2010年01月13日

Ron Sexsmith『Retriever』

魔法のメロディはいつ聴いても素晴らしい!☆Ron Sexsmith『Retriever』
Retriever
発表年:2004年
ez的ジャンル:魔法のメロディ系カナディアンSSW
気分は... :いつ聴いても感動的!

唐突ですが、作品のセレクトに関して今年は2000年代旧譜の紹介に力を入れたいと思っています。

昨年までの2000年代カテゴリーは新譜紹介が中心になってしまい、発売から少し時間が経過した作品や(ブログ開設前の)2000年代前半の作品を紹介しづらい側面がありました。今年から新譜は(まだ未設定ですが)"2010年代"カテゴリーで扱うため、ようやく2000年代カテゴリーでは旧譜を紹介しやすくなりました。

今日紹介するRon Sexsmith『Retriever』(2004年)もそんな1枚です。

カナディアン・シンガー・ソングライターRon Sexsmithの紹介は、『Other Songs』(1997年)、『Whereabouts』(1999年)に続き3回目になります。

以前の記事で彼のことを"90年代のJackson Browne"と形容したことがあります。Jackson Browneは僕にとって音楽ライフの原点と呼べるアーティストですが、そんなアーティストと一緒に語りたくなるほど、Ron Sexsmithの最初の3枚(※注)『Ron Sexsmith』(1995年)、『Other Songs』(1997年)、『Whereabouts』には魅了されました。
※注:インディ時代の『Grand Opera Lane』(1991年)はカウントしていません。

特別なことは何もしなくとも、素晴らしいメロディと実直な歌声があれば、そこに感動的な音楽が生まれることを実感させてくれる数少ないアーティストだと思います。素朴で誠実で自然体なところが大好きですね。

基本的に彼の作品はどれも一過性に終わらないエヴァーグリーンな魅力を持っていますが、2000年代の作品群の中では2004年にリリースされた本作『Retriever』が特に好きですね。

『Retriever』は、『Cobblestone Runway』(2002年)に続く6thアルバムです。その間に未発表曲等を集めた『Rarities』(2003年)をリリースしています。

前作『Cobblestone Runway』(2002年)に続きスウェーデン人プロデューサーMartin Terefeを迎えてのロンドン録音です。Ron Sexsmithの籠もった歌声はロンドンの曇り空が良く似合う??

Martin TerefeはShea Seger等のプロデュースで知られていますね。去年はBONNIE PINKも手掛けていました。現時点でのRonの最新作『Exit Strategy of the Soul』(2008年)でも再びMartinをプロデューサーに迎えており、二人の相性はかなり良いのでしょうね。個人的にはRon Sexsmithという最高の素材そのものの味を活かしつつ、そこにキャッチーな味わいを隠し味程度に加えるMartinのさじ加減が絶妙だと思います。

レコーディングにはイギリス人SSWのEd HarcourtやTravisのドラマーNeil Primroseなども参加しています。

なお、本作は前年に亡くなったJohnny CashJune Carter CashElliot Smithという3アーティストに捧げられています。

改めてRon Sexsmithというアーティストに惚れ直した1枚でした。
ぜひ魔法のメロディの堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Hard Bargain」
オープニングからRon Sexsmithワールド炸裂です。ファンの方はRonらしさ全開のイントロだけで"大当たり"を感じたのでは?穏やかなメロディと優しい歌声が聴く者の心を温かくしてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=rZUcxvt2q9s

「Imaginary Friends」
Ron Sexsmith、Martin Terefe両者の個性が上手く融合した仕上がり。Martin自らが弾くギター・サウンドが控えめながらも、Ronの魔法のヴォーカル&メロディをさらに魅力的なものにレベルアップしてくれます。

「Not About to Lose」
アルバムのハイライト曲かもしれませんね。この美しいメロディと素直な歌声があれば何も入りません!と言いつつ、ヴォーカル&メロディを際立たせているアレンジも素晴らしいですね。ロンドン録音らしく所々に英国の香りが漂ってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=HkQKkNq6JCE

「Tomorrow in Her Eyes」
Ronのピアノ弾き語りによる美しいバラード。ストリングスも入りますが仰々しくないのがいいですね。

「From Now On」
ロック調の力強いバッキングが印象的です。Ronの歌から勇気をもらいたい時や闘志を掻き立てたい時にはピッタリなのでは?心の中で何かがメラメラと湧き立ってきますよ!

「For the Driver」
シンプルなアコギによる弾き語り。この素朴さこそがRon Sexsmithですね。
http://www.youtube.com/watch?v=1O63LxxspcU

「Wishing Wells」
個人的には「Hard Bargain」、「Not About to Lose」、「How on Earth」と並ぶお気に入り。Martin Terefeの手腕が光るキャッチーなギター・ポップに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=ofUUUOQ98c8

「Whatever It Takes」
完成度の高さではアルバムでもトップクラスかもしれませんね。素晴らしいストリングス・アレンジが印象的です。個人的には洗練されすぎていてRonらしくない気もしますが(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=WS0HNg9-jnM

「Dandelion Wine」
Ronらしいヴォーカル&メロディを堪能できます。ストリングスもジワジワと盛り上げてくれます。個人的には本曲のようにゆっくり、じんわり高揚していくパターンが好きですね。

「Happiness」
アルバム中最もリラックスした雰囲気の仕上がり。どうしても憂い、哀愁モードの印象が強い人なので、こういうハッピー・モードの曲はアルバム全体でいいアクセントになると思います。

「How on Earth」
この曲も僕のお気に入りの1つ。前曲「Happiness」から一転する入り方に思わずハッとしてしまいます。名曲の雰囲気漂う魔法のメロディにうっとりしてしまいます。

「I Know It Well」
ラストはRonらしい優しく、穏やかな歌声で締めくくってくれます。

Ron Sexsmithを聴くと、ふと自分の中で忘れていたものを思い出したり、原点回帰できたります。不思議ですね。
posted by ez at 07:31| Comment(4) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする