」、ヨーロピアンな雰囲気がグッとくる「Spanish Dancer」、ファンク・モードの「Night Train」など当時気付かなかった魅力を再発見できます。

The Spencer Davis GroupTraffic時代のSteve Winwoodを聴いたことがない人でも楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「While You See a Chance」
全米シングル・チャート第7位となったヒット・シングル。イントロのシンセ・フレーズを聴いただけでグッとくるものがありますね。シンセ主体の楽曲なのにヒューマン・タッチな魅力に溢れているのがいいですね。タイトルも含めてジワジワと静かなる闘志が湧いてきてポジティヴ・モードになれる曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=XS513FRfbwE

「Arc of a Diver」
タイトル曲はソウルフルなミッド・チューン。中学当時は本曲のソウルフルな魅力にあまりピンときませんでしたが、今聴くと60年代ソウルのテイストと80年代ならではのシンセ主体のサウンドが違和感なく融合しているのが格別ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=AIyX8jrd8jM

「Second-Hand Woman」
Winwoodらしくないダンサブルな仕上がりですがお気に入りです。「While You See a Chance」同様、シンセ・ソロを聴くとかなりグッときてしまいます。

「Slowdown Sundown」
アコギ、マンドリン、ピアノ、ハモンド等によるフォーキーな仕上がり。Winwoodらしいですが本作に限って言えば、少し浮いているかも?この曲ならばシンセ・ソロではなく、ハモンド・ソロを聴きたい気分ですが...

「Spanish Dancer」
ミステリアスな浮遊感が漂う哀愁モードのミディアム・スロウ。Roxy Music「Avalon」あたりにも通じるヨーロピアンな香りがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Tpyug3kAp2M

「Night Train」
今聴くと、この曲が一番格好良いですね。正に"Night Train"のようなクールな疾走感がグッとくるファンク・チューンです。8分近い長尺ですが一気に聴けてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=4e6gH4yUl2k

「Dust」
ラストはWinwoodのソウルフル・ヴォーカルを堪能できるスケールの大きなバラード。

本作を気に入った方は、次作『Talking Back To The Night』もどうぞ!
本作のワンマン・レコーディングによるシンセ路線を踏襲しており、代表曲「Valerie」が収録されています。

『Talking Back To The Night』
Talking Back to the Night
「 Valerie」
http://www.youtube.com/watch?v=anCg5EiB2AM
posted by ez at 05:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする