発表年:1989年
ez的ジャンル:グランジの雄
気分は... :ようやくエントリーしました!
今回はグランジの雄Nirvanaです。
これまで何度か不朽の名作2nd『Nevermind』(1991年)の記事を書こうと思い立ちましたが、その度に90年代USロックのマスターピースを前に慄いてしまい断念してきました。
なので、いきなり『Nevermind』ではなく、まずは1st『Bleach』(1989年)をエントリーしました(笑)
僕の場合、『Nevermind』が全米チャート第1位となり、音楽シーンにグランジ旋風が巻き起こっていた時、どっぷりNirvanaやグランジに浸ったという訳ではありません。むしろ、80年代終わりから強烈にロック離れが進み、90年代に入ると僕の音楽ライフの中心は、R&B、Hip-Hop、ハウス/クラブ・ミュージック、ワールド・ミュージックになっていました。
ロックにしても、どちらかと言えばUKロックの方に興味がありましたね。典型的にはPrimal Scream『Screamadelica』のような、ロックとダンス・カルチャーを融合させたような音を好んで聴いていましたね。
USロックと縁遠くなっていた僕でしたが、それでも『Nevermind』の大ヒットはかなりのインパクトがありました。
"なぜ、こんな出口なしのロックが全米チャートNo.1になるのか?"
その後、『Nevermind』や当ブログでも紹介したSonic Youth『Goo』(1990年)、Pearl Jam『Ten』(1991年)を聴いて、遅ればせながらグランジや時代の閉塞感を実感していました。その後しばらくは、(今で言う)オルタナ・ロックの作品にも多少気を回すようになりましたね。
そして、『Nevermind』の大ヒット以上に衝撃的だったのが、1994年のKurt Cobainのショットガン自殺でした。
洋楽を聴くようになってから、数多くのミュージシャンの訃報を聞きましたが、ニュースを聞いた影響で自分自身の体調に異変が生じたのは、John Lennonの射殺とKurt Cobainの自殺の二回だけです。Nirvanaの熱狂的ファンではない僕でしたが、ニュースを知った直後より急に頭から血の気が引き、めまいと吐き気に襲われたことを憶えています。
僕が持っているNirvana作品は、『Bleach』(1989年)、『Nevermind』(1991年)、『 In Utero 』(1993年)というスタジオ全3作と解散後に発売されたライブ・アルバム『From the Muddy Banks of the Wishkah』(1996年)の4枚です。
昨年、『Nevermind』の記事を書こうと試みた時に、これら4作品をざっと聴き返したのですが、その中で僕がイメージするNirvana像と最もフィットしたのが1st『Bleach』でした。4枚続けて聴いたせいかもしれませんが、『Nevermind』に関しては"アレっ?こんなに聴きやすかったっけ?"という印象でした。
本作『Bleach』時点のメンバーは、Kurt Cobain(vo、g)、Krist Novoselic(b)、Chad Channing(ds)、Jason Everman(g)となっています。まだDave Grohl(ds)(現Foo Fighters)が加入前で、しかも4人体制だったんですね。ただし、Jason Evermanはクレジットのみで実際のレコーディングには参加していないようです(制作費を支払ったことで貢献しているようですが)。また、「Floyd the Barber」 、「Paper Cuts」、「Downer」の3曲は当時The MelvinsのメンバーであったDale Croverがドラムを叩いています。
『Nevermind』と比較するとまだまだ未完成といった感じですが、逆にKurtの叫びがよりダイレクトに伝わってくる気がします。
『Nevermind』の大成功で一気にモンスター・バンドとなるNirvanaですが、それがKurt Cobain自身を悩ませることになります。権威的なものを嫌っていたKurt Cobainは、気付くと自身がポップ・スターに成り下がっていたという事実に苦しんだのでしょうね。
そんな成功を手にする前の作品である本作『Bleach』には、NirvanaおよびKurt Cobainの原点が詰まっていると思います。
全曲紹介しときやす。
「Blew」
へヴィーなリフにグッとくるオープニング。不穏な空気がプンプンするのがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=t1Ft1aQJscc
「Floyd the Barber」
1960年代のコメディ・ドラマ『メイベリー110番(The Andy Griffith Show)』をモチーフした楽曲。楽しいコメディの舞台もKurtが歌うと暗い闇の世界となってしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=eLHlzSeuJ50
「About a Girl」
ジャケを撮影した当時のKurtのガールフレンドTracy Maranderのことを歌った、いかにもシングル向けのキャッチーな仕上がりです。Kurtのメロディ・センスが光ります。後に『MTV Unplugged in New York』のヴァージョンがシングル・カットされました。
http://www.youtube.com/watch?v=rQiwje4CTRw
「School」
Kurt自身の暗黒の学生時代のことを歌ったもの。まさに出口ナシといった感じの切迫感があります。
http://www.youtube.com/watch?v=rvwzCobcxTw
「Love Buzz」
ヒット曲「Venus」で知られるオランダのロック・グループShocking Blueのカヴァー。シングルにもなりました。オリジナルのエキゾチックかつ神秘的なテイストを引き継いでいます。
http://www.youtube.com/watch?v=ZLthJDXbq6Y
Shocking Blueのオリジナルもかなり刺激的です。むしろ、コチラの方が普段の僕の嗜好に合っていますね(笑)
Shocking Blue「Love Buzz」
http://www.youtube.com/watch?v=dYeLKzhKFkg
「Paper Cuts」
実際に起きた児童監禁虐待をテーマに歌ったもの。「School」同様出口ナシの絶望感がひたすらへヴィに伝わってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=66mmAeH8Aj4
「Negative Creep」
圧倒的なスピード感であっという間にKurtが歌い倒すといった感じですね。僕が苦手なメタル風の仕上がりですが、スンナリ聴けてしまいました。
http://www.youtube.com/watch?v=4Xu-gp0XMmk
「Scoff」
Kurtの心の叫びが聴こえてきます。小細工なしのストレートな感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=zOtckJpsZb4
「Swap Meet」
フリーマーケットからの少ない収入で暮らす貧困カップルのことを歌ったもの。リフの格好良さにグッときますね。
http://www.youtube.com/watch?v=0lhUHekYdn8
「Mr. Moustache」
スピード感がたまりません。Kristのベースが印象的なパンキッシュな仕上がり。Nirvanaらしいかは???ですが、こういう曲大好き!
http://www.youtube.com/watch?v=YnmjGc3kXm0
「Sifting」
アメリカ社会の規範的とされる人々に対して鋭くメスを入れたへヴィな楽曲。演奏も実にダークです。
http://www.youtube.com/watch?v=qiG6VWui0ow
「Big Cheese」
怒りを爆発させる一歩手前の不気味なムードが全体を覆います。
http://www.youtube.com/watch?v=0AJjE53Ura0
「Downer」
ラストは高速で一気に駆け抜けます。
http://www.youtube.com/watch?v=mDUG9-3hSgY
昨年には、オリジナル13曲にライブ音源12曲を追加収録した20th Anniversary Editionが発売されました。
これから『Bleach』を購入する方はコチラの方がお得ですね。