発表年:1987年
ez的ジャンル:Paul兄貴流ブルーアイド・ソウル
気分は... :ついついグラミーを観てしまい...
自分自身で予想していた通り、興味ない!なんて言いながら、昨日はついついグラミーを観てしまいました。
まぁ、誰が何を受賞したということには全く興味がなく、パフォーマンスのみに注目していたのですが、まぁまぁ楽しめました。
Black Eyed PeasのパフォーマンスのバックでDavid Guettaが地味に映っていたのが悲しかったですね。堕落したBEPなどより遥かに旬のアーティストだと思うのですが。あとは Jamie Foxx & T-Painのオートチューン使いまくりのパフォーマンスの最中に、昨年「D.O.A (Death of Auto-Tune)」をリリースしたJay-Zの姿を客席から抜いていたのが面白かったですね。
一方、目玉とされていたMJトリビュートは面白みに欠けましたね。もう少しサプライズがあっても良かったのでは?
最後の締めの一言がJohn Legendだったのが、何かモヤモヤ感があって笑えました。
今日はグラミーとは全く無縁なPaul Wellerが率いたStyle Councilの3rdアルバム『The Cost Of Loving』(1987年)です。
久々のスタカンですね。The Jamやソロも含めて、長い間Paul Weller関連作品の紹介を怠っていました。兄貴!ゴメンなさい...
Paul兄貴がMick Talbotと組んで結成した"スタイル評議会"Style Councilの紹介は、『Cafe Bleu』(1984年)、『Our Favorite Shop』(1985年)に続き3回目になります。
『Cafe Bleu』や『Our Favorite Shop』はよく聴いていたけれど、『The Cost Of Loving』はあまり印象がない...そんなアルバムあったけ?という方は意外と多いのでは?
本作『The Cost Of Loving』や次作『Confessions Of A Pop Group』(1988年)は前2作と比較して、圧倒的に聴かれる頻度が低いと思います。かく言う自称"スタカン大好き"な僕もモロにそんな傾向です。
『The Cost Of Loving』はUKアルバム・チャート第2位になっているにも関わらず、地味な印象があるのはなぜでしょうね。
本作『The Cost Of Loving』では、Paul兄貴とMick Talbotの二人に加え、Dee C. Lee(vo)(当時の兄貴の奥方) とSteve White(ds)もメンバーとしてクレジットされ、4人体制となっています。サウンド的には前2作以上に黒人音楽へ接近した仕上がりになっています。逆に前2作で聴かれたボッサな作風の楽曲は消えてしまいました。今聴き直すと、ミニ・アルバム『Introducing The Style Council』(1983年)あたりの雰囲気に近いかもしれません。
本作で兄貴がこだわったのはミキシングです。
黒人ソウル・デュオThe Valentine Brothers、Cameo「Word Up!」のエンジニアを務めたMatthew Kasha、さらには大御所Curtis Mayfieldまで起用しています。
まぁ、リミックスが注目が集まった時期とはいえ、ミキシングに止まらず共演すれば良かったのに!なんて思うのは僕だけでしょうか?
久々に聴いたら、リアルタイムで聴いた時とずいぶん異なる印象を受けました。多分、当時はブルーアイド・ソウル的な感覚では聴いていなかったのでしょうね。
その意味でかなり楽しめました。
しばらく聴いていなかった作品をたまには聴き返すのも大切ですね。
全曲紹介しときやす。
「It Didn't Matter」
シングルとしてUKチャート第9位となったヒット曲。日本ではマクセルのCM曲にもなっていました(と書いても印象が薄いかもしれませんが)。Valentine Brothersがミキシングを担当しています。昔はそんなにブラコンっぽいとは思わなかったのですが、今聴くとブラコン・サウンドですね。
http://www.youtube.com/watch?v=VRVfeQuOr0I
「Right to Go」
ラップ・グループThe Dynamic Threeをフィーチャーした、オールド・スクールなHip-Hopチューン。リアルタイムで聴いた頃は、まだまだHip-Hopに耳が慣れていなかったので、"変な曲"という印象しかありませんでしたが...今聴くとそれなりに楽しめます。
「Heavens Above」
個人的にはこの曲が一番カッチョ良いと思います。名曲「My Ever Changing Moods」に通じる疾走感にグッときます。このサウンドであれば、Dee C. Leeのソウルフル・ヴォーカルが映えますね!「My Ever Changing Moods」がお好きな人であれば気に入るはずです。Matthew Kashaによるミキシング。
http://www.youtube.com/watch?v=s1YdqDpb71k
「Fairy Tales」
「Heavens Above」と並ぶお気に入り。Curtis Mayfieldミキシングによるファンキー・グルーヴ。ファンキーであると同時にスマートなところが、さすがスタカンという気がします。ホーン・サウンドの使い方が絶妙です。
「Angel」
ブラコン調のアーバン・メロウ。兄貴とDee C. Leeの夫婦デュオにグッときます。昔はそんなにいい曲だと思わなかったのですが、結構良かったりでして?Valentine Brothersミキシング。
http://www.youtube.com/watch?v=pB4jNh9nvVw
「Walking the Night」
Curtis Mayfield「Tripping Out」直系グルーヴ!という紹介される曲ですが、確かにそんな雰囲気はありますね。ただし、Curtisは制作にノータッチです。
http://www.youtube.com/watch?v=Y-fVQK596VU
「Waiting」
哀愁モードの仕上がり。シングルにもなりました。ソロに慣れている方は最も兄貴らしく聴こえる仕上がりなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=9YsklP-Ah4o
「The Cost of Loving」
タイトル曲は哀愁モードながらも、なかなか格好良いミッド・チューンに仕上がっています。Mick Talbotのオルガン・サウンドが効いています。
「A Woman's Song」
ラストはDee C. Leeのピュアなヴォーカルとセミアコの音色が優しく響く仕上がりにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=SYBexj2fZ3A
興味がある方は、本作の前年にリリースされたDee C. Leeの1stソロ『Shrine』あたりを聴くのも楽しいかもしれません。
Dee C. Lee『Shrine』(1986年)
Dee C. Lee「Hold on」
http://www.youtube.com/watch?v=N2CreB31Xvo