2010年02月28日

Mario Rusca『Recreations in Jazz』

さすがは伊達男の国のジャズ!☆Mario Rusca『Recreations in Jazz』
Recreations in Jazz
発表年:1976年
ez的ジャンル:スタイリッシュ・イタロ・ジャズ
気分は... :直感大当たり!

今回はイタロ・ジャズ作品Mario Rusca『Recreations in Jazz』(1976年)です。

Mario Ruscaは1937年イタリア、トリノ生まれのジャズ・ピアニスト/アレンジャー/コンポーザー。詳しいキャリアは不明ですが、1959年には自身のトリオを組んでいたようです。

1971〜74年にはジャズ・バイオリンのパイオニアであるイタリア系アメリカ人ミュージシャンJoe Venutiと共にJoe Venuti's Jazz Groupを組んで活動していました。

詳しいディスコグラフィが不明なのでリーダー作品群の全体像を把握できていませんが、70年代あれば『Reaction』(1974年)、『Suspension』(1975年)、『Recreations in Jazz』(1976年)あたり、90年代であれば『Echo of Ego』(1991年)、 『Mario Rusca Trio』(1992年)、 『Caravan』(1997年)あたりが注目の作品のようです。

また、イタロ・ジャズを代表するサックス奏者であり、昨年惜しくも他界したGianni Bassoの名作『Quartetto Gianni Basso』(1981年)でMario Rusca Trioがバックを務めており、これもRuscaのキャリアを代表する1枚のようですね。

整理されたバイオグラフィ、ディスコグラフィがないので断片的な情報の羅列ですみません。これでもかなり調べたんですけど(泣)

考えてみれば、最近のクラブジャズ作品でイタリア人ミュージシャン関連の作品を所有していますが、昔のイタロ・ジャズの作品って全然持っていません。それ以前にイタロ・ジャズのミュージシャン、作品に関するインプットが全くなされておらず、手が出せない状態なのですが...一度時間を作って整理してみたいカテゴリーですね。

本作『Recreations in Jazz』のCD化に際しては、良質な音源発掘でラウンジ&イージーリスニング・ファンに支持の高いイタリアのレーベルRight Tempo内のレーベルEasy Tempoからリイシューされました。Easy Tempoと言えば、60〜70年代のイタリア産サントラ、イージーリスニング等を収録した人気コンピ『Easy Tempo』シリーズでお馴染みですね。多分、Vol.1〜10まで出ていると思います。

Right Tempo/Easy Tempoからのリイシューということで本作に注目された方も多かったのでは?

僕の場合、某中古CD屋の(ジャズ・コーナーではなく)ワールド・コーナーで掘り出し物を探している時に本作と出会いました。まずスタリッシュなジャケ・デザインが目に留まり、さらにジャケの右下にあるEasy Tempoレーベルのロゴを発見した段階でビビッときました。正直、Mario Ruscaの名前は知りませんでしたが、脳内では疾走するイタロ・ジャズが流れ、勝手に傑作だと確信していました(笑)

実際に聴いてみると、僕のイメージ通りのオシャレで小粋なジャズ・サウンドに思わずニンマリ...中古CD漁りの醍醐味ですね!

メンバーはMario Rusca(p、el-p)、Larry Nocella(ss、ts)、Paolo Tornelleri(b)、Paolo Pelegatti(ds)、Mauricio Chappetta(per)という構成です。

1976年作品とは思えないスタリッシュな仕上がりに、クラブジャズ好きの人はグッとくる1枚だと思います。

こういう国だからNicola Conteのようなセンスの持ち主が輩出されるのでしょうね!

全曲紹介しときやす。

「Smiling Harry」
オープニングはスピリチュアルな雰囲気でスタートしますが、疾走するRuscaのピアノが格好良いモーダル・チューンに仕上がっています。Larry Nocellaのサックスもよくブロウしています。

「Recreations」
タイトル曲はMauricio Chappettaのパーカッションのリズムが心地よく響く、スタイリッシュな仕上がりです。クラブジャズ好きの人ならばグッとくると思います。何も知らなければ、最近のクラブジャズと勘違いする人もいるのでは?

「Dynamic」
「Recreations」に続き、パーカッシヴな演奏です。Larry Nocellaのサックスに先導されて全体がジワジワ高揚してくる感じがいいですね。

「Black Safari」
タイトルの通り、アフリカン・リズムが特徴的な演奏です。Black Jazz Recordsやスピリチュアル・ジャズがお好きな人は気に入る1曲なのでは?

「Free Impulse」
僕の一番のお気に入り。小粋でグルーヴィーなワルツ調の演奏は、僕のイメージするイタロ・ジャズのサウンドと符合します。普通にクラブ・ジャズと一緒に聴きたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=fthSJgQ1iMo

「First Intuition」
「Free Impulse」「Bizarre」と並ぶお気に入り。スピード感とスウィング感がたまりません。特にPaolo Tornelleriのベースがサイコーですね。

「Joyette」
この曲が一番好きという方も多いのでは?ボッサ調の軽快なリズムとエレガントなRuscaのピアノの組み合わせがグッド!

「Astral Bird」
Ruscaのピアノ&エレピを駆使したエレガント&ミステリアスな雰囲気の演奏が印象的です。

「Intimate Waltz」
エレピによるイージーリスニング的な仕上がりです。

「Bizarre」
この曲も人気が高いのでは?疾走するピアノ・ジャズ。Ruscaのピアノ・プレイを堪能したい方にはグッとくるヒップな仕上がりです。

「High Street」
ブラック・ムーヴィーのサントラに入っていそうな仕上がり。Larry Nocellaのサックスが気持ちよくブロウしています。

「Well Balanced Jump」
ラストは伊達男の国らしく小粋に締め括ってくれます。

他のMario Rusca関連作品はCD化されているものが少ないようですが、以下の2枚はAmazonで扱いがあるようです。

Mario Rusca Trio『Echo of Ego』(1991年)
Echo of Ego

Gianni Basso『Quartetto Gianni Basso』(1981年)
Quartetto Gianni Basso

サントラ、ラウンジ、イージーリスニング好きの方は記事内で紹介した人気コンピ『Easy Tempo』シリーズをチェックするのも楽しいのでは?

『Easy Tempo』
Easy Tempo

『Easy Tempo Vol.2: the Psycho Beat』
Easy Tempo Vol.2: the Psycho Beat

『Easy Tempo Vol.3』
Easy Tempo 3

『Easy Tempo 4: Cinematic Theme』
Easy Tempo 4: Cinematic Theme

『Easy Tempo, Vol. 5: Slammin' Cinematic Experience』
Easy Tempo, Vol. 5: Slammin' Cinematic Experience

『Easy Tempo, Vol. 6: A Cinematic Jazz Experience』
Easy Tempo, Vol. 6: A Cinematic Jazz Experience

『Easy Tempo, Vol. 7: Bikini Beat』
Easy Tempo, Vol. 7: Bikini Beat

『Easy Tempo, Vol. 8: Cinematic Different Musical Horizons』
Easy Tempo, Vol. 8: Cinematic Different Musical Horizons

『Easy Tempo, Vol. 9: The Ultimate Cinematic Compendium』
Easy Tempo, Vol. 9: The Ultimate Cinematic Compendium

『Easy Tempo, Vol. 10』
Easy Tempo, Vol. 10
posted by ez at 06:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月27日

Adriana Evans『Walking With The Night』

これぞ2010年のアーバン・ソウル!☆Adriana Evans『Walking With The Night』
Walking With The Night
発表年:2010年
ez的ジャンル:最新アーバン・ソウル系女性R&B
気分は... :悔し涙をバネに...

昨日は大興奮で五輪女子フィギュアをTV観戦しました。
でも試合後はブルーな気分のままです...

金がキム・ヨナ選手、銀が浅田真央選手という結果は、現在の二人の実力からして妥当だと思います。しかし、浅田選手がノーミスで演技できず、悔し涙を流す結果になったことが残念ですね。

試合後のインタビュー中に涙をこらえきれない彼女の映像を観るたび、自分のことのように心が痛みました。でも、自身が納得できない演技といっても自己ベストの得点なんですよね!素晴らしい銀メダルだと思います。

それにしてもキム・ヨナ選手の演技は「ザ・パーフェクト」でしたね!
フィギュアの試合であれほど"パーフェクト"という言葉が似合う演技は観たことがありません。仮に浅田真央選手がノーミスで演技を終えたとしても、得点には大きな開きがあったはずです。

一方、フィギュアの採点方式が現状のままでいいのか!という疑問は感じます。
男子も4回転を跳んだプルシェンコが銀で、飛ばなかったライサチェクが金を獲得したことで議論になりましたよね。アスリート競技ということで考えれば、難易度の高い技の成功に対してより多くの得点を与えるべきではないかと思います。

素人の意見にすぎませんが、現行ルールが続くようであれば、難しい技で「加点」するよりも、それを回避して「減点」しないことを優先するプログラムが主流を占めるのではないかと思います。それで競技全体がエキサイティングになるのですかね???

今回はAdriana Evansの新作『Walking With The Night』(2010年)です。

日本で根強い人気を誇るアーバンな女性R&BシンガーAdriana Evansの紹介は、デビュー・アルバム『Adriana Evans』(1997年)に続き2回目になります。

1st『Adriana Evans』の後、『Nomadic』(2004年)、『El Camino』(2007年)といったアルバムをリリースしていますが、これら2枚はブラジル、ラテンのエッセンスも取り入れた日本人好みの作品に仕上がっていました。

日本での人気の高さは、DJ Deckstream「Memory of Melodies」(2007年、アルバム『Deckstream Soundtracks』収録)、Designed People「City Lights」(2009年、アルバム『Let's B Free』収録)といった日本人アーティスト作品への参加からも窺えます。

特に旦那のDred Scottと一緒に参加したDJ Deckstream「Memory of Melodies」は、僕の超お気に入り曲であり、これまで当ブログでも何度か紹介したことがあります。

DJ Deckstream Feat.Dred Scott & Adriana Evans「Memory of Melodies」
 http://www.youtube.com/watch?v=SD7YeZQgckQ
Ahmad Jamal「Dolphin Dance」ネタのトラックとAdrianaのアーバン・テイストのヴォーカルの相性がバッチリ!

Designed People Feat.Adriana Evans「City Lights」
 http://www.youtube.com/watch?v=TlQoRt3EtWU

こういった流れを見ると、純粋なR&Bファン以上に、ブラジル/ラテン、ジャジーHip-Hop、クラブ・ミュージックも含めたアーバン・サウンド好きに人気が高い女性シンガーかもしれませんね。

さて、新作『Walking With The Night』ですが、過去2作と比較すればソウル・ミュージックへ回帰した内容になっています。ただし、『Adriana Evans』のようなオーガニック・ソウルというよりも、ブラジル/ラテン、ジャジーHip-Hop、クラブ・ミュージック等を経由して辿り着いた最新型のアーバン・ソウルといった仕上がりになっています。

本作もこれまで同様、旦那様Dred Scott(クレジットではJonathan Scottになっています)のプロデュースによる夫婦タッグ作品になっています。

アーバン・ソウルというと80年代あたりのイメージかもしれませんが、2010年にもこんな素敵なアーバン・ソウルがあることを多くの方に知って欲しいですね!

全曲紹介しときやす。

「Waiting」
オープニングはDred ScottらしいHip-Hopビートのアーバン・メロウ・トラックでスタートします。アーバン・テイストの中に暖かい温もりを感じるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=zXbf38SfLwQ

「Walking With The Night」
タイトル曲は僕の一番のお気に入り。ラブリー・モードの軽快なメロウ・グルーヴは最近の僕のiPodヘビロテ曲です。DredやAdrianaのグッド・ヴァイヴがビンビン伝わってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=RZ2R68AInmU

「Surrender」
クラブ系リスナーはグッとくるであろう大人のパーティー・チューン。聴いていると、週末夜遊びしたい衝動に駆られます。
http://www.youtube.com/watch?v=OEwGJGagI-8

「Never Thought」
落ち着いた雰囲気の中で、Adrianaの艶やかなヴォーカルを堪能できる仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=MovB2iTWJ5g

「Asrtal Projection」
スキャット中心のインタールード的な曲ですが実に素敵な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=rXlNUwDKerc

「Suddenly」
ギターやヴァイヴの音色が印象的なジャジー・トラックをバックに、エモーショナルなAdrianaの歌声を聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=IxK2zUHWiM8

「Let You Get Away」
「Wheatherman」
70年代ソウルのヴァイヴに溢れた2曲。ソウル・ミュージック回帰という本作の狙いがよく表れています。特にStaxサウンドを意識した「Wheatherman」はソウル・ファンもグッとくる仕上がりなのでは?
「Let You Get Away」
 http://www.youtube.com/watch?v=dBksFnKeThI
「Wheatherman」
 http://www.youtube.com/watch?v=6qbgbqm5aAE

「Sooner Or Later」
「Walking With The Night」と並ぶ僕のお気に入り曲。アルバム中最もロマンチックな仕上がりです。最近、こういう雰囲気の曲ってあるようで意外に無い気がしまうs。
http://www.youtube.com/watch?v=tRJJmZ_cn1E

「El Sol (Extended Version) 」
前作、前々作の流れを汲むラテン・テイストのミディアム・グルーヴ。やはり、このテイストの曲は数曲欲しいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=8ainscIbCro

「Midnight」
タイトルの通り、ミッドナイト・モードの仕上がり。軽く哀愁モードなのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=IPOxxImjVO8

「Love Me On The One」
ラストはDred ScottらしいHip-Hopテイストのアーバン・メロウで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Xhb8TreGSEs

「Surrender(Cut Creator$ Remix)」
国内盤ボーナス・トラックとして、「Suddenly」のCut Creator$によるリミックスが収録されています。Cut Creator$はN.Y.在住のDJ SOULJAHと東京在住のトラックメーカーSUIからなるプロデュース・ユニット。個人的にはオリジナル以上に好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=poHuf74L8gM

未チェックの方は、『Adriana Evans』(1997年)、『Nomadic』(2004年)、『El Camino』(2007年)、Dred Scott『Breakin' Combs』(1994年)もどうぞ!

『Adriana Evans』(1997年)
Adriana Evans

『Nomadic』(2004年)
Nomadic

『El Camino』(2007年)
El Camino

Dred Scott『Breakin' Combs』(1994年)
BREAKIN COMBS
posted by ez at 02:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月26日

Matthew Sweet『In Reverse』

Matthewが創り出す二つの異なる世界の共存☆Matthew Sweet『In Reverse』
In Reverse
発表年:1999年
ez的ジャンル:モラトリアム系パワーポップ
気分は... :俺ってモラトリアム?

今日はメロディアスなパワーポップ作品をコンスタントに届けてくれるモラトリアム系ミュージシャンMatthew Sweetの3回目の登場です。

『Girlfriend』(1991年)、『100% Fun』(1995年)に続いて紹介するのは『In Reverse』(1999年)です。

前作『Blue Sky On Mars』(1997年)ではパワーダウンした印象がありファンを心配させたMatthewでしたが、レコード会社も移籍して見事な復調ぶりを示してくれたアルバムが本作『In Reverse』です。

印象的なジャケの絵は、アメリカの女流画家Margaret Keanが1963年に描いた「Yesterday's Dollhouse」です。

Matthewが彼女の熱烈なファンで、同作がインターネット上で売りに出されていることを知り、自ら購入したのだとか。Matthew Sweetという人の凝り性ぶりをよく表していますね!

小さくて見づらいかもしれませんが、「Yesterday's Dollhouse」では前方に若い女性、その後方にドールハウスが描かれています。Matthewはこれを新しいもの(女性)と古いもの(ドールハウス)の混在として捉えているようです。

そして、"In Reverse"というアルバム・タイトルも含めて、二つの異なる世界の共存というのがアルバムのテーマに置かれています。

このテーマはサウンドにも反映されていて、来るべき21世紀を見据えた最新パワーポップと60年代を中心としたノスタルジック・サウンドの共存を狙ったアプローチが随所で聴かれます。Brian WilsonやPhil Spectorあたりを意識したサウンドが目立ちます。

プロデューサーは『100% Fun』『Blue Sky on Mars』と続いたBrendan O'Brienと別れ、Matthew Sweet自身とペダル・スティールの名手Greg Leisz、旧知の仲であるFred Maher、名エンジニアJim Scottが起用されています。『Girlfriend』等をMatthewと共同プロデュースしていたFred Maher(元Scritti Politti)の復帰が嬉しいですね。

レコーディングには、Carol Kaye(b)、Jim Keltner(ds)といった大ベテランやVelvet CrushのRick Menck(ds) & Paul Chastain(g)等も参加しています。

ロック離れが激しいと言いつつ、Matthewの甘酸っぱいギター・ポップが大好きな僕って、やっぱりモラトリアムなのでしょうか?

全曲紹介しときやす。

「Millennium Blues」
オススメその1。タイトルが1999年作品らしいオープニング。サイケとPhil Spectorが合体した感じで逆回転のホーン隊とリヴァーヴ・サウンドが印象的なReverse & Reverbチューン。
http://www.youtube.com/watch?v=Rb3EfEdIyfU

「If Time Permits」
オススメその2。爽快感と幻想感が交錯する不思議な感覚の仕上がり。リヴァーヴ・ギターやモラトリアム系多重コーラスにグッとくるのでは?

「Beware My Love」
Matthew節全開といった感じのメランコリックなメロディラインにグッときます。このタイプがないとMatthew Sweet作品を聴いた気分にならない(笑)

「Faith in You」
Ric Menckのドラムによるビートが効いたパワーポップ。適度なハード感がグッド!

「Hide」
オススメその3。ホロ苦い青春の日々が思い出されるようなメロディに心打たれます。聴いていると、訳もなく涙腺がユルユルになるのはなぜでしょう?ここではJim Keltnerがドラムを叩いています。

「Future Shock」
フューチャーというよりノスタルジックな青春ギター・ポップ。僕の場合、このタイトルだとHerbie Hancockの同名異曲の方をイメージしてしまいますが...

「Split Personality」
60年代UKロック風のビート・ポップ。ライナーノーツによればKinks風を狙ったのだとか?Kinksってこんなにメロウじゃないと思うけど...

「I Should Never Have Let You Know」
60年代と70年代と90年代が入り混じっていますが、ポップであることには変わりありません(笑)

「Trade Places」
落ち着いた仕上がりです。わりと60年代風の音が多いアルバムなので、この70年代風の音に思わずホッとしてしまいます。

「What Matters」
オススメその4。ワンパターンと言われようが、このメロディ&ヴォーカルは抗しがたい魔力があると思います。逆回転ギターも効果的なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=y8geI-84xnE
※映像自体は全く関係のない赤ん坊ものみたいです。

「Write Your Own Song」
ポップな味わいのロックン・ロール。このクドさが好きな人にはたまわらい(笑)

「Worse to Live」
美しくも悲しいバラード。スケール感の大きな演奏と荘厳なコーラスが印象的です。

「Untitled」
アルバムの中では地味な曲ですが、逆にそのさり気ない感じが好きです。

「Thunderstorm」
ラストは9分を超える大作です。「Thunderstorm」「Even From My Eyes」「Yse」「Day In The Sun」という4曲を1つにまとめた組曲風の仕上がりです。個人的にはこうした大作風の作りって好きじゃないんですけど...

国内盤には、「Thunderstorm」 を構成する4曲のデモ・ヴァージョンがバラ状態で収録されています。
posted by ez at 02:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月25日

Third Wave『Here & Now』

ジャズ・コーラス&ソフト・ロック好きを魅了する5姉妹のピュア・コーラス☆Third Wave『Here & Now』
Here & Now
発表年:1970年
ez的ジャンル:ピュア&エキゾチック系女性コーラス
気分は... :不思議なスパイスが...

ここ数日のseesaaブログのメンテ長期化ですっかり下げモードです。
毎回思うのですが、seesaaってトラブル発生時の対応が下手ですね。

残念ながら、ユーザーが何に対してイライラしているのかという点を理解していないのでしょうね。

さて、今回はピュア&エキゾチックな1枚Third Wave『Here & Now』(1970年)です。

Third Waveは、GeorgieSteveReggieJamieJodyEnte5姉妹から成る女性コーラス・グループ。5姉妹はカリフォルニア在住のフィリピン系移民三世であり、"Third Wave"というグループ名はそれに因んだもののようです。

今日紹介する『Here & Now』(1970年)はグループ唯一のアルバムであり、ドイツの名門ジャズ・レーベルMPSからのリリースされたものです。レコーディングもミュンヘンで行われました。

本作のプロデュース&アレンジを手掛けたのはGeorge Duke。当時彼のトリオのベーシストであったJohn Heardが彼女達を見出した模様です。

レコーディングにはGeorge Duke Trio(George Duke、John Heard等)やStu Martin(ds)等が参加しています。

本作リリース時の5姉妹の年齢は13〜19歳であり、初々しい少女達のピュアな歌声が大きな魅力となっています。そんな彼女達の魅力を引き出すべく、
George Dukeのいい仕事ぶりも光ります。

ジャケはアシッドな雰囲気ですが、中身はジャズを基本にポップス、ロック、ソウル等の要素を取り入れた、間口が広く親しみやすいコーラス作品に仕上がっています。

その意味でジャズ・コーラス好きに加えて、ソフト・ロック好き、特にFree Designあたりが好きな人も相当グッとくる作品なのでは?

音にダイレクトに反映されているわけではありませんが、彼女達の持つエキゾチックな雰囲気が作品に不思議なスパイスを与えている気がします。

全曲紹介しときやす。

「Waves Lament」
オススメその1。ジャズ・ボッサのリズムをバックに彼女達の初々しい歌声が爽快に響き渡ります。緩急をつけたGeorge Dukeのアレンジもグッド!セルメン好きの人は間違いなく気に入ると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=cZUYcrOYrC8

「Niki」
オススメその2。John Heard作。ポップなメロディに思わずグッとくる!ソフト・ロック好きにはたまらない仕上がり。

「Maiden Voyage」
オススメその3。Herbie Hancockの名曲をカヴァー。原曲の持つモーダルな雰囲気を活かしながら、ミステリアスなコーラスを聴かせてくれます。彼女達の持つミステリアスな雰囲気と実にマッチしています。

「Got to Get You into My Life」
オススメその4。The Beatlesのカヴァー。軽快なアレンジ&ジャズ調ヴォーカルが初々しい躍動感を生み出しています。

「Stormy」
オススメその5。The Classics IVの名曲カヴァー。オリジナルの持つメロディアスな雰囲気を活かしたドリーミーなソフト・ロックに仕上がっています。Cafe Apres-midiのコンピにも収録されている人気曲です。

ここまでのオリジナルLPA面5曲が超強力です。

「Chloe」
Gus Kahn/Neil Moret作のスタンダード・カヴァー。モロにSwingle Singers風のジャズ・コーラスに仕上がっています。まぁ、MPS作品なのでこういう感じの曲は必須なのかもしれませんね(笑)

「Once There Was a Time」
メンバーのJamieによるオリジナル。アルバム中最も優しく包まれる雰囲気の仕上がりです。彼女達の持つピュアな魅力が伝わってくるのがいいですね。

「Eleanor Rigby」
The Beatlesのカヴァー2曲目。ドラマチックな展開が印象的です。必ずしも好きなアレンジではありませんが、コーラス・グループとしての実力を示すのに必要なのかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=d_ALqBYblJQ

「Don't Ever Go」
メンバーのReggieによるオリジナル。アコースティック・ギターの響きとピュア・コーラスの相性がバッチリ!

「Cantaloupe Island」
Herbie Hancockのカヴァー2曲目。ファンキーなアレンジをバックにいかしたスキャットを聴かせてくれます。

五輪女子フィギュアSPに興奮しました!
浅田真央、キム・ヨナ、ジョアニー・ロシェットという上位三選手の演技は観る者を魅了しましたね。また、演技終了後に見せた三者三様の表情も実に印象的でした。

明日のフリーも勝ち負けやメダル争い云々よりも、三選手がノーミスで終えて欲しいですね。それによって、浅田選手とキム選手を国民の期待という重圧から解放してあげたいし、ロシェット選手には天国のお母さんへ思いを届けて欲しいですね。

五輪女子フィギュア史上に残る名試合を目撃できる予感がしますね!

posted by ez at 02:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月24日

Reel People『Seven Ways To Wonder』

UKソウルとクラブ・ミュージックの見事な融合!☆Reel People『Seven Ways To Wonder』
Seven Ways To Wonder
発表年:2007年
ez的ジャンル:西ロンドン系クラブソウル
気分は... :遂に1,500回目

昨日からseesaaブログが長期メンテで全く更新ができませんでした。
昨日正午に終了予定でしたが、結局24時間以上の遅れ...しかも表示は遅いまま...

seesaaってこのあたりがイマイチなんですよねぇ!
目新しいサービスなんてどうでもいいから、もっと基本を見つめ直して欲しいですな。

今日のエントリーが区切りの1,500回目のエントリーとなります。
1,500回という数字を目の前にすると、なかなか感慨深いものがありますね。

当ブログの場合、日記というよりもデータベース・備忘録の色彩が強いので、エントリーが増えれば増えるほど面白くなってくると勝手に思っています。これからも僕自身が音楽を楽しむことを大前提に、年代・ジャンル問わずに広く作品を紹介していきたいと思います。また、新着エントリーのみならず過去エントリーも含めて楽しんでいただけれると嬉しい限りです。

さて、区切りのエントリーにセレクトしたのは西ロンドンの音楽シーンを牽引するユニットReel Peopleの2ndアルバム『Seven Ways To Wonder』(2007年)です。

先月のMark De Clive-Loweのエントリーでも書いたように、ここ数年僕の中で西ロンドン系アーティストの存在感が増しており、その中でも特に僕を虜にしているのがReel Peopleです。

Reel Peopleは西ロンドンを拠点に活動するクラブ・ミュージック・ユニット。

Oli Lazarusがスタジオ・エンジニアのTom Davidsonと出会い、2001年にPapa Recordsを設立し、シングル「Spiritual」をリリースしたのがグループの歴史の始まりのようです。

その後マルチ奏者Mike Pattoが加わったReel Peopleは2003年に1stアルバム『Second Guess』をリリースします。

アルバムにはDJ Spinna、Phil Asher、Bugz In The AtticのSeiji、Afronaughtといったクラブ・ミュージック系アーティストや、先日Cooly's Hot-Boxの記事で紹介したAngela Johnsonをはじめ、Vanessa Freeman、Dyanna Fearon、Shelley Nelson等の多彩なヴォーカリストが参加し、クラブ・ミュージックとUKソウルが融合した傑作アルバムに仕上がっています。

このデビュー・アルバムはリリース当時も高い評価を得ましたが、ハウス・レーベルのDefectedから収録曲の一部を差し替え、リミックスやライブ・ヴァージョンが追加された再編盤が2005年に再リリースされると、再び注目されることになります。特に追加収録された新曲「The Rain」は人気曲として多くのクラブ系リスナーを虜にしました。

そして、『Second Guess』再リリースの余韻が冷めぬうちにリリースされた2ndアルバムが本作『Seven Ways To Wonder』(2007年)です。詳細知りませんが、本作におけるメンバーはOli LazarusとMike Pattoの2人のみの模様です。

昨年リリースした『If These Walls Could Talk』が高い評価を受け、日本でも一気に知名度が上がった期待のUS男性R&BシンガーDarien、アシッド・ジャズ期から活躍するUK男性R&BシンガーOmar、『Second Guess』にも参加していたVanessa FreemanDyanna Fearonといったウエスト・ロンドンの歌姫たち、Incognito作品にフィーチャリング・ヴォーカリストとして参加したキャリアを持つImaniTony MomrelleJoy Roseの3名、さらに女性シンガーTasita D'Mourという『Second Guess』以上に多彩なヴォーカリストが参加しています。

そんな多彩なヴォーカリスト達の魅力を活かすべく、全体的にはよりUKソウル色が強くなった作品に仕上がっています。音楽性のバラエティにも配慮していた『Second Guess』に対して、本作ではクラブ・ミュージック経由ソウルの純度を高めることを重視している印象を受けます。

前作『Second Guess』からサウンド面での最大の変化は、生音の演奏を重視している点です。70年代フュージョン/ジャズ・ファンク・フレイヴァーの楽曲が多いのも目立ちますね。このあたりはMike Pattoの色がよく出ているのでは?

『Second Guess』同様、クラブ・ミュージックとUKソウルが融合した傑作だと思いますが、クラブ・ミュージック好き以外に、UKソウル好き、クラブジャズ好きの人も楽しめるアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Alibi」
オススメその1。オープニングはDarienのヴォーカルをフィーチャー。Stevie WonderテイストのDarienヴォーカルとトロピカル・フュージョン風のダンス・サウンドがマッチしたハッピー・モードのウエスト・ロンドン・ソウルに仕上がっています。モロに僕好みの1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=3joMq0awZ8g

国内盤ボーナス・トラックには日本でも人気の高いスウェーデン出身のハウス・クリエイターRasmus Faberによるリミックスも収録されているので要チェックです。
「Alibi (Rasmus Faber Remix) 」
http://www.youtube.com/watch?v=Z-guy3OAD4A

「Outta Love」
オススメその2。Omarのヴォーカルをフィーチャー。ソウルとジャズ・ファンクとクラブ・ミュージックが融合したUKソウルらしい仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=5go8RadaTdo

Omar(Omar Lye-Fook)は90年代前半アシッド・ジャズ期のUKソウルを聴いていた方にはお馴染みの男性シンガーですね。僕も『There's Nothing Like This』(1990年)、『Music』(1992年)、『For Pleasure』(1994年)の3枚は持っています。特にデビュー作『There's Nothing Like This』はよく聴きました。

「Amazing」
オススメその3。Imaani、Tony Momrelleの男女ヴォーカルをフィーチャー。Incognito作品にも参加するヴォーカリスト二人のソウルフルな側面を強調したアルバムの中でも特にエモーショナルな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=blk2BUS4vl8

ハウス好きの方はTarantulazによるリミックス(アルバム未収録)がオススメです。
「Amazing(Tarantulaz Mix)」
http://www.youtube.com/watch?v=EQyGxfvCU6c

「Rise & Fly」
オススメその4。Vanessa Freemanのヴォーカルをフィーチャー。西ロンドンの歌姫Vanessaの艶やかなヴォーカルの魅力を生かした幻想的かつドラマチックな仕上がりが印象的です。

「It Will Be」
オススメその5。再びTony Momrelleのヴォーカルをフィーチャー。パーカッシヴなリズムとフュージョン風の心地よいギター・サウンドがTonyのソウルフルなヴォーカルに上手く絡みます。
http://www.youtube.com/watch?v=Cew8_OzXxOI

後述する本作のリミックス・アルバム『Seven Ways to Wonder:The Remixes』にはKyoto Jazz Massiveによるリミックスも収録されています。こちらは疾走感溢れるクラブサウンドに仕上がっています。
「It Will Be(Kyoto Jazz Massive Remix)」
http://www.youtube.com/watch?v=Gx85SBQhlGI

「Perfect Sky」
Joy Roseのヴォーカルをフィーチャー。アルバム・ジャケの深遠なイメージとリンクする幻想的なグルーヴが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=w1vrqwHPXW4

「Ordinary Man」
ここではMike Patto自身がTasita D'MourとVanessa Freemanをバック・コーラスに従えてリード・ヴォーカルを務めます。そのMikeのキーボードを主体とした生音サウンドが印象的です。

「High」
オススメその6。Dyanna Fearonのヴォーカルをフィーチャー。ブラジリアン・フレイヴァーとウエスト・ロンドンらしさが融合したが爽快グルーヴが絶品です。Dyannaの声はD-Influence関連作品でも聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=WPY3kBMKyIs

「Anything You Want」
Tasita D'Mourのヴォーカルをフィーチャー。躍動感溢れるヴィヴィッドな仕上がりがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=X0uTk9hXcWs

「Upside」
オススメその7。Darienのヴォーカル2曲目。Darienのソウルフルなヴォーカルを引き立てるアーバン・ソウルなミッド・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=-x0-HaI90Oc

国内盤にはリミックス (Pete Kuzma Remix) も収録されています。また、前述のリミックス・アルバム『Seven Ways to Wonder:The Remixes』にはBugz In The Atticによるブロークンビーツ・リミックスも収録されています。
「Upside (Pete Kuzma Remix) 」
 http://www.youtube.com/watch?v=bkuqC7rux_c
「Upside (Bugz Upside Mix) 」
 http://www.youtube.com/watch?v=pKMRGnSJrU0

「Love Is Where You Are」
Tony Momrelleのヴォーカル3曲目。スケールの大きな疾走感とオーケストレーションを配したドラマチックな展開が印象的です。

「Outta Love (Reprise) 」
ラストは「Outta Love」のリプライズです。

国内盤にはボーナス・トラックとして、前述のように 「Alibi (Rasmus Faber Remix) 」 「Upside (Pete Kuzma Remix) 」 の2曲が追加収録されています。Rasmus Faberに関しては、当ブログで以前に紹介した『So Far』「THe Rain (Rasmus Faber Remix)」が収録されています。お持ちの方は再チェックしてみてください!

本作のリミックス・アルバム『Seven Ways to Wonder:The Remixes』(2008年)もリリースされています。4HeroBugz In The AtticRasmus FaberKyoto Jazz Massive等がリミックスを手掛けており、クラブ・ミュージック好きの方はチェックしてみては?

『Seven Ways to Wonder:The Remixes』(2008年)
Seven Ways to Wonder: The Remixes

未聴の方は1st『Second Guess』も素晴らしい作品なので、ぜひ聴いてみてください。

『Second Guess』※Defected盤CD
前述のDefected盤。「The Rain」が欲しい方にはオススメ!但し、オリジナル12曲から4曲がカットされているのでご注意を!
Second Guess

『Second Guess』 ※国内再発CD
オリジナル12曲+リミックス8曲の2枚組
セカンド・ゲス
posted by ez at 14:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする