2009年12月09日

Original Soundtrack『7 Uomini D'Oro(Seven Golden Men)』

Armando Trovaioliによる傑作サントラ☆Original Soundtrack『7 Uomini D'Oro(Seven Golden Men)』
Sette Uomini D'Oro (Seven Gold Men)
発表年:1965年
ez的ジャンル:Armando Trovaioliサントラ
気分は... :ファッショナブルで!コミカルで!お色気ムンムン!

今日は人気サントラ『7 Uomini D'Oro(Seven Golden Men)』(1965年)です。『黄金の七人』という邦題の方がお馴染みかもしれませんね。

以前に『お色気ジャケに弱いんです!〜お気に入りサントラ10選』でも紹介したとおり、映画・音楽共に大好きな作品です。

『7 Uomini D'Oro(Seven Golden Men)』は、1965年に制作されたイタリア映画。監督はMarco Vicario、出演はPhilippe Leroy、Rossana Podestaなどです。

ジュネーブにあるスイス銀行の地下金庫に眠る時価数百億円の金ののべ棒を狙い、"教授"と呼ばれるリーダーAlbert(Philippe Leroy)の作戦指揮のもと、ヨーロッパから選りすぐられた(?)6人の泥棒たちが作戦を実行するが、謎の女Giorgia(Rossana Podesta)が教授を裏切り...という痛快泥棒映画です。

軽快で、ファッショナブルで、コミカルで、お色気ムンムンといったように、(良い意味で)極上のB級感が漂うS級映画です。タイトルバックを観るだけで、ワクワクしてきますよ!
http://www.youtube.com/watch?v=WwIe7NNi7XY

僕の場合、最初はケーブルテレビの映画専門チャンネルでたまたま観たのですが、テンポの良いストーリー展開、スタイリッシュな映像、セクシーなRossanaと憎めない7人のキャラに魅了され、かなりのインパクトを僕に与えてくれました。『ルパン三世』の世界を実写でクリエイトしているところが凄いですよね。

そんな傑作映画を盛り上げてくれるのがArmando Trovaioliによる音楽です。

シャバダバ・スキャットでお馴染みのテーマ曲は、映画を観たことがない人でも一度は聴いたことがあるのでは?あるいは某J-POPグループのヒット曲を通じて知っている方も多いかもしれませんね。

Armando Trovaioliは、ファンにはお馴染みのイタリア映画音楽の巨匠です。

1917年ローマ生まれのTrovajoliは、元々はジャズ・ピアニストとして活躍していた人ですが、1950年代から映画音楽を数多く手掛けるようになり、1960年代後半から1970年代の作品が今日人気を集めています。

スタイリッシュ、セクシー、ボッサ、ラウンジといった要素がふんだんに盛り込まれた1960年代後半から1970年代のTrovaioli作品は、時代が一回りして実にファッショナブルな印象を受けます。

そんなTrovaioli黄金時代の幕開けとなった作品が本作『7 Uomini D'Oro(Seven Golden Men)』(1965年)です。

全編にわたり印象的なスキャットを聴かせてくれるのは、イタリアの男女ヴォーカル・グループI Cantori Moderniです。数々のイタリア映画のサントラに参加している、映画ファンにはお馴染みのグループです。

音楽のみならず映画もヒットし、その後『Il Grande Colpo Dei 7 Uomini D'Oro(続・黄金の7人 レインボー作戦)』(1966年)、『Sette Volte Sette(新・黄金の7人 7×7 )』(1968年)、『Homo Erotics(黄金の七人・1+6/エロチカ大作戦)』(1971年)とシリーズ化されています。勿論3作品ともにTrovaioliが音楽を担当しています。

今日、『7 Uomini D'Oro』『Il Grande Colpo Dei 7 Uomini D'Oro』との2in1でリリースされています。厳密には『Il Grande Colpo Dei 7 Uomini D'Oro』からは『7 Uomini D'Oro』と重ならない曲のみ収録となっていますが。

7人が共産国から依頼された仕事の遂行と金塊略奪の同時達成を目論む"レインボー作戦"に挑む、『続・黄金の7人 レインボー作戦』も楽しめますよ!
http://www.youtube.com/watch?v=IN_xJNgysTs

個別に曲紹介するようなアルバムではないので、今回は曲リストのみ紹介しておきます。ハイライトはYouTubeのURLを示している「Seven Golden Men」「Rossana」の2曲です。

同じメロディのバリエーションが多いですが、軽快なスキャットあり、お色気ムンムンあり、ボッサ・テイストやコミカル・テイストもありとサントラならではの楽しみがあります。

『7 Uomini D'Oro(Seven Golden Men)』(1965年)

「Seven Golden Men」
http://www.youtube.com/watch?v=dgKwXS9_K9Y
「Ping Pong」
「Please Be Nice」
「Rossana」
「Thunder Bolt」
「Rossana」
「Seven Golden Men」
「Rossana」
http://www.youtube.com/watch?v=YfvyPVcSizM
「Walk on Home」
「Walk on Home」
「Rocking Horse」
「Seven Golden Men」
「Brick Top」
「Brick Top」
「Seven Golden Men」

『Il Grande Colpo Dei 7 Uomini D'Oro』(1966年)

「Primavera」
「Ciuca」
「Samba 2nd Adamento」
「Sette Per Il Grande Colpo」
「Esquentiatdo Os Tamborinis E Cuicas」
「Primavera」
「Samba 1st Adamento」
「Sette Per Il Grande Colpo」

他のArmando Trovaioli作品も順次ゲットしていきたいですね。

『7 Volte 7(新・黄金の7人 7×7 )』(1968年)
新黄金の七人 7×7

『La Matriarca』(1968年)
女性上位時代
邦題『女性上位時代』。Pasquale Festa Campanile監督。Catherine Spaak、Jean-Louis Trintignant出演。

『Sesso Matto』(1973年)
セッソ・マット
Dino Risi監督、Giancarlo Giannini、Laura Antonelli出演。
「Sesso Matto」
http://www.youtube.com/watch?v=4TvalYQolts

『Dramma Della Gelosia』(1973年)
ジェラシー DRAMMA DELLA GELOSIA
邦題『ジェラシー』。監督Ettore Scola、主演Marcello Mastroianni、Monica Vitti。
「Sei Mesi Di Felicita」
http://www.youtube.com/watch?v=FpxTVO_ibPU

『Paolo Il Caldo』(1973年)
ああ情熱 (1973年作品) Paolo Il Caldo (The Sensuous Sicilian) [Import CD from Italy]
邦題『あゝ情熱(絶倫パオロのアノ手コノ手)』。Marco Vicario監督、Giancarlo Giannini、Rossana Podesta出演。
※すごい邦題ですな(笑)

『Noi Donne Siamo Fatte Cosi』(1973年)
NOI DONNE SIAMO FATTE COSI - ITALY SOUNDTRACK
Dino Risi監督。Monica Vitti出演。

『Profumo Di Donna(Woman's Parfume)』(1974年)
女の芳香 Profumo Di Donna (Scent of A Woman) (Woman's Parfume) [Import CD from Italy]
邦題『女の芳香』。Dino Risi監督作品。1992年にMartin Brest監督、Al Pacino主演で『Scent of a Woman』としてリメイクされましたね。
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2009年12月08日

Sounds Of Blackness『Reconciliation』

やはり12月はゴスペルが聴きたくなります☆Sounds Of Blackness『Reconciliation』
Reconciliation
発表年:1999年
ez的ジャンル:コンテンポラリー・ゴスペル
気分は... :SOBは12月に聴きたくなりますね!

毎年12月はゴスペルが聴きたくなりますね。
そんな流れでGary Hinesを中心としたゴスペル・グループSound Of Blackness(SOB)の4回目の登場です。

これまで当ブログで紹介したSOB作品は以下の3枚。
(振り返ると、全部12月に紹介していますね。)

 『The Evolution Of Gospel』(1991年)
 『The Night Before Christmas: A Musical Fantasy』(1992年)
 『Time for Healing』(1997年)

4枚目に紹介するのは、1999年リリースの『Reconciliation』です。

Jam & Lewisが1991年に旗揚げしたPerspective Record 第一弾アーティストとして、SOBはPerspectiveより『The Evolution Of Gospel』(1991年)、『The Night Before Christmas: A Musical Fantasy』(1992年)、
『Africa To Africa:The Journey Of The Drum』(1994年)、『Time for Healing』(1997年)という4枚のアルバムをリリースしてきました(Jam & Lewisが制作に関与していたのは『Africa To Africa:The Journey Of The Drum』まで)。

しかしながら、Jam & Lewisが1999年にPerspective RecordsをA&Mへ売却したため、本作『Reconciliation』はインディ・レーベルZinc Recordsからのリリースとなっています。

Jam & Lewisが制作から離れ、インディ・レーベルからのリリースということで、都落ちの印象が強くSOB作品の中でも最も地味な存在の1枚かもしれません。しかしながら、Gary Hines Billy Steele を中心に中身はSOB好きであれば納得の1枚に仕上がっていると思います。

ちなみに本作のリリース元であるZinc RecordsPrince & The Revolutionにドラマーとして在籍していたBobby Z.が1998年設立したレーベルです。そんな流れで、Gary Hinesと共にBobby Z.がエグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジットされています。

加えて、Levi Seacer Jr.、Mike ScottといったPrinceのバックを務めていたミュージシャンが何名が参加しています。これらの名前でグッと来る方はかなりのPrince殿下好きでしょうが。

従来の作品と比較すると、厚みのあるクワイアは抑え気味で、リード・ヴォーカルの歌をしっかり聴かせる内容になっています。R&Bテイストの曲はもちろんのこと、ラップをフィーチャーした楽曲やスパニッシュ・テイストの楽曲もあり、なかなかバラエティに富んだ内容になっています。

決して恵まれた環境の中で制作された作品ではありませんが、その分SOBの底力を感じる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「DJ Intros」
DJによるSOB紹介といった趣向のイントロ。

「Try」
オススメその1。僕がSOBのベストを編集するならば間違いなくセレクトする1曲です。Spinnersの名曲「It's a Shame」のイントロ・フレーズを使ったキャッチーなR&B調トラックをバックに、Yulanda Lunn Ramboが素晴らしいソプラノ・ヴォーカルで高らかに歌い上げます。R&Bファンも気に入る仕上がりだと思います。

「You Are The Ones」
Lil' Buddyのラップをフィーチャー。Billy Steeleと共にLevi Seacer Jr.がプロデュースを務めています。歌詞とコーラスはゴスペルですが、全体的にはラッパーをフィーチャーしたR&Bチューンという感じですね。なかなか刺激的なトラックがグッド!

「Thank You」
オススメその2。ゴスペルらしい深い愛に充ちた1曲です。やはり12月は神に感謝するゴスペル・チューンを聴きたいですね。Billy SteeleとAmy Petersonによる男女ヴォーカルが感動的です。

「Reconciliation」
オススメその3。タイトル曲はコンテンポラリー・ゴスペルらしいモダンでダイナミックな躍動感を堪能できます。ゴスペル好きの方は一番グッとくる仕上がりかもしれませんね。

「Twenty Four & Back Again」
Double "L"の女声ラップをフィーチャー。Carrie Harringtonによるアダルティなアルト・ヴォーカルが魅力の大人のR&Bチューンに仕上がっています。

「For Old Times Sake」
正統派ゴスペル・チューン。聴いていると、心の奥に強さと優しさが湧き上がってくる気がします。

「Tell Me What You Thinkin' 'Bout」
スパニッシュ・テイストの仕上がり。アルバムの中でいいアクセントになっています。

「Rainbow」
子供の戯れる声から始まります。タイトルも含めて、アルバム・ジャケを反映した楽曲ですね。未来への希望を祈りたくなる正統派ゴスペル・チューンに仕上がっています。

「Love Will Change Things」
少し哀愁モードのサウンドが印象的なR&B調の仕上がり。2001年にリリースされた『The Very Best of Sounds of Blackness』に本作から唯一収録されている楽曲です。

「Don't Be Afraid To Dream」
落ち込んでいる時に聴くとパワーをもらえる1曲です。Core' Cottonの感動的なアルト・ヴォーカルが夢の実現へと誘ってくれます。

「Straight Ahead」
オススメその4。小粋なアップ・チューン。コンテンポラリー・ゴスペルらしいダイナミックな躍動感がダンサブルなR&Bサウンドで上手く引き出されています。

「Reconciliation Blues (interlude) 」
ブルージーなインタールード。

「Sounds Of Blackness/Take The 'a' Train」
ラストはグループ名を冠した曲とDuke Ellingtonでお馴染みのスタンダード「Take The 'a' Train(A列車で行こう)」(Billy Strayhorn)のメドレーです。ラップ・パートを挿入するなどなかなか小粋な仕上がりです。

なお、現在発売されているのは2001年仕様のもので、以下の10曲構成になっています。
「Love Will Change Things」
「Reconciliation」
「Thank You」
「You Are the One」
「Try」
「Straight Ahead」
「Don't Be Afraid to Dream」
「Rainbow」
「Twenty Four and Back Again」
「Sounds of Blackness/Take the 'A' Train」

クリスマス気分を満喫したい方は、以前に紹介した『The Night Before Christmas: A Musical Fantasy』(1992年)やその続編『The Night Before Christmas, Vol. 2』(2004年)といったクリスマス・アルバムをどうぞ!

『The Night Before Christmas: A Musical Fantasy』(1992年)
The Night Before Christmas: A Musical Fantasy

『The Night Before Christmas, Vol. 2』(2004年)
The Night Before Christmas, Vol. 2
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2009年12月07日

Talking Heads『Talking Heads: 77』

知的でユルいデビュー作☆Talking Heads『Talking Heads:77』
Talking Heads: 77
発表年:1977年
ez的ジャンル:NYパンク/ニューウェイヴ
気分は... :このヘンテコ感がクセになる!

NYパンク/ニューウェイヴを代表するグループTalking Headsの4回目の登場です。

これまで当ブログで紹介してきたTalking Heads作品は以下の3枚。

 『Fear Of Music』(1979年)
 『Remain in Light』(1980年)
 『True Stories』(1986年)

4枚目に紹介するのは、デビュー・アルバム『Talking Heads: 77』(1977年)です。

アートスクールの仲間であったDavid Byrne(vo、g)、Tina Weymouth(b)、Chris Frantz(ds)の3人で結成され、その後Jerry Harrison(g、vo)が加わり4人編成となったTalking HeadsがSireとの契約に成功し、Tony Bongiovi(Jon Bon Joviの伯父)らのプロデュースで制作されたのが『Talking Heads: 77』です。

僕の場合、『Fear Of Music』『Remain in Light』といった独自のファンク・サウンドを追求した作品がお気に入りなので、それらの作品と比較すると随分シンプルかつ未完成な印象を受けるアルバムです。

代表的なパンク/ニューウェイヴ・グループのようなインパクトはありませんが、他のグループとは一線を画すTalking Headsらしい知的なヘンテコ感(?)が際立っています。あのDavid Byrneらしいヘンテコなメロディ&ヴォーカルを存分に堪能できます。

正直、昔はそれほど好きなTalking Heads作品ではありませんでしたが、現在ではユル〜い知的なヘンテコ感を気に入っています。全体的に音がスカスカな所も好きだったりします。

今聴くと、のどかさの裏のシニカルさという点で『True Stories』あたりと共通するものも感じますね。

キャッチーなメロディ、メロウなサウンド、上手い演奏&ヴォーカル、躍動するリズムといった要素が1つもない作品ですが、それでも魅了されてしまうのがTalking Headsというグループのユニークさだと思います。

知的でユルいNYパンク/ニューウェイヴを楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Uh-Oh, Love Comes to Town」
オープニングは脱力モードのユルユル・チューン。スティール・ドラムも入り、トロピカルな雰囲気も漂います。リラックス感が好きです。シングルにもなりました。

「New Feeling」
一番のお気に入り曲。Talking Headsらしいセンスに溢れた、まさに"ニュー・フィーリング"な1曲。スカスカな音空間がニューウェイヴっぽくて大好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=TWLs0M01KD8

「Tentative Decisions」
良くも悪くもヘンテコ感が漂う行進曲風の仕上がり。もしリアルタイムで聴いていたら"何だこりゃ?"という印象だったでしょうね(笑)

「Happy Day」
タイトルの割には全然ハッピーな気分になれない仕上がり(笑)このシニカルなテイストこそTalking Headsの魅力ですが。

「Who Is It?」
チープなキーボード・サウンドがニューウェイヴっぽくて大好きです。

「No Compassion」
前半、中間、後半でガラッと変わる構成です?中間のリズミックな展開がなかなか格好良いですね。

「The Book I Read」
ダークなピアノの音色が印象的です。Talking Headsのシニカルな部分を堪能できる仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=QIYIoouZBAk

「Don't Worry About the Government」
脱力&ヘンテコ・モードの仕上がりですが、よく聴くとDavid Byrneのワールド・ミュージック志向を垣間見ることができます。

「First Week/Last Week ... Carefree」
ラテン・フレイヴァーが効いた僕好みの仕上がりです。ホーンもいいアクセントになっています。

「Psycho Killer」
本作のハイライト曲であり、シングルにもなったグループの代表曲の1つ。物騒なタイトルですが、彼女と上手くいかず暴発する一歩手前の男の精神状態を歌ったものです。Tina Weymouthによるベースラインが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=ZTYz9dsbF7c

様々なアーティストによってカヴァーされていますが、その中からAlfred Hitchcock監督の名作スリラー映画『Psycho』のリメイク版(1998年、Gus Van Sant監督)のサントラに収録されていたJames Hallによるカヴァーを紹介しておきます。映画自体の評価は最低でしたが、本カヴァーはなかなか印象的なカヴァーに仕上がっています。

James Hall「Psycho Killer」
 http://www.youtube.com/watch?v=3MWuQx3HP6g

「Pulled Up」
ノリの良さでいけばアルバム随一。シングル曲にもなりました。軽快なギターとDavid Byrneのヘナヘナ・ヴォーカルがいい感じ!
http://www.youtube.com/watch?v=0KYPsz-6xo8

本作ではTina Weymouthのクレジットが本名のMartinaになっています。
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2009年12月06日

Milano Jazz Dance Combo『Milano Jazz Dance Combo』

Soulstanceプロデュースによるスタイリッシュ&ダンサブルなクラブ・ジャズ☆Milano Jazz Dance Combo『Milano Jazz Dance Combo』
ミラノ・ジャズ・ダンス・コンボ
発表年:2009年
ez的ジャンル:ミラノ系クラブ・ジャズ
気分は... :SchemaじゃないけどSchemaだよね!

今回はクラブ・ジャズのお気に入り新作Milano Jazz Dance Combo『Milano Jazz Dance Combo』です。

先日紹介したDalindeo『Soundtrack for the Sound Eye』と並び、ここしばらく中毒的に聴きまくっているクラブ・ジャズです。

Milano Jazz Dance Comboは、イタリア、ミラノを拠点とする注目のジャズ・レーベルRecord Kicksからデビューしたジャズ・バンド。

メンバーは、Alberto Buonacasa(p)、Fabrizio Bernasconi(p)、Simone Daclon(p)、Germano Zenga(sax)、Marco Brioschi(tp)、Paulo Jones (tb)、Gianni Lo Greco(ds、per)、Enzo Lo Greco(b、p)という8名。中心人物はプロデューサーも務めるGianni Lo GrecoEnzo Lo GrecoLo Greco兄弟です。

Lo Greco兄弟の二人は、イタリア・クラブ・ジャズを牽引するSchemaレーベルでSoulstanceとして活動し、4枚のアルバムをリリースしています。

"Schemaの人気ユニットSoulstanceがプロデュースした新たなクラブ・ジャズ・プロジェクトこそがMilano Jazz Dance Comboである"という書き方をすると興味が湧いてくる人もいるのでは?

そんなSchema好きの期待に見事に応えてくれる、スタイリッシュ&ダンサブルなクラブ・ジャズに仕上がっています。

大半の曲でゲスト・ヴォーカリストをフィーチャーしているので、クラブ・ジャズを聴き慣れない人も入りやすい作品だと思います。

また、クラブ・ジャズ・ファンにとっては、Colonel RedDionne CharlesKatharine RuestowAlice Ricciardi、Roxie Rayといったゲスト・ヴォーカル陣の名前を見ただけでグッとくるのでは?

ラテン/ボッサ・テイストのリズム・セクションとツボを押さえた三管が、個性豊かなゲスト・ヴォーカリストの魅力を上手に引き出しながら、大人のジャズ・ダンスを聴かせてくれます。

最後までダレないクラブ・ジャズ・アルバムというのが気に入っています。

フロアライクなクラブ・ジャズにこだわったアタックの強い演奏で最初から最後まで一気に突っ走しるのが魅力ですね。その分、ゲスト・ヴォーカリストでバラエティ感を確保した点も成功しているのでは?

本作やDalindeo『Soundtrack for the Sound Eye』のようなアルバムを聴いてしまうと、ますますこの方面にのめり込みそうですね。

全曲紹介しときやす。

「Much More」
オープニングは先行シングルにもなりました。"西ロンドンのD'Angelo"ことColonel Redをフィーチャーしたアッパーなボッサ・ジャズです。ソウルフルかつ浮遊感のあるRedのヴォーカルと高速ボッサ・ビートにグッときます。西ロンドンのクラブ・ミュージックとミラノのクラブ・ジャズが上手く融合していますな。
http://www.youtube.com/watch?v=sfINIgk-PtI

Colonel Redは、西ロンドンのクラブジャズ/ブロークンビーツ・シーンで活躍する男性シンガー。"西ロンドンのD'Angelo"と呼ばれるように、独特の存在感があるシンガーです。Gerd、DelguiとのユニットMilez Benjimanやソロ名義で作品をリリースしています。今年は2ndソロ・アルバム『Sweet Liberation』をリリースしています。

「Don't Cry」
Dionne Charlesをフィーチャーしたファンキー・ジャズ。Dionne Charlesのダイナマイト・ヴォーカルにはファンキーなノリがよく似合います。ファンキーと言っても、ファンクではなくあくまでジャズ・マナーであり、Dionne Charlesの新たな魅力を引き出しているのでは?

Dionne CharlesはUKのファンク・バンドBaby Charlesの女性リード・ヴォーカル。昨年リリースしたデビュー・アルバム『Baby Charles』の評価も高かったですね。

「Feelin' Good」
Katharine Ruestowをフィーチャーした軽快なラテン・ジャズ。個性的なKatharineのヴォーカルの思わせぶりなヴォーカルとラテン・リズムが大人の小粋なジャズ空間を作り出しています。

Katharine Ruestowは、昨年リリースされたアイオワ出身のFunk/SoulバンドThe Diplomats of Solid Soundのアルバム『The Diplomats of Solid Sound Featuring the Diplomettes』にソウル・シスターズDiplomettesの一員として参加していた女性シンガーです。

「Just In Time」
僕の一番のお気に入り曲。Alice Ricciardiをフィーチャーしています。何の変哲もない服でもオシャレに着こなしてしまうかのような、オーソドックスなのに実にスタイリッシュな出来栄えに、ミラノの粋を感じますね。ジャズ・シンガーらしいAlice Ricciardiのスウィンギーなヴォーカルにメロメロです。

Alice Ricciardiは、ミラノ出身の女性ジャズ・シンガー。当ブログでも大人気だったNicola Conte『Rituals』(2008年)にも「I See All Shades of You」「Macedonia」の2曲でフィーチャーされていました(『Rituals』で最も好きな2曲でした)。昨年、デビューアルバム『Comes Love』をリリースしています。ヴォーカリスト&ビジュアルの両面で僕好みのシンガーです(笑)

「Sam Blues」
先行シングル「Much More」のB面曲として話題となったSambalanco TrioAirto Moreilaもメンバーでした)のカヴァー(インスト)。ブラジリアン・ジャズ・クラシックとして人気の曲ですね。オリジナルは『Sambalanco Trio』(1964年)に収録されています。オリジナルの小粋なテイストを上手く引き継いだカヴァーに仕上がっています。

Sambalanco Trio「Sam Blues」
 http://www.youtube.com/watch?v=Dv4v7mJpd3w

「Goodbye」
FELIXのヴォーカルをフィーチャー。この人のプロフィールはよくわかりません。演奏全体の雰囲気としては、以前に紹介したMario Biondi & The High Five Quintet『A Handful Of Soul』あたりと共通する男臭くダンサブルな仕上がりです。Mario Biondiに比べるとヴォーカルの線が細いですが。

「Broken Rose」
Roxie Rayをフィーチャーしたアッパーなボッサ・ジャズ。 個性的な声質とソウルフルな味わいのRoxie Rayのヴォーカルがグッときます。ホーン陣の格好良さが目立つのもグッド!

Roxie Rayは、オーストリア/シドニー出身のファンク・グループDojo Cutsのデビュー・アルバム『Dojo Cuts』で大々的にフィーチャーされている女性ヴォーカリストです。『Dojo Cuts』も要チェックの作品です。

「Iperbole」
パーカッシヴな演奏にテンションが上がるラテン・ジャズ・ダンスなインスト。クラブ・ジャズ好きの人はこうしたインストの方がグッとくるのでは?

「Please Don't Go」
「Just In Time」に次ぐお気に入り。ズッシリ腹に響くベースとブラジリアン・リズムをバックにKatharine Ruestowが個性的なヴォーカルを聴かせてくれます。

「Turn Up The Heat」
インストではコレが一番好き!"ジャズダンス"気分を満喫できるアルバムNo.1のスピード感です。クラブジャズ好きの人であれば相当グッとくるのでは?

「Sweet Love」
コレも相当好きです。Dionne Charlesをフィーチャー。ディープ度で言えばアルバム随一です。Dionneのディープ&パワフルなヴォーカルをうまく引き出しているのがいいですね。

「Beat Under My Skin」
Roxie Rayをフィーチャー。ソウル色の強いヴォーカル・パートとジャズらしいソロを堪能できる中間パートでお得な気分になります。

「Changes」
ラストはColonel Redをフィーチャー。Redのヴォーカルが入ると途端にミラノから西ロンドンへ瞬間移動してしまうのが面白いですね。それだけRedが存在感のあるヴォーカリストなのだと思いますが。クラブ・ミュージック好きは安心して聴ける出来栄えです。

本作に興味を持った方はSoulstanceやゲスト・ヴォーカリストの関連作品もチェックしてみては?

Soulstance『En Route』(1999年)
En Route

Soulstance『Act On!』(2000年)
Act On!

Soulstance『Lead the Way』(2006年)
Lead the Way

Colonel Red『Sweet Liberation』(2009年)
Grand Gallery presents Sweet Liberation

Baby Charles『Baby Charles』(2008年)
Baby Charles

The Diplomats of Solid Sound『The Diplomats of Solid Sound Featuring the Diplomettes』(2008年)
Diplomats of Solid Sound Featuring the Diplomettes

Alice Ricciardi『Comes Love』(2008年)
カムズ・ラヴ

Dojo Cutsのデビュー・アルバム『Dojo Cuts』(CD仕様)は、まだAmazonに扱いがないのでジャケ画像で紹介できません。扱いを開始次第掲載しますね。
posted by ez at 04:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月05日

Rockie Robbins『You And Me』

大人気のタイトル曲を含む2ndが待望のCD化☆Rockie Robbins『You And Me』
You and Me
発表年:1980年
ez的ジャンル:アーバン・メロウ系ブラコン
気分は... :初戦のカメルーン戦が全て!

いよいよサッカーW杯の組み合わせが決まりましたね。

日本はオランダ、デンマーク、カメルーンと同じグループEに入りました。
思ったよりも悪くはない抽選だったのではと思います。
ただし、オランダ戦が2戦目というのはネックですね。
出来れば3戦目になって欲しかったです。

順当ならば日本は3戦全敗でしょうが、初戦のカメルーン戦で勝ち点1以上を獲得できるとミラクルが起きるかもしれません。

他グループでは、ドイツ、オーストラリア、セルビア、ガーナのグループD、ブラジル、北朝鮮、コートジボワール、ポルトガルのグループGが面白そうですね。

今回は待望のCD化が実現したRockie Robbins『You And Me』(1980年)です。

Rockie Robbinsはミネアポリス出身の黒人シンガー/ソングライター。

これまで『Rockie Robbins』(1979年)、『You And Me』(1980年)、『I Believe In Love』(1981年)、『Rockie Robbins』(1985年)、『Are You Ready?』(1991年)といったアルバムをリリースしています。

今回紹介する2nd『You And Me』(1980年)はフリーソウル・クラシックとして大人気のタイトル曲が収録されており、ファンにとっては歓喜のCD化ですね。また、3rd『I Believe In Love』(1981年)も同時にCD化されたので喜びも倍増ですね。僕もCD化されている1st『Rockie Robbins』しか所有していなかったので、この2枚のCD化に歓喜している1人です。

さて、『You And Me』ですが、やはりタイトル曲「You And Me」が目玉ですよね。

フリーソウルのコンピ『Free Soul Parade』のラストに収録され、大人気となったフリーソウル・クラシックです。個人的にも数あるフリーソウル・クラシックの中でもマイ・ベスト3に入るお気に入り曲です。

スマートな中にもソウル・スピリットを感じるRockie Robbinsのヴォーカルと黄昏系のアーバン・メロウなサウンドが見事にマッチした完璧な出来栄えですね。

「You And Me」
http://www.youtube.com/watch?v=6iI4k7CUU9k

アルバム全体ではフィリー・ソウルの人気アレンジャーBobby Martinがプロデュース/アレンジを手掛け、元The TrammpsのRon "Have Mercy" Kerseyもアレンジで参加しています。

レコーディングには、Larry Graham(b)、James Gadson(ds)等も参加しています。Larry Grahamはソングライティングにも関与しています。

ソングライティングで言えば、ソウル・ファンには人気のシンガー/ソングライターSam Deesが4曲を提供しています。また、Leon Ware作品も1曲あります。デビュー作『Rockie Robbins』では全9曲中6曲を手掛けていたRockie Robbinsですが、本作では自身のソングライティングは全9曲中2曲に止まっています。

アルバム全体としてもミディアム〜スロウを中心に楽しめる構成になっています。ブラコン、AOR、ソウルが上手くバランスされている印象を受けます。

アーバン・メロウな仕上がりですが、そうした中でヒューマンな温もりを感じるのがシンガーRockie Robbinsの魅力かもしれません。

ジャケだけ見ると季節外れですが、寒い日に聴くと心温まるアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「You And Me」
前述のハイライト曲。シングルとして全米R&Bチャート第9位となった極上の黄昏メロウ・チューン(James P. Pennington作)。『Free Soul Parade』の曲順に慣れているせいで、エンディング曲というイメージが強いのですが。アルバムの冒頭で聴くとまた新鮮ですね。出だしのLarry Grahamのベースラインを聴いただけでもグッときます。♪You and me♪Together〜 forever〜♪と簡単に口ずさめる歌詞も日本人向けですよね。♪Just the two of us〜♪というコーラス部分の頃には、僕の胸キュン・メーターは限界を突破して計測不能状態です(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=6iI4k7CUU9k

[追記]
本曲のオリジナルはExile(アメリカのロック/カントリー系バンドです)のアルバム『Mixed Emotions』(1978年)に収録されています。作者のJames P. PenningtonはExileのメンバーです。
 → Masatoさん、ありがとうございます。

Exile「You And Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=wce-E5eYDiY

「Hang Tough」
Sam Dees作。シングルとして全米R&Bチャート第70位となっています。Larry Grahamのベースがブリブリ響くダンサブルな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=vIsjDcdylg0

「After Loving You」
Sam Dees作のソウル・バラード。シングルとして全米R&Bチャート第59位となっています。大人の哀愁モードといった雰囲気がいいですね。Rockie Robbinsのシンガーとしての実力を存分に堪能できます。ソウル・ファンの方は「You And Me」以上にグッとくる出来栄えかもしれませんね。Paul Shureによるオーケストレーションもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=H_SqZmxZCBM

「Girl I'm Gonna Get Ya」
Larry Graham/Sam Dees作。ヴォーカル・アレンジもSam Deesが手掛けています。AORファンが気に入りそうなフュージョン系の爽快なメロウ・グルーヴに仕上がっています。

「Together」
Rockie Robbins作。哀愁モードの大人のミディアム・グルーヴに仕上がっています。

「Point Of View」
Leon Ware/Zane Grey作品。「You And Me」に次ぐ僕のお気に入り曲です。メロウ大王Leon Ware作品らしいアーバン・メロウなサウンドがよく似合うミディアム・チューンに仕上がっています。ヴォーカル・アレンジも素晴らしいですね。今年発売された『Leon Ware and Friends』にも収録されています。

「Lost In Love Again」
Rockie Robbins作のバラード。リリカルなピアノ、エレガントなハープやオーケストレーションをバックに堂々としたヴォーカルを披露してくれます。

「I Never Knew」
David Jolliffe/Jay Gruska作のダンス・チューン。ダンサブルな曲の中では一番好きですね。爽快かつスウェイ・ビート風の仕上がりがいいですね。

「For The Sake of A Memory」
ラストはSam Dees作の美しいバラード。壮大なオーケストレーションと女性バック・コーラスを従えて、感動的なヴォーカルで締めくくってくれます。

気に入った方は1st『Rockie Robbins』(1979年)、3rd『I Believe in Love』(1981年)もセットでどうぞ!

『Rockie Robbins』
ロッキー・ロビンズ
「Be Ever Wonderful 」(From『Rockie Robbins』)
 http://www.youtube.com/watch?v=YP7S5FVk_wQ

『I Believe in Love』
I Believe in Love
「Time to Think」(From『I Believe in Love』)
 http://www.youtube.com/watch?v=DqlBEGYLpBc
「An Act Of Love」(From『I Believe in Love』)
 http://www.youtube.com/watch?v=oLU_QIMzqLM
posted by ez at 05:18| Comment(4) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする