2009年12月03日

Ahmad Jamal『The Awakening』

ジャズ好き、ピアノ好き、Hip-Hop好き...みんなが大満足の1枚☆Ahmad Jamal『The Awakening』
The Awakening
録音年:1970年
ez的ジャンル:知的&クール系ジャズ・ピアノ・トリオ
気分は... :どこで聴いたこのフレーズ!

Ahmad Jamalは1930年ペンシルベニア州ピッツバーグ生まれのジャズ・ピアニスト。1949年より自身のバンドを率いて活動し、1958年に録音した『But Not for Me』は異例の大ヒットを記録しました。その後もコンスタントに作品をリリースし、79歳となった現在も健在のようです。

相当省略した紹介ですが、正直Ahmad Jamal自身のキャリアや作品についてはあまり把握できていません(笑)

かのMiles Davisが崇拝したピアニストというのが凄いですよね。。かつてMilesが自身のコンボにJamalを誘ったもの断られ、代わりにRed Garlandが入団したという話は有名ですね。

また、Hip-Hopファンはサンプリング・ネタを通じてAhmad Jamalの名前を知っている方も多いかもしれませんね。僕も正直なところ、様々なHip-Hopチューンを通じてAhmad Jamalの演奏を知った次第です。

そんな僕が唯一保有するAhmad Jamalのアルバムが『The Awakening』(1970年)です。ジャズ好き、ピアノ好き、Hip-Hop好き...みんなが楽しめるJamalの代表作ですね。

Ahmad Jamal(p)、Jamil Nasser(b)、Frank Gant(ds)というトリオでの演奏ですが、アルバム全体を貫く知的でクールな演奏は、かなり完成度が高いと思います。

特に、僕のようなジャジーHip-Hop好きの感性にピッタリなジャズ・アルバムだと思います。実際、本作に収録されている「The Awakening」「I Love Music」「Dolphin Dance」「You're My Everything」 といった定番サンプリング・ネタは、ジャジーHip-Hopチューンで数多く聴くことができます。

今回改めてサンプリング曲を整理してみると、当ブログで紹介した曲が数多く含まれることを再確認し、僕が本作にハマるのは必然なんだなということがよくわかりました。

また、サンプリング・ネタ云々を抜きにしても、知的&クールなジャズ・ピアノ・トリオの魅力を堪能できる作品だと思います。

Ahmad Jamalの名や曲を知らない人でも、どこかで一度は聴いたことがあるようなピアノ・フレーズがあるはずですよ!

全曲紹介しときやす。

「The Awakening」
定番サンプリング・ネタその1。Jamalのオリジナル。サンプリング・ネタ云々を抜きにして聴いても実に魅力です。様々なリズムやメロディが織り成されており、リリカル、エレガント、ミステリアス、アヴァンギャルド...と局面ごとに曲の表情がガラッと変わるのがグッときますね。聴けば聴くほどAhmad Jamalワールドにズボズボとハマっていきます。アングラ・ジャジーHip-Hop好きの人は間違いなく気に入ると思います。

サンプリング・ネタとしてはPete Rock & C.L. Smooth「It's On You」、Nas「One On One」、Teedra Moses「Be Your Girl」、Shadez Of Brooklyn「Change」、Square One「Analyze」、Freddie Joachim feat. Othello「Wake Up」等で使われています。

Pete Rock & C.L. Smooth「It's On You」→Nas「One On One」→Teedra Moses「Be Your Girl」と3曲続けて聴くと、「The Awakening」ネタ三段活用って感じでグッドなのでは?

Pete Rock & C.L. Smooth「It's On You」
 http://www.youtube.com/watch?v=gUXJJjgwSG8
Nas「One On One」
 http://www.youtube.com/watch?v=6YgVZw4xHq8
Teedra Moses「Be Your Girl」
 http://www.youtube.com/watch?v=1DlXyONrkjc
Shadez Of Brooklyn「Change」
 http://www.youtube.com/watch?v=B_QzZQCs7VE
Square One「Analyze」
 http://www.youtube.com/watch?v=oZlL8tq3O74
Freddie Joachim feat. Othello「Wake Up」
 http://www.youtube.com/watch?v=Ce8ZvmjnlJ8

「I Love Music」
定番サンプリング・ネタその2。Emil Boyd/Hale Smith作品。冒頭からJamalの無伴奏ソロを堪能できます。ピアノのみで壮大な音世界を聴かせてくれます。中盤以降はベース、ドラムも加わり一気にスタイリッシュな演奏となります。前半と後半で2倍楽しめるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=pDga7tJL2UU

サンプリング・ネタとしてNas「The World Is Yours」、Visioneers「The World Is Yours」、Jay Z「Dead Presidents 2」、Jeru The Damaja「Me Or The Papes」等で使われています。やっぱりNas「The World Is Yours」ですよね!

Nas「The World Is Yours」
 http://www.youtube.com/watch?v=nZ5lu4ff-D4
Visioneers「The World Is Yours」
 http://www.youtube.com/watch?v=cyzmmz6hPyE
Jay Z「Dead Presidents 2」
 http://www.youtube.com/watch?v=OYIsa_u_C-s
Jeru The Damaja「Me Or The Papes」
 http://www.youtube.com/watch?v=Mi8qnGMhvKo

「Dolphin Dance」
定番サンプリング・ネタその3。本作のハイライト曲といえば、このHerbie Hancockの名曲カヴァーでしょうね(オリジナルは『Maiden Voyage』収録)。オリジナルを凌ぐ人気を誇る名カヴァーかもしれませんね。Hancockの奏でるイルカが優雅に舞うならば、Jamalの奏でるイルカは小粋に舞うといった感じでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=83hpBgrNiFY

サンプリング・ネタとしては、Common Sense「Resurrection」、Kero One「In All The Wrong Places」Lushlife「Drifting」、DJ Deckstream Feat. Dred Scott & Adriana Evans「Memory Of Melodies」、Volta Masters「Just in Love」、Starving Artists Crew「Organic Chemistry」、Jemini the Gifted One「Story Of My Life」等で使われています。

当ブログで紹介した曲も多いですね。特に好きなのはDJ Deckstream Feat. Dred Scott & Adriana Evans「Memory Of Melodies」です。国内アーティストなので直接取り上げていませんが、本曲収録の『Deckstream Soundtracks』は過去記事でもたびたびプッシュしていました。国内アーティストで言えば、Volta Masters「Just in Love」はHip-Hopを聴かない人もグッとくるメロウ・チューンだと思います。

Common Sense「Resurrection」
 http://www.youtube.com/watch?v=x5btqEdt6gU
Kero One「In All The Wrong Places」
 http://www.youtube.com/watch?v=O9UDTOveUyk
DJ Deckstream Feat. Dred Scott & Adriana Evans「Memory Of Melodies」
 http://www.youtube.com/watch?v=SD7YeZQgckQ
Volta Masters「Just in Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=XHh0Q-cyisI
Starving Artists Crew「Organic Chemistry」
 http://www.youtube.com/watch?v=7Cc87h24pNM
Jemini the Gifted One「Story Of My Life」
 http://www.youtube.com/watch?v=uwsyJZiLSH0

「You're My Everything」
定番サンプリング・ネタその4。Mort Dixon/Joe Young作詞、Harry Warren作曲のスタンダード。オリジナルは1931年のレビュー「The Laugh Parade」のために書かれたものです。個人的にはアルバムで一番好きな演奏かも?このアルバムには"知的な美学"のようなものが貫かれている気がするのですが、そんな雰囲気を最も堪能できる演奏が本曲という気がします。

Pete Rock & C.L. Smooth「Get On The Mic」、Funky DL「You Really Love That」All Natural「Renaissance」等でサンプリングされています。

Pete Rock & C.L. Smooth「Get On The Mic」
 http://www.youtube.com/watch?v=0szo1f2lVfs
Funky DL「You Really Love That」
 http://www.youtube.com/watch?v=vdC6NgTvA-I
All Natural「Renaissance」
 http://www.youtube.com/watch?v=e7C3BAtW3Co

「Stolen Moments」
Oliver Nelson作曲のスタンダード。Mark Murphy等数多くのアーティストがカヴァーしています。知的なブルースって雰囲気がいいですね。真夜中に一人で酔いどれながら聴きたい気分...
http://www.youtube.com/watch?v=HClD5wy7K5s

「Wave」
ラストはAntonio Carlos Jobimの名曲カヴァー。Jamalとこの曲ってイメージが合致しないのですが、オリジナルとは異なるテイストのミステリアスなボッサ・チューンに仕上がっています。案外楽しめます。

Ahmad Jamal は、まだまだ未開拓なので他作品もきちんと聴いてみたいですね。

『Ahmad Jamal at the Pershing: But Not for Me』 (1958年)、『Happy Moods』 (1960年)、『Tranquility』 (1968年)、『Ahmad Jamal '73』 (1973年)、『Jamal Plays Jamal』 (1974年)、『Jamalca』 (1974年)、『Genetic Walk』 (1980年)あたりが欲しい作品リストです。ただし、70年代以降の作品は殆ど未CD化なのでCD化を切望します。

『Ahmad Jamal at the Pershing: But Not for Me』 (1958年)
Ahmad Jamal at the Pershing: But Not for Me

『Happy Moods』 (1960年)
HAPPY MOODS
posted by ez at 04:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする