2010年01月31日

Omarion『Ollusion』

"ザ・キング・オブ・ダンス"の3rdアルバム☆Omarion『Ollusion』
オリュージョン
発表年:2010年
ez的ジャンル:キング・オブ・ダンス系男性R&B
気分は... :Chris Brownに対抗できるのは、この男しかいない!

若手人気R&BシンガーOmarionの約3年ぶりの新作『Ollusion』です。

元B2Kリード・ヴォーカルであり、歌って踊れる人気R&BシンガーOmarionの紹介は、ソロ・デビュー・アルバム『O』(2005年)、2ndアルバム『21』(2006年)、若手人気ラッパーBow Wowとのコラボ『Face Off』(2007年)に続き4回目となります。

シンガー、ダンサー、俳優とあらゆる方面で進化し続けるOmarionですが、本作リリース前に契約を巡るゴタゴタに巻き込まれたようです。

B2K時代から所属のSonyを離れ、一度はLil WayneのレーベルYoung Moneyと契約しましたが、シングル「I Get It In」のリークがきっかけで契約を破棄します。そして自らのレーベルStarWorld Entertainmentを設立し、本作『Ollusion』のリリースにこぎつけた模様です。

Omarion本人は、"ザ・キング・オブ・ダンス"を名乗るOmarionだけあって、ダンサー/パフォーマーであることを強く打ち出した作品にしたかったようですね。そうした思いは先行シングル「I Get It In」をはじめ、いくつかの楽曲に鮮明に表れています。その出来栄えが従来のファンから支持されるかは賛否両論分かれるかもしれませんが...

個人的には、そうしたダンス系の楽曲よりも、美メロ系ミディアム〜スロウに惹かれていたので、本作でもそうした楽曲へ興味が向いてしまいます。その意味ではミディアム〜スロウ系はなかなか楽しめる作品になっていると思います。

プロデューサーには、Song Dynasty(Tankらのプロデュース・チーム)、Noel "Detail" Fisher、Tha Drummaz、253、Battle Roy、Maddscientist、兄貴分Marques Houstonらが起用されています。Omarion本人もNaruto's Melody名義で1曲プロデュース(Marques Houstonとの共同プロデュース)しています。

Chris Brownに対抗できるのは、この男しかいない!
(Chris Brownがソングライティングで参加している曲もあります)

全曲紹介しときやす。

「I Get It In」
アルバムからの先行シングルとして昨年リリースされていた楽曲。Gucci ManeをフィーチャーしたHip-Hopテイストのダンス・チューン。Gucci Maneは昨年はMario「Break Up」等多くのアーティストのシングルでフィーチャーされていましたね。本曲は当初Lil Wayneをフィーチャーしていましたが、そのヴァージョンがネットにリークされ、結局Young Moneyとの契約破棄につながったという、いわくつきの1曲です。

プロデュースはSong Dynasty(Tankらのプロデュース・チーム)が担当しています。ダンス・パフォーマンス映えする曲をシングルにしたかったのでしょうね。正直、僕の好みの楽曲ではありませんが、ダンス好きの方はPVも含めて楽しめるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=yD45JbnG2zQ

「Last Night (Kinkos) 」
Noel "Detail" Fisher/Tha Drummazプロデュース。彼らは兄貴分Marques Houston『Mr. Houston』(2009年)でも起用されていましたね。美しくも切ないピアノの響きが印象的な哀愁モードのミッド・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=5kJ6G7HgCuI

「Hoodie」
Jay Rockのラップをフィーチャーしたオート・チューン使いのダンス・チューン。「I Get It In」と同タイプの楽曲であり、Michael Jacksonへ捧げられています(PVのパフォーマンスを観るとMJへのトリビュートが伝わってきます)。"ザ・キング・オブ・ダンス"となるため、こうした楽曲が必要なんでしょうね?253プロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=cJTu-luBluU

「What Do You Say」
Battle Royプロデュースの美メロ・チューン。僕の一番のお気に入り。ロマンティックなトラックをバックに、Omarionが甘ぁ〜いヴォーカルを披露してくれます!ソングライターの一人としてChris Brownの名前もクレジットされています。
http://www.youtube.com/watch?v=n2ss1utp1IA

「Speedin'」
「I Get It In」に続くシングル。タイトルに相応しくレーシング・カー(?)の効果音も入っています。そんなスピード・モードのイメージに反して、曲自体は哀愁モードのミディアム・スロウですが(笑)。「O」「Ice Box」あたりがお好きなOmarionファンにはグッとくる仕上がりだと思います。253プロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=Rv9uIrI34tQ

「Temptation」
「What Do You Say」と並ぶお気に入り。女性によるスパニッシュな囁きやオリエンタル・テイストのサウンドも聴かれるミステリアスなミディアム・スロウ。ジワジワと高揚してくる感じがたまりません。253プロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=wjZ8Mw1X87I

「Sweet Hangover」
今時R&Bらしいオートチューン使いのエレクトロ・チューン。(ヴォコーダーは大好きにも関わらず)必ずしもオートチューン肯定派ではない僕ですが、この曲は大好きです!Omarionにはこういったタイプの楽曲がハマる気がします。Noel "Detail" Fisherプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=gGO9eYAArMs

「Thee Interlude」
1分強のインタールードですが、兄貴分Marques Houstonがプロデュース&参加しているロマンティックな仕上がりです。もっと長尺の楽曲に仕上げても良かったのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=9AmSbEn0ciU

「Wet」
Marques HoustonとOmarion(Naruto's Melody名義)の共同プロデュース。セクシー・モードのスロウ・チューン。この手のスロウがあと1、2曲あっても良かったのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=6_CnQHWwiJ0

「I Think My Girl Is Bi」
Maddscientistプロデュースのミッド・チューン。この曲はあまりOmarion向けではないかも?
http://www.youtube.com/watch?v=c4bs1YEQkWg

「Code Red」
この曲も「I Get It In」と同タイプ(253プロデュース)。どうしてもこのタイプ曲をやりたかったんでしょうね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=jLaY3XDNzI0

CDやインナーの裏にプリントされている王冠を被った"O"のロゴが"ザ・キング・オブ・ダンス"の意気込みを表しているのかもしれませんね。
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2010年01月30日

Donovan『Barabajagal』

Jeff Beck Groupとの共演を含む、Donovanの60年代最後を飾るアルバム☆Donovan『Barabajagal』
Barabajagal
発表年:1969年
ez的ジャンル:貴公子系サイケ・フォーク
気分は... :脳が甘いものを欲している...

ここ2日間ほど脳内がお疲れ気味!
僕の場合、何かあると肉体よりも脳に来るみたいです。

そのせいか、一日中脳が甘いものを欲しています。
ランチはおしるこ、おやつにかりん糖をほおばり...これから更に脳を活性化させる必要があるため、チョコで糖分補給中!

さて、UKフォーク界の貴公子Donovanの4回目の登場です。
Donovanの音楽はチョコで言えば、ビター・スウィートなガーナブラックといったところでしょうか。

これまで当ブログで紹介したDonovan作品は以下の3枚。

 『Sunshine Superman』(1966年)
 『Mellow Yellow』(1967年)
 『The Hurdy Gurdy Man』(1968年)

今回紹介するのは1969年リリースの7thスタジオ・アルバム『Barabajagal』です。Donovanの60年代最後を飾るアルバムですね。気品溢れるジャケが印象的です。

本作には1968年3月、5月、1969年5月のロンドン(オリンピック・スタジオ)、1968年11月のL.A.という4つのセッションでレコーディングされた楽曲が収録されています。

目玉は、同じMickie Mostがプロデュースしていた縁で、Jeff Beck(g)、Ron Wood(b)、Nicky Hopkins(key)、Tony Newman(ds)といったJeff Beck Groupのメンバーが参加した1969年5月のロンドン・セッションだと思います。

それ以外にDanny Thompson(b)、Tony Carr(ds)、Graham Nash(back vo)、Mike McCartney(back vo)、Alan Hawkshaw(p)、Harold McNair(fl)、Gabriel Mekler(key)、Ricki(g)、Bobby Ray(b)、Jim Gordon(ds)、Suzi Quatro(back vo)、Madeline Bell(back vo)、Leslie Duncan(back vo)がレコーディングに参加しています。 プロデュースはDonovan作品ではお馴染みMickie Mostです。

ファンキーなJeff Beck Groupとのセッション、前作『The Hurdy Gurdy Man』の雰囲気を引き継いだセッション、リラックスした雰囲気のL.A.セッションといったように、1枚の中で様々なDonovanを堪能できます。

改めて、Donovanのセンスの良さを実感できる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Barabajagal」
タイトル曲はJeff Beck Groupとの共演1曲目。Donovanらしからぬファンキーな演奏にサプライズ!シングル・カットされ、UKチャート第12位、USチャート第36位となりました(USでは「Goo Goo Barabajagal (Love Is Hot)」のタイトル)。Jeff Beck Groupのうねりまくるグルーヴ感もサイコーですし、Suzi Quatro、Madeline Bell、Leslie Duncanという豪華な女性バック・コーラス陣のソウルフルな歌声も本曲の魅力を高めています。一昨年、NORTHERN BRIGHTがカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=nvl9fE_4qxA

「Superlungs My Supergirl」
タイトル曲と並ぶ僕のお気に入り。キャッチーなブリティッシュ・ビート感とDonovanらしいサイケな雰囲気がいい感じで融合しているところが大好き!
http://www.youtube.com/watch?v=vrG8eg_txJI

「Where Is She」
前作『The Hurdy Gurdy Man』のアウトテイク。Harold McNairのフルートとAlan Hawkshawのピアノが醸し出す、ストレンジな叙情がたまりません。『The Hurdy Gurdy Man』がお好きな方ならば気に入るであろう1曲。

「Happiness Runs」
この曲も『The Hurdy Gurdy Man』のアウトテイク。Donovanらしいフォーキ・チューンです。中盤以降のGraham Nash、Mike McCartney(Paul McCartneyの弟)、Leslie Duncanの3人が加わったコーラスワークには相当グッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=-cGWTAe3M6U

本曲と言えば、Paul McCartneyがプロデュースしたMary Hopkinのカヴァー(アルバム『Postcard』収録)もチェックしたいですね。
Mary Hopkin「Happiness Runs」  ※音質悪いです!
 http://www.youtube.com/watch?v=vFKX979PrzE

「I Love My Shirt」
ここからはL.A.セッションが4曲続きます。小粋なピアノがなかなかいい感じです。

「The Love Song」
聴きやすく爽快な前半からファンキーな要素も加わる中盤以降と音の表情が変化していくのが楽しいですね。

「To Susan On The West Coast Waiting」
「Atlantis」とのカップリングでシングルとなりました(USでは本曲がA面)。抑えた雰囲気の反戦ソングに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=L4kP5N3I-WE

「Atlantis」
「To Susan On The West Coast Waiting」とのカップリングでシングルとなりました(UKでは本曲がA面)。詞の朗読に続いて、感動的な展開が待っています。
http://www.youtube.com/watch?v=eFapLCU46Gc

「Trudi」
Jeff Beck Groupとの共演2曲目。イントロはかなり期待させるのですが、この曲をJeff Beck Groupとやらなくてもいいじゃない?なんて思うのは僕だけでしょうか?

「Pamela Jo」
ラストもL.A.セッションより。「I Love My Shirt」同様、小粋な雰囲気がいいですね!楽しくお酒が飲めそうな雰囲気の演奏です。

最近のCDはボーナス・トラックも充実しているようです。
僕の保有するCDはオリジナル10曲のみなので未聴ですが(泣)
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2010年01月29日

Nuttin' Nyce『Down 4 Whateva』

ファンク・テイストの楽曲が魅力!Hip-Hop時代の女性R&Bグループ☆Nuttin' Nyce『Down 4 Whateva』
Down 4 Whateva
発表年:1995年
ez的ジャンル:Hip-Hop時代の女性R&Bグループ
気分は... :ルックスはブー!中身はグー!

今回は90年代半ばの女性R&Bグループ☆Nuttin' Nyce、唯一のアルバム『Down 4 Whateva』(1995年)です。

Nuttin' Nyceは、Onnie PonderEboni FosterTeece Wallaceの3人から成る女性R&Bグループであり、今日紹介するアルバム『Down 4 Whateva』と数枚のシングルをリリースしています。

Hip-Hop時代の女性R&Bグループですね。TLCSWVといったトップ・グループに続く二番手グループとして、XscapeTotal等とセットでよく聴いていました。

なので、近年のNuttin' NyceXscapeTotalらの作品に対する評価が不当に低いのは残念です。これらのグループの持つ90年代半ばの空気感は捨て難いところがありますからね。

特にNuttin' Nyceはファンク・テイストの楽曲が魅力でした。その点ではG-Funkの流れに乗った女性R&Bグループと言えるかもしれませんね。

ジャケを観てわかるように、メンバーはルックス面でもファッション面でもパッとしませんが、「Froggy Style」「In My Nature」をはじめ中身の方は今聴いてもなかなか楽しめると思います。

プロデューサーにはLarry "Rock" Campbell、K. Fingers等が起用されています。

全曲紹介しときやす。

「Jackin' for Men (Interlude) 」
インタールードその1。

「Down 4 Whateva」
タイトル曲は映画『A Low Down Dirty Shame』(1994年)のサントラにも収録され、シングルにもなりました。Soul II Soul「Back To Life」をサンプリングした歯切れの良いミッド・グルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=EzSWG-Yrta4

「Froggy Style」
オススメその1。本作のハイライトと言えば、ファンクネスたっぷりの本曲でしょう!Nuttin' Nyceの持つ魅力の全てが凝縮されたG-Funk時代のR&Bクラシック!Yarborough & Peoples「Don't Stop The Music」、George Clinton「Atomic Dog」The Gap Band「Shake」をサンプリングしたトラックがサイコーに格好良いですね!シングルにもなりました。
http://www.youtube.com/watch?v=GACSPBSRPAI

「Liquor Run (Interlude 2) 」
インタールードその2。

「U Anin't Gotta Lie to Kick It」
オススメその2。彼女達らしいナスティなR&Bチューンに仕上がっています。A Tribe Called Quest「Electric Relaxation」、Boogie Down Productions「Exhibit C」、「Check It Out」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=tkArdh7Mn6w

「En Tu Deep (Sticky Situation) 」
オススメその3。あまり話題にならない楽曲ですが、美メロのスロウ・チューンに仕上がっています。切ない恋心にグッときます!

「Bomb Stop (Interlude 3) 」
インタールードその3。

「Nasty Girl」
Prince殿下が送り出したナスティなガール・グループVanity 6の1982年のヒット曲をカヴァー。オリジナルほどのエロさはありませんが、程よくナスティな仕上がりが印象的です。この曲はMr. Leeがプロデュースしています。Mr. Leeと聴くと、R. Kellyとの「Hey Love」を思い出しますね。

R.Kelly & Public Announcement Feat.Mr. Lee「Hey Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=IPJviy3NmCU

「Don't Make Me Wanna Do U」
ヴォコーダー使いのバラード。ヴォコーダー好きの僕は気になります。

「Munchies at Roscoe's (Interlude 4) 」
インタールードその4。

「What Can I Say to You (To Justify My Love) 」
オススメその4。男性R&BグループHi-Fiveとの共演したミッド・グルーヴ。先輩Hi-Fiveに牽引され、彼女達も伸び伸びとしたヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=fmSygFY2nYg

「In My Nature」
オススメその5。シングルにもなったラブリー・グルーヴ。これでビジュアル面がもう少し洗練されていると、キュートな歌声の魅力が倍増してもっと人気が出たのになぁ(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=wqHSwO8aMlw

Blacksmithによるリミックスもなかなかグッド!
「In My Nature (Blacksmith Remix)」
http://www.youtube.com/watch?v=vmGt3WEajxY

「Show Me」
オススメその6。美メロのミディアム・スロウ。「En Tu Deep (Sticky Situation) 」と並ぶ僕の密かなお気に入り曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=BonkDlufrK0

「Goin' to the Mustang (Interlude 5) 」
インタールードその5。

「Gotta Get Mine」
なかなか小粋なトラックにグッとくるミッド・グルーヴ。

「Wandering Eyes」
オススメその6。ラップも披露するナスティ・モードのセクシー・グルーヴ。妖しげな雰囲気にグッときます!

「Proof Is in the Pudding」
ヴォーカル・グループとしての魅力を押し出したミディアム・スロウに仕上がっています。

「Boom Boom's Surprise (Interlude 6) 」
インタールードその6。

メンバーのうち、Eboni Fosterはソロ・アルバム『Just What You Want』(1998年)をリリースしています。

Eboni Foster『Just What You Want』(1998年)
Just What You Want
Eboni Foster「Crazy For You」
 http://www.youtube.com/watch?v=68dw5YFep4I
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2010年01月28日

Mark De Clive-Lowe『Six Degrees』

"西ロンドンのHerbie Hancock"のデビュー作☆Mark De Clive-Lowe『Six Degrees』
シックス・ディグリーズ
発表年:2000年
ez的ジャンル:西ロンドン系フューチャー・ジャズ
気分は... :親近感が湧いてきます!

"西ロンドンのHerbie Hancock"の異名を持つプロデューサー/キーボード奏者Mark De Clive-Loweの2回目の登場です。

『Journey 2 The Light』(2007年)に続き紹介するのは、彼のデビュー・アルバム『Six Degrees』(2000年)です。

西ロンドンのブロークン・ビーツ/クロスオーヴァー・シーンで活躍するMark De Clive-Loweですが、『Journey 2 The Light』を聴くまで、正直彼のことや彼が活躍する西ロンドンの音楽シーンの盛り上がりについては殆ど浦島太郎状態でした(泣)

しかしながら、本作や2008年リリースされた4HeroDegoとマルチ・キーボード奏者Kaidi Tathamによるユニット2000Black『A Next Set A Rockers』を聴いてから、"西ロンドン"が相当気になるようになりました。

その後、Reel PeopleColonel RedVanessa Freeman等の西ロンドン系アーティストの名前が他アーティスト作品の記事内で度々登場するようになり、ますます関心が高くなっている状態です。

ちなみに、Reel PeopleRasmus Faber『So Far』、Darien 『If These Walls Could Talk』Colonel RedMilano Jazz Dance Combo『Milano Jazz Dance Combo』Vanessa FreemanThe Baker Brothers『Transition Transmission』『Avid Sounds』の記事に登場します。

そのせいで、『Two Pages』(1998年)でマイ・コレクションが止まっていた4Heroの2000年代以降の作品を購入したり、Reel People『Second Guess 』(2003年)、『Seven Ways To Wonder』(2007年)を最近頻繁に聴いたりしています。まだ未チェックですが、DegoとKaidi Tathamによるサイド・プロジェクトSilhouette Brownが今月リリースした新作『Two』も気になりますね。

話がかなり脱線しましたが、Mark De Clive-Loweに話を戻すと、本作『Six Degrees』(2000年)が彼のデビュー作となります。

ジャズをベースにドラムンベース、ハウス、ラテン、ブラジル、Hip-Hopなどがクロスオーヴァーされたクラブ・ジャズ・サウンドですが、大雑把に言えばクラブ・ジャズとドラムンベース/ハウスが融合し、ラテン、ブラジル、Hip-Hopなどがスパイスとして散りばめれている印象ですね。

Mark自身のキーボードを中心とした生サウンドと打ち込みサウンドのバランスが絶妙ですね。クラブ・ミュージック好き以外の人もスンナリ聴けるし、家で聴いても楽しめる作品だと思います。

ニュージーランド生まれですが、母は日本人ということで、CDのインナーには"マーク・ドクライヴロー"というカタカナ表記も書かれていて、日本人リスナーとしては親近感が湧いてきますね。

全曲紹介しときやす。

「Roundtrip」
オープニングはドラムンベースと70年代フュージョンが融合したNu Fusionといった雰囲気の仕上がりです。Markのローズが音世界をまさにラウンドトリップしています。Markと共にNuvonesiaのメンバーとして活動していたManuel BundyとSubmarinerがMarkと共同プロデュースしています。

「La Zorra」
"西ロンドンのHerbie Hancock"といった佇まいのMarkのキーボード・サウンド中心の近未来的なアーバン・サウンドを堪能できます。中盤のパーカッシヴな展開による緩急のつけ方もグッド!Manuel BundyとSubmarinerがMarkと共同プロデュースしています。

「Melodious Funk」
NZのHip-HopアーティストKing Kapisiをフィーチャーしています。ジャジーHip-Hop好きの人も気に入るジャジー&メロウな仕上がりです。Manuel BundyとSubmarinerがMarkと共同プロデュースしています。

「El Dia Perfecto」
僕の一番のお気に入り。シングルにもなったブラジリアン・フレイヴァーのフューチャー・ジャズ。開放的なブラジリアン・リズムと近未来的なメロウ・サウンドの組み合わせがサイコーです。MarkとSubmarinerの共同プロデュース。

「Cosmic Echoes」
NZの女性ヴォーカリストTeremoana Rapleyをフィーチャー。メロウなMarkのキーボードとキュートなTeremoanaのスキャットにグッとくる大人のクラブ・ミュージックに仕上がっています。MarkとJoost Langeveldの共同プロデュース。

「Day By Day」
シングルにもなり、Cafe Del Marのコンピにも収録されてました(実際に収録されていたのはDJ SpinnaによるRemixですが)。Cafe Del Marのイメージにピッタリの楽曲なのでは?サンセット・カフェで眺める美しい夕日のイメージがリンクしてくるバカンス・モードのクロスオーヴァー・ジャズに仕上がっています。Mark関連作品ではお馴染みの女性ヴォーカリストCherie Mathiesonをフィーチャーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=fmz4FpGEgSg

「Day By Day(DJ Spinna Remix Edit)」
http://www.youtube.com/watch?v=DwFza_uPGxM

「Restless」
生音重視のなかなかくつろげるフュージョン・テイストの仕上がりですが、スクラッチでアクセントをつけているのがらしいですね。MarkとSubmarinerの共同プロデュース。

「Mindscape」
「El Dia Perfecto」、「Cosmic Echoes」と並ぶ僕のお気に入り。この曲が一番西ロンドンのクラブ・ミュージックらしいのでは?ドラムンベースから進化したフューチャー・ジャズって感じがグッときます。MarkとJoost Langeveldの共同プロデュース。

「Control」
不穏な空気感の漂うダークなNu Jazzといった感じでしょうか。アコースティック・ベースの太いベース音が全体を引き締めている感じでいいですね。

「Pour La Manana」
Cherie Mathiesonのヴォーカルをフィーチャー。ラテン・フレイヴァーのパーカッシヴな雰囲気が僕好みです。

「Motherland」
ミステリアスな雰囲気の中にもメロウな香りが漂います。

「El Dia Perfecto(Reprise)」
ラストは「El Dia Perfecto」のリプライズです。

他のMark De Clive-Lowe作品もセットでどうぞ!

『Tide's Arising』(2004年)
Tide's Arising

『Journey 2 The Light』(2007年)
Journey 2 the Light
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2010年01月27日

Cold Blood『First Taste Of Sin』

Donny Hathawayプロデュースのベイエリア・ファンク人気作☆Cold Blood『First Taste Of Sin』
ファースト・テイスト・オブ・シン
発表年:1972年
ez的ジャンル:ベイエリア・ファンク
気分は... :ざっくり!

2日経ってしまいましたが、NFLのカンファレンス・チャンピオンシップはコルツとセインツが勝ち、2月8日(現地時間)のスーパーボウルでNo.1を争うことになりました。

残念ながら、応援していたバイキングスはOTの末敗れ、あと一歩で涙を呑みました。
負傷で足を引きずりながらプレーするファーブの姿は実に感動的であり、何とか勝たせてあげたかったのですが...まぁ、5ターンオーバーではバイキングスは勝てませんよねぇ。

一方のコルツはQBマニングを中心に強さを見せつけてくれました。
最初はジェッツの守備陣に手こずっていましたが、前半途中からアジャストしてしまうあたりがさすがマニングですね。プレーオフでレイブンズ、ジェッツという強力守備を誇る2チームを撃破してきた攻撃陣は本物ですな。

「コルツ対セインツ」の対決は、特に応援しているチーム、選手はいないので純粋にスーパーボウルならではのスーパープレーを楽しみたいですね。予想ではコルツの圧勝という気がするのですが...

今回はベイエリア・ファンクを代表するグループCold Bloodの3rdアルバム『First Taste of Sin』(1972年)です。

Cold Bloodは、オークランド出身のファンク・グループであり、Tower Of Powerと並ぶベイエリア・ファンクを代表するグループです。紅一点の女性リード・ヴォーカルLydia Penseをはじめ、白人/ラテン系のメンバーが中心です。

かのBill Grahamに認められ、彼のレーベルSan Franciscoからデビューを果たし、『Cold Blood』(1969年)、『Sisyphus』(1971年)という2枚のアルバムをリリースしています。

その後、Repriseから『First Taste of Sin』(1972年)、『Thriller』(1973年)、Warner Brosから『Lydia』(1974年)、ABCから『Lydia Pense And Cold Blood』(1976年)といったアルバムをリリースしています。

Janis Joplinを彷彿させるLydia Penseの圧倒的なヴォーカルとベイエリア・ファンクらしい迫力のホーン・サウンドが特徴ですね。

6枚のオリジナル・スタジオ作の中で人気なのは、『First Taste of Sin』(1972年)、『Thriller』(1973年)、『Lydia』(1974年)の3枚あたりなのでは?

今日紹介する3rdアルバム『First Taste of Sin』は、Donny Hathawayがプロデュースした作品として人気ですね。

本作のメンバーは、Lydia Pense(vo)、Bill Atwood(tp)、Rod Ellicott(b)、Max Haskett(tp、vo)、Danny Hull(ts)、Mel Martin(bs、ts、fl)、Sandy McKee(ds、vo)、Raul Matute(org、p)、Michael Sasaki(g)という9名です。

本作から日系人ギタリストMichael SasakiやBoz Scaggsのバンドにも在籍していたサックス奏者Mel Martinが加入しています。

プロデューサーのDonny Hathaway(p、org)以外にPate Escovedo(congas)、Coke Escovedo(timbales、per)等がゲスト参加しています。

Donny Hathawayがプロデュースということで、"ニュー・ソウル的な作品"という形容されますが、そうしたDonny Hathaway的な楽曲以外にDelaney & Bonnie風あり、Stax風ソウルあり、ラテン・フレイヴァーありとなかなかバラエティに富んだ内容になっています。もちろんベイエリア・ファンクらしいホーン・サウンドは随所で堪能できます。

個人的にはEscovedo兄弟が参加しているラテン・フレイヴァーの演奏が、ベイエリアらしくて好きです。

ベイエリアらしいファンキー・グルーヴとLydia Penseのパワフルなヴォーカルを堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Visions」
Lydiaのパンチのあるヴォーカルと自慢のホーン隊を堪能できるミッド・テンポのファンキー・グルーヴ。新メンバーのMichael Sasakiのギターもなかなか格好良いです。終盤のLydiaのヴォーカル、ホーン隊、Michael Sasakiのギターが絡む盛り上がりは圧巻です。
http://www.youtube.com/watch?v=C93Y6CoQxjw

「Lo And Behold」
James Taylorのカヴァー(オリジナルは『Sweet Baby James』収録)。ここではアーシー&ゴスペルなソウル・バラードに仕上がっています。

「Down To The Bone」
僕の一番のお気に入り。Escovedo兄弟の貢献が大きい、ラテン・フレイヴァーのソウル・グルーヴ。スワンピーなギター・ソロもあってサイコーに盛り上がります。後年のライブ映像がYouTubeにありました。
http://www.youtube.com/watch?v=9nDe2DZSo1I

「You Had To Know」
プロデューサーDonny Hathaway作のバラード。いかにもDonny Hathawayな感動的なバラードです。Lydiaのヴォーカリストとしての魅力を堪能するには最適の1曲なのでは?

「My Lady Woman」
Stax風のソウル・チューン。Lydiaのヴォーカルと充実のホーン隊を擁すれば、こういう曲をやりたくなるのはわかりますね。

「No Way Home」
「Down To The Bone」、「Inside Your Soul」と並ぶ僕のお気に入り。ファンキーな味わいの中に洗練された部分も感じるベイエリア・ファンクらしい仕上がり。ラテン・フレイヴァーがいいスパイスになっています。

「Inside Your Soul」
この曲も大好き!Donny Hathawayプロデュースらしいゴスペル&ニューソウルな仕上がりです。アルバムの中で最も
Cold Blood meets Donny Hathawayといった雰囲気の曲なのでは?

「All My Honey」
Lydiaのヴォーカルを前面に押し出したソウル・チューン。この曲もStax風ですね。

「Valdez In The Country」
Donny Hathaway作品のカヴァー。Donnyのオリジナルは名盤『Extension Of A Man』に収録されています。フリーソウル・コンピにも収録されていたレア・グルーヴ・クラシックです。インストですが、Cold Bloodらしい見事なホーン・アンサンブルを堪能できるファンキー・グルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=VYW8uGvyLis

本作を気に入った方は『Thriller』(1973年)、『Lydia』(1974年)もどうぞ!

前者はStevie Wonder「You Are The Sunshine Of My Life」Bill Withers「Kissing My Love」のカヴァーが人気ですね。Steve Cropperプロデュースの後者は「Ready to Live」が人気です。Lydiaのヴォーカルをメインで聴きたい方は一番グッとくるアルバムだと思います。

『Thriller』(1973年)
Thriller!

『Lydia』(1974年)
リディア
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