2010年01月10日

Carl & Joanne Barry『Holding On』

ブラジリアン・フレイヴァーの夫婦ジャズは実に小粋!☆Carl & Joanne Barry『Holding On』
ホールディング・オン
発表年:1982年
ez的ジャンル:ブラジリアン・フレイヴァー夫婦ジャズ
気分は... :気分はソウルですがジャズ・アルバムで...

昨日までNHK BSにて『ソウル・ディープ』という番組を6夜連続で放送していました。ご覧になった方も多かったのではと思います。

これはBBCが制作したドキュメンタリー・シリーズで、ソウルの歴史を6回に分けて振り返ったものです。

全6回の内容はこんな感じでした。

 第1回ソウル・ミュージックの誕生(Ray Charlesを中心に)
 第2回ゴスペルからソウルへ(Sam Cookeを中心に)
 第3回モータウン・サウンド(The Supremesを中心に)
 第4回サザン・ソウル(Otis Reddingを中心に)
 第5回ファンク革命(James Brownを中心に)
 第6回ヒップホップ時代のソウル(Mary J. Bligeを中心に)

ある程度の音楽ファンであれば、内容自体は特に目新しいものではなかったと思いますが、各回のテーマが明確で関係者本人の興味深い発言もあり、それなりに楽しむことができました。

個人的には最後に「ヒップホップ時代のソウル」という押さえがあったのが良かったですね。番組のメインで扱われたMJBのデビューから約19年が経ち、Hip-Hopが一過性のものではなくソウル・ミュージックの一部として根付いてから相当の時間が経過していることを改めて実感しました。

今さらこんな事書くと30代以下の人から大笑いされそうですが...MJBの影響力ってやはり大きかったんだなぁ、なんて思いながら先日紹介したばかりの新譜『Stronger with Each Tear』を聴き直してしまいました。

さて、今回はブラジリアン・フレイヴァーのジャズ・アルバムCarl & Joanne Barry『Holding On』(1982年)です。こんな流れにも関わらずソウル・アルバムじゃなくてごめんなさい(笑)

Carl & Joanne Barryは、ジャズ・ギタリストCarl BarryとCarlの奥方であるヴォーカリストJoanne Barryの夫婦デュオ。

Carl BarryはN.Y.ブルックリン生まれ。
The Carl Barry Trio名義での『Introducing The Carl Barry Trio』でデビューした後、同じくブルックリン生まれの女性ヴォーカリストJoanneと出会います。

そして、Joanneのアルバム制作をCarlがバックアップし、Joanne Barry with The Carl Barry Trio『This is Me!』としてリリースします。その後二人は夫婦となり、今日紹介するCarl & Joanne Barry『Holding On』(1982年)をレコーディングします。さらに、Joanne Barry名義で『Embraceable You』というアルバムもリリースしています。

彼らについて知っているのはこの程度です。本作以外は作品の録音・発表年は不明です。ごめんなさい。

今日紹介するCarl & Joanne Barry『Holding On』(1982年)はサバビーア・ファンにはお馴染みの1枚ですね。

Carlのセミアコ・ギターとJoanneのヴォーカルが織り成すブラジリアン・フレイヴァーのジャズ・アルバムに、サバビーア好きの人であれば相当グッとくるはずだと思います。

レコーディング・メンバーはCarl Barry(g)、Joanne Barry(vo)、Steve La Spina(b)、Eliot Zigmund(ds)、John Clay(ds)の5名。

よくJoyce Cooling『Cameo』がお好きな人にオススメ!といったレコメンド・コメントをよく目にしますが、同じ"ブラジリアン・フレイヴァー"でもJoyce Cooling『Cameo』のようなフュージョン・アルバムではなく、スウィンギーなジャズ・アルバムといった印象が強いと思います。

愛らしいテディ・ベアのジャケのようにハッピー・モードになれる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Afternoon」
しっとりとしたオープニングから一気に疾走するブラジリアン・グルーヴへ。澄み切ったJoanneの歌声と軽やかに弾むCarlのギターにグッときます。

「Holding On」
哀愁のボッサ・チューン。ジャズ・ヴォーカリストらしいJoanneの艶やかなヴォーカルが魅力的です。

「Roller Coaster」
スウィンギーなクロスオーヴァー・チューン。小粋なCarlのギターとJoanneのスキャットの絡みがサイコー!ローラーコースターのように一気に突き抜けていきます。

「Love Is Stronger Far Than We」
原題「Fort Que Nous」。当ブログでも紹介したサントラ『Un Homme Et Une Femme(邦題:男と女)』収録曲のカヴァー(Pierre Barouh/Francis Lai作品)。そんな名曲をJoanneが英詞で雰囲気たっぷりのヴォーカルで聴かせてくれます。

「As I Look At The World」
本作のハイライト曲。サンバのリズムとジャズのスウィング感が見事に融合したライトタッチのブラジリアン・グルーヴ。聴いているだけで幻想的なハッピー・ワールドへ誘われます。Carlの鮮やかなギターにも注目です。

「Footprints」
Wayne Shorterの名曲カヴァー。当ブログではShorter自身のヴァージョン(アルバム『Adam's Apple』収録)やShorterも参加しているMiles Davisのヴァージョン(アルバム『Miles Smiles』収録)を紹介済みです。ここでは落ち着きの中にエレガントな雰囲気が漂うインスト・チューンとして演奏されています。

「Circles」
個人的には一番のお気に入り。クラブジャズ好きの人が聴けば、歓喜すること間違いナシ!の軽快な仕上がり。格好良すぎるなCarlのギターとJoanneのスキャットに魅了されっぱなしです。

「But You Are Gone」
ラストは哀愁バラード。ブラジル色の濃いアルバムですが最後はジャズ・アルバムらしく締めくくってくれます。

そう言えば、昨日同じNHK BSでQueen「Bohemian Rhapsody」に関する特集番組も放送していましたね。正直、Queenにはあまり思い入れのない僕ですが、結構面白い掘り下げ方で楽しめました。他のアーティスト・楽曲でも制作して欲しいですね。
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2010年01月09日

Pretty Ricky『Pretty Ricky』

メンバー・チェンジを経てようやくリリースされた3rd☆Pretty Ricky『Pretty Ricky』
Pretty Ricky
発表年:2009年
ez的ジャンル:マイアミ系R&B/Hip-Hopグループ
気分は... :エロR&B/Hip-Hop好きの人はぜひ!

今回はメンバー・チェンジを経て2009年11月にリリースされたPretty Rickyの3rdアルバム『Pretty Ricky』です。

マイアミ出身のR&B/Hip-HopグループPretty Rickyの紹介は、1stアルバム『Bluestars』(2005年)、2ndアルバム『Late Night Special』(2007年)に続き3回目の紹介となります。

Pretty Rickyは、Spectacular SmithDiamond "Baby Blue" SmithCorey "Slick'Em" MathisMarcus "Pleasure P" Cooperという兄弟&親戚4人による1ヴォーカル+3MCというユニークな編成で結成されました。

2005年にリリースしたデビュー・アルバム『Bluestars』は全米アルバム・チャート第16位、同R&Bアルバム・チャート第2位となり、1stシングル「Grind with Me」が全米シングル・チャート第7位、2ndシングル「Your Body」も同第12位という幸先の良いデビューを飾りました。

2007年にリリースされた2ndアルバム『Late Night Special』は全米アルバム・チャート、同R&Bアルバム・チャート共にNo.1に輝き、若手人気R&B/Hip-Hopグループのトップランナーの仲間入りを果たしました。

ここまでは順風満帆に進んできた彼らですが、リード・ヴォーカルのPleasure Pがグループを脱退したことで事態は一変します。Pleasure Pに代わり4Play(Christopher Myers)が加入し、グループはアルバム『Eighties Babies』をレコーディングしますが結局リリースされませんでした。その後Atlanticとの契約が切れ、4Playもグループもあっという間にグループを去るという苦境に立たされます。

そんな中でも新たにLingerieをメンバーに迎え、新作『Pretty Ricky』をレコーディングし、自らのレーベルBluestar Ent.からのインディー・リリースにこぎつけました。

一方、グループを脱退したPleasure Pは、当ブログでも紹介したソロ・デビュー作『The Introduction Of Marcus Cooper』(2009年)をリリースします。『The Introduction Of Marcus Cooper』は全米アルバム・チャート第10位、同R&Bアルバム・チャート第2位となり、同作からのシングル2曲も「Boyfriend #2」(全米R&Bチャート第2位)、「Under」(全米R&Bチャート第5位)のヒットを記録しました。

さらにアルバムは第52回グラミー賞のBest Contemporary R&B Albumにノミネートされ、シングル「Under」も同賞のBest Male R&B Vocal Performance及びBest R&B Songにノミネートされました。

Pretty Rickyは、1st『Bluestars』、2nd『Late Night Special』共に当ブログで大プッシュしてきた若手R&B/Hip-Hopグループでした。特にデビュー作『Bluestars』の記事はエントリーから数ヶ月間かなりのアクセス数があり、驚いた記憶があります。

『Bluestars』(2005年)
Bluestars

『Late Night Special』(2007年)
Late Night Special

そんなお気に入りグループだったので、Pleasure Pの脱退や『Eighties Babies』の発売中止に複雑な思いでしたが、とりあえず3rdアルバムがリリースされてホッとしています。

チャート上位を獲得し、グラミーにもノミネートされたPleasure Pの華々しいソロ・デビューと比較すると、インディー・リリースとなったPretty Rickyの再スタートは何とも地味ですが、中身は従来通りメロウなR&B/Hip-Hopを堪能できるのでご安心を!新リード・ヴォーカルのLingerieもセクシーなヴォーカルで頑張っています。

全体としてはスロウ・チューンのオン・パレードです。
基本はセクシー&メロウなR&Bであり、そこにPretty Rickyらしい少しワイルドなラップが絡んでくるといった感じです。マイアミの夜のような妖しく危険なエロさ漂ってきます。ヴォーカル・パートとラップ・パートの絶妙なバランスこそがPretty Ricky最大の魅力だと思うのですが、本作でもそのバランス感覚を存分に堪能できます。

キャッチーなアップ・チューンが殆どない点に物足りなさを感じる方もいるかもしれませんが、セクシー&メロウなR&B/Hip-Hop好きの方は結構ハマる出来栄えだと思います。

インディー・リリースのため、以前の作品やPleasure Pのように派手なチャート・アクションはありませんが、侮ってはいけない1枚だと思います。

エロR&B/Hip-Hop好きの人はぜひ!

全曲紹介しときやす。

「Intro.」
再スタートを飾ったグループの方向性を示唆するセクシー&メロウなイントロ。

「Say a Command」
アルバムからシングル曲。オートチューンを使ったセクシーなスロウ・チューンです。PVにからも再起を図るグループの意気込みが伝わってきますね。
http://www.youtube.com/watch?v=OBPNkiod2zo

「Mr. Goodbar」
Pretty Rickyらしい哀愁メロディ&コーラス&ラップにグッとくるスロウ・チューン。この曲もセクシー・モードで攻めまくります。
http://www.youtube.com/watch?v=WvdUgRjy5ds

「Tipsy in Dis Club」
アルバムに先んじてシングル・リリースされていた楽曲。ここでもセクシー・モード全開です。ラップとヴォーカルのバランス感覚がらしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=HGOpDuJLKQc

「Smash」
哀愁モードのスロウ。従来からのファンにとってはPretty Rickyらしさを感じることができる仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=2QAD7v-igaY

「Menage a Trios」
セクシー・メロウな楽曲が続きますが、アコースティックなアレンジでアクセントをつけています。
http://www.youtube.com/watch?v=rr5m8EwnvEQ

「Sticky」
少し下品な雰囲気のラップとメロウなヴォーカルのギャップがたまらないセクシー・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=ZKQ9tymvxio

「T.R.U.T.H.」
実にキャッチーな仕上がりでお気に入りです。ラップ、ヴォーカル共にPretty Rickyらしいと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=sNltjMQY3mo

「Doggystyle」
軽くスパニッシュ・フレイヴァーが効いた仕上がり。このあたりはマイアミのグループらしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=qLz_kdP5C9Q

「Lapdance」
僕の一番のお気に入り曲。アルバムで最もメロディアスな仕上がりが僕好みです。
http://www.youtube.com/watch?v=jVutdM_flVU

「Black」
哀愁モードがグッとくるスロウ。プロモーション用でヴォーカルをハイピッチ処理したヴァージョンもありますが、アルバム収録ヴァージョンの方がはるかに好きです。

「Discovery Channel (Wild Girl) 」
妖しく危険な雰囲気がマイアミの夜を連想させます。

「Prince Charming」
ダーティーな雰囲気のラップと美しいトラックのギャップがPretty Rickyらしいです。
http://www.youtube.com/watch?v=YDcUO7S91Ro

「Downtown」
ラストは少し雰囲気が変わり、ヴォーカル・グループに徹した正統派R&Bチューンに仕上がっています。この手の曲をもう2、3曲やっても良かった気もします。
http://www.youtube.com/watch?v=q121EH1sMnc

Pleasure P『The Introduction Of Marcus Cooper』を聴いた方はコチラも忘れないでくださいね!
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2010年01月08日

The Rolling Stones『Exile on Main St.』

Stones絶頂期の集大成!☆The Rolling Stones『Exile on Main St.』
Exile on Main St.
発表年:1972年
ez的ジャンル:Stones流ルーツ・ミュージック探求
気分は... :これぞStonesの最高傑作!

先日、世界的な女性写真家として活躍を続けるAnnie Leibovitzのドキュメンタリー映画『"American Masters" Annie Leibovitz: Life Through a Lens(邦題:アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生)』(2007年) を観ました。

Vanity Fair誌(Demi Mooreの妊婦姿ヌードも彼女の撮影)、Vogue誌での活動も有名ですが、音楽ファンにとってはRolling Stone誌時代の仕事(チーフフォトグラファー)が気になりますよね。映画の中でも彼女を一躍有名にしたRolling Stonesの1975年ツアー撮影の様子や、John Lennonの生前最後の撮影(撮影の数時間後に射殺)に関する回想などがあり、実に興味深かったですね。

そのせいでここ数日は気分がThe Rolling Stonesです。
紹介するのは『Exile on Main St.(邦題:メイン・ストリートのならず者)』(1972年)♪

これまで本ブログで紹介してきたStones作品は以下の8枚です(発売年順)。

 『December's Children (And Everybody's)』(1965年)
 『Aftermath』(1966年)
 『Between the Buttons』(1967年)
 『Beggars Banquet』(1968年)
 『Let It Bleed』(1969年)
 『Sticky Fingers』(1971年)
 『Black And Blue』(1976年)
 『Emotional Rescue』(1980年)

先ほどのAnnie Leibovitzのツアー撮影の流れでいけば、『It's Only Rock 'n' Roll』(1974年)を紹介すべきなのですが、個人的に(Stones作品の中で相対的に)それほど好きなアルバムではないので『Exile on Main St.』をセレクトしました。

『Beggars Banquet』(1968年)、『Let It Bleed』(1969年)、『Sticky Fingers』(1971年)、『Exile on Main St.』(1972年)の頃が、Stonesの絶頂期と考えるファンの方は多いと思います。僕もそんな一人です。

個人的に最も好きなStonesのアルバムは『Beggars Banquet』ですが、最高傑作という点では多くのStonesファン同様に『Exile on Main St.』を挙げたいですね。

決して派手なアルバムではありませんが、Mick JaggerKeith RichardsMick TaylorCharlie WattsBill Wymanの5人がブルース、カントリー、ソウル、ゴスペルなどを自分達のスタイルの中に上手く消化し、『Beggars Banquet』から始まったアメリカのルーツ・ミュージック探求が1つの到達点に達したことを示してくれる仕上がりです。そうしたルーツ・ミュージックを取り入れても、最終的にはどう聴いてもStonesサウンドになっているあたりに、バンドの成長と凄みを感じてしまいます。

Stones初のLP2枚組というあたりにもバンドの意気込みが感じられますね。

初めて本作を聴く方は、最初は地味な印象でピンとこないかもしれませんが、何度も聴くうちにワインの熟成のように味わいが増してくるはずです。

今さらですが、やはりStonesって凄いバンドですね。
そんなことを改めて実感できる名盤です。

全曲紹介しときやす。

「Rocks Off」
イントロのKeithのギターだけでもグッとくるオープニング。Stonesらしいカッチョ良さがいきなり全開です。Nicky Hopkinsのピアノ、Bobby Keys、Jim Priceがスワンプ・ムードを盛り上げてくれます。中間にサイケなパートが挟まれているのも面白いすね。名盤のオープニング相応しい高揚感を堪能しましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=Sqk1kdjk5o0

「Rip This Joint」
Bill Plummerのアップライト・ベースが加わった高速ロカビリー・チューン。この曲もキマりすぎですな。一気に畳み掛けらるようで約2分半の曲があっという間に終わってしまう感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=NehZl_X3hjQ

「Shake Your Hips」
ルイジアナ・ブルースの巨人Slim Harpoのカヴァー。オリジナルを尊重したカヴァーですが、それでもStonesらしさが醸し出されるのが凄いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=EVJUJxCQp0I

「Casino Boogie」
アルバムの中では比較的地味な存在かもしれないルーズなブギです。Keithの高音コーラスが目立っています。
http://www.youtube.com/watch?v=GXaqbdwI3Dc

「Tumbling Dice」
邦題「ダイスを転がせ」。アルバムで一番有名な曲であり、Stonesの代表曲ですね。UKシングル・チャート第5位、USシングル・チャート第7位のヒットとなりました。『Sticky Fingers』録音時のアウトテイク「Good Time Women」の改作です。

『Beggars Banquet』から始まった南部アプローチの1つの完成形と呼べる最高の出来栄えなのでは?このルーズなノリと芳醇なコクのあるサウンド&ヴォーカルにただただ聴き惚れるだけですね。Mickのヴォーカルも最高ですが、Venetta Fields、Clydie Kingらのゴスペル風女性コーラス隊にも相当グッときます。Venetta FieldsはSteely Dan、Pink Floyd等のアルバムのバック・コーラスでも見かけますね。Clydie KingはRay Charlesのバック・コーラス隊The Raeletsの元メンバーです。
http://www.youtube.com/watch?v=6U8JlcB_BzA

後にLinda Ronstadtがカヴァーしていましたが、ご愛嬌ということで大目に見てあげましょう(笑)

ここでオリジナルLPのA面終了です。

「Sweet Virginia」
オリジナルLPのB面はアコースティックなカントリー・ブルースの色合いが強いパートです。『Let It Bleed』の「Country Honk」あたりと比較して、この手のスタイルを完全に自分達のものにした感じがしますね。
http://www.youtube.com/watch?v=DYFWus4QRUc

「Torn And Frayed」
ダウン・トゥ・アース気分を満喫できるカントリー・ブルース。密かに好きな1曲。Al Perkinsのペダル・スティールがいい味出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=0IWmETZCLHs

「Sweet Black Angel」
社会運動家の黒人女性Angela Davisを歌ったもの。初めて本作を聴いた時から強く印象に残っている曲です。アコギとギロ(ラテンの打楽器)、マリンバという素朴なバックによるカリビアン・フレイヴァーがいいのかも?
http://www.youtube.com/watch?v=ZGPLB-n9WkY

「Loving Cup」
1969年7月のBrian Jones追悼コンサートで「Give Me A Drink」のタイトルで演奏されていた曲の完成形です。Nicky Hopkinsのピアノが印象的なゴスペル・タッチの仕上がり。久々に聴いたらかなりグッときました。
http://www.youtube.com/watch?v=mWdA5IH26Wo

ここでオリジナルLPのB面終了です。

「Happy」
オリジナルLPのC面はKeithがリード・ヴォーカルをとるご機嫌な名曲からスタート。シングルにもなりました。Keithのヨレヨレ・ヴォーカル最高です!成熟したStonesを堪能できるアルバムですが、この曲だけはいつ聴いても初々しさを感じてしまいます。不思議ですね!
http://www.youtube.com/watch?v=I9Yqs6amj_Q

「Turd On The Run」
なかなかノリの良いのアコースティック・ブルース。Mickのハープがキマっています。
http://www.youtube.com/watch?v=nZPb9bZizto  

「Ventilator Blues」
Stones流ブルースの成熟度を実感できる1曲。このへヴィネスと粘りのあるリズムが何とも魅力的ですね。この曲ではMick、Keithと共にMick Taylorが作者としてクレジットされています。
http://www.youtube.com/watch?v=0wEvKIrGcNI

「I Just Want To See His Face」
「Ventilator Blues」から切れ間無く突入するヴードゥー調の楽曲。こうした不気味でダークな雰囲気の曲もこの頃のStonesらしいかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=Op7I-vta8Io

「Let It Loose」
Dr. John(Mac Rebennack)もコーラスで参加しているゴスペル調バラード。味わい深いヴォーカル&バックコーラスがなかなかグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=NnSu2Ol1TSM

ここでオリジナルLPのC面終了です。

「All Down The Line」
オリジナルLPのD面は快調に飛ばすロック・チューンです。渋めの曲ばかりでなく、多少はこういう派手めの曲も欲しいですよね(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=c-trGCKataU

「Stop Breaking Down」
伝説のブルース・ギタリストRobert Johnson作のカヴァー。この曲は何と言ってもMick Taylorに注目ですね。Mick TaylorがStonesで最も輝いていた瞬間の1つなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=NnDpW5vpbDY

「Shine A Light」
ゴスペル調のバラード。ここでのピアノ&オルガンはBilly Preston、ドラムはJimmy Miller。相変わらず女性コーラス隊にグッときます。Mick Taylorのソロも目立っています。
http://www.youtube.com/watch?v=UPbozLRU3so

「Soul Survivor」
オリジナルLP2枚組の大作のエンディングを飾るのはミドルテンポのロック・チューン。Stonesらしいダーク&ソウルなグルーヴ感がなかなかグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=SJjvIKon3G0

こうした1曲ずつコメントしてみると、改めて濃密な全18曲であると実感してしまいます。
記事を書く前から2枚組なので各曲にコメントするの大変だなぁと思っていましたが、やはりいつもの倍のパワーが必要でした。書き終えて、エンジン切れ状態です(泣)

本作で1つの到達点に達してしまったStonesは、この後新たな方向性を模索することになります。

書き忘れていましたが、Robert Frankによるジャケ&内袋も素晴らしいですね。

キャロル『キャロル20 ゴールデン・ヒッツ』(1974年)では本ジャケをモチーフにしています。
キャロル20 ゴールデン・ヒッツ
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2010年01月07日

Yusef Lateef『Eastern Sounds』

大人気「Love Theme from "Spartacus"」収録☆Yusef Lateef『Eastern Sounds』
Eastern Sounds
録音年:1961年
ez的ジャンル:マルチリード系オリエンタル・ジャズ
気分は... :「Love Theme from "Spartacus"」の決定版!

今回は神秘的なマルチ・リード奏者Yusef Lateefの初登場です。

Yusef Lateef(本名:William Emanuel Huddleston)は、1920年テネシー州生まれ。テナー・サックス、フルート、オーボエ等の楽器を駆使するマルチリード奏者です。学生時代にイスラムに改宗し、Yusef Lateefを名乗るようになりました。

50年代後半よりSavoy、Prestige、Impulse、Atlantic等に数多くのリーダー作を残しています。東洋的なアプローチで独自の音世界を構築し、その崇高な演奏はJohn Coltraneにも影響を与えたそうです。89歳となった現在も健在の模様です。

謎めいたミュージシャンで作品群の全体像がわかりづらく、僕も今日紹介する『Eastern Sounds』(1961年)以外はあまり把握できていません(泣)

正統派ジャズ・ファンよりも、クラブジャズ、ジャジーHip-Hop好きの方から人気の高いミュージシャンかもしれませんね。

おそらく殆どの方が本作のハイライト曲「Love Theme from "Spartacus"」を通じて、Yusef Lateefに興味を持ったのではないかと思います。。

90年代からのリスナーは、ロンドンのクラブシーンでの再評価やその流れでレコーディングされたTerry Callierのカヴァー(アルバム『Time Peace』収録)で、若い世代の方はジャジーHip-Hopの人気ユニットNujabesのサンプリング・ネタとして「Love Theme from "Spartacus"」やYusef Lateefに辿り着くパターンだったのではと思います。

そんな大人気の「Love Theme from "Spartacus"」を収録したアルバムが『Eastern Sounds』(1961年)です。

メンバーはYusef Lateef(ts、oboe、fl)、Barry Harris(p)、Ernie Farrow(b、rabat)、Lex Humphries(ds)という編成です。Ernie Farrowが演奏するrabatとは民族楽器のようですが、僕は勉強不足でよくわかりません。楽器名からするとモロッコぽいですが...

Yusefのイメージとして語られるオリエンタル・ムードや「Love Theme from "Spartacus"」のスピリチュアルなムードがアルバム全体を支配するのは確かですが、ブロウするハードバップ、軽快なリズム、リリカルな演奏もあり、案外聴きやすいアルバムだと思います。

Yusefがテナー・サックス、フルート、オーボエと様々なリードを駆使するので楽しめるし、Barry Harrisの美しいピアノに聴き惚れることもできるのも魅力です。

まずは「Love Theme from "Spartacus"」をじっくり堪能し、その後他の演奏も楽しんでみるのがいいのでは?

全曲紹介しときやす。

「Plum Blossom」
YusefのフルートとErnie Farrowがrabatが絡む、素朴で不思議な音世界に誘われるオープニング。中盤のBarry Harrisのピアノでようやくジャズらしくなります。

「Blues for the Orient」
ブルージーなバップ。Ernie Farrowが本職のベースに持ち替え、Yusefのオーボエがオリエンタル・ムードを醸し出しています。

「Ching Miau」
ようやくYusefのテナー・サックスを聴けます。John Coltraneにも影響を与えたであろう崇高な演奏を堪能できます。息遣いも聴こえてくるのがグッときます。

「Don't Blame Me」
Dorothy Fields/Jimmy McHughが1933年に作ったスタンダード。ムーディーなYusefのテナーを聴けるアルバム中最も聴きやすい大人の夜のバラード。この手のバラードにはBarry Harrisのリリカルなピアノがばっちりハマりますね。

「Love Theme from "Spartacus"」
本作のハイライト。オリジナルはStanley Kubrick監督、Kirk Douglas主演の映画『Spartacus』(1960年)の挿入曲です(Alex North作)。数多くのアーティストがカヴァーしていますが、オリジナル以上にロンドンのクラブシーンで再評価が高まった本カヴァーが本曲の決定版でしょう。Yusefのオリエンタル・テイストの哀愁オーボエとBarry Harrisの美しいピアノが何ともグッとくる叙情的&神秘的なスピリチュアル・ジャズに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=BhqQFs7huwU

前述のようにNujabes「The Final View」のサンプリング・ネタです。また、本ヴァージョンを基準にその他のカヴァーを聴き比べるのも楽しいと思います。当ブログでの紹介済みのRamsey Lewis TrioBill EvansAhmad Jamalといった大物ジャズ・ピアニストのカヴァー、クラブ系リスナー向けのTerry Callier(リミックスも要チェック)、akiko、INO hidefumi、Quasarのカヴァー等いろいろ楽しめます。

Nujabes「The Final View」
 http://www.youtube.com/watch?v=-YtRMTfMqxs

Terry Callier「Love Theme from Spartacus」
 http://www.youtube.com/watch?v=gBEGcxpyTMU
Terry Callier「Love Theme from Spartacus (4hero Remix)」
 http://www.youtube.com/watch?v=CnXjVSr9j6g

Bill Evans「Love Theme from Spartacus」
 http://www.youtube.com/watch?v=NHKCUHESQTc
Bill Evans with Jeremy Steig「Love Theme from Spartacus」
 http://www.youtube.com/watch?v=zF54tio1PtQ
Ahmad Jamal「Spartacus Love Theme」
 http://www.youtube.com/watch?v=EFv7uVXJgp4
Carlos Santana「Love Theme from Spartacus」
 http://www.youtube.com/watch?v=ly6IxpYFbIY

akiko「Love Theme From Spartacus」
 http://www.youtube.com/watch?v=s_vAwKnFlQk
INO hidefumi「Spartacus」
 http://www.youtube.com/watch?v=eluZojnfioY
Quasar「Love Theme From Spartacus」
 http://www.youtube.com/watch?v=QSkgjRZzHts

「Snafu」
Yusefのテナー・ブロウ、軽快なリズム隊が格好良いハードバップ・チューン。クラブジャズ好きの人はグッとくるのでは?

「Purple Flower」
Yusefならではの崇高さに満ちた神秘的なバラード。思いは深いところへ...

「Love Theme from "The Robe"」
「Love Theme from "Spartacus"」に次ぐ注目曲。こちらも"愛のテーマ"です。オリジナルは1953年制作の映画『The Robe(邦題:聖衣)』の挿入曲です(Alfred Newman作)。軽やかなリズムをバックにYusefのフルートが優しげに響き渡ります。本作の聴きどころはYusef以上にBarry Harrisの美しいピアノでしょうね。もっと長尺でピアノ・ソロを聴いていたくなります。Nujabes「Feather」等のネタとしてもお馴染みですね。

Nujabes「Feather」
 http://www.youtube.com/watch?v=rrG0qkJgPZk
DJ Blockhead「Triptych Part 1」
 http://www.youtube.com/watch?v=PfjHG6AIH2I

「Three Faces of Balal」
ラストは再びErnie Farrowがrabatが登場。神秘的で妖しげなオリエンタル・ナイトといった雰囲気でアルバムは幕を閉じます。

Yusef Lateefに関して、本作以外は手付かず状態なのでゆっくり焦らずコレクションを増やしたいと思います。

『Cry! Tender』(1959年)
Cry!/Tender

『Into Something』(1961年)
Into Something

『The Three Faces of Yusef Lateef』(1962年)
The Three Faces of Yusef Lateef

『Psychicemotus』(1965年)
Psychicemotus

『1984』(1966年)
1984

『The Diverse Yusef Lateef』(1970年)
The Diverse Yusef Lateef
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2010年01月06日

Michael McDonald『No Lookin' Back』

魅惑のスモーキーヴォイス!ソロ第2弾☆Michael McDonald『No Lookin' Back』
No Lookin' Back
発表年:1985年
ez的ジャンル:スモーキーヴォイス系AOR
気分は... :グランジ止めてAORです!

今日は80年代USロックから1枚と思い、当初はNirvana『Bleach』(1989年)を予定していましたが、準備不足&気合い不足(?)だったので急遽変更し、全くベクトルの異なるMichael McDonald『No Lookin' Back』(1985年)にしました。グランジからAORへシフトしてしまうのが当ブログらしいかもしれませんね(笑)

後期Doobie BrothersのフロントマンMichael McDonaldの紹介は、ソロ1作目『If That's What It Takes』(1982年)に続き2回目になります。

ヒット・シングルI Keep Forgettin' (Every Time You're Near)を収録し、アルバム自体も全米アルバム・チャート第6位となった『If That's What It Takes』と比較すると、シングル・ヒットに恵まれずアルバムも最高第45位止まりだった本作は地味な印象を受けるかもしれません。

しかしながら、内容的にはAOR好きであれば十分楽しめるものです。
個人的には全9曲構成で7勝2敗の内容だと思っています。2敗はタイトル曲とラスト曲であり、そのタイトル曲を1stシングルに持ってきたのが本作の印象を悪くしている気がしてなりません。

レコーディングには、Michael McDonald(key)以下、David Pack(g、key)、Robben Ford(g)、Joe Walsh(g)、Nathan East(b)、Willie Weeks(b)、Jeff Porcaro(ds)、Randy Goodrum(key)、Michael Hanna(key)、Chuck Sabatino(key)、Paulinho Da Costa(per)、Cornelius Bumpus(sax)等が参加しています。

プロデュースはMichael McDonald とお馴染みTed Templemanです。

『If That's What It Takes』を気に入った方は、ぜひセットで揃えましょう!

全曲紹介しときやす。

「No Lookin' Back」
タイトル曲はKenny Logginsらとの共作であり、1stシングルにもなりました。Kennyヴァージョンはアルバム『Vox Humana』(1985年)に収録されています。軽快なロック・チューンですが、前述の通り正直僕好みではありません。それでもMichaelヴァージョンはMichaelのセンスで最後まで聴けます。耳障りなKennyヴァーションは1分も聴けないでしょう(笑)

「Bad Times」
アルバムからの2ndシングル。個人的にはオープニングのタイトル曲は余興でココからが本編の始まりだと思っています。本曲ではMichaelのソウルフルな持ち味を堪能できます。Joe Walshのスライド・ギターにもグッときます。

「(I'll Be Your) Angel」
Michaelらしさ全開のAORチューン。後期Doobiesや前作『If That's What It Takes』がお好きな人にとっては鉄板な出来栄えでしょう。

「By Heart」
David Packとの共作曲。独特の疾走感がたまりません。前作で一番好きな「That's Why」とセットで聴きたくなります。

「Any Foolish Thing」
この曲もAOR指数の高いミッド・チューン。Cornelius Bumpusのサックスもグッド!

「Our Love」
David Packとの共作によるロマンティックなバラード。他アーティストにもカヴァーされており、ある意味本作のハイライトかもしれません。Michaelのスモーキーヴォイスと実にマッチしています。

「(I Hang) On Your Every Word」
僕の一番のお気に入り曲。奥方Amy Hollandとの共作曲です。アルバム『On Your Every Word』収録のAmyヴァージョンは当ブログで紹介済みです。メロディ、ヴォーカル、アレンジ全てが"これぞMichael McDonald"といった感じがたまりません。

Amy Holland 「I Hang On Your Every Word」
http://www.youtube.com/watch?v=VrvYSfpFOXU

「Lost in the Parade」
AOR指数の高いミディアム・スロウ。Michaelらしいメロウ・ワールドが堪能できます。

「Don't Let Me Down」
ラストはタイトル曲に近いノリのアップ・チューン。オープニング同様僕の好みではありません。僕はいつもオープニングとラストを除く7曲構成で聴いています(笑)

その後も活動を続けているMichaelですが、僕の興味の対象は本作の翌年にリリースされたPatti Labelleとのシングル「On My Own」まででした。

当初予定のNirvana『Bleach』(1989年)は近々取り上げたいと思います。いきなり『Nevermind』(1991年)は気が重たいので『Bleach』から行くことにしました(笑)
posted by ez at 04:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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