発表年:1970年
ez的ジャンル:ファンキー・グルーヴ系キッズ・ゴスペル/ソウル
気分は... :ボートラも必聴!
今回はN.Y.イーストハーレム出身のゴスペルグループThe Voices Of East Harlemのデビュー作『Right On Be Free』(1970年)の紹介です。
The Voices Of East HarlemはN.Y.イーストハーレムの養護施設で育った子供達を中心に結成されたゴスペル・グループ。メンバーは総勢20名程度いたようです。
グループは『Right On Be Free』(1970年)、『Brothers And Sisters』(1972年)、『The Voices Of East Harlem』(1973年、Curtis Mayfield/Leroy Hutsonプロデュース)、『Can You FeeI It?』(1974年、Leroy Hutsonプロデュース)といったアルバムをリリースしています。
僕が彼らの存在を知ったのは、1994年に発売されたフリーソウルのコンピ『Free Soul Action』でした。同作には「Cashing In」、「Wanted, Dead or Alive」、「Rare So Rare」の3曲が収録されており、アルバムの中でもかなり目立った存在でしたね。特にピチカートファイブ好きの僕にとっては「Cashing In」に相当グッときました(笑)。あとは「Take a Stand」も好きですね。
「Cashing In」(From 『The Voices Of East Harlem』)
http://www.youtube.com/watch?v=ui86hLc_Jds
「Wanted, Dead or Alive」(From 『The Voices Of East Harlem』)
http://www.youtube.com/watch?v=cmvpeCyipDY
「Take a Stand」(From 『Can You FeeI It?』)
http://www.youtube.com/watch?v=4OvVsIUWZ4U
そんな流れでいくと、Curtis MayfieldやLeroy Hutsonがプロデュースした『The Voices Of East Harlem』、『Can You FeeI It?』あたりに興味が湧くと思いますが、グループ本来の魅力という点ではデビュー作『Right On Be Free』も素晴らしい出来栄えだと思います。
他の作品と比較するとゴスペル・グループ色がかなり色濃く出ていますが、その分躍動する歌声とそれを盛り上げるファンキー・リズムを存分に堪能でき、高揚感も相当高まります。Chuck Rainey(b)、Richard Tee(org)、Ralph MacDonald(conga)、Cornell Dupree(g)といった名うてのミュージシャン達が参加しており、サウンド面でもバッチリです。
さらに現在リリースされている輸入CDにはオリジナル10曲に加えて、ボーナス・トラック11曲が追加されています。
そのうち7曲は何と!Donny Hathawayがプロデュースした未発表作品です。詳しいことは知りませんが、『Right On Be Free』に次ぐ2ndアルバム用にレコーディングしたもののお蔵入りになった模様です。ライナーノーツによると、『Nation Time』のタイトルになる予定だったみたいですね。
この7曲の出来栄えにもかなりグッときます!
Donny Hathawayらしいソウルフルな仕上がりで、『Right On Be Free』とは別の魅力に触れることができます。レコーディングにはPhil Upchurch(g)、Willie Weeks(b)、Fred White(ds)も参加しています。
その意味でオマケ的なボーナス・トラックとは異なる、2in1CD気分のお得感のあるボートラだと思います。
全曲紹介しときやす。
「Right on Be Free」
ゴスペルの持つ躍動感のあるヴォーカル&コーラスとソウルフルなファンキー・グルーヴが見事に融合したタイトル曲。Voices Of East Harlemの魅力が凝縮されたオープニングです。
「Simple Song of Freedom」
Bobby Darinのカヴァー。彼らにドンピシャの選曲という気がしますね。臨場感がダイレクトに伝わってくる仕上がりでゴスペルの素晴らしさを実感できます。
「Proud Mary」
Creedence Clearwater Revival(CCR)の大ヒット曲のカヴァー。本曲のカヴァーと言えば、Ike & Tina Turnerによるカヴァーが有名ですね。Voices Of East HarlemヴァージョンにもIke & Tina Turnerヴァージョンに負けない躍動感が溢れています。数ある本曲カヴァーの中でも最高峰の出来栄えだと思います。
「Music in the Air」
「Right on Be Free」同様、ファンキー・グルーヴをバックにゴスペル・ヴォーカル&コーラスの臨場感を堪能できる仕上がり。リズム隊がカッチョ良すぎです!
「Oh Yeah」
"ザ・ゴスペル!"といった趣です。自分もクワイアの一員として歌っているような高揚感が湧き上がります。
「For What It's Worth」
Buffalo Springfieldのカヴァー(Stephen Stills作)。なかなかシブい選曲ですが、ファンキーなグルーヴ感のカッチョ良さで言えば、アルバム随一かも?
「Let It Be Me」
The Everly Brothersのヒットをはじめ、数々のアーティストがカヴァーしているポピュラー・ソングですね。曲自体が大好きなので、本ヴァージョンもかなりグッときます。
「No No No」
アルバムの中では比較的ポップな仕上がりで聴きやすいと思います。シングルにもなりました。
「Gotta Be a Change」
ソウルフルな仕上がりに相当グッときます。ファンキーなオルガン・グルーヴと少し大人びたヴォーカルがいいですね。
「Shaker Life」
ラストはRichie Havens「Run Shaker Life」のカヴァー。僕の一番のお気に入りです。この躍動する歌声を聴いていると心も体も熱くなってきます!ボーナス・トラックにあるライブ・ヴァージョンと聴き比べてみるのも楽しいですよ。
前述のように現在のCDにはボーナス・トラック11曲が追加されています。
ハイライトとなるDonny Hathawayプロデュースの7曲は以下のものです。
「Oxford Town」
※Bob Dylanのカヴァー
「Sit Yourself Down」
※Stephen Stillsのカヴァー
「Nation Time」
※The Ebonysヴァージョンで知られるKenneth Gamble/Leon Huff作品
「I Wanna Be Free」
※ Richie Furay作品
「Hey Brother」
「Love Is the Answer」
「Kind Woman」
※Pocoのカヴァー(Richie Furay作)
それ以外に「Angry」、「(We Are) New York Lightning」「Run Shaker Life(Live)」、「Soul to Soul(Live)」の4曲が収録されています。