2010年02月06日

Roman Andren『Color Green』

"スウェーデンのDeodato"待望の新作☆Roman Andren『Color Green』
カラー・グリーン
発表年:2010年
ez的ジャンル:北欧系ブラジリアン・グルーヴ
気分は... :今聴きたいメロウ・グルーヴがココに!

今回は"スウェーデンのDeodato"ことRoman Andren待望の新作『Color Green』です。

当ブログでも紹介した2ndアルバム『Juanita』(2007年)での北欧ブラジリアン・サウンドが大評判となり、2008年日本でもブレイクしたスウェーデン出身のキーボード奏者Roman Andren。さらに日本での盛り上がりに応えるかたちで、スタジオ・ライブ作『Juanita And Beyond: Live Studio Sessions』(2008年)がリリースされ、2009年の来日公演も大成功!という熱狂ぶりでしたね。

『Juanita』(2007年)
ファニータ
まだRoman Andren未体験の方は『Juanita』収録の「Bumblebee」を聴いていただければ彼の魅力が一発でわかると思います。
「Bumblebee」
 http://www.youtube.com/watch?v=bkrznn0Xjgw

『Juanita And Beyond: Live Studio Sessions』(2008年)
ファニータ・アンド・ビヨンド:ライヴ・スタジオ・セッションズ

"スウェーデンのDeodato"と評されるように、60〜70年代ブラジル音楽/フュージョンを彷彿させるアナログ感たっぷりのメロウ・グルーヴを21世紀北欧クラブ・ジャズの感性で創り上げたサウンドは、北欧クラブ・ジャズ大好き、ブラジル音楽大好き、70年代メロウ・フュージョン大好きという日本人リスナーの感性に見事にハマる音でしたよね。

昨年の『ezが選ぶ2009年の10枚』でも顕著でしたが、僕の最近の音楽ライフでは「北欧」「クラブ・ジャズ」「ブラジル」がキーワードになっています。そんな要素を全て備えていたアーティストがRoman Andrenです。

Roman自身が影響を受けたアーティストとして、ブラジル音楽ではDeodatoをはじめ、Antonio Carlos JobimWalter WanderleySergio MendesMarcos Valle等、フュージョン/ソウル系ではQuincy JonesRoy AyersBob JamesLonnie Liston SmithGeorge DukeMarvin Gaye等の名前を挙げています。

これらのアーティスト名を眺めただけでグッとくる人も多いと思いますが、それらの影響を大胆にチラつかせながらも2000年代らしいクラブ・ジャズの感性でまとめげたところが心憎いですね。

今回届けられた新作『Color Green』も、ファンの期待を裏切らない旧くて新しい21世紀北欧ブラジリアン・グルーヴを堪能できます。。前作同様、多くの曲がヴォーカル入りです。

一方で本作はアフロ色やソウルなど更に幅広い音楽性を披露してくれます。デビュー・アルバム『Ambessa's Dream』(2004年)ではブラック・ミュージック寄りのアプローチをしていたようなので、そのあたりも上手く融合したのかもしれませんね。

またコンセプチュアルな面では、イギリスの小説家Joseph Conradが1899年に書いた長編小説『Heart of Darkness(闇の奥)』からインスパイアを受けた作品らしいです。アフロ色が強いのはその影響でしょう。『Heart of Darkness(闇の奥)』はアフリカの象牙売買をめぐる人間の心の闇を描いたものであり、その意味でRomanがアルバムに込めたメッセージには奥深いものがあるのかもしれません。

しかしながら、とりあえずはその部分は置いておき、まずは心地良いメロウ・グルーヴを堪能すればいいと思います。

しばらくは毎日本作を聴き続けることになりそうです。

全曲紹介しときやす。

「Birth Of Eshu」
ジャケのイメージそのまま、エスニックな効果音も入ったジャングル・モードのオープニングです。サウンド的には壮大なスケール感を持ったアフロ・ブラジリアンなジャズ・ファンクといったところでしょうか。

「Piranha (The Buffalo Hunt)」
パーカッシブなアフロ・ブラジリアン・グルーヴ。きっとガラージ/トライバル系の音が好きな人が気に入るであろうインスト・チューンです。

「Captain's Sword」
Romanファンお待たせのライト&メロウなブラジリアン・グルーヴです。まさにDeodato好きの人であればど真ん中のフュージョンに仕上がっています。フルートの音色と女声スキャットが実に涼しげです。

「Always On The Run (To Love You)」
僕の一番のお気に入り。ここ数日毎日20回以上は聴いているヘビロテ曲です。一度聴けば、即スマイル・モードになれる極上メロウ・グルーヴです。Sergio Mendes+モータウン+Marcos Valleみたいなさじ加減がサイコー!この心地よいライト&メロウな疾走感はエンドレスで聴いていたいですね。

「Inside Life」
ミステリアス雰囲気のミッド・グルーヴ。ソウルフルな女声コーラスとファンキーなギター&キーボードが印象的です。

「Color Green (Part.I & Part.II) 」
タイトル曲は12分を超える大作。「Piranha (The Buffalo Hunt)」同様、ガラージ/トライバル系のアフロ・ブラジリアン・グルーヴです。

「My Ten Zillion Dream」
幻想的かつドラマティックな展開の仕上がり。特に中盤の壮大なサウンドの広がりには圧倒されます。思わずアフリカの広大な大地が思い浮かんできます。

「Sky Ride」
軽快なアフリカン・リズムを取り入れています。アルバム・コンセプトを反映している曲の1つかもしれませんね。

「Let It Out!」
「Always On The Run (To Love You)」と並ぶお気に入り曲。ライナーノーツにはモータウンやノーザン・ソウルへのオマージュという説明がありましたが、僕的にはメロウ・フュージョン的な心地よさを感じます。いずれにしてもポジティブ・モードになれる素敵な仕上がりです。

「People Make The World Go 'Round」
タイトルの通り、世界周遊フュージョンといったところでしょうか。

「Love Is Still Everything (With You) 」
ラストはロマンティックなボッサ・チューンで幕を閉じます。しかしながら、曲終了後に長い沈黙があり、最後に本作らしいエンディングが待ち構えています。

とりあえず僕は「Always On The Run (To Love You)」を中毒のようにリピートしている状態ですが、ある程度メロウ・グルーヴを堪能したならば、コンセプチュアルな面も含めて聴き込むとさらに興味が増すかもしれませんね。

これを機にRoman Andren関連作品をおさらいしたい方は、以前に紹介したIngela『All These Choices』(2009年)も再チェックしてみては?Ingela Jansson『Juanita』にも参加していたスウェーデン人SSWであり、『All These Choices』ではRomanがミックスを担当しています。

Ingela『All These Choices』(2009年)
オール・ディーズ・チョイシズ

話が逸れますが、前述のJoseph Conradの長編小説『Heart of Darkness(闇の奥)』は、Francis Ford Coppola監督の映画『Apocalypse Now(地獄の黙示録)』の原作なんですね。勉強不足で今まで知りませんでした。舞台を暗黒時代のアフリカからベトナム戦争下のカンボジアに置き換え、登場人物も象牙売買の代理人であったKurtz(クルツ)をMarlon Brandoが演じたKurtz(カーツ)大佐に置き換えたことを知り、より映画の全体像が鮮明になった気がします。そう思うと久々に映画が観たくなってしまいました。でも、注意しないと長い映画ですからね(笑)
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2010年02月05日

Quincy Jones『Smackwater Jack』

日本人にはお馴染み「Ironside(鬼警部アイアンサイド)」収録☆Quincy Jones『Smackwater Jack』
Smackwater Jack
発表年:1971年
ez的ジャンル:ブラック・ミュージック系ジャズ/フュージョン
気分は... :ウィークエンダーを観て怒られましたぁ(笑)

Quincy Jonesの2回目の登場です。

『Body Heat』(1974年)に続いて紹介するのは、1971年リリースの『Smackwater Jack』です。

本作『Smackwater Jack』『Walking In Space』(1969年)、『Gula Matari』(1970年)に続くA&M第三作であり、ジャズの枠から飛び越えてブラック・ミュージック的なアプローチを強めていく過程の作品です。

本作と言えば、日本人には馴染み深いアメリカの人気TVドラマ『鬼警部アイアンサイド』のテーマ曲「Ironside」でしょうね。

『鬼警部アイアンサイド』は日本語版も放送されていましたし、僕と同世代以上の方は『テレビ三面記事 ウィークエンダー』でもよく聴いたと思います。また、若い方にはQuentin Tarantino監督の映画『Kill Bill(キル・ビル)』でお馴染みかもしれませんね。昔、タモリが出演していた日本テレコムのCMでも使われていました。

僕の場合、『鬼警部アイアンサイド』は子供の頃に番組(日本語版)を放送していたことは憶えていますが、番組を観た記憶がありません。一方、低俗番組として当時評判だった『ウィークエンダー』は親に怒られながらもよく観ていましたね。なので、僕にとっての「Ironside」は長い間、"ウィークエンダーの曲"という位置づけでしたね。その後洋楽を聴くようになり、本曲がQuincy Jones作品だと知った時には少し意外でしたね。

プロデューサーはQuincy JonesPhil RamoneRay Brownの3名。

参加ミュージシャンはArthur Adams(g)、Eric Gale(g)、Freddie Robinson(g)、Jim Hall(g)、Joe Beck(g)Carol Kaye(b)、Chuck Rainey(b)、Bob Cranshaw(b)、Ray Brown(b)、Grady Tate(ds)、Paul Humphries(ds)、Bobby Scott(key)、Bob James(key)、Jaki Byard(key)、Joe Sample(key)、Monty Alexander(key)、Dick Hyman(key)、Paul Beaver(syn)、Edd Kalehoff(syn)、Jimmy Smith(org)、Milt Jackson(vib)、Toots Thielemans(g、harmonica、whistle)、George Devens(per)、Larry Bunker(per)、Freddie Hubbard(flh)、Marvin Stamm(flh)、Hubert Laws(fl、ts)、Jerome Richardson(ss、ts)、Harry Lookofsky(vln)、Valerie Simpson(vo)、Bill Cosby(vo)等の豪華メンバーです。

「Ironside」以外にもTV、映画の主題歌が2曲、Carole KingMarvin Gayeという(当時)旬のアーティストのカヴァー2曲、Vince Guaraldi、Ray Brownというジャズ・アーティスト作品が2曲、ブルース・ギターの変遷をまとめたユニークなオリジナル1曲といったように、Quincyの幅広い音楽ワールドを堪能できる作品です。

参加メンバーの顔ぶれで想像がつくように、『Body Heat』あたりと比べると、まだまだジャズ色が強いアルバムですが、サウンドを聴けばよりブラック・ミュージックへの接近を志向していたことが実感できると思います。

『Body Heat』(1974年)、『Mellow Madness』(1975年)あたりと並んで、Quincyワールドの真髄を堪能できるアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Smackwater Jack」
タイトル曲はCarole Kingのモンスター・ヒット・アルバム『Tapestry』(1971年)の収録曲のカヴァーです(Gerry Goffin/Carole King作品)。グルーヴ感がサイコーのファンキー・カヴァーに仕上がっています。Valerie Simpsonをはじめとするソウルフルなバック・コーラスやToots Thielemansのハーモニカ等をバックに、Quincy本人がヴォーカルを披露してくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=fLmp-tCUQIE

「Cast Your Fate to the Wind」
ジャズ・ピアニストVince Guaraldi作品。Vince Guaraldi Trioのオリジナルも絶品ですが、メロウ・フュージョンに仕上がっている本ヴァージョンもなかなかの出来栄えです。Eric Gale(g)、Bobby Scott(p)、Marvin Stamm(flh)のソロがフィーチャーされています。

Vince Guaraldi Trio「Cast Your Fate to the Wind」
 http://www.youtube.com/watch?v=ADPgTmca6Zs

「Ironside」
前述の『鬼警部アイアンサイド』のテーマ曲。これだけインパクトのあるドラマティックな楽曲に仕上げてしまうのがQuincyの才能なのでしょうね。ホーン・アンサンブルばかりに聴き入ってしまいますが、Jerome Richardson(ss)、Freddie Hubbard(flh)、Hubert Laws(fl)と続くソロ・パートも堪能しましょうね。
http://www.youtube.com/watch?v=rwDL4WPoOrw

本曲はAbove The Law「Untouchable」、「Murder Rap」、Chaser「Sides of Iron」、Da Lench Mob「You & Your Heroes」、Dr. Dre feat. Group Therapy「East Coast/West Coast Killas」、Kool Keith「Lost In Space」、Poor Righteous Teachers「Rappin' Black」、Positive K「Step Up Front」、Rob Swift「Dope On Plastic (Large Professor Remix)」等のサンプリング・ネタとしても定番ですね。Large Professor好きの僕としては、Rob Swift「Dope On Plastic (Large Professor Remix)」にグッときます。

Rob Swift「Dope On Plastic (Large Professor Remix)」
 http://www.youtube.com/watch?v=kI34rXo7qrY

「What's Going On」
Marvin Gayeの名曲カヴァー。ヴォーカルはQuincyとValerie Simpson。Hubert Laws(fl)、Freddie Hubbard(flh)、Milt Jackson(vib)、Toots Thielemans(harmonica、whistle)、Jim Hall(g)、Harry Lookofsky(vln)のプレイがフィーチャーされています。お馴染みの名曲をQuincyがどのように調理し、それに名立たるプレイヤー達がどのように応えているのかを楽しみましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=g4gOwXSh8to

「Theme from "The Anderson Tapes" (From The Anderson Tapes)」
Sidney Lumet監督、Sean Connery主演の映画『The Anderson Tapes(邦題:盗聴作戦)』(1971年)のテーマ曲。ムーグの音色が印象的なクライム・サスペンス映画の主題歌らしいスリリングな仕上がりです。Milt Jacksonのヴァイヴもフィーチャーされています。
http://www.youtube.com/watch?v=x3ICTkdfMlw

「Brown Ballad」
Ray Brown作品。Bobby Scott(p)、Toots Thielemans(harmonica)、Jim Hall(g)の美しい演奏に魅了されるバラードです。

「Hikky-Burr」
偉大な黒人コメディアンBill Cosbyがホストを務めた「The Bill Cosby Show」のテーマ曲であり、Bill Cosby本人がヴォーカルで登場します。個人的にはアルバムで一番格好良いファンキー・グルーヴだと思います。Above The Law「Livin' Like Hustlers」、DJ Smurf「Ooh Lawd」等でサンプリングされています。
http://www.youtube.com/watch?v=r_Rppe_MyM8&feature=fvw

「Guitar Blues Odyssey: From Roots to Fruits」
ラストはタイトルの通り、ブルース・ギターの変遷を楽しめる"ギターの玉手箱"状態です。Eric Gale、Jim Hall、Toots Thielemans、Joe Beckという4人のプレイを楽しむことができます。

「Ironside」を聴くと、『Kill Bill』が観たくなりますね。
『Kill Bill』と言えば、先ほどまで『Kill Bill』に出演していた栗山千明も出演していた、古田新太主演の映画『小森生活向上クラブ』(2008年)を観ていました。古田新太、栗山千明共に大好きな僕なので、このブラック・コメディー映画もなかなか楽しめました。栗山千明ほど唇がセクシーな日本人女優はいないと思うのですが...
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2010年02月04日

Ana Costa『Novos Alvos』

新世代サンバの旗手の2ndアルバム☆Ana Costa『Novos Alvos』
Novos Alvos
発表年:2009年
ez的ジャンル:サンバ・ノヴァ系女性シンガー
気分は... :リオのカーニヴァル!

少し前にリオのカーニヴァル(2/13〜16)に関するニュースを観たら、気分はブラジル・モードへ...ここ数日新旧ブラジル音楽のアルバムをCD棚からランダムに引っ張り出してアレコレ聴いています。そんなモードにならなくてもブラジル音楽を聴く頻度が高い最近の僕ですが(笑)

そんな中で当ブログで紹介する機会を逸していた素敵な1枚を思い出しました。

新世代サンバを担う期待の女性シンガーAna Costaの2ndアルバム『Novos Alvos』(2009年)です。

購入時から記事にしようと思っていながらエントリーする好機を逃していました(泣)。数ヶ月ぶりに聴きましたが、やはり素晴らしい作品だと再確認し、ようやくエントリーにこぎつけました。

Ana Costaはリオのサンバ・シンガー。90年代後半よりライブハウスへ出演するようになり、大御所サンバ歌手Martinho da Vilaとその娘Mart'naliaとの交流を深めたようです。そして、2006年にデビューアルバム『Meu Carnaval』(2006年)リリースし、次世代サンバ・シンガーとして高い評価を得ました。

次世代サンバ・シンガーと言っても、少し前に紹介したIlessiあたりと比較すると、かなりキャッチーでブラジル音楽好き以外の方でも聴き易い作品に仕上がっていると思います。

プロデュースはAle SiqueiraMarisa Monte、Arnaldo Antunes、Carlinhos Brownによるユニット『Tribalistas』(2002年)、Marisa Monte『Infinito Particular』(2006年)等も手掛けたサウンド・クリエイターです。

女性サンビスタAna Costaのナチュラルな魅力に、Ale Siqueiraのサウンド・センスが加わり、さらに音楽性を広げた次世代サンバ作品と呼べるのでは?

恩人でもあるMartinho da Vilaをはじめ、Carlinhos Brown、Celso Fonseca、Moska、Leila Pinheiro等がゲスト参加しています。

ジャケのAnaの表情のように、清々しい気分となる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Samba Cria Lei」
オープニングはCarlinhos Brown作品によるアフロ・サンバ。Carlinhos自身がヴォイス・パーカッションが参加しています。カーニヴァル気分になるパーカッション隊の軽快なリズムにグッときます。ただし、リオのカーニヴァルというより、リオ+バイーアのカーニヴァルといったところでしょうか。

「Novos Alvos」
タイトル曲が僕の一番のお気に入り。Ana CostaとMart'nalia、Zelia Duncanの共作によるメロウ・サンバ。ブラジル音楽好き以外の方でもメロウな楽曲がお好きな方ならばグッとくるスタイリッシュな仕上がりです。Marcos Suzanoのパーカッションによるライトなグルーヴ感もグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=RF1gAdQlXCM

ブラジルのソウル・ディーヴァPaula Limaもアルバム『Sinceramente』(2006年)で取り上げています。こちらのヴァージョンも絶品です。
Paula Lima「Novos Alvos」
http://www.youtube.com/watch?v=oGGzzMhDII4

「Coisas Simples」
Martinho da Vilaとのデュエット。Claudio Jorge/Elton Medeiros作の哀愁サンバですが、Vilaのヴォーカルがシブすぎます。
http://www.youtube.com/watch?v=tazhq01hYDE

「Batendo Perna」
Ana CostaとJorge Agriaoの共作による明るく、軽快なサンバ・チューン。

「Cronica de uma Cidade Armada」
Celso Fonseca作。Celso Fonseca自身がギター&コーラスで参加しています。Celsoは前作『Meu Carnaval』のタイトル曲も提供していました。治安が悪化するリオの窮状を歌うシリアス・モードの仕上がりです。

「Almas Gemeas」
Luiz Tatit作。Moskaとのデュエットですが、不思議なリズム&音空間に吸い込まれそうです。聴けば聴くほど魅了されます。

「Antiga」
Ana CostaとZelia Duncanの共作。先輩の女性MPBシンガーLeila Pinheiroとのデュエットです。落ち着いた品のある仕上がりがいいですね。クラリネットやフルートも入ったアレンジが抜群です。
http://www.youtube.com/watch?v=7eqPwGzDLlA

「Estrando」
Mario Lago Filho/Delcio Carvalho作。ロマンティックな仕上がりがいいですね。Itamar Assieri のピアノとNando Duarteのギターにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=ll6aY1FFI7U

「E Vai Que Da」
Marceu Vieira/Tuninho Galante作。Carlinhos 7 Cordasの7弦ギターとMarcelo Caldiのアコーディオンが印象的です。

「Caderneta - A Minha Nega」
サンバ・メドレー。リラックス・モードでの楽しそうなレコーディング風景が思い浮かびます。

「Que Ama Mamae」
ラストはMartinho da Vila作品。パーカッション・アンサンブルを前面に押し出したアフロ・サンバです。

1stアルバム『Meu Carnaval』もセットでどうぞ!

『Meu Carnaval』(2006年)
メウ・カルナヴァル
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2010年02月02日

Style Council『The Cost Of Loving』

黒人音楽への接近を推し進めた3rd☆Style Council『The Cost Of Loving』
Cost of Loving
発表年:1987年
ez的ジャンル:Paul兄貴流ブルーアイド・ソウル
気分は... :ついついグラミーを観てしまい...

自分自身で予想していた通り、興味ない!なんて言いながら、昨日はついついグラミーを観てしまいました。

まぁ、誰が何を受賞したということには全く興味がなく、パフォーマンスのみに注目していたのですが、まぁまぁ楽しめました。

Black Eyed PeasのパフォーマンスのバックでDavid Guettaが地味に映っていたのが悲しかったですね。堕落したBEPなどより遥かに旬のアーティストだと思うのですが。あとは Jamie Foxx & T-Painのオートチューン使いまくりのパフォーマンスの最中に、昨年「D.O.A (Death of Auto-Tune)」をリリースしたJay-Zの姿を客席から抜いていたのが面白かったですね。

一方、目玉とされていたMJトリビュートは面白みに欠けましたね。もう少しサプライズがあっても良かったのでは?

最後の締めの一言がJohn Legendだったのが、何かモヤモヤ感があって笑えました。

今日はグラミーとは全く無縁なPaul Wellerが率いたStyle Councilの3rdアルバム『The Cost Of Loving』(1987年)です。

久々のスタカンですね。The Jamやソロも含めて、長い間Paul Weller関連作品の紹介を怠っていました。兄貴!ゴメンなさい...

Paul兄貴Mick Talbotと組んで結成した"スタイル評議会"Style Councilの紹介は、『Cafe Bleu』(1984年)、『Our Favorite Shop』(1985年)に続き3回目になります。

『Cafe Bleu』『Our Favorite Shop』はよく聴いていたけれど、『The Cost Of Loving』はあまり印象がない...そんなアルバムあったけ?という方は意外と多いのでは?

本作『The Cost Of Loving』や次作『Confessions Of A Pop Group』(1988年)は前2作と比較して、圧倒的に聴かれる頻度が低いと思います。かく言う自称"スタカン大好き"な僕もモロにそんな傾向です。

『The Cost Of Loving』はUKアルバム・チャート第2位になっているにも関わらず、地味な印象があるのはなぜでしょうね。

本作『The Cost Of Loving』では、Paul兄貴とMick Talbotの二人に加え、Dee C. Lee(vo)(当時の兄貴の奥方) とSteve White(ds)もメンバーとしてクレジットされ、4人体制となっています。サウンド的には前2作以上に黒人音楽へ接近した仕上がりになっています。逆に前2作で聴かれたボッサな作風の楽曲は消えてしまいました。今聴き直すと、ミニ・アルバム『Introducing The Style Council』(1983年)あたりの雰囲気に近いかもしれません。

本作で兄貴がこだわったのはミキシングです。
黒人ソウル・デュオThe Valentine Brothers、Cameo「Word Up!」のエンジニアを務めたMatthew Kasha、さらには大御所Curtis Mayfieldまで起用しています。

まぁ、リミックスが注目が集まった時期とはいえ、ミキシングに止まらず共演すれば良かったのに!なんて思うのは僕だけでしょうか?

久々に聴いたら、リアルタイムで聴いた時とずいぶん異なる印象を受けました。多分、当時はブルーアイド・ソウル的な感覚では聴いていなかったのでしょうね。

その意味でかなり楽しめました。
しばらく聴いていなかった作品をたまには聴き返すのも大切ですね。

全曲紹介しときやす。

「It Didn't Matter」
シングルとしてUKチャート第9位となったヒット曲。日本ではマクセルのCM曲にもなっていました(と書いても印象が薄いかもしれませんが)。Valentine Brothersがミキシングを担当しています。昔はそんなにブラコンっぽいとは思わなかったのですが、今聴くとブラコン・サウンドですね。
http://www.youtube.com/watch?v=VRVfeQuOr0I

「Right to Go」
ラップ・グループThe Dynamic Threeをフィーチャーした、オールド・スクールなHip-Hopチューン。リアルタイムで聴いた頃は、まだまだHip-Hopに耳が慣れていなかったので、"変な曲"という印象しかありませんでしたが...今聴くとそれなりに楽しめます。

「Heavens Above」
個人的にはこの曲が一番カッチョ良いと思います。名曲「My Ever Changing Moods」に通じる疾走感にグッときます。このサウンドであれば、Dee C. Leeのソウルフル・ヴォーカルが映えますね!「My Ever Changing Moods」がお好きな人であれば気に入るはずです。Matthew Kashaによるミキシング。
http://www.youtube.com/watch?v=s1YdqDpb71k

「Fairy Tales」
「Heavens Above」と並ぶお気に入り。Curtis Mayfieldミキシングによるファンキー・グルーヴ。ファンキーであると同時にスマートなところが、さすがスタカンという気がします。ホーン・サウンドの使い方が絶妙です。

「Angel」
ブラコン調のアーバン・メロウ。兄貴とDee C. Leeの夫婦デュオにグッときます。昔はそんなにいい曲だと思わなかったのですが、結構良かったりでして?Valentine Brothersミキシング。
http://www.youtube.com/watch?v=pB4jNh9nvVw

「Walking the Night」
Curtis Mayfield「Tripping Out」直系グルーヴ!という紹介される曲ですが、確かにそんな雰囲気はありますね。ただし、Curtisは制作にノータッチです。
http://www.youtube.com/watch?v=Y-fVQK596VU

「Waiting」
哀愁モードの仕上がり。シングルにもなりました。ソロに慣れている方は最も兄貴らしく聴こえる仕上がりなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=9YsklP-Ah4o

「The Cost of Loving」
タイトル曲は哀愁モードながらも、なかなか格好良いミッド・チューンに仕上がっています。Mick Talbotのオルガン・サウンドが効いています。

「A Woman's Song」
ラストはDee C. Leeのピュアなヴォーカルとセミアコの音色が優しく響く仕上がりにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=SYBexj2fZ3A

興味がある方は、本作の前年にリリースされたDee C. Leeの1stソロ『Shrine』あたりを聴くのも楽しいかもしれません。

Dee C. Lee『Shrine』(1986年)
Shrine
Dee C. Lee「Hold on」
 http://www.youtube.com/watch?v=N2CreB31Xvo
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2010年02月01日

Bobby Hutcherson『San Francisco』

70年代の幕開けに相応しい意欲作☆Bobby Hutcherson『San Francisco』
San Francisco
発表年:1970年
ez的ジャンル:西海岸ジャズ・ヴァイヴ
気分は... :2月は気合い入れます!

あっという間に2月突入ですね。
僕にとって2月は特別な月なので、気合い入れたいと思います。

今日は音楽好きにはグラミー賞、NFL好きにはプロ・ボウルがあります。
両イベントとも僕の中では現段階であまりテンション上がらないのですが、それでも多分観てしまうんでしょうね(笑)

最近のグラミーは疑問符が付くノミネートばかりなため、誰が受賞した云々は興味の対象外ですが、それとは別にパフォーマンスを楽しむようにしています。今年はMJ絡みのパフォーマンスが目玉になるのでしょうね。あまり過度の期待をせずに観てみます。

Jazzシーンを代表するヴァイヴ奏者Bobby Hutchersonの4回目の登場です。

これまで当ブログで紹介したBobby Hutcherson作品は以下の3枚です。

 『Happenings』(1966年)
 『Stick-Up!』(1966年)
 『Montara』(1975年)

今回紹介するのは1970年リリースの作品『San Francisco』です。

タイトルの通り、L.A.出身のHutchersonが西海岸に戻ってきてレコーディングした作品であり、ジャケで一緒に写っているサックス奏者Harold Landとのコラボ作の色彩が強い作品です。

Bobby Hutcherson(vib、marimba)、Harold Land(ts、fl、oboe)をはじめ、Joe Sample(p、el-p)、John Williams(b、el-b)、Mickey Roker(ds)がレコーディングに参加しています。

後にCrusadersで70年代のクロスオーヴァー/フュージョン人気を牽引するJoe Sampleのファンキーなキーボードも本作の雰囲気に大きく影響していますね。プロデューサーはDuke Pearsonが務めています。

Bobby Hutcherson好きの方にとっては、70年代を迎えて様々なサウンドを試しているアグレッシヴなHutchersonを堪能できます。また、サンプリング・ソースとなっている楽曲も多いので、その方面からも楽しめる作品です。

サンフランシスコがHutchersonにどんなインスピレーションを与えたのか、ぜひチェックしてみてください!

全曲紹介しときやす。

「Goin' Down South」
オープニングはJoe Sample作品。John WilliamsとMickey Rokerによるソウルフルなリズム隊にグッとくるオープニング。クールなJoe Sampleのピアノ・リフも印象的です。ここでのHutchersonはマリンバをプレイしています。全体的に淡々とした中にも深みがありますね。
http://www.youtube.com/watch?v=OlpABKRL7UM

アシッド・ジャズ好きにはお馴染みUS 3「Lazy Day」でサンプリングされています。
US 3「Lazy Day」
 http://www.youtube.com/watch?v=I2J6oxV3Jyk

「Prints Tie」
Hutchersonのオリジナル。Joe Sampleのエレピが不穏な雰囲気を醸し出すクロスオーヴァー・チューン。エレクトリック・マイルスの影響も感じますね。

「Jazz」
「A Night In Barcelona」と並ぶ僕のお気に入り。ラテン・フレイヴァーの効いた軽やかな仕上がり。ようやくHutchersonらしいエレガントなヴァイヴを堪能できます。Landも快調なテナーを聴かせてくれます。Joe Sample作品。
http://www.youtube.com/watch?v=NwXlgt0ZJgs

「Ummh」
Hutchersonのオリジナル。70年代突入を感じさせるファンキーなエレクリック・ブルース。Joe Sampleのファンキー・キーボードの歪んだ音色とHutchersonのヴァイヴのクリアな響きのコントラストが面白いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=PuP8utAOpBg

Ice Cube「Ghetto Bird」、Howie B「Birth」でサンプリングされています。
Ice Cube「Ghetto Bird」
 http://www.youtube.com/watch?v=eDD87u6sy7c
Howie B「Birth」
 http://www.youtube.com/watch?v=7bS3hptckTY

「Procession」
Joe SampleのピアノとHutchersonのヴァイヴを中心とした荘厳な音世界に吸い込まれそうな演奏です。立体的な音空間の広がりを楽しめるのがいいですね。Landのオーボエも効果的です。Diamond D Feat.Busta Rhymes「This One」、Mass Influence「Life To The MC」のサンプリング・ネタになっています。

Diamond D Feat.Busta Rhymes「This One」
 http://www.youtube.com/watch?v=rGGMM8MXl78
Mass Influence「Life To The MC」
 http://www.youtube.com/watch?v=ptFvC2cSsdE

「A Night In Barcelona」
Harold Land作品。僕の一番のお気に入り。サッカー・バルサ・ファンとしてはタイトルだけでグッときてしまいます(笑)。Hutchersonのヴァイヴ、LandのフルートSampleのピアノと美しい音色にウットリしっぱなしのボッサ・チューン。モーダル&エレガントな雰囲気がたまりません。

オリジナルLPはCDとは曲順が異なっています。本作収録曲のサンプリング曲に関する誤記を見かけることがありますが、おそらくCDとLPの曲順の違いに起因するものだと思います。

Side-A
 「A Night In Barcelona」
 「Goin' Down South」
 「Procession」
Side-B
 「Ummh」
 「Jazz」
 「Prints Tie」

何で曲順変えてしまったんですかね。
僕はオープニングが「A Night In Barcelona」の方がしっくりくる気がします。
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