発表年:1982年
ez的ジャンル:ブラジリアン・フレイヴァー夫婦ジャズ
気分は... :気分はソウルですがジャズ・アルバムで...
昨日までNHK BSにて『ソウル・ディープ』という番組を6夜連続で放送していました。ご覧になった方も多かったのではと思います。
これはBBCが制作したドキュメンタリー・シリーズで、ソウルの歴史を6回に分けて振り返ったものです。
全6回の内容はこんな感じでした。
第1回ソウル・ミュージックの誕生(Ray Charlesを中心に)
第2回ゴスペルからソウルへ(Sam Cookeを中心に)
第3回モータウン・サウンド(The Supremesを中心に)
第4回サザン・ソウル(Otis Reddingを中心に)
第5回ファンク革命(James Brownを中心に)
第6回ヒップホップ時代のソウル(Mary J. Bligeを中心に)
ある程度の音楽ファンであれば、内容自体は特に目新しいものではなかったと思いますが、各回のテーマが明確で関係者本人の興味深い発言もあり、それなりに楽しむことができました。
個人的には最後に「ヒップホップ時代のソウル」という押さえがあったのが良かったですね。番組のメインで扱われたMJBのデビューから約19年が経ち、Hip-Hopが一過性のものではなくソウル・ミュージックの一部として根付いてから相当の時間が経過していることを改めて実感しました。
今さらこんな事書くと30代以下の人から大笑いされそうですが...MJBの影響力ってやはり大きかったんだなぁ、なんて思いながら先日紹介したばかりの新譜『Stronger with Each Tear』を聴き直してしまいました。
さて、今回はブラジリアン・フレイヴァーのジャズ・アルバムCarl & Joanne Barry『Holding On』(1982年)です。こんな流れにも関わらずソウル・アルバムじゃなくてごめんなさい(笑)
Carl & Joanne Barryは、ジャズ・ギタリストCarl BarryとCarlの奥方であるヴォーカリストJoanne Barryの夫婦デュオ。
Carl BarryはN.Y.ブルックリン生まれ。
The Carl Barry Trio名義での『Introducing The Carl Barry Trio』でデビューした後、同じくブルックリン生まれの女性ヴォーカリストJoanneと出会います。
そして、Joanneのアルバム制作をCarlがバックアップし、Joanne Barry with The Carl Barry Trio『This is Me!』としてリリースします。その後二人は夫婦となり、今日紹介するCarl & Joanne Barry『Holding On』(1982年)をレコーディングします。さらに、Joanne Barry名義で『Embraceable You』というアルバムもリリースしています。
彼らについて知っているのはこの程度です。本作以外は作品の録音・発表年は不明です。ごめんなさい。
今日紹介するCarl & Joanne Barry『Holding On』(1982年)はサバビーア・ファンにはお馴染みの1枚ですね。
Carlのセミアコ・ギターとJoanneのヴォーカルが織り成すブラジリアン・フレイヴァーのジャズ・アルバムに、サバビーア好きの人であれば相当グッとくるはずだと思います。
レコーディング・メンバーはCarl Barry(g)、Joanne Barry(vo)、Steve La Spina(b)、Eliot Zigmund(ds)、John Clay(ds)の5名。
よくJoyce Cooling『Cameo』がお好きな人にオススメ!といったレコメンド・コメントをよく目にしますが、同じ"ブラジリアン・フレイヴァー"でもJoyce Cooling『Cameo』のようなフュージョン・アルバムではなく、スウィンギーなジャズ・アルバムといった印象が強いと思います。
愛らしいテディ・ベアのジャケのようにハッピー・モードになれる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Afternoon」
しっとりとしたオープニングから一気に疾走するブラジリアン・グルーヴへ。澄み切ったJoanneの歌声と軽やかに弾むCarlのギターにグッときます。
「Holding On」
哀愁のボッサ・チューン。ジャズ・ヴォーカリストらしいJoanneの艶やかなヴォーカルが魅力的です。
「Roller Coaster」
スウィンギーなクロスオーヴァー・チューン。小粋なCarlのギターとJoanneのスキャットの絡みがサイコー!ローラーコースターのように一気に突き抜けていきます。
「Love Is Stronger Far Than We」
原題「Fort Que Nous」。当ブログでも紹介したサントラ『Un Homme Et Une Femme(邦題:男と女)』収録曲のカヴァー(Pierre Barouh/Francis Lai作品)。そんな名曲をJoanneが英詞で雰囲気たっぷりのヴォーカルで聴かせてくれます。
「As I Look At The World」
本作のハイライト曲。サンバのリズムとジャズのスウィング感が見事に融合したライトタッチのブラジリアン・グルーヴ。聴いているだけで幻想的なハッピー・ワールドへ誘われます。Carlの鮮やかなギターにも注目です。
「Footprints」
Wayne Shorterの名曲カヴァー。当ブログではShorter自身のヴァージョン(アルバム『Adam's Apple』収録)やShorterも参加しているMiles Davisのヴァージョン(アルバム『Miles Smiles』収録)を紹介済みです。ここでは落ち着きの中にエレガントな雰囲気が漂うインスト・チューンとして演奏されています。
「Circles」
個人的には一番のお気に入り。クラブジャズ好きの人が聴けば、歓喜すること間違いナシ!の軽快な仕上がり。格好良すぎるなCarlのギターとJoanneのスキャットに魅了されっぱなしです。
「But You Are Gone」
ラストは哀愁バラード。ブラジル色の濃いアルバムですが最後はジャズ・アルバムらしく締めくくってくれます。
そう言えば、昨日同じNHK BSでQueen「Bohemian Rhapsody」に関する特集番組も放送していましたね。正直、Queenにはあまり思い入れのない僕ですが、結構面白い掘り下げ方で楽しめました。他のアーティスト・楽曲でも制作して欲しいですね。