発表年:1973年
ez的ジャンル:おしどり夫婦系ブラジル/フュージョン女性シンガー
気分は... :祝バルサ!
先程までクラブW杯の決勝「バルセロナ対エストゥディアンテス」をTV観戦。
日本人として日本からUAEへの開催地変更は残念な思いもありますが、大会の目玉である欧州代表クラブがコンディションの調整不足を言い訳にできなくなった点でUAE開催は正解だと思います。
バルサ・ファンの僕としてはヒヤヒヤもんの勝利でしたが、何とかメッシが決勝ゴールを決めて安堵の気持ちです。それ以上に素晴らしいサッカーを観せてくれたエストゥディアンテスを称えたいと思います。
この流れでいくとアルゼンチン人アーティストを紹介すべきなのですがブラジル人アーティストです(笑)
今回はブラジル/フュージョン・ファンに人気の女性シンガーFlora Purimです。
夫のドラマー/パーカッション奏者Airto Moreiraとのおしどり夫婦ぶりは有名ですね。
Flora Purimは1942年ブラジル、リオデジャネイロ生まれ。
夫Airto Moreiraと共に1968年に米国へ進出し、Chick Coreaが結成したReturn To Forever(RTF)の第1期メンバーとして、当ブログでも紹介した『Return To Forever』(1972年)、『Light As A Feather』(1972年)に参加しています。
その後もソロ・アルバム、夫Airto Moreiraとの共作アルバムをリリースすると共に、様々なジャンルのアーティストのレコーディングに参加しています。
Airto Moreiraのアルバムは2度紹介していましたが、Flora Purimのソロ作は紹介する機会を逸していました。彼女の参加作品を数多く紹介していたので紹介済みの気分になっていたのかもしれません。
これまで当ブログで紹介したFlora Purim参加アルバムとして、前述のRTFの2作品、夫Airtoの『Identity』(1975年)、『Samba de Flora』(1988年)、さらにはDuke Pearson『How Insensitive』(1969年)、Santana『Borboletta』(1974年)、George Duke『A Brazilian Love Affair』(1979年)があります。
僕が現在保有しているFlora Purimのソロ作は、『Butterfly Dreams』(1973年)、『Nothing Will Be as It Was...Tomorrow』(1977年)、『Everyday Everynight』(1978年)、『Carry On』(1979年)の4枚です。
今回紹介する『Butterfly Dreams』(1973年)は、『Light As A Feather』を最後にRTFを抜けた後にリリースされた、アメリカ進出後の初ソロ・アルバムです(アメリカ進出前にブラジル国内でソロ作をリリースしているようです)。
レコーディングにはFlora Purim(vo)以下、Joe Henderson(ts)、George Duke(key)、David Amaro(g)、Ernie Hood(zither)、Stanley Clarke(b)、Airto Moreira(ds、per)が参加し、Orrin Keepnewsがプロデュースしています。
なかなか豪華メンバーですが、夫Airto以外では、後にThe Clarke/Duke Projectを組むGeorge Duke、Stanley Clarkeの活躍が目立ちます。特にRTFの同僚Stanley Clarkeは演奏のみならず、楽曲提供、アレンジ面でもいい仕事しています。
ジャケのイメージそのままに、幻想的な雰囲気で全体が貫かれています。
Floraのヴォーカルを中心にブラジル音楽とフュージョンがいい塩梅で融合しているのがいいですね。
よりキャッチーかつコンテンポラリーな印象が強い後年の作品も好きですが、Flora Purimというアーティストの立ち位置を確認できる作品という意味では本作が最適だと思います。
Flora Purimと参加ミュージシャン達が織り成す幻想の音世界を楽しみましょう!
全曲を紹介しときやす。
「Dr. Jive(Part 1)」
Stanley Clarke作。ブラジリアン・テイストのファンク・サウンドをバックに、Floraのスキャットが駆け巡ります。ブラジルらしい土着的なリズムにグッときますね。
「Butterfly Dreams」
タイトル曲はRTFでお馴染みのNeville Potter作詞、Stanley Clarke作曲。タイトルのように幻想的な雰囲気が支配します。中盤はJoe Henderson、終盤はGeorge Duke、Stanley Clarkeのプレイが目立ちます。
http://www.youtube.com/watch?v=vgmXvrr34JY
「Dindi」
本作のハイライト曲その1。Aloysio de Oliveira作詞、Antonio Carlos Jobim作曲。Astrud Gilberto、Claudine Longet等数多くのアーティストがカヴァーしている名曲です。ボッサな味わいのみならず、浮遊感漂うフュージョンらしい仕上がりが本ヴァージョンの特徴ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=l74PaRaaYE4
「Summer Night」
1936年のミュージカル映画『Sing Me a Love Song』のために書かれたスタンダード(Al Dubin作詞、Harry Warren作曲)。Miles Davis等もカヴァーしています。幻想的なFloraのスキャットでスタートしますが、中盤以降はジャズ/フュージョンらしい演奏を堪能できます。George Dukeのピアノがいい感じです。
「Love Reborn」
Flora Purim作詞、George Duke作曲。ブラジル音楽好きにはグッとくるボッサ・ジャズ。David Amaroのギターがボッサ・ムードを盛り上げてくれます。George Dukeのヴァージョンは当ブログで紹介した『A Brazilian Love Affair』に収録されています。
「Moon Dreams」
本作のハイライト曲その2。Egberto Gismonti作品(原題『O Sonho』)。Egberto Gismontiが飛躍のチャンスをつかんだ名曲ですね。Flora Purimが参加したWalter Wanderley『Moondreams』(1969年)でもカヴァーされています。 オリジナルのミステリアスな雰囲気を残しつつ、疾走感溢れるパーカッシヴなブラジリアン・フュージョンに仕上がっています。僕がイメージするAirto Moreira & Flora Purimに最も近い演奏であり、一番のお気に入り曲です。
「Dr. Jive(Part 2)」
「Dr. Jive」のPart 2です。Stanley Clarkeのベースが最高にキマっています!David Amaroのギターもグッときますね。エレクトリック・マイルス的な雰囲気もあっていいですね!
「Light As A Feather」
ラストは当ブログでも紹介したReturn To Forever『Light As A Feather』のタイトル曲を再演しています。10分を超えるRTFヴァージョンの約半分の尺というのが聴きやすくていいですね。
『Nothing Will Be as It Was...Tomorrow』(1977年)、『Everyday Everynight』(1978年)、『Carry On』(1979年)も随時紹介したいと思います。
『Nothing Will Be as It Was...Tomorrow』(1977年)
『Everyday Everynight』(1978年)
『Carry On』(1979年)
Airto Moreira/Flora Purim作品はさらに充実させていきたいですね。