発表年:1984年
ez的ジャンル:トークボックス系エンタメFunk
気分は... :そこにRogerの幻が...
今回はZappファミリーの総帥であった故Roger Troutmanの2ndソロ・アルバム『The Saga Continues...』(1984)です。
今月ビルボードライブ東京でZapp/Shirley Murdockの来日公演がありました。僕は行っていませんが、多くの人がそこに故Roger Troutmanの幻をイメージしてしまったのでは?
これまで紹介してきたZapp/Roger作品は以下の5枚。
Zapp『Zapp II』(1982年)
Zapp『Zapp III』(1983年)
Zapp『The New Zapp IV U』(1985年)
Roger『The Many Facets of Roger』(1981年)
Roger『Unlimited!』(1987年)
今日紹介する『The Saga Continues...』(1984)はRogerの2ndソロであり、『The Many Facets of Roger』、『Unlimited!』と比較すると地味な存在ですが、Roger Troutmanというミュージシャンの魅力が十分伝わってくる1枚です。
Zapp/Rogerの代名詞であるトークボックス全開のファンク・チューンを基本に、ソウル、ジャズ、ブルース、Hip-Hop、AOR、レゲエ等幅広い音楽性を聴かせてくれるのが楽しいですね。当時はまだ目新しかったHip-Hopのエッセンスを違和感なく取り入れる一方で、ソウル、ブルース、ジャズといった彼のルーツを再確認できる演奏を収められているのがグッときます!
レコーディングにはZappファミリー、Shirley Murdockといったお馴染みのメンバーをはじめ、The Mighty Clouds of Joy、Maceo Parker等が参加しています。
カヴァー1曲とBilly Beckとの共作1曲以外は全てLarry Troutman/Roger Troutman作です。
全曲紹介しときやす。
「In the Mix」
Zapp/Roger好きにはたまらないトークボックス全開のオープニングは。本作のハイライトに挙げる方も多いのでは?今聴き直すと、1984年時点でスクラッチ・ノイズを交えたファンク・チューンを創っている点にRogerのサウンド・クリエイターとしての貪欲さを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=uTSfbW16jYg
※エディット・ヴァージョンですがアルバム・ヴァージョンは約6分半の長尺です。
「Play Your Guitar, Brother Roger」
タイトルの通り、Rogerのギター・プレイを堪能できるのミッド・グルーヴ。ポップなファンク・サウンドにRogerのジャズ・テイストのギター・ソロが絡みます。こうしたファンクとジャズの融合もZapp/Rogerのお得意パターンですね。
「The Break Song」
この曲はあまりZapp/Rogerっぽくない狡猾さが漂うファンク・チューン。ここではRogerのブルージーなギター・プレイを聴くことができます。ここでもHip-Hopのエッセンスを取り入れ、途中ラップやスクラッチが挿入されています。そのさりげない取り入れ方にRogerのセンスを感じます。
「I Keep Trying」
Billy Beckとの共作によるAOR風メロウ・チューン。密かな人気曲なのでは?Zapp/RogerファンよりもAOR/ポップス・ファン向けの仕上がりです。予備知識なしで聴くとRoger作品とはわからないのでは?
「Midnight Hour」
本作のハイライト。ソウル・ファンにはお馴染みWilson Pickettの大ヒット曲のカヴァー(Wilson Pickett/Steve Cropper作)。ここでは大物ゴスペル・グループThe Mighty Clouds of Joyがコーラス参加しています。ハマりすぎのカヴァーですね。この曲がこれほどZapp/Roger流ファンク・サウンドやトークボックスに馴染むとは思いませんでした。エンタメ精神全開のZapp/Rogerワールドを堪能できます。
「Bucket of Blood」
リラックス・モードのブルース・チューン。Juke Joint(ブルース等の音楽が演奏される酒場)をテーマにした曲みたいですね。Roger以下のメンバーが純粋に演奏を楽しんでいる様子が伝わってきます。
「T C Song」
レゲエ調のリズムにフュージョン風サウンドとスキャットが絡むインスト・チューン。
「Girl, Cut It Out」
Wanda Rashのヴォーカル、Maceo Parkerのサックスをフィーチャーしたファンク・チューン。シングルにもなったキャッチーな仕上がりです。
本作がリリースされた1984年前後のRoger Troutmanはプロデュース業でも大忙しでしたね。
New Horizons『Gonna Have Big Fun』(1984年)
Human Body『Make You Shake It』(1984年)
Bobby Glover『Bad Bobby Glover』(1984年)