発表年:1976年
ez的ジャンル:スタイリッシュ・イタロ・ジャズ
気分は... :直感大当たり!
今回はイタロ・ジャズ作品Mario Rusca『Recreations in Jazz』(1976年)です。
Mario Ruscaは1937年イタリア、トリノ生まれのジャズ・ピアニスト/アレンジャー/コンポーザー。詳しいキャリアは不明ですが、1959年には自身のトリオを組んでいたようです。
1971〜74年にはジャズ・バイオリンのパイオニアであるイタリア系アメリカ人ミュージシャンJoe Venutiと共にJoe Venuti's Jazz Groupを組んで活動していました。
詳しいディスコグラフィが不明なのでリーダー作品群の全体像を把握できていませんが、70年代あれば『Reaction』(1974年)、『Suspension』(1975年)、『Recreations in Jazz』(1976年)あたり、90年代であれば『Echo of Ego』(1991年)、 『Mario Rusca Trio』(1992年)、 『Caravan』(1997年)あたりが注目の作品のようです。
また、イタロ・ジャズを代表するサックス奏者であり、昨年惜しくも他界したGianni Bassoの名作『Quartetto Gianni Basso』(1981年)でMario Rusca Trioがバックを務めており、これもRuscaのキャリアを代表する1枚のようですね。
整理されたバイオグラフィ、ディスコグラフィがないので断片的な情報の羅列ですみません。これでもかなり調べたんですけど(泣)
考えてみれば、最近のクラブジャズ作品でイタリア人ミュージシャン関連の作品を所有していますが、昔のイタロ・ジャズの作品って全然持っていません。それ以前にイタロ・ジャズのミュージシャン、作品に関するインプットが全くなされておらず、手が出せない状態なのですが...一度時間を作って整理してみたいカテゴリーですね。
本作『Recreations in Jazz』のCD化に際しては、良質な音源発掘でラウンジ&イージーリスニング・ファンに支持の高いイタリアのレーベルRight Tempo内のレーベルEasy Tempoからリイシューされました。Easy Tempoと言えば、60〜70年代のイタリア産サントラ、イージーリスニング等を収録した人気コンピ『Easy Tempo』シリーズでお馴染みですね。多分、Vol.1〜10まで出ていると思います。
Right Tempo/Easy Tempoからのリイシューということで本作に注目された方も多かったのでは?
僕の場合、某中古CD屋の(ジャズ・コーナーではなく)ワールド・コーナーで掘り出し物を探している時に本作と出会いました。まずスタリッシュなジャケ・デザインが目に留まり、さらにジャケの右下にあるEasy Tempoレーベルのロゴを発見した段階でビビッときました。正直、Mario Ruscaの名前は知りませんでしたが、脳内では疾走するイタロ・ジャズが流れ、勝手に傑作だと確信していました(笑)
実際に聴いてみると、僕のイメージ通りのオシャレで小粋なジャズ・サウンドに思わずニンマリ...中古CD漁りの醍醐味ですね!
メンバーはMario Rusca(p、el-p)、Larry Nocella(ss、ts)、Paolo Tornelleri(b)、Paolo Pelegatti(ds)、Mauricio Chappetta(per)という構成です。
1976年作品とは思えないスタリッシュな仕上がりに、クラブジャズ好きの人はグッとくる1枚だと思います。
こういう国だからNicola Conteのようなセンスの持ち主が輩出されるのでしょうね!
全曲紹介しときやす。
「Smiling Harry」
オープニングはスピリチュアルな雰囲気でスタートしますが、疾走するRuscaのピアノが格好良いモーダル・チューンに仕上がっています。Larry Nocellaのサックスもよくブロウしています。
「Recreations」
タイトル曲はMauricio Chappettaのパーカッションのリズムが心地よく響く、スタイリッシュな仕上がりです。クラブジャズ好きの人ならばグッとくると思います。何も知らなければ、最近のクラブジャズと勘違いする人もいるのでは?
「Dynamic」
「Recreations」に続き、パーカッシヴな演奏です。Larry Nocellaのサックスに先導されて全体がジワジワ高揚してくる感じがいいですね。
「Black Safari」
タイトルの通り、アフリカン・リズムが特徴的な演奏です。Black Jazz Recordsやスピリチュアル・ジャズがお好きな人は気に入る1曲なのでは?
「Free Impulse」
僕の一番のお気に入り。小粋でグルーヴィーなワルツ調の演奏は、僕のイメージするイタロ・ジャズのサウンドと符合します。普通にクラブ・ジャズと一緒に聴きたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=fthSJgQ1iMo
「First Intuition」
「Free Impulse」「Bizarre」と並ぶお気に入り。スピード感とスウィング感がたまりません。特にPaolo Tornelleriのベースがサイコーですね。
「Joyette」
この曲が一番好きという方も多いのでは?ボッサ調の軽快なリズムとエレガントなRuscaのピアノの組み合わせがグッド!
「Astral Bird」
Ruscaのピアノ&エレピを駆使したエレガント&ミステリアスな雰囲気の演奏が印象的です。
「Intimate Waltz」
エレピによるイージーリスニング的な仕上がりです。
「Bizarre」
この曲も人気が高いのでは?疾走するピアノ・ジャズ。Ruscaのピアノ・プレイを堪能したい方にはグッとくるヒップな仕上がりです。
「High Street」
ブラック・ムーヴィーのサントラに入っていそうな仕上がり。Larry Nocellaのサックスが気持ちよくブロウしています。
「Well Balanced Jump」
ラストは伊達男の国らしく小粋に締め括ってくれます。
他のMario Rusca関連作品はCD化されているものが少ないようですが、以下の2枚はAmazonで扱いがあるようです。
Mario Rusca Trio『Echo of Ego』(1991年)
Gianni Basso『Quartetto Gianni Basso』(1981年)
サントラ、ラウンジ、イージーリスニング好きの方は記事内で紹介した人気コンピ『Easy Tempo』シリーズをチェックするのも楽しいのでは?
『Easy Tempo』
『Easy Tempo Vol.2: the Psycho Beat』
『Easy Tempo Vol.3』
『Easy Tempo 4: Cinematic Theme』
『Easy Tempo, Vol. 5: Slammin' Cinematic Experience』
『Easy Tempo, Vol. 6: A Cinematic Jazz Experience』
『Easy Tempo, Vol. 7: Bikini Beat』
『Easy Tempo, Vol. 8: Cinematic Different Musical Horizons』
『Easy Tempo, Vol. 9: The Ultimate Cinematic Compendium』
『Easy Tempo, Vol. 10』