2009年12月04日

Caetano Veloso/Gilberto Gil/Tom Ze/Nara Leao/Gal Costa/Os Mutantes『Tropicalia: ou Panis Et Circencis』

The Beatles『Sgt. Pepper's〜』に刺激を受けたブラジル音楽史に残る衝撃作☆Caetano Veloso/Gilberto Gil/Tom Ze/Nara Leao/Gal Costa/Os Mutantes『Tropicalia:Ou Panis Et Circencis』
Ou Panis Et Circensis
発表年:1968年
ez的ジャンル:トロピカリアMPB
気分は... :ジャケを眺めているだけで嬉しくなります!

今回は1960年代後半のブラジル音楽シーンに衝撃を与えたトロピカリアの金字塔的アルバム『Tropicalia:Ou Panis Et Circencis』(1968年)です。

トロピカリア(トロピカリズモ)は、1960年代後半のブラジルで起きた音楽を中心としたカウンター・カルチャー運動です。

このムーヴメントの中心にいたのがCaetano VelosoGilberto Gilの二人であり、トロピカリアの名称は、Caetano Velosoが1968年にリリースしたアルバム『Caetano Veloso』の収録曲「Tropicalia」に由来するものです。その後Nelson Mottaによってトロピカリズモ(Tropicalismo)と呼ばれるようになりますが、Caetano自身はトロピカリズモという呼称には抵抗感があったようですね。

音楽面では、ブラジルの伝統音楽を見直しつつ、ロック、サイケデリック・ロック、ソウルミュージック等の欧米の最新音楽スタイルを取り入れ、MPBが新たに進むべき方向を提示しました。

そんなトロピカリア・ムーヴメントを代表するアルバムが『Tropicalia:Ou Panis Et Circencis』(1968年)です。

本作はThe Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』に刺激を受けた、Caetano VelosoGilberto Gilをはじめ、Tom ZeNara LeaoGal CostaOs Mutantesという新鋭MPBアーティスト達が集結し、制作されたアルバムです。

ジャケに参加メンバーがズラリと勢揃いしています。
このジャケを眺めているだけで嬉しくなってしまいますね!

詩人Jose Carlos Capinamの写真を片手に最前列で一番目立っているGilberto Gil、二列目でchamber pot(寝室用便器)をまるでコーヒーカップのように手にする作曲家/指揮/アレンジャーのRogerio Duprat、黄色の服でお行儀良く座っているGal Costa、キザにポースをきめる詩人Torquato Neto、二列目と三列目の間でNara Leaoの写真を抱えているCaetano Veloso、三列目にはOs Mutantesの三人(Arnaldo BaptistaRita LeeSergio Dias)とTom Zeという並びです。

肝心のサウンドの方は、正にBahia meets Sgt. Pepper'sって感じですね。
ブラジル音楽にサイケ、ソフト・ロックを取り入れたアヴァンギャルド・サウンドは今聴いてもインパクト十分です。

今の僕にとっては本家The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』以上に刺激的ですね。

ブラジル音楽好きのみならず、Beatles好き、60代ロック好き、サイケ好きの方も楽しめる作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Miserere Nobis」
トップバッターはGilberto Gil。Bahia meets Sgt. Pepper'sという言葉がピッタリのオープニング。ブラジル音楽の新たな方向性を示すアルバムの1曲目に相応しい躍動感と、時代を反映した不思議なポップ感覚が魅力です。
http://www.youtube.com/watch?v=-EkijMCao2g

「Coracao Materno」
本作が発表された1968年に亡くなった偉大なブラジル人歌手Vicente Celestino(1894-1968年)の作品をCaetano Velosoがカヴァーしています。トロピカリアが単に最新の音楽スタイルを取り入れただけではない、ブラジルの伝統音楽にも目を向けたものであることが実感できます。

「Panis et Circencis」
Os Mutantesの登場です。Gilberto Gil/Caetano Veloso作のソフト・サイケ・チューン。Os Mutantesの1stアルバム『Os Mutantes』(1968年)のオープニング曲でもあります。まさにSgt. Pepper's的な仕上がりですね。Rogerio Dupratによるサウンド・コラージュもお見事です。本作のハイライト曲の1つ。
http://www.youtube.com/watch?v=IOHa_jcckFQ

「Lindoneia」
Nara Leaoによるムーディーな1曲(Caetano Veloso作)。エレガントなオーケストレーションとNara Leaoの線の細いヴォーカルがマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=I7Klh_LrXzs

「Parque Industrial」
Gilberto Gil、Caetano Veloso、Gal Costa、Os MutantesがTom Ze作品を歌います。Tom Zeの風変わりな楽曲をSgt. Pepper's風のアレンジで仕上げた感じです。結局、トロピカリアの中では埋もれた存在になってしまったTom Zeですが、90年代以降に再評価が高まりスポットライトが当ったのは良かったですね。

「Geleia Geral」
バイーアらしい仕上がりのサウンドをバックにGilberto Gilが歌います。Torquato Neto/Gilberto Gil作品。

「Baby」
Gal Costaのキュートなヴォーカルに相当グッときます(Caetano Veloso作品)。実はこの曲が一番好き!という人は案外多いのでは?終盤にCaetano VelosoがPaul Anka「Diana」のフレーズを重ねているところも好きです。 Galのソロ1st『Gal Costa』(1969年)にも収録されています。
http://www.youtube.com/watch?v=RTUnRlW_rVE

Os Mutantesも1stアルバム『Os Mutantes』(1968年)で本曲を演奏しています。こちらはかなりサイケ・モードの仕上がりです。
Os Mutantes「Baby」
http://www.youtube.com/watch?v=yLq-ixiy3WE

「Tres Caravelas(Las Tres Carabelas)」
Caetano Veloso & Gilberto Gil作。ヴォーカルも二人です。ムーディーなラテン歌謡が展開されます。Sgt. Pepper's的アルバムと言いつつ、こういった曲が入っているのが面白いですね。

「Enquanto Seu Lobo Nao Vem」
Caetano Veloso作&歌。歌自体はシンプルなのですが、ど派手なファンファーレをはじめバックがやかましいです(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=DcKj0IOMWw0

「Mamae Coragem」
Torquato Neto/Caetano Veloso作によるミステリアスな楽曲をGal Costaが歌います。YouTube動画の方はかなりリズミカルですが、オリジナルはもっとテンポが遅く、ミステリアスな霧がかかっている雰囲気です。
http://www.youtube.com/watch?v=WIQ7JBKSsu8

「Bat Macumba」
Caetano Veloso & Gilberto Gil作。Gilberto Gilが歌う本曲は、クラブ世代には人気のバイーア・グルーヴですね。Gilberto Gilらしいリズミックな仕上がりが格好良いですね。シタール風のギターにもグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=4k3HA5TSU2A

Os Mutantesも1stアルバム『Os Mutantes』(1968年)で本曲を演奏しています。
Os Mutantes 「Bat Macumba」
http://www.youtube.com/watch?v=eb4NArQ7cvk

「Hino Do Senhor Do Bonfim da Bahia」
ラストは実にSgt. Pepper's的なフィナーレです。Gilberto Gil、Caetano Veloso、Gal Costa、Os Mutantesによる合唱で締めくくります。

本作が気に入った方は下記の関連2作品もどうぞ!

Caetano Veloso『Caetano Veloso』
Caetano Veloso

Os Mutantes『Os Mutantes 』
Os Mutantes

当時のブラジル軍事政権から反体制分子と見なされていたCaetano VelosoとGilberto Gilは1968年末に逮捕され、1969年に二人はロンドンへ亡命します。それ共にトロピカリアの盛り上がりにも終止符が打たれました。
posted by ez at 08:06| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月03日

Ahmad Jamal『The Awakening』

ジャズ好き、ピアノ好き、Hip-Hop好き...みんなが大満足の1枚☆Ahmad Jamal『The Awakening』
The Awakening
録音年:1970年
ez的ジャンル:知的&クール系ジャズ・ピアノ・トリオ
気分は... :どこで聴いたこのフレーズ!

Ahmad Jamalは1930年ペンシルベニア州ピッツバーグ生まれのジャズ・ピアニスト。1949年より自身のバンドを率いて活動し、1958年に録音した『But Not for Me』は異例の大ヒットを記録しました。その後もコンスタントに作品をリリースし、79歳となった現在も健在のようです。

相当省略した紹介ですが、正直Ahmad Jamal自身のキャリアや作品についてはあまり把握できていません(笑)

かのMiles Davisが崇拝したピアニストというのが凄いですよね。。かつてMilesが自身のコンボにJamalを誘ったもの断られ、代わりにRed Garlandが入団したという話は有名ですね。

また、Hip-Hopファンはサンプリング・ネタを通じてAhmad Jamalの名前を知っている方も多いかもしれませんね。僕も正直なところ、様々なHip-Hopチューンを通じてAhmad Jamalの演奏を知った次第です。

そんな僕が唯一保有するAhmad Jamalのアルバムが『The Awakening』(1970年)です。ジャズ好き、ピアノ好き、Hip-Hop好き...みんなが楽しめるJamalの代表作ですね。

Ahmad Jamal(p)、Jamil Nasser(b)、Frank Gant(ds)というトリオでの演奏ですが、アルバム全体を貫く知的でクールな演奏は、かなり完成度が高いと思います。

特に、僕のようなジャジーHip-Hop好きの感性にピッタリなジャズ・アルバムだと思います。実際、本作に収録されている「The Awakening」「I Love Music」「Dolphin Dance」「You're My Everything」 といった定番サンプリング・ネタは、ジャジーHip-Hopチューンで数多く聴くことができます。

今回改めてサンプリング曲を整理してみると、当ブログで紹介した曲が数多く含まれることを再確認し、僕が本作にハマるのは必然なんだなということがよくわかりました。

また、サンプリング・ネタ云々を抜きにしても、知的&クールなジャズ・ピアノ・トリオの魅力を堪能できる作品だと思います。

Ahmad Jamalの名や曲を知らない人でも、どこかで一度は聴いたことがあるようなピアノ・フレーズがあるはずですよ!

全曲紹介しときやす。

「The Awakening」
定番サンプリング・ネタその1。Jamalのオリジナル。サンプリング・ネタ云々を抜きにして聴いても実に魅力です。様々なリズムやメロディが織り成されており、リリカル、エレガント、ミステリアス、アヴァンギャルド...と局面ごとに曲の表情がガラッと変わるのがグッときますね。聴けば聴くほどAhmad Jamalワールドにズボズボとハマっていきます。アングラ・ジャジーHip-Hop好きの人は間違いなく気に入ると思います。

サンプリング・ネタとしてはPete Rock & C.L. Smooth「It's On You」、Nas「One On One」、Teedra Moses「Be Your Girl」、Shadez Of Brooklyn「Change」、Square One「Analyze」、Freddie Joachim feat. Othello「Wake Up」等で使われています。

Pete Rock & C.L. Smooth「It's On You」→Nas「One On One」→Teedra Moses「Be Your Girl」と3曲続けて聴くと、「The Awakening」ネタ三段活用って感じでグッドなのでは?

Pete Rock & C.L. Smooth「It's On You」
 http://www.youtube.com/watch?v=gUXJJjgwSG8
Nas「One On One」
 http://www.youtube.com/watch?v=6YgVZw4xHq8
Teedra Moses「Be Your Girl」
 http://www.youtube.com/watch?v=1DlXyONrkjc
Shadez Of Brooklyn「Change」
 http://www.youtube.com/watch?v=B_QzZQCs7VE
Square One「Analyze」
 http://www.youtube.com/watch?v=oZlL8tq3O74
Freddie Joachim feat. Othello「Wake Up」
 http://www.youtube.com/watch?v=Ce8ZvmjnlJ8

「I Love Music」
定番サンプリング・ネタその2。Emil Boyd/Hale Smith作品。冒頭からJamalの無伴奏ソロを堪能できます。ピアノのみで壮大な音世界を聴かせてくれます。中盤以降はベース、ドラムも加わり一気にスタイリッシュな演奏となります。前半と後半で2倍楽しめるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=pDga7tJL2UU

サンプリング・ネタとしてNas「The World Is Yours」、Visioneers「The World Is Yours」、Jay Z「Dead Presidents 2」、Jeru The Damaja「Me Or The Papes」等で使われています。やっぱりNas「The World Is Yours」ですよね!

Nas「The World Is Yours」
 http://www.youtube.com/watch?v=nZ5lu4ff-D4
Visioneers「The World Is Yours」
 http://www.youtube.com/watch?v=cyzmmz6hPyE
Jay Z「Dead Presidents 2」
 http://www.youtube.com/watch?v=OYIsa_u_C-s
Jeru The Damaja「Me Or The Papes」
 http://www.youtube.com/watch?v=Mi8qnGMhvKo

「Dolphin Dance」
定番サンプリング・ネタその3。本作のハイライト曲といえば、このHerbie Hancockの名曲カヴァーでしょうね(オリジナルは『Maiden Voyage』収録)。オリジナルを凌ぐ人気を誇る名カヴァーかもしれませんね。Hancockの奏でるイルカが優雅に舞うならば、Jamalの奏でるイルカは小粋に舞うといった感じでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=83hpBgrNiFY

サンプリング・ネタとしては、Common Sense「Resurrection」、Kero One「In All The Wrong Places」Lushlife「Drifting」、DJ Deckstream Feat. Dred Scott & Adriana Evans「Memory Of Melodies」、Volta Masters「Just in Love」、Starving Artists Crew「Organic Chemistry」、Jemini the Gifted One「Story Of My Life」等で使われています。

当ブログで紹介した曲も多いですね。特に好きなのはDJ Deckstream Feat. Dred Scott & Adriana Evans「Memory Of Melodies」です。国内アーティストなので直接取り上げていませんが、本曲収録の『Deckstream Soundtracks』は過去記事でもたびたびプッシュしていました。国内アーティストで言えば、Volta Masters「Just in Love」はHip-Hopを聴かない人もグッとくるメロウ・チューンだと思います。

Common Sense「Resurrection」
 http://www.youtube.com/watch?v=x5btqEdt6gU
Kero One「In All The Wrong Places」
 http://www.youtube.com/watch?v=O9UDTOveUyk
DJ Deckstream Feat. Dred Scott & Adriana Evans「Memory Of Melodies」
 http://www.youtube.com/watch?v=SD7YeZQgckQ
Volta Masters「Just in Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=XHh0Q-cyisI
Starving Artists Crew「Organic Chemistry」
 http://www.youtube.com/watch?v=7Cc87h24pNM
Jemini the Gifted One「Story Of My Life」
 http://www.youtube.com/watch?v=uwsyJZiLSH0

「You're My Everything」
定番サンプリング・ネタその4。Mort Dixon/Joe Young作詞、Harry Warren作曲のスタンダード。オリジナルは1931年のレビュー「The Laugh Parade」のために書かれたものです。個人的にはアルバムで一番好きな演奏かも?このアルバムには"知的な美学"のようなものが貫かれている気がするのですが、そんな雰囲気を最も堪能できる演奏が本曲という気がします。

Pete Rock & C.L. Smooth「Get On The Mic」、Funky DL「You Really Love That」All Natural「Renaissance」等でサンプリングされています。

Pete Rock & C.L. Smooth「Get On The Mic」
 http://www.youtube.com/watch?v=0szo1f2lVfs
Funky DL「You Really Love That」
 http://www.youtube.com/watch?v=vdC6NgTvA-I
All Natural「Renaissance」
 http://www.youtube.com/watch?v=e7C3BAtW3Co

「Stolen Moments」
Oliver Nelson作曲のスタンダード。Mark Murphy等数多くのアーティストがカヴァーしています。知的なブルースって雰囲気がいいですね。真夜中に一人で酔いどれながら聴きたい気分...
http://www.youtube.com/watch?v=HClD5wy7K5s

「Wave」
ラストはAntonio Carlos Jobimの名曲カヴァー。Jamalとこの曲ってイメージが合致しないのですが、オリジナルとは異なるテイストのミステリアスなボッサ・チューンに仕上がっています。案外楽しめます。

Ahmad Jamal は、まだまだ未開拓なので他作品もきちんと聴いてみたいですね。

『Ahmad Jamal at the Pershing: But Not for Me』 (1958年)、『Happy Moods』 (1960年)、『Tranquility』 (1968年)、『Ahmad Jamal '73』 (1973年)、『Jamal Plays Jamal』 (1974年)、『Jamalca』 (1974年)、『Genetic Walk』 (1980年)あたりが欲しい作品リストです。ただし、70年代以降の作品は殆ど未CD化なのでCD化を切望します。

『Ahmad Jamal at the Pershing: But Not for Me』 (1958年)
Ahmad Jamal at the Pershing: But Not for Me

『Happy Moods』 (1960年)
HAPPY MOODS
posted by ez at 04:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月02日

Ryan Leslie『Transition』

期待の男性R&Bシンガー/プロデューサーの2nd☆Ryan Leslie『Transition』
Transition
発表年:2009年
ez的ジャンル:男性R&Bシンガー/プロデューサー
気分は... :短期間でアルバム2枚リリースとは凄い!

ここ数日疲れがどっと出てグロッキー気味です。

今回は期待の男性R&Bシンガー/プロデューサーRyan Leslieの2ndアルバム『Transition』です。

Ryan Leslieは1978年ワシントンD.C.生まれの男性R&Bシンガー/ソングライター/プロデューサー。15歳でハーバード大学に入学し、19歳で卒業したという学歴の持ち主です。

その後は裏方として、様々なアーティストの作品のプロダクションに関与してきました。有名どころではBeyonce、Cassie、Donell Jones、Fabolous、Kid Cudiらがいます。一番のヒットは2006年にリリースしたCassie「Me & U」ですかね。個人的にはSlim feat. Fabolous & Ryan Leslie「Good Lovin」が好きです。

Beyonce「Keep Giving Your Love To Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=2bBIXCdKLMs
Cassie「Me & U」
 http://www.youtube.com/watch?v=GvpqfHBZEeU
Donell Jones feat. Jermaine Dupri「Better Start Talking」
 http://www.youtube.com/watch?v=BUQiQqcNARU
Slim feat. Fabolous & Ryan Leslie「Good Lovin」
 http://www.youtube.com/watch?v=8obuMVnT61U
Fabolous「Everything, Everyday, Everywhere」
 http://www.youtube.com/watch?v=1TZMKWnf-OA
Kid Cudi「Can I Be」
 http://www.youtube.com/watch?v=W2GjTG3NS40

そして、2007年からは自らのソロ・アーティスト活動を活発化させ、「Diamond Girl」「Addiction」(feat. Cassie & Fabolous)「How It Was Supposed To Be」といったシングルをリリースします。

Ryan Leslie「Diamond Girl」
http://www.youtube.com/watch?v=KLYhNmXDVxE
Ryan Leslie feat. Cassie & Fabolous「Addiction」
http://www.youtube.com/watch?v=jZHw9T_8NXg
Ryan Leslie「How It Was Supposed To Be」
http://www.youtube.com/watch?v=w9WA2tHk3ck

2008年にはこれら3枚のシングルを含むデビュー・アルバム『Ryan Leslie』を発表します。そして1年も経たないうちに今日紹介する2ndアルバム『Transition』をリリースしました。

一般には『Ryan Leslie』が1stアルバムですが、Ryan本人は2005年に制作した『Just Right』を1stアルバムと呼んでいるようです。

今時、1年に2枚のオリジナル・アルバムをリリースするアーティストなんて珍しいですよね。それだけRyan Leslieは乗っているアーティストと言えるかもしれません。

今時のエレクトロ・サウンドをバックにした哀愁のメロディにグッとくるアルバムです。キラキラ・シンセがクセになります。

Fabolousらラッパーとの共演も多いせいか、Ryan Leslieのことを"ネクストKanye West、ネクストPharrell"と呼ぶ人もおり、Hip-Hopサイドからも注目されているみたいですね。本作でもヴォーカルのみならずラップを披露していますし、サウンド面でも確かにKanye West『808s & Heartbreak』The Neptunes、Pharrellあたりに通じるものがあるかもしれません。

いろいろな意味で2009年らしい男性R&Bアルバムという気がします。

そう言えば、Ne-YoFabolousRyan Leslieの3人でユニットを組むという噂もありますがどうなるんですかね。

全曲紹介しときやす。

「Never Gonna Break Up」
スペイシーなシンセが印象的なミッド・グルーヴ。派手に鳴り響くシンセと抑えたRyanのヴォーカルがよくマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=NEmtAWY6Xz8

「Something That I Like」
ClipseのPusha Tをフィーチャー。The Neptunesっぽいトラックも目立つ本作で、長年The Neptunesにプロデュースを任せているClipseのPusha Tが参加しているというは面白いですね。哀愁モードのHip-Hopチューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=il7PgVeP-1o

「Zodiac」
80年代を意識したようなエレクトロなミッド・グルーヴ。エレクトロ路線の作品が目立つ2009年らしいと言えばらしいのかも?歌のみならずラップもそつなくこなすあたりは今時のR&Bシンガーらしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=OCndPfEslT4

「Is It Real Love」
僕の一番のお気に入り曲。エレクトロ・サウンドの中にも人肌の温もりを感じる作りが好きですね。曲としてもアルバムで一番の美メロなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=bwK3bqhJIYk

「Sunday Night」
めくるめくエレクトロ・サウンドって雰囲気が印象的です。「Is It Real Love」同様、哀愁の美メロR&Bって感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=YMo4Q49BCvU

「You're Not My Girl」
アルバムからのリードシングル。エレクトロなダンス・チューンに仕上がっています。Michael Jacksonっぽいと評している記事が目立ちますが、ヴォーカル・スタイルが異なるせいか、僕はあまりそのような印象は受けません。
http://www.youtube.com/watch?v=NA1kbba9ucQ

「To The Top」
「Is It Real Love」と並ぶ僕のお気に入り。80年代アーバン・ソウルの雰囲気を2009年らしいサウンドで再現しているのがいいですね。2009年らしい大人のアーバンR&Bチューンにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=fp_j9VzYfJ4

「Nothing」
独特の雰囲気を持った曲ですね。曲が進むほどにどんどん引き込まれていきます。
http://www.youtube.com/watch?v=tMiQFtCKdUE

「Guardian Angel」
この曲も大好き!ピアノの美しい響きが哀愁メロディとよくマッチしてグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=k9ilitzH_iY

「All My Love」
2009年らしいヘンテコ感が漂うエレクトロ・チューン。ヘンテコなんですが急に美メロが割り込んできたりして面白いです。
http://www.youtube.com/watch?v=FANl4KGBpL0

「I Choose You」
ラストはバラード。本作で唯一残念なのは強力なバラードが欠けるですかね。本曲も悪くはありませんが決定打までには至っていない気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=y2cDY7N3UsQ

本作を気に入った方は1st『Ryan Leslie』(2008年)もどうぞ!

『Ryan Leslie』
Ryan Leslie
posted by ez at 00:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする