発表年:2009年
ez的ジャンル:アコースティックMPB
気分は... :年内最後の新譜はブラジルで!
記事のローテーションから考えると、年内最後の新譜紹介となります。
密かに好きなPretty Ricky『Pretty Ricky』や購入したばかりのMary J. Blige『Stronger With Each Tear』といったR&B新作も考えたのですが、今年の僕らしくブラジル新譜で締めくくることにしました。
ということでDoces Cariocas『Sweet Cariocas(Doces Cariocas )』です。
厳密には"新譜"というより、2008年にブラジル本国でリリースされた作品を一部レコーディングし直し、新曲2曲を加えた"新装盤"なのですが。
Doces Cariocasは、Pierre Aderne、Alexia Bomtempoの2人を中心に、Dadi、Domenico、Felipe Pinaud、Wilson Simoninha等からなるユニットです。
当ブログを定期的に閲覧頂いている方であれば、Alexia Bomtempoの名前でピンと来ませんか?
そうです!昨年デビュー・アルバム『Astrolabio』をリリースし、Marisa Monte級の大型新人女性シンガーとして大絶賛された、あのAlexia Bomtempoです。
『Astrolabio』は当ブログ恒例の『ezが選ぶ2008年の10枚』でもセレクトした1枚でした。
Alexia Bomtempo『Astrolabio』
もう一人の中心人物Pierre AderneはAlexiaの旦那様であり、フランス生まれ、リオ育ちのシンガーソングライターです。妻Alexiaのデビュー作『Astrolabio』でも献身的なサポートぶりが目立ちました。ソロ・アルバムも2枚リリースしています。
他のメンバーでは、『Astrolabio』やPierre Aderneのソロ作2枚をプロデュースしたDadiもお馴染みですね。Os Novos Baianosのベーシストとしてデビューし、その後Jorge Ben、Caetano Veloso、Marisa Monteらのサポートで一躍有名になり、ソロ・アルバムも2枚リリースしています。
Domenico(Domenico Lancellotti)は、Moreno Veloso(Caetano Velosoの息子)、Alexandre KassinとのトリオDomenico+2やOs Ritmistasの活動で知られる、ブラジル新世代を代表するドラム/パーカッション奏者です。
Felipe Pinaud、はOrquestra Imperialにも参加しているマルチ・プレイヤーであり、『Astrolabio』にも参加していました。The Police「Roxanne」の哀愁ボッサ・カヴァーでは素晴らしいギターを聴かせてくれました。
Wilson Simoninhaは、偉大な歌手であったWilson Simonalを父に持つ2世シンガー。弟はMax de Castroです。
これらのメンバー達がリオ郊外のペントハウスに集まったのがDoces Cariocasのスタートだそうです。ユニット名はCaetano Veloso、Gal Costa、Gilberto Gil、Maria Bethaniaというトロピカリアを代表する4アーティストが結成したDoses Barbarosを意識したものなのだとか。
気の合う仲間が集まったユル〜い雰囲気が音にも反映されているのがいいですね。
気負うことなく、自分達の好きなことを気の赴くままに演奏してみた!って感じがグッときます。中身としては、ソフト・サンバ、ボッサ等のアコースティック・サウンドをバックにAlexiaやPierre等が透明感のあるヴォーカルを聴かせてくれます。
前述のように、元々は昨年ブラジルで『Doces Cariocas』としてリリースされたものですが、今回ヴォーカル・パートの一部をレコーディングし直し、新曲2曲を加え、ジャケ・デザインも一新して、『スウィート・カリオカス (Sweet Cariocas)』としてリリースされました。
ジャケに反映されているように、よりPierre Aderne & Alexia Bomtempo夫妻を前面に押し出すことが、新装盤の狙いかもしれませんえ。
ブラジル音楽ファンや『Astrolabio』に魅了された方は勿論のこと、ブラジル音楽をあまり聴かない方もスンナリと聴くことができる作品です。
アコースティックなブラジル音楽を聴きながら、年末年始を優しい気分で過ごすのはいかがですか?
全曲紹介しときやす。
「Quanto Tempo」
ラブリーなソフト・サンバでアルバムは幕を開けます。さり気ないけど実に気の効いた感じが大好きです。YouTubeにPierre & Alexiaのみの演奏がありました。
http://www.youtube.com/watch?v=sYdUMjBdalc
「Feira do Troca」
新たに追加された2曲の1つですが、アルバムで一番のお気に入りのソフト・サンバ。優しいアコースティック・サウンド&ヴォーカルに心癒されること間違いなし!
http://www.youtube.com/watch?v=xKqe9jzM2Ss
「O Canario e O Curio」
爽快なショーロ。Domenicoの弟であり、Fino ColetivoのメンバーでもあるAlvinho Lancellottiがヴォーカルで参加しています。Felipe Pinaudのフルートも涼しげ!
「Blackbird e Asa Branca」
Beatlesの名曲「Blackbird」のフレーズも聴ける興味深い1曲。フォーキーな味わいとブラジルならでの土着的な雰囲気が融合しているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=aqMfO0d9LEU
「No Meio do Caminho」
新たに追加された2曲のもう1曲。Pierre & Alexiaの息の合ったヴォーカルにグッときます。
「Chuvisco」
雨の効果音をバックに、Alexiaが愛らしいヴォーカルを聴かせてくれます。マッタリ過ごしたい雨模様の時にはピッタリ。
「Olhos d’Agua」
何気ないけど、Pierre & Alexiaの魅力がジワジワと伝わってくるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=n0Fa-cvwYK0
「Valsa do Vestido」
「ドレスのワルツ」のタイトル通り、ワルツ調の仕上がり。
「O Que Sera Que Te Excita ?」
Luis Carlinhosがヴォーカルで参加しています。ブラジルらしい土着的なリズムが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=A5hDrwdHvjY
「Feito a Mao」
Wilson Simoninhaがヴォーカルで参加しています。フォーキーな味わいが魅力です。
http://www.youtube.com/watch?v=GlKUARDJ2iA
「Tava」
ラストは青春フォーキーって雰囲気で気持ち良く締めくくってくれます。
本作を気に入った方は、Alexia以外の関連アーティストの作品もどうぞ!
Pierre Aderne『Alto Mar』(2007年)
Dadi『Bem Aqui』(2008年)
Domenico+2『Sincerely Hot』(2003年)
Os Ritmistas『Os Ritmistas』(2007年)