2009年12月17日

Astrud Gilberto/Walter Wanderley Trio『A Certain Smile A Certain Sadness』

ボサノヴァの女王とオルガン・ボッサの共演☆Astrud Gilberto/Walter Wanderley Trio『A Certain Smile A Certain Sadness』
A Certain Smile, A Certain Sadness
発表年:1966年
ez的ジャンル:オルガン・ボッサ+女性ボッサ・ヴォーカル
気分は... :冬に聴きたいボッサ・アルバム

今回は"ボサノヴァの女王"Astrud Gilbertoとオルガン・ボッサのパイオニアWalter Wanderleyの共演作『A Certain Smile A Certain Sadness』(1966年)です。

Astrud Gilbertoの紹介は、Verve時代のベスト盤『Talkin' Verve』以来2回目です。Walter Wanderleyの紹介も『Batucada』(1967年)以来2回目です。

Astrud Gilbertoについては、最初にベスト盤『Talkin' Verve』から入ってしまったので、『The Astrud Gilberto Album』(1965年)、『The Shadow Of Your Smile』(1965年)
『Look To The Rainbow』(1966年)、『A Certain Smile A Certain Sadness』(1966年)、『Beach Samba』(1967年)、『Windy』(1968年)、『September 17, 1969』(1969年)、『I Haven't Got Anything Better To Do』(1970年)といったVerve時代のオリジナル・アルバムをなかなか買いづらくなってしまいました。

しかしながら、やはりオリジナルで聴かないと!との思いが強くなり、ここ1、2年遅まきながらオリジナル・アルバムを揃えている次第です。

そんな中で今回はstrong>Walter Wanderleyの共演作『A Certain Smile A Certain Sadness』(1966年)をセレクト!

ジャケも含めて本作は冬向きのボッサ・アルバムという印象があるんですよね!きっとWalter Wanderleyの奏でるボッサなオルガン・サウンドが冬にフィットするのだと思います。CDのライナーノーツでWalter Wanderleyのオルガンを"スケートリンクの音楽みたい"と説明しているのですが、僕も同じような印象を本作に抱いています。

プロデュースはCreed Taylor。本作のトータルな完成度の高さはCreed Taylorの手腕に拠るところが大だと思います。翌年にはCTIを立ち上げる彼の絶好調ぶりが窺えますね。

レコーディングにはAstrud Gilberto(vo)、Walter Wanderley(org、p)、Jose Marino(b)、Claudio Slon(ds)の4人を中心に、Bobby Rosengarden(per)、Joao Gilberto(g)が参加しています。既にAstrudと離婚し、Miucha(Bebel Gilbertoの母)と再婚していた元夫Joao Gilbertoの参加が興味深いですね。

ナチュラルなAstrudのヴォーカルとWanderley独自のオルガン・ボッサの組み合わせが見事にハマっています。他のアルバムでは聴けないAstrud Gilbertoの魅力を上手く引き出すことに成功していますね。

「So Nice (Summer Samba)」「Goodbye Sadness (Tristeza) 」といったブラジル音楽ファンにはお馴染みの人気曲、「Nega Do Cabelo Duro」「Portuguese Washerwoman」 といったサバービア好き要チェック曲をはじめ、充実の内容に最初から最後までダレることなく楽しむことができます。

コートやダウンを着込んで聴く、オルガン・ボッサはなかなか雰囲気ありますよ!

全曲を紹介しときやす。

「A Certain Smile」
1958年に書かれた作品(作詞Paul Francis Webster、作曲Sammy Fain)。Johnny Mathisも取り上げています。Walter Wanderley Trioによるオルガン・ボッサ・サウンドとAstrudの自然体のヴォーカルがマッチした、クールな雰囲気にグッときます。

「A Certain Sadness」
John Court/Carlos Lyra作品。この曲はAstrudとJoao Gilberto(g)の共演という感じですね。元夫婦がこの曲を哀愁モードたっぷりに演奏するというのが意味深ですな。まぁ、当人同士しかわからない世界ですが...
http://www.youtube.com/watch?v=Ks0Yat2_34o

「Nega Do Cabelo Duro」
Rubens Soares作。当ブログでは以前にElis Reginaのカヴァーを紹介しています。サバービア好きの人は要チェックの曲です。小気味良いリズム感がクセになります。♪ベム・チキ・ティ・ペン・テ〜ア♪

「So Nice (Summer Samba)」
『Talkin' Verve』にも収録されていたMarcos Valleの名曲カヴァー。この名曲を広く認知させたのは、本作と同年にリリースされたWalter Wanderleyのカヴァー(アルバム『Rain Forest』収録)ですが、そのWalter WanderleyをバックにAstrudが少し気だるいヴォーカルを聴かせる本ヴァージョンも秀逸の出来栄えです。個人的にはMarcos Valle本人やWalter Wanderleyのヴァージョンよりもお気に入りです。あとはBebel Gilbertoのヴァージョンも2000年代らしくて大好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=zwgnacnku1k

Walter Wanderley「Samba do Verao」
 http://www.youtube.com/watch?v=sbHkgWD3gk4
Bebel Gilberto「So Nice (Summer Samba)」
 http://www.youtube.com/watch?v=VdLuTVp7qy0

「Voce Ja Foi Bahia」
Dorival Caymmi作。個人的にはアルバムで一番のお気に入り曲はコレ。Astrud GilbertoのキュートなヴォーカルとWalter Wanderley Trioの魅惑のオルガン・ボッサが最良のかたちで結びついた仕上がりという気がします。本作を貫くクールな魅力を存分に堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=QdQdFNvcrIs

「Portuguese Washerwoman」
Roger Lucchesi/Andre Popp作。Astrudのスキャットにグッとくるサバービア・ファンサ要チェック曲。
http://www.youtube.com/watch?v=bIiBYpwwxEo

「Goodbye Sadness (Tristeza) 」
Haroldo Lobo/Niltinho作の名曲カヴァー。当ブログではこれまで、Sergio Mendes & Brasil'66Elis ReginaBirgit Lystagerのヴァージョンを紹介しています。どのカヴァーも秀逸ですね。Joao Gilbertoのギターも聴ける本ヴァージョンも、これらのカヴァーに負けない絶品の仕上がりです。鉄板な1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=mp8mvpHiLdg

「Call Me」
UKの女性シンガー/女優Petula Clark、1965年のシングル曲のカヴァー(Tony Hatch作)。Chris Montez、Nancy Wilson、Shirley Bassey、Frank Sinatra、The Supremes & The Four Tops等数多くのアーティストがカヴァーしています。そうした中で哀愁モードが漂う本ヴァージョンは本曲の新たな魅力を引き出すことに成功しています。
http://www.youtube.com/watch?v=kQGAC0Zf1_4

Petula Clark「Call Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=ySSiKaC6gHE
Chris Montez「Call Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=gXaAFhyOTWk
The Supremes & The Four Tops「Call Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=-7xU4rcR0fA

「Here's That Rainy Day」
ミュージカル『Carnival in Flanders』のために書かれたスタンダード(作詞Johnny Burke、作曲Jimmy Van Heusen)。当ブログではこれまでBill EvansThe Oscar Peterson Trio + The Singers Unlimitedのカヴァーを紹介しています。僕の場合、この曲に関してはBill Evansヴァージョンの印象が強いので、エレガント・ボッサに仕上がっている本ヴァージョンは実に新鮮に聴くことができました。

「Tu Mi Delirio」
キューバの偉大な作曲家Cesar Portillo de la Luzの作品。哀愁のボレロがAstrudのヴォーカルとマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=t0ZCAH68Gns

「It's A Lovely Day Today」
ラストはIrving Berlin作品。♪ラ・ラ・ラ〜ラ・ラ♪ラブリーな仕上がりにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=v1K54lEPCa4

僕の所有CDには、「The Sadness Of After」Edu Lobo作) 、「Who Needs Forever?」Quincy Jonesが音楽を担当したイギリス映画『The Deadly Affair』のサントラ収録曲)の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。
posted by ez at 04:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする